その後、サブリアは奮発してくれたのか、ヤドンの尻尾煮込みシチューを振舞ってくれて、談笑しながら食事の時を楽しむ。
そして、温かい寝床を貸してくれて、そのまま就寝に入った。
ーーー
そして翌日…
「…よし、これでいいね!これで、一端の旅人って感じだね!まぁ、街に行くだけだけど、このぐらい無いと、バッチを集めるのも一苦労だからね。」
サブリアがそう言って、満足そうに笑む。
私達の体は、昨日とは違い、旅をする装備を纏っていた。
頑丈な服、沢山入るリュック、保湿クリーム、ある程度のお金と携帯食料…そして、数個のモンスターボール…。
本当に昨日からは考えられないほど、上等な物を纏っていた。
それを、全て用意してくれたサブリアには、感謝してもしきれない。
その気持ちを込めて、深く礼をし、感謝の言葉をかける。マキュリもそれに続く。
「いや、感謝なんていいよ、倉庫の中に置いていた物のお下がりみたいなもんだしね。使われてないよりか、使われるほうが、道具も嬉しいもんさ!」
しかし、彼女は軽快に笑い、感謝しなくて良いと言ってきた。
だが、私達は感謝している為、それに戸惑う、が、彼女が良ければ、それで良い気もする。
「…さて、準備も終わった事だし、ドビーアのところに行こうか!」
そして、隣町までの移動手段であるドビーアの所まで、彼女について行く。
勿論、町並みを過ぎていくのだが、昨日よりかは活気がある様な気がする。
そんな中を歩いて、ドビーアのところまで行く。
暫く歩いていたら、やたらと豪華な骨組みの建物が見えてきた。
そこを良く見ると、怪しげなオーラに包まれた扉が見えた。
恐らく、あれがドビーアというポケモンなのだろう。
サブリアも、そちらへ向かっているので、確定だろう。
しかし、聞いた個体では無いからか、そこまでの迫力は無い。
逆に、親しみを覚えるほどだ。まぁ、だからこそ、人に協力してくれるのだろう。
そんな事をつい考えてしまう。目の前の事に集中せずに、何か別のことを。
何もすることがなかったあの頃とは違う、今は、目の前の事を思わなければいけない。
「ほら、着いたよ。制約とか、特に無いから、いつでも入って良いよ!でも、他の街に移動するときは、ドビーアが無い時があるから、そのときは頑張ってね!」
どうやら、移動はフリーらしい。
何故?、と言葉を漏らす。言ってしまった後、何処となく恥ずかしく思い、少し顔を逸らした。
それを見てなのか、サブリアは優しそうに微笑み、訳を教えてくれた。
…基本的に友好的で、協力してくれるのだという。一応、ドビーアの気分次第で出来るか出来ないか変わるらしいが。
けれども、最近は気分がいいらしく、誰でも通してくれるらしい。
だから私達もいけると思って、連れてきてくれたらしい。
そして、ドビーアに私達が近づくと、ドビーアはガタガタと揺れながら扉を開く。その先には、得体の知れない空間が広がっていた。
そこで、サブリアに別れを告げる為、マキュリと共に、後ろを振り返り、感謝の言葉を口にする。
「…全然、私達はあなたと関係なく、あなたに徳のない様な事までしてくれたのにも関わらず、恩を返せずに旅立とうとしている事を悪く思う。
しかし、貴女は、今の私達に、恩を返さずに、大きくなってからで良いと言ってくれた。だから…また、会う日まで…。」
「群れでさえも、ここまで異種にも優しいのは居なかったぞ…。あなたが私達を思って助けてくれた事に、本当に感謝している。
助けてくれなければ、今頃どうなっていた事か…。
計画性の無さを思い知らされたな…。
…まぁロンリーの言う通り、また来て、絶対に恩を返すぞ。それまで、待っておいてくれよ。」
そう言って、ドビーアの中に飛び込む。一瞬、大きく振られた手が見えたが、既に見えなくなった。
見えるのは、色々な景色が混合した気持ちの悪い空間。
それも過ぎ去って行き…、外に放り出される。
暫くして、何とか足をついて立つ。マキュリも、水の玉の上でふらついている。
そして、頭を振り、気持ち悪さを解消しようと試みる。
そんな風にしていると、マキュリに肩を叩かれる。
気持ち悪さの名残りを感じながらも、マキュリの方を向く。
そして、看板の文字を読んでくれて、と頼まれた。
看板には、スラリとした字で、こう書かれてあった。
「翼舞う 風の街 ミルニキャスタ」