しかも、会話の文が文を占めています。
次からは、見所を増やしますので…。
あの後、無事マキュリは回復した。
最初は、実力不足ですまなかった、などの戯言を言っていたが、此方が謝り倒したら、そんな事も無くなった。
今も横でピンピンしている。
そして、真剣な顔をしながら、エアームドと戦った感じやダメージ、力量差を教えてもらっている。
そして、聞いたところ、相当な実力差があったらしい。
万全の状態だとしても、雷で弱体化させた後のエアームドを倒せるビジョンが見えなかったと言う。
…実力差を見間違えるなんて、本当に笑えるな。
…私は、最後の『かりのまい』。あれが本気の一撃だと思う。
マキュリは疲弊して分からなかった、と言っていたが、目の前からエアームドが消えた様に見えるほど、高速の一撃であった。
あれ以上が有るならば、もう無理だろう。だから無いと考えたい。
…しかし、マキュリは、まだ上がある可能性を考えた方がいい、と言ってきた。
…正直、ここまで過酷な物を想定してなかった。
一気に部屋の空気が沈む。
そんな中、ノック音が響く。
扉の外に、何か用か、と問う。
すると、ジョーイさんの声がかかってきた。
「んー、ほら、さっき物凄く消沈していたから、一応声をかけにきたのよ。…出来れば、部屋の中に入れてもらえると嬉しいわ。」
その声に、思わずマキュリと目を合わせる。
だが、断る理由を持っていない為、扉を開ける事にした。
扉を開くと、心配そうに眉を寄せたジョーイさんがいた。
そして、私の隣に座り込んでくる。
息を吐いて、こちらを見つめる。
その瞳には、一瞬、迷いが見えた。
しかし、それでも意を決して話かけてきた。
「…えっとね、君たちみたいに、ジムチャレンジに負けて、あまりの実力差に止める子も多いの。
でも、君たちは…、いや、君だね。君は実力差に絶望してるだけじゃなくて、もっと重い表情をしていたの。
思わずここにきてしまうぐらい。
…深くは聞かないわ。
でも、独り言を言いたくなっちゃったなー。
うるさいけどごめんねー。
…ジムリーダーのポケモンは3体で、ジムトレーナーも3体。
ジムトレーナーは問答無用で3体。ジムリーダーはポケモンの数に応じて変わるんだよねー対策しておかないとすぐやられちゃうんだよー。
しかもこの旅宿には、裏ショップがあって、技マシンが低額で売ってるんだー。
裏ショップは会員制で、誘われなければ会員証を貰えないんだけど、あー、落とし物しちゃったー。
それにー、岩蜘蛛の洞窟までいける地図も落としちゃった。
一応採掘セットも無くしちゃうー。
でもー、いらない物だしいいや!見つけた人の物でよし!」
一息に言葉を吐いてくる。あまりの怒涛の展開に、私達は唖然とするしか無い。
目の前に落とされる会員証・地図・採掘セット。
それらは皆苦労しなければ手に入れられない物だろう。
どうして私達に振るってくれるのか、さっぱりわからない。
「…何故、そんな物を私達に渡してくれるのですか?何も返せませんし、過ぎた物です。」
そんな事を言っても、表情を崩す事なく返答される。
「何故、って、それは君が酷い表情をしていたからだよ。子供がそんな顔したままじゃ、大人の名折れよ。
それに、半端に余った物を渡しているだけだし。しかも、これは落とし物だよ?
私はいらないし、貴方達の部屋に落ちていたから、返品禁止ね!
倉庫も無限って訳じゃ無いのよ。戻されると迷惑だから!
しっかりと受け取ってね!」
そう返されて、今までの事とで目の前が霞む。
横からも啜るような声がする。
…本当に、暖かいな、この人達は。見ず知らずの人に、ここまで優しくしてくれるとは、どこまで…。
「…あり…が…とうござ、います。」
しゃくり上げながら、感謝を伝える。自分でも、顔がぐしゃぐしゃになっている事を分かってしまう。
そして、いきなり…
ぎゅううううう
抱きしめられた。まるで、あくる日の母の様で、思わず抱き返してしまう。右には、低い体温も感じる。
ぐずりながら、顔を押し当てる。
「…辛かったね。でも大丈夫。支えてくれる人がいるさ。子供のうちに、一杯泣いちゃいな。大人になると、聞いてくれる人もいなくなるから…。」
優しい言葉が体を撫でる。それだけで、ぬるま湯に浸かった様な安心感が私達を占める。
そして、そうしていると、瞼が重くなり始める。
ヒック、という声を上げながらも、ジョーイさんにしなだれかかる。
そのまま安心しきって、意識を手放した…。
意識は闇に飲まれる
何を呑んでも尚、そこに闇は確かにあった