一応、リハビリという事で、上手くいって無いところもありますが、そこのところを配慮していただけると幸いです。
目の前に存在する一羽の鳥は、一度鼻を鳴らし、こちらに向かってくる。
「マキュリ、バブルこうせん!」
泡沫を放たせるが、強引に距離を詰められる。水一滴すらも浴びていない。
…特性『うみかえ』。いくら初撃が聞かないとはいえ、産み代えしている素振りすら見えなかった。
『主』の風格で吹き飛ばしたとも考えたが、割れた卵を捨て去ったカンスイコウを見れば、身代わりとして卵を使ったのがわかる。
そして、勢いつけてつばさを叩き付けてくる。
思わず、反撃を命じてしまう。
「、ふぶきだ!」
マキュリは、私の声で反射的にふぶきを打つ。
しかし、相手はそれを読んだかのように背部に回って叩いてくる。
重くは無いが、軽くもない一撃。それはダウンするには事足りないが、吹っ飛ばすには十分だ。
…このポケモンは、思っていた以上に狡賢い。トレーナーを意識させない為、距離を空けさせるとは。
しかし、そんな事で挫けてはいない。
「バブルこうせん!下地を整えろ!」
一周回って冷静になった私は、作戦を思い返し、指示を下す。
そして、マキュリもそれを聞き、ダメージを堪えながら俊敏に技を出す。
ふいうちを決めようにも、泡が邪魔で動けない。
強引に突破しようとすれば、隙を晒してしまう。それがバブルこうせんの強さ。
そして、これを決めたら、打ってくる技は一つ。
おいかぜ。ジムリーダー戦でお世話になった技だ。
だからこそ、意識していなくて対応が出来ない、という事はない。
逆に、隙をつける。
翼をはためかせ、気流を作り出したカンスイコウは、明らかに隙だらけ。泡で視界も不安定な為、此方が何をしているかあまりわからないだろう。
今、腕に力を込めて水をチャージしているマキュリの姿も。
泡を盾にして、力を振り絞り、一撃必殺となる技を用意する。これがジャイアントキリングのための策。
そして、限界まで貯めた技、「ハイドロポンプ」は、泡達を弾け飛ばし、カンスイコウへと降り注ぐ。
うめき声を上げながら一瞬、抵抗するものの、圧倒的水量により、後ろの岩まで吹っ飛んで行く。
衝撃で、爆竹のような凄まじい音が鳴った。
相手には申し訳ないが、オーバーキルも甚だしい。
マキュリをつれて、岩蜘蛛の洞窟の方へと向かう。
…しかし、相手はそれを許さなかった。
高音の鳴き声を上げながら、こちらへ突進してくる。
「…!こっちへ!」
私ではなく、隣にいる、マキュリの方へ向かってきた為、腕を引っ張り、洞窟の方へと足を急がせる。
本来、他のとりポケモンとも戦わなければいけないのだろう。
だが、物凄い剣幕で此方へと向かってくる、カンスイコウにおじけついたのか、一向にこちらに来ない。
それを確認してから、共に洞窟へと転がり込み、とにかく走る。
幸い、洞窟内は入り組んでいた為、相手を巻くのは簡単であった。
ある程度進み、うろの中にしゃがんで入る。
ーーー
暫く、そうしていると、
段々とこちらへ近付いてくる足音が聞こえてきた。
それは、今まで聞いていた勢いのある物ではなかった。
どうやら、フラフラとしているようであり、疲れが溜まったのだろうと予測ができる。
私達も、正確な情報があるわけでは無いが、おそらく入り口へと向かっているようである。
そういう事を、考えながらも、マキュリの事を引き寄せ、ぐっ、と抱き締める。
マキュリは、少し驚いた表情をしながらも、どこか納得した顔で、それを受け入れてくれた。
暫く、そうして身を寄せ合っていたら、羽ばたきが音響し、遠ざかって行くのが聞こえた。
それで、気が抜けてしまった。
一気にへたりこんでしまう。隣にいるマキュリもそうだ。
けれども、その顔には自然と笑顔が浮かんでいた。
まるで…悪戯が成功した子供のように。
その顔を見て、私も声を上げて笑ってしまった。
次第に、マキュリも声を上げて笑った。
洞窟に、笑い声が響く。
ひとしきり笑った後、腰を上げて、うろから出る。伸びをして、体の様子を確かめて、洞窟の奥へと向かう。
…後ろの紫煙には気づかずに。