扉から舞い込む新風   作:ケイオース

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20 消失

ー不意に、風を感じた。

 

風が体を撫で、髪を仰ぐ。

閉じてしまった目を、開こうとしてくる。

 

それに抵抗しようと、したけれども、

いつまでも来ない破壊に、疑問を感じて、従った。

 

 

 

いや、従ってしまった。

 

 

 

その先にあるものは、岩塊だった。私よりか大きく、質量を感じる。

それが、虫の鳴き声をあげている。そう、キチキチチと。

 

しかも、その下には、消えかけている紫煙が渦巻いていた。

目の様な模様が現れ、岩塊を睨む。

 

 

 

しかし、岩塊は、それが気に入らなかった様だ。

岩の塊としか思えなかった体の一部を伸ばし、紫煙を粉々に砕ききった。

 

 

 

そして、重低音がこだまし、私達の方へ向く。

 

 

 

…私はもう耐えられなかった。

 

土色の体の中で、はっきりと私を捉える、八つの紅い目に見つめられたら。

 

助けは来なかった。いや、もっと悪かった。

デモニケルの時から、『また』。

 

 

 

グルグルと廻る頭に、体が悲鳴を上げた。

更に重くなる瞼。滲み出る涙。込み上げる想い。

 

 

…そのどれもが、滑稽に思える。

 

 

自分の行った事でこうなったのにも関わらず、出来る事は泣き寝入り。あの時と同じ。自分で、何もできない、しない。

 

 

 

だけれど、私は願う。

 

「…助けて…くれよ…」

 

返事は無かった。

意識は、途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーユラユラと揺れる感覚で、瞼が開く。

暗いが、目が次第に慣れてきた。

 

周りは依然と岩肌が広がり、どうやら、私は天井から糸で吊るされている様だ。

 

しかも、マキュリもその様になっている。

 

 

だが、そこまでキツく結ばれているわけではない。

体を揺らして、岩肌の尖ったところに擦り付ければ、切れなくもない。

それに、ねばつかない方の糸で縛られている。切った後、動きやすいだろう。

 

 

そう思って、体を揺らす。幸い、壁は近かった。

 

糸は太かったが、切れ込みを入れると、プチっと切れて落ちた。

いきなり落ちるとは思わなかったが、一応受け身を取った。

 

が、地に足つけて瞬間、体に激痛が走る。

…すっかり、傷だらけな事を忘れてしまっていた。

 

 

 

そんな体でも、あの蜘蛛…仮称『キガングモ』とでも呼ぼうか。…キガングモに気づかれる前に逃げなければ。

 

鬼の様な角に貫かれるか。それとも、巨大で潰されるか。

はたまた、糸で締め殺されるか?まぁ、どれもごめんだ。

 

 

そして、マキュリの吊るされているところへ向かう。

残念ながら、壁からは遠く、私と同じ方法では切れない。

 

なので、周囲の岩のかけらを使おうとした、が、かけら一つすら落ちていない。無論、砂利ならあるが、流石に切れはしないだろう。

 

 

 

しょうがないが、壁の脆い所を崩し、それを使うことにする。

 

…そんな所、ありもしないが。

一通り、触ってみたが、それらしきところはなかった。

 

 

 

その事に思わずため息を吐く。吐いてしまうと、力がフッと抜けてしまい、尻餅をついてへたりこむ。

 

 

またしても、瞼が重くなる。

 

 

 

けれども今回は、鈍く光る石が目に入った事によって、かろうじて持ち堪えた。

 

 

 

そして、それが何故か、抜くことのできる物だと思った。

 

 

でも実際、ちゃんと抜けはした。

ちゃんと左手に握りしめる。

 

そして、無事、マキュリの周りの糸を切ることができた。

 

 

体を見たところ、傷は比較的浅く、サブリアから貰ったバッグの中にあるきずぐすりなどでなんとかなりそうだ。

 

 

 

そう思って、ホッと息を吐く。生きて帰れそうだ。

 

兎に角、傷を癒せねば、と考え、バッグへ手を伸ばそうとする。

 

 

 

 

 

けれども、私が見たは視界いっぱいに広がる岩だ。

…何が起きたのか理解できなかった。

 

そんな私を、不意に痛みが襲う。

左手に、違和感とも言える痛みが起きた。

 

 

なんとか、頭を動かし、左を向く。

 

暗くて中々見えなかったが、手を寄せると明らかになった。

 

 

 

手が青く変色していた。深い綺麗な色では無く、毒々しく。

 

 

 

色々ありすぎて、またもや意識が掻き消え始める。

視界には、おどろおどろしく光る、宝石が光っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




注:キガングモはマキュリ達を『保護』する為にこうしてました。
勘違いしているだけです。ちゃんとそこは理解していて欲しいです。
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