…ほんとですよ?
…夢を、見ている。
あの、何も知らなかった無垢な時間。その時間の泡沫を、もう一度。
…既に、過ぎた事だ。もう、二度と振り返らないと決めていた。
しかし、こうして見てしまうと、どうも…。
ある場面を見ている間に、いつの間にか違う物を見ていたり、
まるで走馬灯の様な夢を、その上から見ている。
そこに意思はない。ただ、意識が漂っているだけだ。
暫く、ユラユラと揺れて、見たくもない物を見せられた。
そして、一通り見終わった。
少し昔を懐かしむかの様な、…そんな感情を持ちながらも、目を閉じて終わりに備える。
…けれども、一向に終わらない。
世界が崩れるあの感覚。それがない。
…夢ながらも、背筋に冷汗が伝う。
恐る恐る、目を開く。
そこには…
幸せそうに笑む『わたし』の顔があった。
それから目を逸らそうと、首を曲げ、目を閉じようとする。
けれども、私の体はその指示に従わない。
『わたし』の姿が、罪の意識が体を蝕む。
本来、切り捨てた物としていたそれが、また現れ…体を食い破る。
夢だからか、罪の意識であろう、形容し難い物が体の内から顔を見せてくる。
私に巻き付き、鎌首もたげて、とびかかる。
しかし、私にそいつが襲うことは無かった。
ギリギリ、という不快な音が空間に響く。体にいる奴は、音源を探した。
そして、ある一方を向く。
私も、そちらへ向く。
そこには亀裂があった。空間を引き裂く様な音を立てながら、今も拡大し続けている亀裂が。
少しの間、奴と一緒にそこをぼんやり見ていると、空間がパラパラと落ちてきた。
明るい夢の中とは一転し、暗い光が私を見てくる。
そして、そこから身を乗り出し、躍り出てきたのは…
虫。何かの虫。本当に虫。
それしか言えない。いや、もう少し言えば不快。化石にあんなのあっただろうか?
確か…ハルキゲニア、だったはず。
そいつはポケモンでは無かった物だから、今のあいつとは違うのだろうけれども、そんな化石はあったはずだ、うん。
そんなに現実逃避するほど、奴は生理的に無理だった。わしゃわしゃ動く触覚と足。のたうち回る体。
そんな物を見て、次第に意識が遠くなってくる。
いつの間にか、体にいる奴は居なくなっていた。罪の意識も、いつしか消えていた。
ある意味、虫歯の時のスピアー(蜂)みたいな物だ。
痛みを超える痛みが有れば、弱い痛みを忘れられるという事。
すっかり気持ちは澄み、純然たる気持ち悪さが胸を占めており、壊れる世界を横目に、意識を手放した。
ーーー
いきなり意識が上がる感覚。
その感覚に後押しされ、目を開く。
世界は暗く、岩肌が視界を占めている…訳ではなく、
私の目の前には、先程酷評したあの虫がいた。
…洞窟に悲鳴が上がった。
実は、主人公の事を再度ここで考え直していたのです。
矛盾がない様に。
…うまくいくといいなって!
by深夜テンションな作者より