眠いので、それだけ書いておきます。
「…マキュリ、行くぞ。」
私はそう言った。
マキュリは驚いたようにこちらを振り向くが、それを気にせずに指示を出す。
「ふぶきだ。」
戸惑いながらも、ふぶきを撃つ。
「…はっ、そんな技当たったら、今までで既に堕ちてたぞ。」
バランもそう言って、オッシャベリーナに回避行動を取らせる。
強力なふふぎは、荒野を凍りつかせるに止まった。
しかしそれでも私は命じる。
「もう一度ふぶきだ!」
マキュリは私の方を流し見、氷の力を掌に貯め、放つ。
そしてまた、荒野に氷が広がる。
「やめろ。それ以上何かできるわけじゃ無い。交代やらなんやらする事だな。」
もう一度、バランがそう言う。
それでも、それでもだ。私は抗う!
「マキュリ、ふぶき!」
…そんな私の思いが届いたのか、ふぶきに翼の端ががする。
そしてその事により、バランの堪忍袋の尾が切れた。
「だーっ!いくら子供とはいえ、散々舐めた真似をしやがってっ!
無駄な抵抗をしてポケモンが可哀想と思わないのかっ!
もういい!オッシャベリーナぜっきょうで破壊し尽くせ!」
バランは私にそう吠えてくる。
オッシャベリーナも、私にイラついていたのだろう。マキュリでは無く私の方を向きぜっきょうしてきた。
赤い土地に大音声が響き、私達は崩れ落ちる…かとおもわれた。
いくら破壊力が増したとはいえ音は音。対応の仕方も同じだ。
「マキュリ、水で覆え!」
水のドームが私たちを覆い、音をかろうじてやり過ごす。
あと一瞬でもマキュリが貼ってくれるのが遅かったら、地面が吹き飛ぶほどの咆哮が私たちを襲っていただろう。
行動は想定内とは言え、威力が想像以上だ。
気力的にも、力量的にも、チャンスは一度。
冷静になる前に叩きのめす。
「はっ、それが効かなければ直接当てるまでだ!」
さらに業を燃やしたのか、バランの指示の前から降下姿勢をとったオッシャベリーナ。
一人と一羽の心は同じ。
目の前のモノを粉砕する想いのみ。
純粋な破壊がそこにはあった。
…しかし、だからこそ周りが見えなくなる。
「マキュリ、『こおりのつぶて』だ!」
音速とも言える速度でこちらに迫ったオッシャベリーナ。
それが四方八方から飛んできた氷によって堕落する。
バランスが崩れて、溜めていた力が暴発。さらに抜群のこおり技により負傷。
流石に耐えられないだろう。
「…!オッシャベリーナ!…っち、そうか、『ふぶきで発生した氷を操らせた』のか。…怒らせることも込み込みで考えたとは。…末恐ろしいガキだ。」
バランは感心したかのような声色で悪態をつく。
その声は、いやにこの地に響いた。
そして、スワルーレと思われるボールを手に取る。
「はっ、しょうがねぇ。それでも戦わなきゃいけない仕事に就いてるんだ。最後までやってやるよ。」
諦め気味にそう言い、ボタンに人差し指をかけ、投擲の姿勢に入る。
…戦いは次のステップへと変化しようとしていた。
私達は撃破したと、撃破されたと思っていた。もう立ち上がらないだろうと思った。
でも、そんな中1人起き上がった漢が居た。
カラフルな体毛は煤けて、自慢の青色の嘴は濁れど、闘志を失っていない瞳を持つ…そんな漢が。
翼を広げ、俺を倒してから行け!と言わんばかりに吠える。
「お、お前…。」
目を見開き、驚きの眼差しで皆がオッシャベリーナを見る。
その一鳥の周りには、心なしか風が巻いている気がした。
「…そんなに、か。…そうか、そうだよな。俺が諦めるなんて、情けない話だ。最後まで、抗わなければな。」
そう呟き、持ったモンスターボールを腰に再度つける。
そして、今まで手につけようともしなかった、煤けたハイパーボールを手に取る。
遠目から見ても、年季の入ったモノだとわかる。
「…オッシャベリーナ、もういいぜ。お前のお陰で腹が据わった。あとは俺とコイツでやる。休め。」
そう言われると、ふっ、と目の前から消え、モンスターボールに戻って行く。
オッシャベリーナの顔は、何処か満足そうな表情だった。
「…すまんな。最初は二体だけで戦うつもりだったんだがな…。これからはコイツ一体だけで闘わせてもらうぜ。」
悲しそうな感情は一切見えなくなり、ギラついた気持ちが私を襲う。
怯む私なんか見えてないように、空を見上げる。
「風は、縛られないんだ。ようやくわかった。だから、縛りなんて捨てて…行ってやるよ。」
よく見えなかった瞳は、今でははっきり捉える事ができる。
私たちを見下ろす蒼い瞳は、ひどく綺麗なものに見えた。
「…自由にいくさ、久しぶりの帰還を見せつけるぞ、ウズマッド。」
放り投げられたボールから繰り出されるは、小さなとりポケモン。
今までよりかは弱く見える。
…だが、覇気は目に見える形で滲み出ている。
「…マキュリ。」
私が言う。
「…ああ。」
マキュリが返す。
私達は、相手へと構える。
明らかな格上。でも何故か…力が溢れてくる。
私達の想いは一つ。勝利を掴むこと。
そんな私達は…
「「「負ける気など、微塵もない!」」」