扉から舞い込む新風   作:ケイオース

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誠に勝手ながら、ジムトレーナーの手持ちを6から3に変えました。

眠いので、それだけ書いておきます。


29 空は蒼い

「…マキュリ、行くぞ。」

 

私はそう言った。

マキュリは驚いたようにこちらを振り向くが、それを気にせずに指示を出す。

 

「ふぶきだ。」

 

戸惑いながらも、ふぶきを撃つ。

 

「…はっ、そんな技当たったら、今までで既に堕ちてたぞ。」

 

バランもそう言って、オッシャベリーナに回避行動を取らせる。

強力なふふぎは、荒野を凍りつかせるに止まった。

 

 

しかしそれでも私は命じる。

 

「もう一度ふぶきだ!」

 

マキュリは私の方を流し見、氷の力を掌に貯め、放つ。

 

そしてまた、荒野に氷が広がる。

 

「やめろ。それ以上何かできるわけじゃ無い。交代やらなんやらする事だな。」

 

もう一度、バランがそう言う。

 

それでも、それでもだ。私は抗う!

 

「マキュリ、ふぶき!」

 

…そんな私の思いが届いたのか、ふぶきに翼の端ががする。

そしてその事により、バランの堪忍袋の尾が切れた。

 

「だーっ!いくら子供とはいえ、散々舐めた真似をしやがってっ!

無駄な抵抗をしてポケモンが可哀想と思わないのかっ!

もういい!オッシャベリーナぜっきょうで破壊し尽くせ!」

 

バランは私にそう吠えてくる。

オッシャベリーナも、私にイラついていたのだろう。マキュリでは無く私の方を向きぜっきょうしてきた。

 

 

 

赤い土地に大音声が響き、私達は崩れ落ちる…かとおもわれた。

いくら破壊力が増したとはいえ音は音。対応の仕方も同じだ。

 

「マキュリ、水で覆え!」

 

水のドームが私たちを覆い、音をかろうじてやり過ごす。

あと一瞬でもマキュリが貼ってくれるのが遅かったら、地面が吹き飛ぶほどの咆哮が私たちを襲っていただろう。

 

行動は想定内とは言え、威力が想像以上だ。

気力的にも、力量的にも、チャンスは一度。

 

冷静になる前に叩きのめす。

 

「はっ、それが効かなければ直接当てるまでだ!」

 

さらに業を燃やしたのか、バランの指示の前から降下姿勢をとったオッシャベリーナ。

 

 

一人と一羽の心は同じ。

目の前のモノを粉砕する想いのみ。

 

純粋な破壊がそこにはあった。

 

 

 

 

 

…しかし、だからこそ周りが見えなくなる。

 

「マキュリ、『こおりのつぶて』だ!」

 

音速とも言える速度でこちらに迫ったオッシャベリーナ。

それが四方八方から飛んできた氷によって堕落する。

 

 

バランスが崩れて、溜めていた力が暴発。さらに抜群のこおり技により負傷。

 

流石に耐えられないだろう。

 

「…!オッシャベリーナ!…っち、そうか、『ふぶきで発生した氷を操らせた』のか。…怒らせることも込み込みで考えたとは。…末恐ろしいガキだ。」

 

バランは感心したかのような声色で悪態をつく。

その声は、いやにこの地に響いた。

 

 

そして、スワルーレと思われるボールを手に取る。

 

「はっ、しょうがねぇ。それでも戦わなきゃいけない仕事に就いてるんだ。最後までやってやるよ。」

 

諦め気味にそう言い、ボタンに人差し指をかけ、投擲の姿勢に入る。

 

…戦いは次のステップへと変化しようとしていた。

私達は撃破したと、撃破されたと思っていた。もう立ち上がらないだろうと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、そんな中1人起き上がった漢が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

カラフルな体毛は煤けて、自慢の青色の嘴は濁れど、闘志を失っていない瞳を持つ…そんな漢が。

 

翼を広げ、俺を倒してから行け!と言わんばかりに吠える。

 

「お、お前…。」

 

目を見開き、驚きの眼差しで皆がオッシャベリーナを見る。

 

その一鳥の周りには、心なしか風が巻いている気がした。

 

「…そんなに、か。…そうか、そうだよな。俺が諦めるなんて、情けない話だ。最後まで、抗わなければな。」

 

そう呟き、持ったモンスターボールを腰に再度つける。

 

そして、今まで手につけようともしなかった、煤けたハイパーボールを手に取る。

 

遠目から見ても、年季の入ったモノだとわかる。

 

「…オッシャベリーナ、もういいぜ。お前のお陰で腹が据わった。あとは俺とコイツでやる。休め。」

 

そう言われると、ふっ、と目の前から消え、モンスターボールに戻って行く。

 

オッシャベリーナの顔は、何処か満足そうな表情だった。

 

「…すまんな。最初は二体だけで戦うつもりだったんだがな…。これからはコイツ一体だけで闘わせてもらうぜ。」

 

悲しそうな感情は一切見えなくなり、ギラついた気持ちが私を襲う。

怯む私なんか見えてないように、空を見上げる。

 

「風は、縛られないんだ。ようやくわかった。だから、縛りなんて捨てて…行ってやるよ。」

 

よく見えなかった瞳は、今でははっきり捉える事ができる。

私たちを見下ろす蒼い瞳は、ひどく綺麗なものに見えた。

 

「…自由にいくさ、久しぶりの帰還を見せつけるぞ、ウズマッド。」

 

放り投げられたボールから繰り出されるは、小さなとりポケモン。

今までよりかは弱く見える。

 

…だが、覇気は目に見える形で滲み出ている。

 

「…マキュリ。」

 

私が言う。

 

「…ああ。」

 

マキュリが返す。

 

私達は、相手へと構える。

 

 

明らかな格上。でも何故か…力が溢れてくる。

私達の想いは一つ。勝利を掴むこと。

そんな私達は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「負ける気など、微塵もない!」」」

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