扉から舞い込む新風   作:ケイオース

4 / 34
2 堕ちる

ーざわざわと音がする。

まどろみに包まれていた私は、小さな音でさえも、覚醒するには十分な要素だった。

そして私は、ゆっくり目を開き、寝ぼけ眼と、霞のかかった様な頭で辺りを認識しはじめる。

 

 

 

ーどうやら、自分の周りには、樹木が広がり、知らない森を形成している。

さらに、先程のオカラム達も見つからず、くさタイプのポケモンでさえも、見当たらない。

 

 

 

それはいささかおかしいのではないか?

ポケモンは、海に山に空に地上に、どこにだっているものだ。ゴミ廃棄場にダストダスやベトベトン、ゴストがいるように、墓や霊的何かを司るところに、ゲンガーやシャンデラなどがいるように、必ず適応するポケモンがいる。

 

 

 

それがすらもいないのは不自然だ。その様な状態になるのは…強い外敵から逃げるものでは無いのか?

 

 

 

そう考えるとしっくりくる。オカラム達があの場所居たのも、表層に居た弱いポケモンだけがあの場所に居たせいで、追い出すことすらままならなかった事も。

 

 

しかし、そこではたと思考が止まる。

 

 

 

 

 

眠っている私 いるであろう外敵外敵 弱い人間

 

 

 

 

 

私は駆けた。

死に物狂いで。方角もわからず。

でも、予想は当たっていた。背後から、重低音が響き、追ってくる。

 

ポケモンは、人間の良き隣人だ。しかし、調停者でもある。少なくとも、背後から追ってくる奴は。

 

 

 

ヤツは既に、金切り声に近い音程を出すほど興奮しているらしい。

思わず、手で耳を塞ぎたくなる。しかし、それすらも今の私にはしてはならない事だ。思い切り手を振り、フォームを維持する。

逃げ切る事を、日常に戻る事を信じて。

 

 

 

しかし現実は残酷だ

 

パチンッ

 

「ッ?」

 

走る度に空いていた足を戒めるかの様な痛みと衝撃が伝わる。

完全に不意をつかれた。

思わず足が絡まり、大地へ倒れ伏す。

 

 

何があったのか、それだけ見ようとして、

一つ知らなくていいとこを知る。

 

 

…まただ。オカラム。奴が此方へと蔓を伸ばしていた。嘲笑うかの様に胞子をふかした後、森へと消えていった。

 

何故ここにまだいるかはわからないが、少なくとも、コイツはトドメを刺しに来たみたいだ。確実に、仲間達が逃げられる様に。少しでもここへ釘付けにする様に。

 

 

…余りにも、絶望感にさらされるものだからか、不意に現実逃避してしまったな、現実を見よう。

 

 

凄まじい音を立てながら襲って来たこのポケモン。それは…

 

 

デモニケル。そうだ、生態系を整える悪魔だ。酷く残虐であり、連れて帰ったものを食い散らかす。

 

 

先程までの勢いはない。

 

しかし、恐怖心を煽るかの様に、ゆっくりとした歩みでこちらへ向かってくる。

 

爪が地面に引きずられる音を聞く度、死の足音が聞こえる。

そして、痛ぶるかの様に詰められた私に、手を挙げ、振り下r

 

 

ゴギャッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ヌラリ…

 

血が滴り落ちる。

鉤爪で襟首を掴み上げ、怪しげに開いた扉へと放り込む。

 

鋼色の悪魔は、一仕事終わったかの様にため息を吐き、森の奥へと帰っていった。

主人公の性別は?

  • 男性
  • 女性
  • お前ら人間じゃねぇ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。