ーざわざわと音がする。
まどろみに包まれていた私は、小さな音でさえも、覚醒するには十分な要素だった。
そして私は、ゆっくり目を開き、寝ぼけ眼と、霞のかかった様な頭で辺りを認識しはじめる。
ーどうやら、自分の周りには、樹木が広がり、知らない森を形成している。
さらに、先程のオカラム達も見つからず、くさタイプのポケモンでさえも、見当たらない。
それはいささかおかしいのではないか?
ポケモンは、海に山に空に地上に、どこにだっているものだ。ゴミ廃棄場にダストダスやベトベトン、ゴストがいるように、墓や霊的何かを司るところに、ゲンガーやシャンデラなどがいるように、必ず適応するポケモンがいる。
それがすらもいないのは不自然だ。その様な状態になるのは…強い外敵から逃げるものでは無いのか?
そう考えるとしっくりくる。オカラム達があの場所居たのも、表層に居た弱いポケモンだけがあの場所に居たせいで、追い出すことすらままならなかった事も。
しかし、そこではたと思考が止まる。
眠っている私 いるであろう外敵外敵 弱い人間
私は駆けた。
死に物狂いで。方角もわからず。
でも、予想は当たっていた。背後から、重低音が響き、追ってくる。
ポケモンは、人間の良き隣人だ。しかし、調停者でもある。少なくとも、背後から追ってくる奴は。
ヤツは既に、金切り声に近い音程を出すほど興奮しているらしい。
思わず、手で耳を塞ぎたくなる。しかし、それすらも今の私にはしてはならない事だ。思い切り手を振り、フォームを維持する。
逃げ切る事を、日常に戻る事を信じて。
しかし現実は残酷だ
パチンッ
「ッ?」
走る度に空いていた足を戒めるかの様な痛みと衝撃が伝わる。
完全に不意をつかれた。
思わず足が絡まり、大地へ倒れ伏す。
何があったのか、それだけ見ようとして、
一つ知らなくていいとこを知る。
…まただ。オカラム。奴が此方へと蔓を伸ばしていた。嘲笑うかの様に胞子をふかした後、森へと消えていった。
何故ここにまだいるかはわからないが、少なくとも、コイツはトドメを刺しに来たみたいだ。確実に、仲間達が逃げられる様に。少しでもここへ釘付けにする様に。
…余りにも、絶望感にさらされるものだからか、不意に現実逃避してしまったな、現実を見よう。
凄まじい音を立てながら襲って来たこのポケモン。それは…
デモニケル。そうだ、生態系を整える悪魔だ。酷く残虐であり、連れて帰ったものを食い散らかす。
先程までの勢いはない。
しかし、恐怖心を煽るかの様に、ゆっくりとした歩みでこちらへ向かってくる。
爪が地面に引きずられる音を聞く度、死の足音が聞こえる。
そして、痛ぶるかの様に詰められた私に、手を挙げ、振り下r
ゴギャッ
ーーー
ヌラリ…
血が滴り落ちる。
鉤爪で襟首を掴み上げ、怪しげに開いた扉へと放り込む。
鋼色の悪魔は、一仕事終わったかの様にため息を吐き、森の奥へと帰っていった。
主人公の性別は?
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男性
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女性
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お前ら人間じゃねぇ!