扉から舞い込む新風   作:ケイオース

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3 はじまりのうみ

頭が痛い。吐き気もする。

自分のことがわからない。

ふわふわとした、浮遊感を感じる。わからない。

グルグルと、頭が回る。どれくらいかわからないけど、

 

…ああ、いやわからない。

 

 

そう思考が回っていると、いきなり重力に晒される。

 

 

 

どぽん

 

 

浮遊感は無くなったが、冷たさと質量を感じる。

 

 

閉じていた目を、水に押し上げられる。

うっすら開いたまなこには、マリアナ、ラブカス、ホエルコ、キバニア…、沢山のポケモン達が映る。

 

膨大な量の海のポケモン。その光景が、あまりにも美しくて。

息をほぅ、と吐いた。しかし、

空いた口から、気管支に、胃に、肺に水が入り込む。それでも私は…

 

 

 

この光景に溺れていた

 

 

 

 

 

そして、私は堕ちた。心も体も。

 

霞む視界に、別れを告げる。

 

そして

 

いしきが

 

おちた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うたごえが ひびいた きがした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

何者かが、私からうみを奪おうとしている。おちたわたしでも受け入れてくれたうみを。うみを出されている。

しかし、気持ちとは反対に、体は楽になってしまった。

息を吹く。息を吸う。呼吸が出来る。

細めた目から見える岩壁は眩しく、世界の美しさを教えているかの様だ。

 

 

 

ふと思う。普通ならば、ここで起きるのであろう。意思を持つ者は。

しかし、私にそんなものは無い。

思えば、あの日から休んでいなかった。だから一時休む。

そう決め、意識を沈める。

 

 

 

すると、私に合わせる様に綺麗な歌が流れる。

私を優しく揺らし、ゆっくり包む。

まるで子守唄の様な、あやす歌が流れる。

 

 

人間を溶かすかの様な、その歌を聴いていると、余計にねむくなり、

私は、目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

side???

海を悠々と泳ぐ。この、大いなる恵みの中を。

 

長い時をここで過ごす我々は、この海の構造を知り尽くしている。

 

だからこそ、情勢や、自分たちの立ち位置を把握して生きている。

そんなのだから、今日も退屈に一日が終わるのだろう。

 

 

そう思い、さっさと獲物を仕留めにかかることにした。

面倒な事を終わらせ、家に籠ることにしよう。

そう考え、ヒレを速く流動させる。

 

 

しかし、気持ちと裏腹に、獲物は見つからない。海藻を見れば、殆どがマリアナ。不味い上に、硬くて抵抗してくる。ハズレ。

 

魚ポケモンを見ればホエルコやキバニアなどの群ればっかり。

自分は群れていない為、そんな奴らに喧嘩を売れる訳も無く。

こんな時ばかりは、群れにいた方が良かったとぼやきながらもため息を吐く。

 

 

これ以上体力を使いたくない為、しょうがなく家路に着く。

 

家の備蓄が減るとぼやきながらもやはり獲物を見つけることに賭け、ふわふわと漂いながら帰ることにする。

 

そう決めたら、後は楽だ。対して遠くもない家に、漂いながら帰る。それだけだ。ほら、少しは刺激が欲しいだろう?

…って、誰に言っているのやら。

 

 

 

 

そう思いに浸っていると、おもむろに音が響く。

 

 

 

 

音が鳴ったところを向く。

しかしポケモンが塊になっていて、何なのかが分からない。

 

それでも、そちらへ向かって行く。

だって、ちょうどいい。

 

 

 

 

 

刺激が欲しかったんだ。

主人公の性別は?

  • 男性
  • 女性
  • お前ら人間じゃねぇ!
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