ばんえいレース
北海道帯広市に設けられている地方レース場、帯広レース場。
トゥインクル・シリーズのレースが開催される札幌レース場や函館レース場から遠く離れたこのレース場では『ばんえいレース』と呼ばれる、一風変わった方式でのレースが開催されている。
陸上のマラソンやトラックレースみたいにウマ娘達がその身1つでゴール目指してコースを駆け抜ける一般的な『フラットレース』やコース上に竹藪ハードルや水濠等が設けられた『ステープルレース』とは違い、このばんえいレースにおいてウマ娘達は、ナビゲーターと呼ばれる人間(ウマ娘が担っても問題無いが、トレーナーと同じく人間の方が向いているとされる)や大量の重量物を積載した金属製のそりを曳きながら、2つの山を思わせる台形型のセクションを有した直線200mのダートコースを突き進む。
このばんえいレースに出走するウマ娘は皆、世間一般においてウマ娘と言えばと聞かれて即座に思い浮かぶであろう『サラブ族』ではなく『バンバ族』と呼ばれる者達だ。
このバンバ族と呼ばれるウマ娘達は皆、某地上最強の称号を巡る闘いが織りなす格闘漫画に登場しても何の違和感も無い位に筋肉隆々な体躯をしている、世間ではメジロ家の筋肉娘、極限まで鍛え上げられたストイックウーマンと呼ばれているサラブ族のメジロライアンも、バンバ族のウマ娘達と比べれば細身でひ弱と言わざるを得ない程に。
そのパワーはマッシブな体躯に恥じない物であり、人間はおろかサラブ族のウマ娘でも微動だにしない程の重さを有するばんえいレース用そりを引っ張って行ける位で、嘗てはバ車*1を牽引したり物の運搬をしたり、果ては戦場で滅茶苦茶重い全身鎧を纏ったり大砲を持ち運んでそのまま砲撃したり等の力仕事に良く駆り出されていた。
ばんえいレースはそんなバンバ族ウマ娘達が、ナビゲーターからの細やかな指示、具体的には気温や湿度等の気候やバ場等のコンディション、競争相手のウマ娘達の現在位置等に基づいたペース配分の指示や激励の掛け声を背に受けてそりを引っ張り、誰よりも早くゴールを目指して前へと行くのである。
そんなばんえいレースだが、トゥインクル・シリーズどころかローカル・シリーズのフラットレースやステープルレースすら現在では開催していない*2帯広レース場で行われている為か、或いは速くても人間の小走りとそう変わらないスピードだったり休憩を挟んだりとレース展開がどうしても花形であるフラットレースと比べてパッとしない物になりがちな為か、注目度はトゥインクル・シリーズのレースと比べて低いと言わざるを得ない。
とはいえ山の前での休憩に関する駆け引きや2つ目の山の下りを利用した末脚、ナビゲーターによるウマ娘への指示等のフラットレースに無い要素が少なからずあったり、直線のセパレートコース故にブロック等によってウマ娘の実力が発揮出来ず負けるというフラットレース等にありがちな事態が発生しなかったりといった面に魅せられた熱狂的なファンも少なからず存在しており、帯広レース場でしか開催されていないばんえいレースが現在でもその命脈を保っている要因になっており*3、そんなファンの支持を集めるスターウマ娘もこれ迄に何人も誕生して来た。
「ペガサス行ったペガサスゥゥゥゥ!直線200mに、史上に残る力強い歩を刻んで、堂々、栄光のゴールを駆け抜けました!スーパーペガサスです!今年もペガサスの前に敵はいませんでした!」
「観客の皆さん!私がぁぁぁぁ、今年も来たぁぁぁぁ!」
スーパーペガサス。
光り輝く様な金髪と、173cmという大柄*4な体躯、アメリカンコミックの女性ヒーローの様なエキゾチックな顔立ちから外国生まれだと勘違いされがちだがれっきとした日本生まれ日本育ち*5である彼女、同世代にトゥインクル・シリーズで『世紀末覇王』と称される程の圧倒的実力を発揮するテイエムオペラオーや、気弱さ等が仇になって勝利こそ掴めないがそのオペラオーのライバルとして好勝負を見せるメイショウドトウ、そして連敗続きながらも勝利を諦めずひたむきにゴールを目指すド根性振りで高知ローカル・シリーズを大いに盛り上げるハルウララと、絶賛大活躍中のサラブ族ウマ娘達が全国区の知名度を誇る中で彼女もまた負けず劣らずの活躍を見せている。
今回出走したばんえいレースにおけるG1級重賞、その中でも最も歴史が長く権威のある、いわば『ばんえいの有マ記念』と言って良いレース『ばんえい記念』にて前人未到の3連覇が掛かる中でも一片の焦りを見せる事は無く堂々としたレース展開を見せつけた。
スタートから終始好位置につけながらも的確なペース配分を心がけ、2つ目の、そして最大の関門と言って良い山*6を突破した時点で先頭に立ったライバルのミサキスーパーをラスト数十mの直線で差した末に1位入線を果たした事で3連覇達成、名実共に『ばんえいレース史上最強』『ばんえいのスーパースター』の名を手にして見せたのだ。
そんなスーパーペガサスらが活躍するばんえいレース、現地へ赴くなり配信サイトを開くなりして是非見て行って欲しい。