ラスボス?いいえクソ雑魚幼女です~元社畜の異世界幼女生活~   作:二本目海老天マン

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03.ファンタジー世界で日本語が通じる訳無いんだよなあ

 

 

◆深い森の中……の更に深部にて

 

 

 

「お待ちしておりました。我らが王よ」

「ど、どうも……」

 

 

木霊達に連れられて、僕は彼らの"長"と対面していた。

 

 

 

――――――――――

名前:なし

性別:男

種族:ジャガーノート

クラス:森の長

レベル:20

ちから:150

すばやさ:200

かしこさ:60

うんのよさ:50

――――――――――

 

 

 

森の長ことジャガーノートさんである。

 

見た目は眼が6つ有る真っ黒いライオンといった感じだろうか。中々に邪悪な見た目をしているぜ。

 

そして、どこかのクソ雑魚ダークロードさんを秒で殺せそうなこの高ステータスの存在感よ。機嫌を損ねないように気を付けよう……

 

 

「貴方を我らの森に迎えられたこと。誇りに思います」

「きょ、恐縮です……」

 

 

木霊達に比べれば流暢だが、それでも少し片言な喋り方でジャガーノートさんが僕を歓迎してくれた。

 

僕はステータス画面を閉じると、ジャガーノートさんと正座で向き合う。

 

そういえば今更だが、ステータス画面は僕にしか見えていないようである。まあ木霊とジャガーノートさんの前でしかウインドウを開いていないので、もしかしたら人間には見えるのかもしれないが……

 

 

……そもそも、この世界って人間いるの?

 

 

何となく勝手にこの世界をテンプレなファンタジー世界だと想定していたが、こんな感じの獣だらけの世界という可能性だって十分にある。

 

 

「えっと、ジャガーノートさん。この辺りに人間……僕みたいな見た目の生き物が暮らしている場所ってありますか?」

「人間の集落でしたら、この森から少し離れた所に一つございます」

 

 

あっ、人間いるんだ。それも割と近い所に村か何かがあるらしい。

 

 

「あの、その集落に連れて行……」

「恐れながら、人間は木霊や獣を殺す危険な生き物です。迂闊に近づかない方がよろしいかと」

「……はい」

 

 

まあ、恐らく狩猟のことを言っているのだろう。

 

元人間としては、生きていく為の狩猟は仕方のない事だとは思うが、狩られる側としてはそういう認識になるのも当然か。

 

しかし、ジャガーノートさんも異世界情報に関してそこまで詳しい感じでは無いので、現地人とコンタクトを取りたかったのだが……ここで我儘を言ってジャガーノートさんの機嫌を損ねるのは避けたい。あの丸太の様なぶっとい前足で撫でられたら僕の身体は簡単に爆発四散するだろう。

 

 

「……あの、なんで僕を連れてきたんでしょうか?」

 

 

少し話が横道に逸れてしまったが、僕は本題を切り出した。

 

 

「王を護ることこそが我らの使命です。お傍に置いていただければと」

「はあ、そもそも"王"って何ですか?僕、そんな大層なものになった覚えは無いんですけど……」

「我ら霊なるもの達の頂点。四人の王の一人。闇を従えし絶対者。貴方が帰ってくるのを我らはずっと待っておりました」

「人違いです」

「違わない。王よ、我ら深き森の住人は貴方に命を捧げましょう」

 

 

うーん、微妙に意思疎通が出来ていない気がする。

 

 

「そう言われましても……というか、王って具体的に何をすればいいんですか?僕なんにも出来ませんよ?」

「王が存在する事こそが我らの至上の喜び。我らは全て王の御心のままに」

「……よく分からないけど、要するに別に何もしなくていいってこと?」

「王がそれを望むのであれば、我らは従いましょう」

 

 

なんてこった。社畜生活と現代社会から解脱したと思ったら、今度は異世界で幼女にされてニート生活の許可を得てしまったぞ。

 

 

「えー……それじゃあ今日は疲れたので、もう寝ます」

「御意。寝所へ御案内致します」

 

 

もう色々と脳味噌のキャパをオーバーしていた僕は全てを放り出して寝ることにした。

 

ジャガーノートさんの雄大な背に乗せられた僕は、なにやら巨大なキノコの上にコロリと転がされると、そのままスヤスヤと眠るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆一か月後、巨大キノコの上にて

 

 

 

前世での社畜生活の反動からか、僕は今日も巨大なキノコベッドの上でニート生活を満喫していた。

 

 

「おうさま。ごはんもってきた」

「んー、ありがとねー」

 

 

葉っぱの上に果物を乗せて持ってきた木霊達を雑に労うと、爽やかな朝日を浴びながら、ダラダラと寝転がって葡萄っぽい果物を口に入れる。甘くて美味しい。

 

食事のメニューが森で採れる果物一択なので、バリエーションが乏しいのは少しばかり不満ではあったが、そもそも精霊幼女の身体はあまり食事を必要としていないらしい。

 

以前、何となく三日間飲まず食わずで過ごしてみたこともあったが、特に身体が不調を訴えなかったので、食事はほぼ道楽でしかなかった。便利な身体だ。

 

娯楽らしい娯楽こそ無かったが、好きなだけ怠けてても誰にも咎められない生活というのは、疲れ切った元サラリーマンの心にとって、それはもう甘美な味わいであった。

 

朝から晩まで雲の動きを観察してるだけで御飯が運ばれてくるのだから、そりゃあ極限まで怠惰を突き詰めたくなるのも仕方あるまいよ。

 

 

「ふあ……散歩でもしよっかな」

 

 

僕はひょいっとキノコベッドから降りると、木霊達が森で拾ってきた靴を履いた。誰かの落とし物なのか、森で遭難した死体とかから剥いできたのかは怖いので確認していない。サイズは合っていないし、前世のスニーカーや革靴と比べると履き心地はあまり良くないが、裸足よりはマシなので我慢する。

 

 

「ハチ~、ポチ~。散歩に行くのでついて来てくださーい」

 

 

僕が森の奥に声をかけると、灰色の毛並みをした一対の狼が駆け付けた。

 

 

 

――――――――――

名前:ハチ

性別:男

種族:グレイウルフ

クラス:近衛兵

レベル:8

ちから:30

すばやさ:50

かしこさ:20

うんのよさ:20

――――――――――

 

 

 

――――――――――

名前:ポチ

性別:男

種族:グレイウルフ

クラス:近衛兵

レベル:7

ちから:40

すばやさ:30

かしこさ:15

うんのよさ:15

――――――――――

 

 

 

「王様。森の見回りか」

「護衛。任せろ」

「そんな大層なものじゃないですよ。ただの散歩です」

 

 

ジャガーノートさんが僕の護衛に付けてくれたグレイウルフと呼ばれる狼である。ジャガーノートさんのねぐら近くにあるキノコベッドから離れて何処か行く時は彼らと一緒に行動するようにと約束しているのだ。

 

 

「お~よしよし。今日もハチは素敵な毛並みですね~」

「わふ、王様。もっとして」

「ハチだけずるいぞ。王様こっちも撫でて」

 

 

散歩をしつつ、二匹の毛並みをモフって楽しむ。

 

当初はジャガーノートさんや木霊達と同じく名無しであった彼らだが、護衛という立場上、必然的に僕と一緒に過ごす事が多かったので愛着が湧いてしまい、勝手に名前を付けさせてもらった。"近衛兵"なるクラスは僕が命名時に彼らに付与されたのだが詳細は不明である。攻略wikiが欲しいぜ。

 

 

「王様。止まって」

「……ん?どうしました、ポチ?」

「何かいる」

「えっ?何かって……」

 

 

ハチとポチが僕を庇うように前へと踏み出す。

 

 

「ヴオオオオォォォオオオッ!!」

「っ!?」

 

 

ハチが目の前の茂みに向かって咆哮すると、草陰から悲鳴と共に小さな影がコロリと転がりだした。

 

 

「っ……!?」

「……女の子?」

 

 

姿を見せたのは、今の僕よりも恐らく2・3歳程度年上の少女だった。

 

 

「ハチ!ポチ!吠えるのやめっ!大丈夫だから!」

「王様。それ人間。近づいたら危ない」

「こんな小さい子供なら大丈夫です。……えーっと、大丈夫?迷子かな?僕の仲間が怖がらせてごめんね」

 

 

僕はハチとポチを後ろに下がらせると、怯えた様子の少女に優しく話しかけた。

 

 

「……ァ」

 

 

やがて、少女がゆっくりと唇を動かした。

 

 

 

 

 

「■■■■■■……」

 

「………………なんて?」

 

 

やべえぞ。何言ってるか全然分かんない。

 

 

 

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