あの夜の訪問の後、彼からの連絡により次の訪問は来週末となった。はずなのだが、その前日に彼からラインがあった。
“最近会社でもコロナが出ました。行かないほうがいいですか?”
うーん。確かになりたくはない。でも、彼に限って感染することはない気がする。コロナ蔓延以降、一切飲みにも行かず、もしものことを考えて家族を守る為に一人暮らしを始め、特定の人間のみと宅飲みをする。そして一挙手一投足の度にアルコール消毒をする徹底的ぶり。見ていてなかなかの神経質ぶりだった。
そもそも、この状況で約束を延期するとなれば、次に会えるのがいつになるのかもわからない。なら、いつかはとちらかが痺れを切らすに決まっている。そしてそれは私だろう。こういうことは流れに乗ってことを運ぶほうが楽しめる。つまり、今会うも延期するも同じだ。だいたい彼もそれはわかりきっているだろうに。
実に面白味のない問答だ。私は急に興が削がれてしまった。
“私は気にしてないよ。でも、もしものことを考えて気にするようなら辞めていいんだよ。来たいか来たくないかかなあ”
これで下手な駆け引きもなく、次の返事で一発で決まるでしょう。少しやり過ぎたかもしれないが、どのみち終わってももう会うこともない。
“じゃあ明日行きます”
うん。素直でよろしい。
翌日、素直に仕事終わりにやって来た彼を駅まで迎えにいき、近所のスーパーでおつまみと晩御飯を調達し、私達は並んでマンションに向かった。
お互いに、他愛のない話をするのは得意で話は弾む。
私は本音で話すことが苦手だけど、だからといって嘘を吐くことは嫌いだ。嘘を吐くくらいなら言わないという選択肢を取りたい。だから、この他愛ない話は心地がいい。
というわけで、どんどん酔いはまわっていく。が、初めての相手ということからか記憶だけはしっかりしている。
食事をし、酒を飲み、風呂に入りまた酒を飲み、ネットフリックスを漁り、私達の夜は他愛のないまま過ぎていく。
このままでは、私は寝落ちしてしまう。そこまできた。だが、彼からのアクションはない。少し考えてみたが致し方無い。私が彼の顔を3秒見つめると、彼がこちらを向く。
「もう眠たい」
「そんな顔してますね。可愛い」
うわ、今日初の甘いワードきた。
この酔いどれにそんなことを言えるとは、天然記念物レベルの奇特な子かもしれない。
私はニコニコしといて寝る準備を始める。いつも通り歯磨きの後に保湿リップを塗っていると、彼が僕もと屈んでくる。
だから、酔いどれには全部可愛いく見えるのよ!本当、あざといやつ!
とまあ、これで後はベッドに転がりんでお楽しみ。
二人でベッドに入ると、彼はそのまま押し倒しキスしてきた。そのキスはすぐに離れて、彼が見つめてくる。その表情は何故かとっても笑顔。キスが重なり、彼の手が私の体に触れる。私は数ヶ月ぶりの行為にだんだんボルテージが上がってくる。
こうなれば、あとは本能に任せてこの瞬間を楽しむだけ。私は目を閉じ快感の波を感じ、自分の中で何が高ぶるのを感じた。
「…そろそろ、いれて?」
もうあとはフィナーレしかない。私は彼の股関に手を這わせた。
が…。ん?柔らかい?およよ?
「お風呂でちゃんと洗った?」
「はい」
私は仕方なく彼のいちもつを口でしごいてみた。が、どうしたものか。一向に元気になる気配がない。
これは如何せんどうしたものか。
色々な考えが頭を過るが、第一に考慮すべきことはこの場のこの空気だ。
「今日は、ちょっと飲み過ぎたかな…」
え、君の若さでそんなことあるの?まだまだギンギンの時代じゃないの?
「そっか、仕方ないね。もう寝よー」
考えても仕方ない。今日のお楽しみはなくなった。寝るしかない。
「え、いいんですか?」
「朝頑張ってくれたらいいよ」
「…服は着なくていいんですか?」
「うん…。もう、眠たい…。面倒くさい…」
本当は事後、抱き締めて欲しいし腕枕とかも好きなんだけど、今日はそれよりも眠気が勝ってしまい、私は泥のように朝まで眠った。
今日の出来事を理解するのは明日。
こんな経験、あります?
こんなとき、どんな気持ちなんだろう
お互いに…笑
あと個人的には、ちゃんと洗ったかの確認がツボです。
明日は閑話休題です。