彼を可愛いと思うとき   作:延長戦

5 / 14
閑話休題:噂話

 

俺はいつも通りモンスターにストローをさして飲みながら、スマホのラインニュースを眺めて休憩を取っていた。

 

「チーフ、人事発令見ました?」

「あ、見たよ」

 

声をかけてきたのは1つ下の後輩。

 

「例の主任、噂ですとものすごく厳しい人らしいですね。私はろくに面識ないですが、チーフはご存知ですか?」

 

さっき流れてきた人事発令には俺も驚いていたところだった。正直、お世辞にも愛想が良いとは言いがたい人だが、それは置いといて流れてくる噂は悪いものではない。仕事に厳しいことも、とっつきにくいが俺だったら上手くやれるだろう。

 

「いや、俺も毎年ある営業部の新年会の二次会で1回だけ一緒に飲んだことあるけど、特に話したことないな。人数もそれなりにいたし。噂だと、結構数字に強いとか聞くけど。何、びびってるの?」

「あ、バレました?これから上手くやっていけるか不安で…。笑ってる顔見たことないですし、結構びびってます。とりあえず怒られないようだけはしたいなと」

 

どんな恐ろしい噂が流れているんだ。俺の同期は厳しいとは言ってたが頼りにしてたけどな。

 

「いや、流石に笑わないことはないと思うけど。ま、君のよいしょ具合ならなんとかなるだろ」

「いやいや、チーフにだけは言われたくないですわ」

 

係長と同期だし、ここではそんな恐い顔して働くこともないだろう。いざとなれば飲みに行って仲良くなればいい。酒好きって噂だし。

 

そう。全部噂話。

 

 

 

 

 

うーん。このタイミングで異動か。この前面接受けたばかりで返答はまだだし、次も決まってから辞めたいところだし、今回の辞令は受けよう。仕方がない。ま、覚悟さえあればすぐに辞められる。

にしても、あそこの係か…。上司は同期だし、数年前にも同じ係で勤務経験があるからやりやすいのは確実だけど、あの後輩は苦手だな。女の子のほうは面識が全くないのでわからないけれど、あっちはね…。見るからにパリピぶったデビュー野郎だし、全体的にダサいし、なのに物凄く自意識過剰っぽいし、何より胡麻すりさん。忘れられないのは、いつかの新年会二次会の次の日。食堂でたまたますれ違っただけなのに、呼び止められて大勢の前で

 

「昨日はありがとうございました!」

 

って頭下げられて恥ずかしかったなあ。まあまあ直角に腰が曲がってたよ。全然話してないし、同じ空間にいただけだし、お礼を言われるようなことは何もしてない。

そして、この件以外で彼と関わったことなんて1度もない。

はっきりいって苦手だ。嫌いではないが、好きにはなれないタイプだ。

 

私、やっていけるかなあ…。

 

 




上の話は主任の直属の後輩2人です。
俺が彼です。

下の話は主任さんです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。