私は呆気なく笑顔の彼の毒気に当てられ、異議を唱えることなく隣を歩く。私達はコンビニでカップワインを4つ購入し、桜の名所である公園を目指した。あれだけ日本酒を飲んだ後にワインで締めるとかほんと尋常じゃないですよね。どれだけ飲むのかって突っ込みは受け付けていません。
ここで桜は見たことないなあなんて話しながら公園に入ると、彼は左手の荷物を右手に持ち変えて私の手を握ってきた。お酒の影響もあり、私はそのまま受け入れた。
何を隠そう、私は酒癖が悪い。酒が入ってしまえば相手は誰でもいいといった節があり、ちゃんとしたお付き合いなんてのは、前回2ヶ月の同棲の末、交際1年半ぐらいでお別れした彼氏を最後に当分遠慮したいという気持ちで7、8ヵ月過ごしていた。勿論今もまだ欲しいとは思っていない。そういえば、私が彼氏と別れたって彼に言ったの今年の1月か2月だったような。…だからドライブに誘ってきたのか!そういえばその後日の残業で、聞きもしていないのに彼も最近彼女と別れたとか報告してきたな。あの時は興味もなく適当に相づち打っただけだったな。でも、どういうことだ…?駄目だ、酔っ払った脳味噌では考えがまとめられない。ただ一つ確かなことは、人肌が恋しい。鯔のつまりは、これに限るよ。
しばらく公園を歩いて、空いたベンチを見つけたのでそこでまた乾杯をした。桜は丁度見頃で、とても美しい。チョロチョロ歩いては写真を撮り、酒を飲んだ。掴めもしない桜の枝にジャンプしたり、酒が全てを手伝って、些細なことでも楽しく感じる。コロナでろくに飲みにも行けなくなってから、久しぶりに感じる刺激だった。
ベンチに座ったわたしを、彼が見下ろしてくる。そういえば、横に並んで歩いていると、意外と身長高かったなと思って見上げていると、彼の顔面がいつの間にか吐息を頬で感じるくらい近くにあり、彼が私の唇を狙っていることに気がついた。私は寸前で顔を反らしす。いや、人肌は恋しいから避ける必要ないのか。でも、なんとなく、彼は手を出すならちゃんとけじめをつけてからする人だと思っていた。だって、今目の前で気まずさに動揺して口元を手で隠して俯いている姿を見れば、遊び人というより、それを装っていただけのように見える。どうせなら、逃がさないくらいの勢いで来ればいいのに。
私はこの中途半端さに少しがっかりしてしまった。
ただ、目の前で俯く彼は可愛い。まっ、いっか。明日で私の職務は終わる。社内なんて絶対にご免だと思ってきたけど、今回はまあ、遊んであげよう。
私は立ち上がって彼の前へ行き、両手で彼の頬を包んでキスをした。
「これでいい?」
唇を離して問いかけると、彼の瞳がまっすぐ私を捕らえていた。彼はその問いかけ答えることなく、また口づけてきた。
一体、私は何をやっているんだ?
理性よどこへおわしますか?
これが人智を越えた何かの結末ですか?
この話、会話が無さすぎてびっくりしてます。