2作目を書いてみます。
今回は内容同様に実にゆっくりとした
更新になります。
気まぐれとまでは言いませんが
それに近いです。
でわ、始めましょう。
「アルベド、最近デミウルゴスを見かけないが?」
執務室で書類に目を通していたアインズは
対面で同じく書類を読んでいたアルベドに声を掛けた。
アルベドは老眼鏡を外しながら答える。
「どうも腰の具合が思わしくないらしく、溶岩風呂に浸かりっぱなしですわ。」
「効くのか?」
「何でも温めると楽だそうです。」
沈黙が流れる。
「セバスジュニアは?」
「新しいメイドの研修で走り回っております。」
「この新しいナザリックも少し広くし過ぎたかな?掃除1つとっても人手が掛かるからな。もう少し部屋を減らしても良かったンじゃないか?」
「何を仰います!維持費が掛かるからと前のナザリックを手放したのですよ?あの栄光あるナザリック地下大墳墓を…」
そう言ってアルベドはハンカチで目を押さえた。
「わ、わかった、わかった。なにも泣く事もないだろう…私が悪かった。」
「調度品などは引越せましたが、造形の復元は元通りには出来ませんでした。あの優雅にして重厚な佇まいが…」
そう言ってまた涙を拭う。
(ヤレヤレだな…。旧ナザリックの維持には膨大なユグドラシル金貨が必要だったのだ。色々と試してみたが金貨を製造する事はついに叶わなかった。俺だって辛かったさ、でも仕方なかったんだ。)
「ま、まぁなんだ。今のナザリックも高層化してこれはこれで快適じゃないか?そうは思わんか?」
ナザリック地下大墳墓は今は魔道国総督府として
地上50階建ての高層ビルになっていた。
ビルの周辺には広大な緑地が広がり、色とりどりの花が四季を通じて咲き乱れている。
「セバスジュニア様が御目通りを願い出ております。」
扉の脇に控えていた当番メイドが声をかける。
「なんだ?話を聞いていたかの様なタイミングだな。よし、通せ。」
扉が開き、精悍な顔つきの若者が入室する。
「セバスジュニア、入ります。」
「おお、よく来た。今、アルベドとお前の事を話していた所だ。どうだ?仕事の方は、順調か?」
「はい、その事なのですが…。今の三交代制を維持するにはもう少し増員が必要かと。」
「足らんのか?」
「最近は亜人種にも募集を掛けておりますが、どうも最近の若い娘は辛抱が足りません。少しキツく言うと直ぐに辞めてしまいます。」
お前だって若いだろう、と言い掛けてアインズは言葉を飲んだ。
セバスとツアレの子であるセバスジュニアは見た目は
青年だがそこは竜人の血を引く者、既に数百年を生きていた。
「お前の忠義からくる厳しさは分かるが、これも時代の流れと諦めて根気よく導いてやってくれぬか?なんなら夜間は人員を減らしても構わんぞ。」
「父にそう言って久しぶりに鉄拳を貰いました。」
そう言って照れながら頭をかいた。
「元気なのか?」
「おかげ様で。しかし最近は物忘れが。」
「ハハ、それは仕方ないぞ。竜人とて不死ではないのだ。数千年を生きていては歳も取ろう。ましてお前の親父は最初から老人だったのだからな。」
「恐れ入ります。」
「分かった。後で財政担当のパンドラズアクターと相談して予算を下す。それで良いか?」
「申し訳ございません。私の力不足で…」
「良い、良い。若い内は何事も勉強だ。そこから学び取って行けば良いのだ。なぁ?アルベド。」
「そうよ、ジュニア。アインズ様は永遠を生きるお方。今までもそうであった様に私たち僕は永遠の忠誠を捧げればそれで良いのよ。」
「それとあと一つだけ。」
「まだ何かあるのか?」
「エクレア様の事です。」
「まだ生きていたのか!?」
「それについてはナザリック七不思議でして…。兎に角そのエクレア様が最近徘徊が酷くなり困っております。」
「あの変はマスクの部下たちが居るだろう?あれらに面倒を見させれば良いじゃないか。」
するとアルベドが横から口を挟む。
「アインズ様、あの者たちは既に死に絶えましてございます。」
「………そうか、いや、そうだろうな。従来から居たメイドたちも皆死んでしまったのだ。あいつらだけが特別な訳は無いよな。いや、悪かったな全く気が付かなかった。」
「滅相もない。わざわざお耳に入れる様な事でも無いと判断しておりました、私の落ち度でございます。」
「ではこうしよう。シズに面倒を見させよ、シズはアレがお気に入りだ。嫌とは言わん筈だ。」
「プレアデスにその様な事をさせても良いので?」
「構わん。最早、安寧になったこの世界にプレアデスたちの出番は訪れんよ。それに他のプレアデスと違ってシズは歳を取らん、いずれは姉たちとの別れも来よう。その時に誰も居なくなるよりあんなのでも居た方がシズの為にもなる。」
「なんとお優しい…」
アルベドはまたもハンカチを取り出す。
(どうも最近のアルベドは涙脆くてかなわんな。)
「それだけか?もう無いのなら下がって良い。」
セバスジュニアは深くお辞儀をして退室する。
「先程のお話にも出たパンドラズアクターですが、あれも七不思議ですねアインズ様。」
アルベドはメイドを制して自らお茶を淹れる。
「日本茶か?」
「はい。新茶が取れたと産地から昨日届きましたので。」
「良い香りだ…。」
アインズは深く息を吸い新茶の香りを楽しむ。
「美味い。アルベドの淹れた茶は特別に美味いな。」
「もう何百年も挿れておりますからね。」
気の遠くなる年月を経てアインズは飲食が可能になる魔法を
自ら開発したのだ。
「あれは七不思議でも何でも無いんだ。奴はドッペルゲンガーだからな、若い時分の姿を模しているだけだ。実際は他の者の様にそれ相当に歳をとっておる。」
「左様でしたか。私はてっきりアインズ様の息子さんなので彼もまた歳を取らないのかと思っておりました。」
「…あー、その認識は一般的なのかな?」
「歳を取らない?」
「いや、そうじゃなくて…その…奴が私の息子って事だ。」
「…はい。アインズ様が創造されたのですからパンドラズアクターはアインズ様の息子だと認知されております。それが何か?」
「…ん…いや…何でも無い。忘れてくれ。」
「…はぁ。」
「しかし今日も平和だな。」
「それはもうアインズ様の統治があってこその平和ですわ。無用な争いも無くなり、そのエネルギーを繁栄に全力投入出来るのですから。貴族制も廃止され人間も亜人も知的生物は皆平等。生活が潤えば文化も栄え、異種混合に寄る新たな種も産まれ可能性は広がっております。」
「長かったな。」
「でも、あっという間でもございました。」
「今では守護者たちも一部を除いて皆一線を退いた。中には今のジュニアの様に代を継いだ者も居るがな。」
「代と言えば、ラナーが来月出産でございます。」
「またか?!確かついこの間そんな事を言って無かったか?」
「あれも人間ではございませんので妊娠期間も短いのです。それに…。」
「クライム…か?」
「毎晩。下手をすると日中でも…。」
「よく飽きないな。何百年も、だぞ?」
「それについては何とも…。」
「それで子育てはお前の姉とペストーニャに丸投げだろう?いくは2人が文句を言わないからと言ってもなぁ。」
「赤子は姉さんが、少し大きくなるとペスが、とローテーション化していると聞き及んでおります。」
「平和と捉えて構わないのか?」
「忠義、忠誠に関しては両親共に筋金入りですから、その子たちも血を受け継いでおります。更に姉さんとペスからの念の入った教育もありますし、今やアインズ様の召喚されたデスナイトたちに代わりナザリックの主力軍団です。」
「…そうなのか。最近は召喚依頼が無いので平和になった証だと思っていた。」
「いえいえ。平和になったと言えど、それはそれ、反乱分子が絶える事が無いのは世の常でございますよ。」
「そうだな。本当の楽園みたいなのは夢物語だからな。現実はそうは上手く行かん。」
2人は静かに頷き合い、湯呑みの茶を啜った。
如何でしたか?
こんなのもアリかもな、と思って頂ければ幸いです。
じゃあ、またお会いしましょう。
ありがとうございました。