時は流れて。   作:すごろく

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女子比率が圧倒的に高いナザリック。
そんな中から今回は人気者の2人が出会います。

でわ、お楽しみください。



女子会。

「おや?そこを行くのはルプスレギナでありんすかえ?」

ネイルサロンからの帰り道だったシャルティアは

角を曲りかけた人影に声を掛けた。

「これはシャルティア様、珍しい所でお目にかかりましたね。」

人懐っこい笑顔と共に声の主は振り返った。

「わたしは週に一度はこのビューティフロアに来ておりんすよ。それより主の方こそ…。」

「わたしは…そのぉ…巡回警備…デス。」

「そんな事は…。」

と言い掛けてシャルティアは言葉を飲み込んだ。

そんな事は下の者に任せれば良いじゃないか、と言おうとしたのだ。

(やる事が無いんでありんすね…まぁ、わたしとて同じ事でありんすが。)

「そうでありんしたか。お勤めご苦労でありんすね。」

シャルティアはニッコリ笑って同僚の労を労った。

「シャルティア様は美容院ですか?」

「どうしんした?いつもの口調で良いでありんすよ?」

「…しかし。」

「主もわたしも、そうあれ、と生まれたのですから。何も恥じる事も遠慮する事もありんせん。」

「そう…。そうっスよね!」

「誰かに何か言われたのでありんすか?」

「いえ、そう言うんじゃなくて。その…もういい歳だから

口調も落ち着かないといけないかな?なんて考えたっス。」

「昔から主は変に真面目な所がありんからねぇ。まぁここで立ち話もナンですから、部屋でお茶でもどうでありんすか?

それとも巡回がまだありんすの?」

「え?お部屋に行ってもイイんスか?実は…巡回は…。」

言いかけるルプスレギナを制してシャルティアはニッコリ頷く。

「皆まで言わなくても分かってるでありんす。丁度、良い紅茶が手に入ったので相手を探していたんでありんすよ。だから遠慮は無用でありんす。」

「シャルティア…さ…ま。」

「あぁ、どうも最近のナザリックは泣き虫さんが増えている様でありんすね。さぁさ、行くでありんすよ?」

 

シャルティアの部屋はかつての内装とは一変していた。

巧みに日光を遮っているが暗くなく、モダンなインテリアで寧ろ部屋は明るく感じられた。

「何処でも好きな所へ座ってくんなまし、今お茶の用意をさせんすから。」

そう言って愛妾のヴァンパイアプライドに目で指示を出す。

「…随分と雰囲気が変わったっスね。」

「ああ、引っ越してからは初めてでありんしたか。そうでありんす。折角ですから気分一新でありんす。」

「プレアデスの控え室も広くなったンスけど。誰もその辺に興味がなくて殺風景っス。」

シャルティアはプレアデスのメンバーを思い起こす。

「…そうで、ありんすねぇ。ユリは掃除好きだけどインテリア自体には無頓着だし、ナーベラルやソリュシャンからもその手の話は聞いた事ありんせん。シズとエントマは論外。」

「そーなんスよ。かと言って私もそっち方面は…。」

「フフ、それは仕方ないと言えば仕方ないでありんすよ。主らは戦闘メイド。御方の盾でありんすから。」

「そんなもんスかねぇ。」

「そんなもんス、でありんす。」

そう言って2人は声を出して笑った。

タイミング良くワゴンでお茶が運ばれる。

「大丈夫。スプーンは銀製ではありんせん。」

「あざっス。」

部屋に良い香りが漂う。

 

2人は取り留めのない昔話に花を咲かせた。

「シャルティア様はイイっスね。」

突然ルプスレギナはボソリと呟いた。

「藪から棒にナンでありんす?」

「だっていつまでも変わらずお美しいし。これからもずっと変わらないし。アインズ様とも何時迄も一緒に居られるし…。」

そこまで言うとルプスレギナの瞳に涙が溢れた。

「ったく…困った子でありんすね。ルプスレギナ、いえ、ルプー。良く聞きなんし。言う様にわたしは歳は取りんせん。だからアインズ様のお側にいつまでもお仕え出来んす。でも、同時にそれは仲間を送る事もしなくてはならない、と言う事でありんすよ?」

ルプスレギナは流れる涙も拭わずシャルティアの話を聞き入る。

「この世界へ来てすぐの事を覚えておりんしょう?わたしの失態からアインズ様へ多大なるご迷惑をかけたあの事件でありんす。後で聞いた事でありんすが、わたしが死んだ事でどれほどの悲しみを皆に味合わせてしまったか。勿論、アインズ様にもでありんす。わたしとの戦いの前のアインズ様の決心もアルベドから聞きんした。ナザリックの仲間は家族でありんす。家族の死はそれはそれは堪え難いもんでありんすよ?」

ハッとルプスレギナは顔を上げる。

「わかりんしたか?アインズ様とわたしは皆を送らねばならないんでありんす。その役目をアインズ様お一人には。それが残された唯一のわたしのお役目と心得ているでありんす。」

「…そこまでのお覚悟を。」

「当然でありんす。シャルティア・ブラッド・フォールンは偉大なるナザリックの階層守護者、でありんすから。」

そこには、ポンコツと言われた守護者の姿はなかった。

真っ直ぐにルプスレギナを見つめる赤い瞳は

その決意をしっかりと表していた。

 

「さぁさ、お茶が冷めてしまいんしたよ。新しいのを淹れんしょう。それで最近の姉妹たちはどうしているでありんす?その辺にの話も聞かせてくんなまし。」

ガラリと雰囲気を変えシャルティアはルプスレギナへ

話題を振る。

ルプスレギナは涙を拭き、いつもの笑顔を浮かべ

身振り手振りを交え姉妹のエピソードを

面白おかしく話だした。

 

2人だけの女子会は夜更けまで続いた。

 

 




時の流れは人を変化させます。

明るさがウリのルプスレギナが妙に湿っぽくなったり
ポンコツだったシャルティアが妙にオトナになったり。

じゃあまた、お会いしましょう。

ありがとうございました。
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