さて、このお話もそろそろ終わりに近づいてきました。
タイトル通り。
今回はアウラとマーレが登場します。
じゃあ、後ほど。
「姉貴?俺。」
「あら、マーレちゃん。どしたの?」
弟からのメーセージにアウラは編み物の手を止める。
「ちゃん付けは止めてくれって言ってンだろ。ったく…小さい時は呼び捨てにしてたクセになんで今になって"ちゃん"なんだよ。」
「いーじゃない。可愛い弟なんだから…。それより何か用があったんじゃないの?ハリケーン被害の視察は終わったの?」
マーレはローブル地方を直撃した大型ハリケーンの被害状況を調べに来ていた。
世の中が平和になってもそれは人々や亜人間の争いが無くなっただけで自然災害は起こっていた。
アインズも敢えて魔法による自然操作を禁じていた。
しかし復興に使うマーレの自然操作魔法は別で、
それはナザリックの威光を再確認させる意味でも有効であった。
「おお。とりあえず水を被った田畑は修復しといた。港関係は事前の対策が良かったので被害は最小に抑えられてる。」
「そう。なら良かったじゃない。でもそれなら報告は帰ってからでも良かったんじゃない?」
「ちげーんだよ。シャルティアは居るか?ちょっと頼みたい事があんだよ。」
「珍しい…。良いわよ、一旦切るから少し待ってて。」
アウラはマーレとの通信を切ってシャルティアへ繋ぐ。
「おや、アウラ?何用でありんす?」
「今良い?出張先のマーレが何か頼みたい事があるみたいなの。部屋まで来てくれない?」
「…マーレが?珍しいでありんすね。わかりんした。丁度湯浴みも終わってエステに行こうとしてただけでありんすから、直ぐに行くでありんす。」
「アンタまたお風呂?一体1日に何回入るのよ?ふやけちゃうわよ?」
「大きなお世話でありんす。じゃあ切るでありんすよ!」
「ホント!一日中お風呂に入ってんじゃないかしら…。あ!マーレ?アタシ。うん、今こっちへ来るって。来たらまた連絡する、じゃーねー。」
アウラはテーブルの上を片付けて始め、メイドにお茶の用意を頼んだ。
そしてもう1人のメイドへ言付けを頼む。
「あのね、アインズ様へマーレから連絡があった事をお伝えして。そう、何も問題はなく処理出来たってね。詳しい報告は本人が帰り次第、お伺いいたしますって。シャルティアの事?そう…ね、まだ言わなくて良いわ。何の用か分からないから、それはアタシから直接お伝えする。じゃあ宜しくね。」
高齢化が進むナザリックで働き盛りの双子の闇エルフ姉弟は
全てを仕切っていた。
姉弟共に聡明だったのでその対応にはアインズやアルベド、デミウルゴスも全幅の信頼を寄せていた。
(それにしてもあの子の口がドンドン乱暴になって行くわね。アインズ様は男なんだから気にするなって仰ってたけど…。)
成長するに従って姉は女らしく、弟は男らしく変わっていた。
今回ばかりでなく、何かあればマーレが現地へ飛び、アウラが本部で手配をする。見事な連携だった。
「シャルティア様がお見えになりました。」
メイドから声がかかる。
アウラは目で入れる様に指示する。
「相変わらず殺風景な部屋でありんすねー。アロマぐらい炊いたらどうでありんすか?」
そう言いながらソファーへ腰掛ける。
「煩いわねぇ、ああいうのはあの子が嫌がるのよ。鼻がムズムズするって。」
「ヌシも変わったでありんすね。以前ならマーレにそんな事は言わせなかったに…。」
「仕方ないじゃない。元から腕力はあったのが最近は特に強くなっちゃって筋肉だって凄いし…。」
「そうなのでありんすか?妾は筋骨隆々はどうも…やっぱりアインズ様のように。」
「まだそんな事言ってんの?懲りないわねぇ。それよりホラ、これでマーレと話して。」
アウラは首からドングリの形をしたネックレスを外しシャルティアへ渡す。
「ああ、マーレでありんすか?…ふんふん、なるほど。それで?どれぐらい要るでありんす?ああ、その程度で良いんでありんすか。ん?ええ、何の問題もありんせん。じゃあ後程。」
通信を終えネックレスをアウラへ返す。
「なんだって?」
「ざっくりとした話でありんすが、現地で大層感謝されて土産をどっさり渡されたんで取りに来て欲しいそうでありんす。それでゲートを開いて欲しいそうでありんす。」
「なるほどね。それでアンタか。じゃあさ、直ぐ行くの?」
「料理長も連れて来てくれって事でありんしたから、食堂へ行って連れて行くでありんす。」
「そう。なんか面倒頼んじゃってごめんね。」
「なんのこれしきでありんすよ。マーレの話では珍しい食材もあるそうなので、帰ったらパーティーをしようって言ってありんした。」
「そんな事まで!?」
「あれであの子も気をつかっているでありんすよ?近頃は皆で集まる機会も無くなりんしたからねぇ。」
「そっかぁ…うん、そうだよね。分かった。じゃあアタシはアインズ様へ頼んでみる!」
「それは良いでありんす。じゃ、行くでありんす。」
「なんか面白くなってきた!」
2人はハイタッチで別れた。
「アインズ様。アウラ様が御目通りを願っておられます。」
部屋付きのメイドが告げる。
「ヨシ、通せ。」
「アインズ様。マーレより連絡がありましたのでそのご報告と…。」
「そうか!どうだ?問題なかったか?」
「ハイ!現地でもとても喜ばれたと…それで…そのぉ…。」
「どうしたのアウラ?御前よ。ハッキリと言いなさい。」
「アルベド。そう急かすな。どうしたアウラらしく無いぞ。言うてみよ。」
「はい…現地からドッサリ土産を貰ったそうで。今シャルティアがゲートで迎えに行ってます。」
「ほう…シャルティアが。それで?」
「ま、、マーレが、そのぉ、その食材でパーティーがしたいと…。」
「許可する。」
「へ?」
「だから、許すと言ったのだ。」
「あ、アインズ様。」
「皆も呼んでヤルんだろ?久しぶりだ。段取りはアルベドと相談してやりなさい。私からは以上だ。アルベド、相談に乗ってやりなさい。派手じゃなくて構わん。皆でテーブルを囲もう。」
「ハイっ!承知したしたましたっ!アウラ、良かったわね!」
「エグ、エグ…」
「ほらほらもう子供じゃないんだから泣くな。」
アインズはハンカチを出してアウラの涙を拭いてやる。
何百年経とうがこう云う時の対処法は
全く上手くなっていなかった、目でアルベドに合図を送る。
アルベドは黙って頷きアウラを別室に誘った。
(確かマーレにも泣かれた事があったな。)
アインズは遥か昔を昨日のことの様に思い出した。
お疲れ様でした。
オチが見えてしまいましたね。
まぁ、最初からドンデン返しがある話ではないので
問題ないでしょう。
ただ、今の心配は上手くまとめられるか、です。
では、またお会いしましょう。
ありがとうございました。