鈴木悟という名でうだつの上がらない人生を送り
モモンガという名で仮想世界に楽しみを見出した。
そして
アインズ魔導王として数百年の永き時を"生きた"。
楽しかったな。
そう呟く。心から呟く。
会場に集う"友"たち。
皆、満面の笑みを浮かべ歓声を上げている。
"子供たち"は成長し"大人"になった。
残されたと思っていた男は残されては居なかった。
社会の歯車だった男は世界の中心になった。
アルベド、シャルティア、アウラ、マーレ
コキュートス、デミウルゴス
セバスにプレアデス
愛すべき子供たち
愛すべき仲間たち
いつかは別れが来るだろう
永遠などはあり得ない
そう
不死は永遠ではないのだ
始まりがあれば必ず終わりはやって来る。
だが、それがどうだと言うのだ?
新たな「始まり」を得るかも知れないではないか
終わったらまた始めれば良い
「さあ!杯を持て!未来へ乾杯だっ!」
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痩せこけた男の手を取った医者は、側の女に告げた。
「0時丁度。ご臨終です。」
重なる過度な労働と長時間プレイの脳への負担は
1人の若者を冥府へ旅立たせた。
「モモンガさん!だから、、、だから、程々にしなきゃダメだって言ったじゃない!」
「・・・・・姉ちゃん」
「ヘロヘロさんから様子が少し変だったってメール貰って俺が来た時にはもう顔が真っ青でさ」
「まさか1人であの拠点を何年も保守していたなんて」
「ギルマスらしい、、、よな」
「相当、仕事もキツかったんだろ?」
「もたないって。朝早くから仕事でクタクタになって帰って連日のプレイじゃあ」
「でもアソコが、アソコだけが、唯一生きてるって気がするっていつか言ってた」
「・・・・・悲しいよ・・・・・」
「モモンガさんにとって生きてるって何だったんだろう」
「この糞な社会でのたうつんじゃなくて」
「仮想世界で生き生きと冒険する?」
「そんなの!そんな訳あるはず無いじゃない!あれは夢物語、ゲームなの!作られた世界なの!」
「じゃあ姉貴は今の社会は"作られた"世界じゃないって?」
「そ、それは、、、」
「完全に見えている将来。搾取する側とされる側。産まれたと同時に約束された死。」
「・・・だけど。俺たちはそんなリアルを選択した、だよな?それで良かったのかな?」
「ナニを言って、、、。え!?」
そこには心底楽しそうな、そして満足そうに微笑む男の死顔があった。
「俺たちがまた集まったから、かな?」
皆は互いの顔を見つめ合う。
そしてサービス終了を告げるモニターへ目をやる。
すると画面が突然切り替わった。
そして、我が目を疑った。
モモンガ:「さぁ!また一緒にやりましょうよ!」
ーーーーー完ーーーーー