ネプテューヌ短編まとめ   作:よっしー希少種

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いつかのワンライで書いたやつです


変わらない日々【ブラン】

「ふぅ……今日の分は終わりね」

 

 座ったまま伸びをする。今日の分の書類仕事は全て終わらせることが出来た。時計を見ると、夕飯までしばらく時間があることが分かる。こうなれば、ブランがやることは一つである。

 自室に戻り、本棚の中から一冊の本を取り出す。小説だ。クッションの上に座り、栞が挟まっている頁を開いた。ブランは、一人で読書をするこの時間が好きだ。本の中の話に集中することができる上に、本を読むことで気持ちが落ち着く。夕暮れ時のオレンジの光が差し込む部屋の中には、頁をめくる音だけが響いていた。

 

「……」

 

 

 

 ふと、ブランの頭の中にある記憶が蘇ってきた。それは、今と同じ夕暮れ時の静かな時間、同じように読書していた時のことだ……。

 

「ねーブランー。読書してないで遊ぼうよ〜」

 

 その日はネプテューヌが(勝手に)遊びに来ていた。読書の邪魔をされて煩わしく感じていたが、追い返そうとしても面倒な事になると思ったため、そのまま部屋に入れている。

 

「今はその気にはなれないわ」

「えー。せっかく遊びに来たのに」

「勝手にね……」

 

 退屈したのか、ネプテューヌはブランの隣に座り、本を覗き込んだ。しばらく目を通した後、つまらなそうな目でブランを見た。

 

「面白いの?」

「面白いわよ。途中から読んだから面白くないと思うんじゃない?」

「うーん、どれだけストーリーが面白くても、文字を眺めるだけってのはわたしは苦手だなぁ」

「そう……」

「……あれ? 終わり?」

「え?」

「そこはなんか……魅力を教えたりするんじゃないの?」

「そんなことはしないわよ」

 

 ブランは本に栞を挟み、テーブルの上に置いた。

 

「私は好きで読書しているからね。文字を眺めるのが苦手なネプテューヌに強要したりはしないわ」

「へー。ブランって自分の好きな事には全力で誘い込むタイプだと思ってたよ」

「趣味が合うならそうするけど……」

「私とは合わないって言うの!?」

「そうじゃなくて……それぞれ好き嫌いがある訳だから、嫌いを強要するのはその人にとって一番苦なことだからやらないだけよ」

「……以外と優しいんだね」

「以外と、は余計よ」

 

 そんな話をしていると、部屋のドアがノックされた。そして向こうから電話を持ったフィナンシェが現れる。

 

「おくつろぎのところすみません、ブランさまにお電話です」

「どこから?」

「プラネテューヌの教会からです」

「ねぷっ!? きっといーすんだよ! わたしを連れ戻すつもりだよ」

「なら好都合ね。また読書に集中できる……」

「ちょっとブラン!? 見捨てないでよ!」

「そもそも仕事ほっぽって遊び歩いてるあなたが悪いんでしょ。自業自得よ」

 

 ブランは電話を受け取り、ネプテューヌが居ることを伝えた。イストワールが迎えに来るまで、逃げようとするネプテューヌの服を掴んで拘束しながら待っていた。

 

 

 

「……あの時間も悪くはなかったわね」

 

 普段静かなこの時間を賑やかに過ごすというのも悪くない、そう思えたからだ。

 

 

 いくら時間が経っただろうか、三十分? 一時間? 読書に集中していると、時間の流れがわからなくなる。日が落ちてきて、さっきより部屋の中が少し暗くなる。この時間になると、ブランの集中を切らす存在が現れる。静かな空間に響く足音。段々と部屋の前に近付いてきて

 

「ただいまー!」

 

 バンッ! と勢いよく開けられたドアの音と共に、元気な声が聞こえてくる。他国の女神候補生達と一緒にクエストに行っていたロムとラムが帰ってきたのだ。

 

「ラムちゃん、まだ手洗ってないよ……」

 

 後ろからロムが声をかける。が、構わずラムはブランの傍に行った。ブランは本に栞を挟み、テーブルの上に置いた。

 

「ラム、帰ってきたらまずは手を洗って……」

「その前にお話したいの! あのね、今日ね……」

 

 余程良い事があったのか、ラムは興奮気味に今日の出来事を話した。ブランはこの時間も好きだ。ロムとラムの元気な姿を見ると、なんだか嬉しくなってくる。

 

「……って事があったの!」

「そう、それは良かったわね」

 

 ブランは優しく微笑んでラムの頭を撫でた。

 

「でね! 後はね……」

「後はご飯の時に聞くわ。そろそろご飯の時間だから、早く手を洗って来なさい」

「はーい! 行こ、ロムちゃん!」

「うん!」

 

 二人が部屋を出るのを見送り、そして本を持って立ち上がった。本を本棚に戻し、いつもの白いコートを羽織って部屋を出た。今夜は二人からどんな話を聞けるのか、それも楽しみにしながら食堂へ向かった。

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