ネプテューヌ短編まとめ   作:よっしー希少種

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初めてワンライで書いたやつです


友人を迎えに 【アイエフ】

 プラネテューヌのギルドの前、アイエフは携帯電話を耳に当てながらイライラした様子で立っている。

 

「出ない……もう五回はかけてるのに」

 

 通話を切り、携帯電話をしまうと、小さくため息をついた。

 

「……迎えに行くか」

 

 行き先はプラネテューヌの教会。アイエフは小走りで向かった。

 

 

 教会内、ネプテューヌの部屋の前。

 

「ネプ子ー? 居るー?」

 

 ドアをノックしながら声をかける。返事は返ってこない。

 

「ネプ子ー? ネープー子ー!?」

 

 やっぱり返事は返ってこない。部屋に入ろうと、ドアノブを軽く回すと、鍵がかかっていない事がわかった。アイエフはゆっくり扉を開けながら、部屋の中を覗いた。

 

「ネプ子、居……た」

 

 ネプテューヌはソファの上で寝ていた。

 

「寝てる……嘘でしょ」

 

 アイエフは部屋に入ってネプテューヌに近付いた。

 

「ネプ子、起きて。起きなさい」

 

 全く起きる気配がない。幸せそうな顔をして寝ている。見ると、手にはコントローラーが握られている。テレビには高難易度で有名なゲームが映されていた。

 

(なるほど、徹夜で攻略しようとして力尽きた……ってとこかしら?)

 

 アイエフはちょうど一人分空いてるスペースに座った。傍に寄っても起きる気配無し。眠りは深いようだ。

 

「はぁ……一緒にクエスト行くって約束したのに……。普通前日に徹夜でゲームする?」

 

 アイエフは愚痴をこぼしながら暗い部屋の中でネプテューヌを眺めていた。

 

(こうなったら起きないだろうなぁ……いいや、別の日にしよ。……その時はネプ子に何か奢ってもらおう。コンパの分も)

 

 アイエフはなんとなく、ネプテューヌの頬をつついてみた。柔らかい。なんだか歳下の子の面倒を見ている気分になる。相手は女神だが。

 アイエフは立ち上がると、部屋のカーテンを開けた。昼の暖かな陽の光が射し込んでくる。そしてベッドの上にあったタオルケットをネプテューヌにかけると、ネプテューヌの持っていたコントローラーを手に取った。

 

(どうせ帰ってもやること無いし、ネプ子が起きる前に攻略しちゃお)

 

 アイエフは操作方法を一通り確認すると、攻略を始めた。と言っても、このゲームは所謂死にゲー。ボスに向かう道ですら余裕で死ねる。

 

「何よこれ。なんで頭しか装備してないのよ。…………なるほど、他を装備すると重くなって回避の性能が落ちるのね」

 

 十分後……

 

「うわ……そんなのあり? いや、覚えたわ。二度は引っかからない」

 

 三十分後……

 

「ここはパリィで……よしよし」

 

 一時間後……

 

「やっとボスにたどり着いたのに瞬殺……。道中だって楽じゃないのに」

 

 一時間半後……

 

「半分削ったら行動パターンが変わるのね。初見殺しすぎるわ……」

 

 二時間後……

 

「後少し……二、三発で……」

 

 アイエフが操作するキャラはボスの攻撃を回避し、攻撃が終わったタイミングで大剣で攻撃した。

 

「よし……焦らない焦らない……」

 

 そして遂に……

 

「……よしっ!」

 

 アイエフは遂にボスを倒し、ステージをクリアすることが出来た。

 

「はぁー……疲れた。でも面白かった」

「ん……アイちゃん?」

 

 横から声が聞こえる。どうやら、ネプテューヌが目を覚ましたようだ。

 

「起きた? おはよう、ネプ子」

「おはよう……? なんでアイちゃんが私の部屋に居るの? それに、私タオルケットかけて寝たっけ? ……あぁーー!」

 

 ネプテューヌはテレビの画面を指さした。

 

「私が昨日倒せなかった墓石王ミト倒されてるじゃん! まさか……アイちゃんが!?」

「えぇ。かなりやりごたえあったわ」

「ちょっとー! 人に無断でゲーム進めるなんて酷いよ!」

「そお? 約束すっぽかすより全然マシだと思うけど?」

 

 アイエフは嫌味っぽく言った。ネプテューヌはハッとした顔でカレンダーと時計を交互に見た後、アイエフの顔を見る。

 

「……今日だっけ?」

「今日です」

「えーっと……その、ごめん」

「別にいいわよ。また違う日に行けばいいし」

「本当にごめん……明日だと思ってた」

「次行く時は何か甘い物でも奢ってね。コンパの分も」

「えぇー!? ゲームしたんだしさ、それでチャラにしない?」

「しない」

「そこをなんとか!」

「ならない」

「そんなぁー……酷いよアイちゃん……」

 

 ネプテューヌはガックリと項垂れていかにも落ち込んだ様子を見せた。

 こういうやり取りができるのも、二人が親友であるからこそ……なのかもしれない。


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