こいつのセリフどれだけ探してもヴィランみたいなセリフしかありませんでした。ヴィランだからそりゃそうだけどね
第1回戦の休憩時間が終わり、最終種目の第2回戦が始まった。第2回戦の第1試合はあのエンデヴァーの息子である轟焦凍と第1種目第2種目ともに好成績の緑谷出久。結果は轟焦凍がまさかの今まで使わなかった左の炎を解放して戦闘。緑谷の場外負けとなった。
おおよそ生徒が出しうる威力では無い個性のぶつかり合いで緑谷がボロボロになった事を除けば最高の試合だったと言えるだろう。
そして次の試合。上鳴電気を完封して瞬殺したB組の塩崎茨とインゲニウムの弟を瞬殺した不思議な個性を持つ連出堕苑葛の試合である。
《さァー次の試合だ! B組からの刺客じゃなかった…えっーと綺麗な薔薇には刺がある! B組塩崎茨VSマジでビックリ箱! A組の連出堕苑k______ッ!?》
瞬間、プレゼント・マイクは言葉が詰まった。
隣に居る相澤消太ことイレイザーヘッドも気だるそうな表情から一気になにか強く警戒するような表情となった。
自分の息子の活躍をわざわざ見に来たNo.2プロヒーローのエンデヴァーもただならぬ気配に思わず興味の無い試合なのに選手入場の方を見た。
あのNo.1プロヒーローのオールマイトもその真の姿であるトゥルーフォルムで少し不安を感じる表情をしていた。
ここから遥か離れた九州では休憩時間がてらにスマホで雄英体育祭を観ていたNo.3ヒーロー。ホークスは少し笑みを浮かべた。
更生しがいのあるヒーローの雛鳥を探していたプロヒーローのベストジーニストとギャングオルカは自身の事務所のテレビ越しに顔を少し顰めた。
街を跳びまわる女性プロヒーロー。ミルコは普段あまり興味は無いのに、街中の大きなモニターで中継されている雄英体育祭を思わず観てしまった。
会場の外回りをしていたシンリンカムイ、デステゴロも思わず会場の方を見つめた。
会場内の科問わず全生徒、歴の長さを問わずプロヒーローは全員。震えた。
闘技場の審判とストッパーの役割のミッドナイト、セメントスは連出堕が入ってくる選手入場口を見つめた。
塩崎茨も自身の向かい側にある選手入場口を不安げな表情で見つめた。
来る。
皆、そう思った。
来た。
皆、そう思った。
話には聞いていた者、噂には聞いていた者、何も知らない者。全てがその存在に…様々な負の感情を抱いた。ただ…皆1つだけ共通してとある確信が頭によぎっていた。
あれは…ヴィランであると。
現れたのは高身長の存在。
性別は…分からない。そもそも映ったのは人間ではなかった。
骸骨、スケルトン…いや良く見るとただのスリムなロボットであった。
赤いバンダナや赤いマフラー、そして腕や脚には赤いカラーが入っている。赤にそんなイメージを抱いていた訳でも無いのに、何故か返り血を予感させる色だった。
放つオーラはヴィランそのもの、A組はUSJで感じた死柄木弔から感じたあの明確な悪意に匹敵すると感じた。
事実、彼は…この存在は。
ヒーロー殺しステイン、血狂いマスキュラー、死刑囚ムーンフィッシュ、ヴィラン連合死柄木弔。それらに匹敵する悪意の持ち主であった。
「……レヴナント…」
相澤がそう呟いた。
連出堕苑葛が持つ人格の中で最も危険な人格。快楽でも無く趣味でも無く、ただただ無意味に人を殺す。ただ視界に入ったから殺した。人に対する殺害意識は人間が蚊や蟻に対する殺害意識より低い。凶悪なヴィラン。
人工の悪夢 レヴナント
その存在が闘技場へ上がり、塩崎茨に相対した。
「どうした? 震えているぞ?」
レヴナントは嗄れているのかがなっているのか分からない…少なくとも人が出せる声ではない恐ろしい男性声で塩崎茨の震えを指摘する。
塩崎茨本人は気づいていなかった様だが…確かに震えていた。
A組とB組には大きな差異は無い。A組はただヴィランに相対しただけで別に実力が上な訳では無い。これはB組の物間寧人が言っていた事であり、B組のほとんどがそれに同意した。
しかし…塩崎茨は知った。ヴィランに相対するとはどういう意味なのか…?
これはただの試合、目の前にいるのは同い歳の連出堕苑葛という少年…そのはずなのに…塩崎茨は明確に…自分が惨殺される予感が…未来が見えてしまっていた。
「塩崎さん、無理しないで」
その時、ミッドナイトが塩崎に話しかける。
塩崎はハッとした様子でミッドナイトを見た後、深く深呼吸をする。
「失礼しました。もう大丈夫ですわ」
そして、目の前のヴィラン…同い歳の生徒に改めて相対する。
「まだ逃げる時間ならあるぞ?」
「………」
レヴナントが恐怖を煽ろうとしても言葉ではもう目の前のヒーローは狼狽え無い。レヴナントはそれを見て、少しだけ関心した。
だが…決して敬意を評したり、褒めたりした訳では無い。ただ、少し面白くなりそうだから期待しただけである。
「両者位置について! 構え! 」
塩崎は神に祈るように手を合わせて、茨の髪を蠢かせる。一方でレヴナントは特に構えもしない。
「START!」
ミッドナイトが鞭を振り下ろした瞬間、塩崎の茨の髪は瞬時に伸び、おおよそ人1人分の毛量とは思えない量でレヴナントへ襲いかかった。
どれくらいかと言われれば、レヴナントを背後から見る形の観客席はともかく、実況席や緑谷達の席、ミッドナイトがレヴナントを全く目視出来ないくらいの毛量であった。
勝負あったか
一部のヒーローと生徒がそう思い、安心したが…
ズバッ
たった一振。
レヴナントは指先を結合し、鋭くさせて片腕を横に薙ぎ払った。それだけで…レヴナントを覆い尽くしていた茨は全て切断された。
塩崎からレヴナントは見えていなかった。レヴナントも塩崎が見えていなかった。しかしその邪魔となっていた茨が切断され、次の茨の髪がレヴナントを覆い尽くす…その僅かの間…レヴナントは塩崎を捉えて塩崎もレヴナントの姿を見た。
振るった腕とは真反対の腕…左腕を真っ直ぐ伸ばして掌を塩崎に向けて…ロボットであるが故に表情が全く変わらないはずのレヴナントは笑っていた。
「黙らせてやろう。サイレンス!」
腕から謎の禍々しい球体が飛び出すと、レヴナントは左腕の人差し指と小指が球体を捕え、パチンコの様に前方へと撃ち出した。
禍々しい球体…またの名をサイレンスボムは茨の合間を縫って塩崎へ触れて…禍々しい小さな雷を周りへ発生させた。
塩崎に鋭い痛みが走るが…ダメージとなる程でも無い…見た目に反して弱い攻撃ではあった。
そう思っていたが…
「えっ…?」
塩崎は絶句した。
全身にとんでもない違和感…何かがおかしい。それは目の前を見れば分かることだが…塩崎は思わず否定したかった。
先程まで伸ばしていた茨、レヴナントを捕らえる為に出していた茨は…塩崎の意に反して元の長さに戻っていた。
それだけでは無い。塩崎は違和感の正体が…髪の毛を動かせない、伸ばせない…つまりは個性が使えないと悟ってしまった。
「こ、個性が!?」
その隙を…暗殺者は見逃さない。10年以上も連れ添った、もはや身体の一部である個性が使えなくなり動揺する塩崎茨に一気に距離を詰めて、その女の子らしい細くて綺麗な首を片手で掴む。
そして、片手のみで塩崎を持ち上げた。
「どうした? もうおしまいか?」
レヴナントは敢えて不思議そうに疑問を覚えた声色で尋ねる。首を掴まれている塩崎は苦しそうに必死に抵抗するも個性も使えぬ女子生徒が自分より大きいロボット相手になにか出来るわけでも無い。だだ、呻き声を上げるだけ。だが、未だ屈しぬ強い目でレヴナントを睨む。
「恐怖に怯える顔を見たかったが…志だけは立派な様だな。無駄だがな……そうだ教えてくれ、今はどんな気分だ?」
レヴナントは片手に力を込める。塩崎の呻き声がより強く、より苦しくなるが以前強い目は変わらない。
「…もう飽きたな。」
レヴナントはそう言い、塩崎を前方へと投げ出す。
場外へと投げ出された塩崎は激しく咳き込んで呼吸をする。僅か十数秒であるが久しぶりに呼吸が出来た様子だ。
「…勝者、連出堕くん!」
ミッドナイトがそう宣言するも会場は最初から最後までずっと静かだ。誰も拍手しない誰も喝采しない誰も声をあげない。
「…悪魔…!」
誰が呟いたのか…塩崎か、ミッドナイトか、相澤か、プレゼント・マイクか、緑谷か、オールマイトか、観客か…それともこの世界が呟いたのか…
ともかく、その声ははっきりと全員に聞こえた。勿論レヴナントにも
退場しようとしていたレヴナントは振り返る。誰か特定の人物に対してでは無い。ただ、今から発言する事を周りに察しさせる為だけに振り返っただけだ。
悪魔、化け物、ヴィラン、悪夢。レヴナントを表す、例える言葉は沢山ある。しかしどれも正解だがどれも不正解である。彼を正しく表す言葉は1つ。
「
レヴナントはそう言い放ち、その場を去った。
…が最後まで拍手は起こらなかった。
レヴナントのサイレンスって掌からじゃなくて指先でパチンコの様に飛ばしてるんですね。知らなかった。
あとサイレンスのあの石の名前ってサイレンスボムって名前なんですね。知らなかった。
主人公連出堕の個性&設定。レジェンド達の個性&設定資料を書こうと思うんだけど欲しい?
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見たい。(書いて、投稿して)
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見たくない。(書くな、投稿するな)