クリプトの活躍もあって、無事150階の非常階段から151階行きへの非常階段に辿り着いた俺達はそのまま180階へと駆け上がって行った。
今更なんだが…
増力個性の緑谷はともかく、見た目的に体力少なそうな麗日や耳郎はよく耐えられるな…だがそれよりもメリッサ・シールド…
彼女は特にヒーロー志望の生徒でも何でもない、ただの研究者の一人娘だ。そんな娘さんが100階分の階段を駆け登るなんて普通無理だろ…
そういう個性なのか…?
それとも人質を助けたい、その一心で気合いだけで乗り切ってるのか…
後者だったらヒーローは利益を求めないうんぬんかんぬん言ってたステインが大絶賛するヒーロー心だぜ。
さて、180階まで駆け登った俺達だがメリッサの案内で180階の大きな扉の前に立った。とりあえず耳郎の索敵とジブラルタルのアームシールドを展開しながら警戒して扉を開けるとすげぇ風が全身に浴びせられた。
うおおっ、しばらく室内だったから風が懐かしいぜ。
「ここは…?」
「ここは風力発電システムよ」
俺達は周囲を見渡す。
180階だってのに壁は無く、ここからならシャッターが閉まってないからI・アイランドの夜の街並みが見える。
ここには他の階層と違ってコンピュータやプラントも無い。あるのはデカいプロペラに…中央にあるエレベーターか。またクリプトでエレベーターの権限の取り合いするのはリスクがあるな。
「メリッサさん…どうしてここに?」
緑谷がメリッサに尋ねると、メリッサはエレベーターでは無く上層階までの吹き抜けを見上げた。
180階から200階まで吹き抜けが存在するのか…
「これ以上タワーの中を移動し続ければ、さっきよりも比にならない程の量の警備マシンが待ち構えてるはずだわ。だから、ここから一気にあの上層階の非常口まで向かうの」
メリッサは20階分上にある、小さな非常口を指差した。おいおい高ぇな。
「お茶子さんの触れたものを無重力にする個性ならあそこまで行けるはず…」
俺達はヴァルキリーの個性で慣れてるからともかく、20階分の高さを無重力で飛ぶなど恐怖そのものだな。考えただけでも恐ろしいのか上鳴、耳郎はその言葉に少し顔を青くする。
言ったメリッサ本人もな。
「だが、嬢ちゃんの個性は確かキャパがあったよな? 何人まで上に運べるんだ?」
ジブラルタルが言った通り、麗日の個性には無重力に出来る上限があったはずだ。どれくらいの人数をどれくらいまで無重力に出来るのか忘れたが…体育祭の爆豪との戦いではだいぶ無理して倒れてたな。
「私含めて7人…ちょっときついかもしれ無いけど…やってみせる!」
『いや、4人だ。連出堕含め、あと2人はヴァルキリーで』
麗日はプルスウルトラ精神で乗り越えようとしたが、個性による負担でダウンされると困るのはこっちだ。戦力が減り、守る対象が増えちまう。だから麗日の負担を減らす意味合いも込めてクリプトが提案し、特に誰もその意見に否定はしなかったから可決された。
麗日の個性、無重力は触れたものの重量によって負担が生じる。だから比較的小柄な耳郎、緑谷、そして恐らくヴァルキリーの上昇飛行に耐えられないメリッサを麗日の個性で浮かせる。八百万と上鳴はヴァルキリーのウルトで飛ぶ方向で決まった。
麗日は1度緑谷達を200階まで届けてから少し遅れて自分に無重力を発動させて合流すると言った形だ。
早速麗日は緑谷達に肉球で触れて無重力状態にさせ、緑谷達は麗日にゆっくり押される事で上方向にゆっくりと中央のエレベーターの柱に沿って上昇していく。
よし、エレベーターの柱に沿ってれば変な方向に飛んでいく事は無さそうだな。麗日も顔色は悪いが、プルスウルトラ精神で何とか耐えれてそうだな。
「さて、私達も行くか!」
緑谷達を変な方向へ吹き飛ばしてしまわないようにヴァルキリーはエレベーター中央から少し離れた所でジェットパックを起動させる。体育祭の時に騎馬を組んだ緑谷や常闇、麗日はともかく八百万と上鳴はヴァルキリーのウルトで飛ぶのは初めてなので少し不安そうな顔だな。特に上鳴。
「な、なあ? 本当にこれ大丈夫なんだよな!?」
「大丈夫だって。当機は安全飛行がモットーだから、事故なんてハイジャックされるくらいの超低確率だよ」
「現在進行形で
ヴァルキリーは騒ぐ上鳴と静かな八百万に安全ベルトと接続線を繋ぎ、今飛び立とうとしたその時…
俺達が入ってきた、扉。また180階にある奥の保管室の様な部屋の2つの部屋からゾロゾロと警備マシン共がやってきやがった。
「マジかよ!?」
『麗日が危ない! ヴァルキリー! ジブラルタルと入れ替われ!』
「コピー!」
扉を壊す様にやってきた警備マシン共だが、すぐに俺達はヴァルキリーからジブラルタルに切り替わり警備マシン迎撃に備える。八百万と上鳴を上に連れて行けなくなっちまったがこいつらをぶち壊してから安全に行った方が楽だ。
それに、麗日の個性で既に緑谷達が現在進行形で上に向かってるし迎撃しても問題ねぇな!
「上鳴さん、麗日さんこれを!」
「サンキュー!」
「ありがとう!」
八百万は個性で鉄パイプと盾や鉤爪等を創造し、武器を持ってない上鳴と麗日に投げ渡す。ジブラルタルは持ち前の斧と怪力があるから問題無いしな。
少し、チラッと上空方向を見やる。そこには必死に何かを叫んでる緑谷達が居るが…麗日に個性を解除して逃げてやら、自分達も戦う等言ってるんだろうな…。だが戦闘は緑谷、索敵は耳郎、制御室のコンピューターはメリッサが担当すればあっちは問題は無い。ここで全員で迎撃して時間を掛けるよりもこちらの方が効率的…いや、合理的ってやつだな!
『EMPは溜まっていない! 俺のウルトは期待するなよ!』
『残念ながらタルタロス並の性能を誇るというならばこのロボット共には俺様のデコイも効きそうに無いな! 俺様にも期待しないでくれ!』
『このヒューズ様はいつでも行けるぜ!』
『僕も戦えるよ!』
圧倒的数の不利に、相手はUSJのチンピラ共と違って最新鋭の警備マシン。俺達レジェンドは戦えるやつと戦えないやつを予め報告し合い、戦えるやつで切り替えながら倒していくしかないな。ちなみに俺は時間稼ぎくらいなら出来るから一応戦えるレジェンドだな。
「奴らが来るぜ! ブラザー!」
__________A P E X__________
「いい気味だ…」
セントラルタワーの200階、I・アイランドの警備システムや制御システムを管理する管制室ではこのセントラルタワーを乗っとったヴィランの一味である刃物の男と実際に制御システムを乗っ取っているメガネの男が監視カメラの映像で絶望的な数の警備マシンの群れと対峙している八百万達を見て愉快そうに見ていた。先程まで仲間がやられ、一時的とは言えエレベーターの権限を奪われて辛酸を舐めさせられた彼らだが彼らのリーダーであるヴォルフラム指示と、この警備システムをより深くまで乗っ取れる様になった事で少しずつ立場が逆転して行ったのだ。ヴォルフラムの指示は151階以降の警備マシンを全て停止させておいて、緑谷達が目標地点に着いた時点で一斉起動。そうする事で油断したところを付ける他、耳郎の索敵を掻い潜り、更には30階層分のマシンの数には流石のクリプトもEMPの範囲の問題上、全部は止められない。
実際、耳郎やクリプト関係無く上に登るために気を抜いていたところを付かれた事で連出堕達は少し苦しい立場で戦う羽目になってしまっている。
更に…警備システムをより深く乗っ取る…それはこの群れを成してワイヤーを飛ばして拘束する他、ある程度の耐久値のある案内ロボットの様な警備マシンだけでなく、このタルタロス並の性能を誇るセントラルタワーの真骨頂である、真の警備マシンの権限も掌握したという事である。
真の警備マシン…それは群れを成して扉から飛び出して連出堕達に襲いかかる警備マシンよりも後方からゆっくりと連出堕達を狙って180階へと上がってきている。
捕縛目的の警備マシンとは違い、
アッシュがレジェンドとして実装された事によるストーリー変更が思ってたよりも影響大きかった。
次回は「アレ」が出てきます