ある提督が虐められる話   作:とある小説家Y氏

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自己

「はぁ...はぁ...」

 

打ち上げられた砂浜から歩いて鎮守府の門まで来た。

時刻は一一〇〇ぐらいだろうか。真夏の猛暑の中、ここまで徒歩で来たことで額から大量の汗をかいている。度々傷口に汗が滲みるせいで肩に激痛がはしる。

 

「あつい...」

 

急ぎ足で鎮守府の中に入り執務室に直行した。

 

 

 

「包帯替えないと...」

 

肩に巻いていた包帯は既にボロボロになっていたため、またカーテンを破いて巻きなおす。

 

「代用の布もなくなってきたな...」

 

救急箱はご存じの通り艦娘が管理しているからどこにあるかわからない。

 

「ってか急いで作業しないと」

 

万年筆を持ち作業を始める。

 

~一四〇〇~

 

「はぁ。疲れる、休憩しよ」

 

朝にできなかった分だいぶ根を詰めて作業していたため、その分疲労が大きい。

 

「ん?またか...」

 

たまたま窓から見えた景色に嫌なものが映っていた。

通信機を手に取る。

 

「長門、まただ。二級とハ級が一体、ロ級が四体だ」

 

「分かっている。こちらで処理する」

 

この鎮守府ではよくあることだ。この鎮守府は日本の最東端にある鎮守府で本州から一〇〇キロ以上は離れている有人島にある。そのせいか襲撃に来る深海棲艦は多い傾向にある。今のところ大きな襲撃は来ていないが後々総力戦並みの襲撃が来ると思う。

 

「今回も大丈夫か」

 

外では艦娘が襲撃に来た深海棲艦を次々に沈めているのが見える。

 

「はぁ...報告することが増えたよ...」

 

大きな砲撃の音を聞きつつ作業を再開する。

 

~二二〇〇~

 

「まだまだあるな...」

 

机にはまだ処理を終えていない書類が山ほどある。

 

「こんなにあるのか」

 

一向に終わる気配がないまま作業を進める。

 

コンコン

 

「!?(鈴谷か?)」

 

「提督、いるか?」

 

「入っていいぞ(長門か...)」

 

「失礼する」

 

「どうした?」

 

「話がある...」

 

「提督、悪いことは言わない。ここから出て行ってくれ」

 

「なぜ?」

 

「なぜって...提督は今まで散々暴力を受けてきたのだろう!」

 

「そうだな」

 

「なぜ処罰を与えない!なぜ何もしない!」

 

「なんでだろうな...」

 

「この一年間、苦痛に耐えてきただけで何もしないのはおかしいだろう!」

 

「そうなんだけどな...」

 

「他人事みたいに言っているが...」

 

「なんか...な。すまん、自分でもよくわからない」

 

「...そうか...」

 

「だけどここから出ていくつもりはない」

 

「...分かった」

 

「すまない...」

 

「いいや。提督の決めることだ。私が決めることではない...だが自分のことは大切にしてくれ...」

 

「ああ...」

 

「失礼した...」

 

長門は暗い顔のまま部屋を出ていった。

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