ある提督が虐められる話   作:とある小説家Y氏

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悲痛

会議室の扉を閉め振り返ると部屋の前で待たせていた大淀がこちらを見ている。

 

「終わりましたか」

「あぁ...行くぞ...」

「はい」

 

大淀は何も聞いていなかったような顔をしたままついてくる。

 


 

「はぁ...」

 

小型船の椅子に腰を掛け空を見上げる。

海風は自分の頬を優しく撫でるように吹き、波の音は自分の心にあるどうしようもない怒りと悔しさをかき混ぜているようだった。

「コツ...コツ...」と後ろから歩いてくる音が聞こえ顔を下ろし、さらに軍帽の鍔を下げ顔の表情を悟られないようにする。

 

「...」

「...」

 

甲板の上は先ほどからずっと波と風の音に包まれている。しかし大淀はその音を遮り俺に向かってこう言い放った。

 

「憐れですね...」

「...憐れか...」

 

先程の話を聞かれてしまったのか、心に深く突き刺さる言葉が放たれる。今の自分には肯定するしかないほどに憐れだと自分でも思う。だがそんな中、救ってくれる奴など誰一人としていない。いくら泣いたって誰かが助けてくれるわけでもない、いくら喚いたって状況が変わるわけでもない。この地獄から脱け出すためには行動するしかなかった。ただ闇雲に...、行動するしかなかった...。

 

「...」

「...」

 

大淀はそれ以上何も言わず水平線の向こうを見ている。

それ以降の会話はなく船が港に着くまでの間、俺は込み上げてくる哀しみを抑えるので精一杯だった。

 


 

「大淀、君は先に鎮守府に戻ってろ。俺は少ししてから戻る」

「分かりました」

 

下手に艦娘と一緒に行動すると大惨事になりかねないので俺は大淀を先に鎮守府に戻らせ、ある場所へと向かう。途中、街に差し掛かる。

島が小さく人口もそこまで多くないため小さな街だがかなり盛んな方ではある。俺はこの島に住む人たちにも嫌われ、憎まれている。

「なんであいつがここにいるのよ」と陰口が聞こえる中街を歩いていると、

 

「おい!人殺し!この街に入ってくるんじゃねぇ!」

「そうだそうだ!」

 

と子供たちがそう言い、鋭利な石を投げつけてくる。

俺はその石を食らいながらも無視して歩き続ける。この先にある目的地に向かうためにはどうしても通らなくてはいけなかったからだ。

正直子供たちにかまっている暇はなかったので走って逃げることにした。

 

「あっ!おい待て!この野郎!」

「っ...!」

 

全力疾走で駆け、街を抜ける。途中で子供たちを撒いていたため、これ以上追われることはなかった。俺は再び目的地に急ぎ足で向かう。

 

「日が暮れる前には戻らないと...」

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