異世界に『APEX Legends』のレジェンドたちと共に転生してしまった   作:ユウキ003

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楽しんで頂ければ幸いです。あと、私事ですが、つい数週間前、エーペックスのランクでプラチナ4まで上がり、つい先日、ソロランクでプラチナ3まで上がりました。とりあえず、次はプラチナ2を目指さないと、ですね。


第3話

レジェンド達の力もあって、何とかカトーラの街にたどり着いた俺達。その後俺はセリーヌお嬢様のお誘いもあってクイットナー伯爵家へと招かれた。そこでお嬢様の祖母であるリランダ様と出会ったのだが、それも束の間。レジェンド達の力で彼女が毒を盛られていた事を知るのだった。

 

 

俺は執事さんに案内され、ロバートさんやレジェンド達と共にリランダ様の医師をしていると言う男性の部屋にやってきた。部屋に入ると、ベッドに腰掛け俯く、黒髪で白衣を纏った20代後半くらいの男性。近くの椅子に座ってそれを監視しているライフラインとオクタン。

 

「ん?よぉレイ。どうした?」

「あの毒薬の件、俺達で追っかける事になったから。情報収集にね」

「おぉっ!そうかっ!何か刑事ドラマみたいだなっ!」

オクタンと話していると、ベッドに座っていた男性がびくりと体を震わせ、俺を見上げる。

 

「あなたが、リランダ様の専属の医師の方ですね?」

「は、はい」

「名前をお聞きしても?」

「私は、『シャーレ』と言います」

俺はドラマの刑事のように彼から話を聞き始めた。

 

「オッ!これも取り調べって奴みたいだなっ!これってあれだろ!?カツ丼って奴もってくるんだろっ!?」

「ちょっとシルバっ!アンタは黙っててっ!」

テンション上げ上げなオクタンを窘めるライフライン。それを後目に俺はシャーレさんの前に椅子をもってきて腰を下ろす。

 

「早速ですが、件の薬は街の酒場で出会った商人から買ったと聞きましたが、その辺りを詳しく聞かせて貰えますか?」

「……なぜ、そのような事を?」

「今回の一件は立派な殺人未遂事件です。当然これらの行為は罪になりますし、この毒殺が失敗に終わった事が事件の首謀者に知られれば、首謀者は別の手でリランダ様の命を狙うでしょう」

 

すると、俺の話を聞いてシャーレさんはビクッと体を震わせた。……主の命が狙われる事に、恐怖を感じているのだろう。シャーレさんがリランダ様を敬愛しているのは執事さんの話で分かっている。

 

「ですから、あなたの協力が必要なのです。リランダ様を狙った首謀者を明らかにし、首謀者が次の手を打ってくる前に捕えて司法の元で裁きを下すために」

……或いは、俺達が先に首謀者をぶっ殺すために。まぁ、捕えようとして暴れられたら応戦する。その中で死んだとしても正当防衛くらい主張出来るだろう。相変わらず前世より思考が物騒になってる気がするが、生憎この世界は法律よりも力だ。

 

法を重んじて力を振るうことを躊躇っていたら、付け入る隙を与えるだけだ。俺は、この世界に来てこの世界と前世の違いを実感した。

 

前世にはごく普通だった警察なんて者は存在しない。自分達の身は自分達で守らなければならない。特に、他人を雇って警護なんて頼めない平民なら尚更だ。だからこそ、俺は力を振るう。俺自身を、そして俺が守りたいと、助けたいと思った人達のために。

 

やがて……。

「……分かりました」

数秒の間を置きシャーレさんは頷いて俯いていた顔を上げた。

 

「知らずとは言え、主に毒を盛ったこの罪。それが少しでも償えるのなら、協力させてください」

 

と言う事で、シャーレさんの協力を得られた俺達は早速シャーレさんに質問をしてみた。

 

まずは俺だ。

「えっと、シャーレさんが商人と出会った酒場ですが、良く行かれるのですか?」

「はい。休みの日などは良く」

「頻度としては、具体的にどのくらいですか?」

「そうですね。少ないときでも2週間に1回は。多いときは逆に、週に3回くらいは」

「その事を屋敷以外の人間は知っていますか?例えば、友人とか」

「そう、ですね。酒場のマスターや、良く酒場で相席する飲み仲間、薬を仕入れている別の商人の知り合いなどは知っていると思います」

 

「つまり、外部の人間が貴方と接触するチャンスはかなりの頻度であったって事ね」

「え?そ、それはどういう……」

レイスの突然の言葉にシャーレさんは戸惑っている。

 

「シャーレさんは、普段はこの屋敷で生活を?」

「は、はい。リランダ様に何かあった場合、すぐ対処出来るようにと。私は屋敷に常駐しております。リランダ様が出かけられる時も傍に」

その言葉を聞いて俺は周囲を見回す。生活感のある部屋からして、この屋敷の中で生活しているのだろう。職場と生活環境が一緒、って事だ。

 

「シャーレさんが屋敷の外に出かける頻度は高いですか?」

「どう、でしょう。料理人などは食材の仕入れで頻繁に出かけますが、薬は日持ちする物もありますし、包帯なども一気に消費することは滅多に無いので、彼等よりは少ないと思いますが……」

「そうですか。……となると、シャーレさんと接触出来る数少ない機会が、その酒場という訳ですね。それに酒場なら、ある程度アルコールに酔った状態で接触出来るから、あなたの警戒心も弱まっていた、と言う事でしょう」

 

「そこを、つけ込まれたんですね。僕は」

「……残念ながら、そうです」

落ち込む彼に俺はそう声を掛ける事しか出来なかった。

 

「申し訳ありませんが、相手の商人の事をもっと話してくれますか?今は、その商人こそが首謀者へと繋がる唯一の手がかりなんです。住居や仕事、特徴など、可能な限り教えて下さい」

「分かりました」

 

その後、俺達はシャーレさんから商人についての情報を聞き出した。商人は男性、見た目は30代前半。本人の話ではあちこちを旅しながら商売をしていると言う。ここへ来たのは、最近注目されているクイットナー伯爵家の領地だからと語っていたそうだ。そして、酒の席でシャーレさんはその商人、『テッド』との話の中でリランダ様の話になり、次第にお年を召して活力が衰えていくリランダ様をどうにかしたいと打ち明けたそうだ。そして、テッドはシャーレさんからこの話を聞くと例の薬を渡した、と言う。

 

念のためとして、シャーレさんはその時に一粒、試しに飲んでみたが体にこれと言った害が無かったために安全だと判断し購入していたようだ。……コースティックが言ってた通りか。精々1粒程度じゃ何の問題も無い。だが使い続ければ毒が蓄積され効果を発揮する。

 

それにリランダ様はご高齢だ。突然の病死、と言うのは考えられない話ではない。それのこのファンタジー世界に司法解剖は無いしそれで毒物を検出するのは無理かもしれない。だからこそ、即効性の毒ではなく遅効性の毒を飲ませ続けて殺すつもりだった、と言う訳だ。その後、テッドの特徴を聞きシャーレさんに似顔絵を書いて貰った。

 

「それでレイ?どうするの?」

「とりあえず、そのテッドという商人を捕えるしかないでしょ。幸い、似顔絵がある事だし」

俺はライフラインの言葉に答える。

「であれば、我々騎士団も協力を」

「いえ。それには及びません」

 

協力を申し出てくれたロバートさんはありがたいが、俺はそれをやんわりと断った。

「皆さんはリランダ様の血縁であるセリーヌお嬢様の護衛。もし、仮に俺が首謀者なら暗殺者へ監視を付けるでしょう」

「なぜ、ですか?」

「もし仮に、ロバートさん達の顔が割れていれば暗殺者に護衛の騎士が接触した事を即座に知る事が出来ますからね。そうなると、証拠の隠滅をされる恐れがあります。しかし俺は今日この町に来たばかり。監視の目があっても俺がリランダ様達の協力者と考える可能性は低いかもしれません」

「た、確かに」

そう言って頷くロバートさん。

 

「それに俺1人で捜査する訳ではありません。俺には心強いレジェンド達が居ます。彼等がいれば、造作も無い事です」

 

俺の言葉にレジェンド達が笑みを浮かべている。

 

「とにかく。まず第1目標はテッドの捕捉と捕縛。可能であれば首謀者を吐かせる。でも首謀者が毒殺と言う一つの手段だけで動いている可能性は低い。そこで部隊を2分する。片方はテッドの捕縛を目指す。もう片方は屋敷に滞在しつつ、強襲を警戒して警備を固めて欲しい。前者をAチーム。後者をBチームとする」

 

俺は皆に指示を出していく。

「Aチームのリーダーはクリプト。その元に俺を含めて、ブラッドハウンド、シア、パスファインダー、レイス、オクタン、ミラージュ、レヴナント、ヴァルキリー。Aチームの皆は俺と一緒に町中でテッドの探索と発見。それぞれの足の速さや話術、高い機動性、高い索敵能力を生かして目標を見つけて欲しい」

「任せてよレイっ!僕達で見つけてみせるさ!」

そう言ってサムズアップするパスファインダー。

「見つけたら捕縛して首謀者を吐かせる。とはいえ、首謀者の監視がある可能性があるから、ひっそりとね」

「ははっ!面白そうだっ!潜入作戦だなっ!」

「分かりました。その男の秘密、我々で暴いて見せましょう」

俺の言葉を聞いて興奮気味のオクタンと甲斐甲斐しく会釈するシア。

 

「次にBチーム。リーダーはジブラルタル。更にコースティック、ライフライン、バンガロール、ワットソン、ローバ、ランパート、ホライゾン、ヒューズ。皆は防衛に特化したスキルとかがあるからね。屋敷の防衛と、ここに居るお嬢様やリランダ様を頼むよ」

「任せろブラザー。俺様たちに守れねぇものは無い。安心してここを任せろ」

 

「心強いよジブラルタル。皆もそれで良いかな?」

俺は皆を見回すが、誰1人反対はしない。レヴは頷いてもくれないが、彼の場合沈黙は肯定みたいな物だからね。

 

「それじゃあロバートさん。Bチームの皆を屋敷に残して、俺はAチームと共にこのテッドって男を捜します。何か分かったら、Bチームのジブラルタルに、俺達だけの遠距離からでも会話出来る力で伝えますので、彼から報告を聞いて下さい」

「分かった。……何から何まで頼ってばかりですまないが、よろしく頼む」

そう言って俺に頭を下げるロバートさん。

 

「大丈夫ですよ。この事件には、俺の意思で首を突っ込んだんです。礼は不要です」

そう言って俺はAチームの皆と共に屋敷を出た。

 

俺は徒歩で町中を回る。似顔絵の顔を探しながら、シャーレさんが通っていた酒場に行ってみた。この世界では成人してれば酒は飲めるから問題無い。まぁ、行った理由はテッドを探して、だ。酒場のマスターにテッドの情報を求めた。『知り合いのシャーレから聞いたんですが、テッドって男が異国の薬を売っているらしくて。それを買いたいのだけど家を知らないか?』と言ってね。けど、思ったほど情報は集まらなかった。マスターの話だと、よく仕事をしている場所は知ってるが、住居についての情報は無かった。

 

俺はチップ代わりに少しだけお金を置いて酒場を出た。俺はすぐに他の皆、Aチームの皆に情報を共有する。Aチームの皆は今、霊体化して町中を捜索している。あれなら屋根の上から人を探しても目立ったりしないからね。

 

俺は酒場を出て市場へと向かった。表向き商人なら、市場で露天を出すかしているはずだ。或いは、商人としてどこかの店で取引をしているか。そう考えまず市場に向かった。市場の中を歩き回って見たが、テッドの姿は無かった。市場を抜けたため、仕方無く大きな商店などで取引が無いかを探そうと思い、歩きだそうとした矢先。

 

『居たぞ。例の皮付きだ』

レヴナントからAチームの俺を含めた全員に通信が届いた。俺はすぐさまレヴの居る方角に動き出した。俺達は、どこに誰が、どの程度離れた距離にいるか大凡理解出来る力がある。おかげで合流も楽だ。

 

『レヴナント。テッドを見つけたみたいだけど、目標の動きはどう?』

『奴は、今は路地裏を歩いている。人通りの少ない道だ。そして、時折何かに怯えた様子で後ろを確認している。平静を装っているが、隠しきれていないな』

『了解。皆も合流して、テッドの監視に映る』

 

そう指示を出して俺は皆と合流するために動く。

 

けど、テッドが怯えてるってどういうことだ?自分がシャーレさん経由でリランダ様に毒を盛ったことがバレるのを警戒しているのか。とにかく、今はテッドが黒幕への唯一の手が掛かりだ。逃すわけには行かない。

 

『ヴァルキリーとブラッドハウンドへ。2人は合流したら上空や屋根の上からテッドを尾行している人影が居ないかを確認。もし怪しい奴が居たら、そいつの動向を監視して』

『OKだレイ』

『任せろ、レイ』

 

2人の返事を聞きながら俺はレヴナントと合流を目指す。そしてたどり着くと、霊体の、俺にだけ見えるレヴナントが路地の壁に寄りかかっていた。

 

『レヴナント。テッドは?』

そう俺が問いかけると、レヴナントは道を挟んだ反対側の家を無言で指さした。……ここがテッドのアジトって事か。

『分かった。ありがとうレヴナント。とりあえず俺の中に戻って休んで』

『……………そうさせて貰おう』

とだけ言うと、レヴナントは俺の中に戻っていった。さて、この家の中にテッドがいる訳だけど、どう接触するか。俺は一度家の傍を離れて路地裏に入る。

 

 

とりあえず、一般人を装って接触。出来れば家の中に入れれば良いんだけど……。ここは人通りも少ないし、家の中に入れれば、テッドの監視役がテッドや俺の動きを確認出来なくなるかもしれない。

 

とは言え、問題は家の中に入る方法だ。強引に押し入れば騒ぎが大きくなる。ここは、客か何かを装って入った方が良いな。と、そうこうしていると……。

 

『レイ』

『ッ、レイス、オクタンとパスファインダー、クリプトも』

Aチームの一部メンバーが合流してくれた。

『他の皆、ミラージュやシアは?』

『念のためヴァルキリーとブラッドハウンドを手伝って、周囲に怪しい奴が居ないか探してるわ』

『僕達はレイの応援に来たんだっ!テッドって奴、捕まえるんでしょ?』

レイスとパスファインダーの言葉に俺は静かに頷く。

 

『分かった。皆は一度俺の中に戻って。何とかしてテッドの家の中に入り込む。そして、入ったらそこから一瞬で皆実体化して、テッドを確保。……知っているようなら、黒幕の情報を聞き出す。……良い?』

『『『『コクンッ』』』』

俺の言葉に4人が頷く。

 

「よし。……じゃあ、行くか」

 

って事で俺はテッドの家の前に立ち、ドアをノックした。

「すみませ~ん、こちらにテッドさんは居ますか?」

ドアをノックして少し待っていると……。

 

『ギィッ』

「……どちら様、ですか?」

扉が少し開いて、似顔絵通りの、頭のバンダナらしきものを巻いた男、テッドが顔を覗かせた。

「あ、えっと、商人のテッドさん、であってますか?」

「そ、そうですが、何か?」

「実は俺、医師をしているシャーレさんの知り合いなんです」

「ッ……!」

あっ。今一瞬表情が強ばったな、こいつ。どうやらテッド自身も知らずに売ってた、って可能性は消えたな。

「何でも異国の活力が出る薬をお持ちとか。シャーレさんから聞いて、俺も家族のおばあちゃんにあげたいって思ってるんです。あっ!もちろんちゃんとお金は払いますっ!」

そう言って俺はお金の入った袋を取り出してじゃらじゃらと鳴らす。

「だ、ダメだっ!あの薬は数が少ないんだっ!仕入れにも時間が掛かるしっ!シャーレさん以外に上げる訳には行かないんだっ!」

……何やら必死そうなテッド。まぁ、他に漏れて毒物だってバレるのを恐れてるんだろう。もっとも俺はもう知ってるけど。

 

「ではせめてほんの少しでも良いんですっ!話を聞いてくれませんかっ!?多くを貰おうとまでは言いませんっ!少しで良いんですっ!せめて話だけでもっ!」

俺は何とか中での話にもっていこうと必死にアピールした。そして……。

 

「わ、分かった。ならとりあえず入ってくれ」

俺は賭けに勝った。正確な確率なんて無かったが、テッドは目立ちたくないようだ。となればこんな玄関口で話をするとは思えなかった。……まぁ、もしダメで外での商談になったら、レイスのポータルで物陰から別の場所に連れて行くだけだったけど。

 

それでも、俺は賭けに勝った。

 

「し、失礼します」

俺は中に招かれる。俺が入ったのを確認すると、テッドが外を警戒しながら扉を閉めようとする。……でも、既にお前の敵は、お前の懐に入り込んでいるぞっ!

 

テッドが扉を閉めて鍵を掛けた次の瞬間。

 

『ガッ!』

「もがっ!?」

実体化したクリプトがテッドの口元を抑えながら拘束。更に床の上に引き倒した。

「ぐあっ!?」

 

悲鳴を上げるテッド。そしてテッドが起き上がるよりも早く。

 

「静かにしなさい」

その眼前にレイスがクナイを突き付ける。更にその横でオクタンがバタフライナイフを弄んでいる。

 

「お、お前達は一体……っ!?」

「俺達は、クイットナー伯爵家の当主であるリランダ様を毒殺しようとした犯人を追っている」

「ッ!?」

俺が声を上げれば、テッドは息を呑み顔色を真っ青にしていく。

 

「アンタがシャーレさんに渡した錠剤に、微量な毒物が入っていた事はもう調べが付いてる。……だから、俺たちはお前を探していたって事さ」

「ッ!?だ、誰っ!がっ!?」

何かを叫ぼうとするテッドの喉を俺が強く押さえ付け、喋れなくする。

 

「言ったはずだ。静かにしろって。……俺達は黒幕を知りたい訳だが、別にアンタの口から聞こうって訳じゃない。喋れなくても手と指があれば筆記は出来るし、手足が無くても胴と首があれば、頷いたり首を振ったりでYESやNOの判断は出来るからなぁ」

「ッ!?」

 

俺はニヤァと笑みを浮かべながら語る。まぁ冗談で脅しだけどさ。

「レイっ!君は順調にヤバくなってるねっ!」

「お褒めにあずかりどうも。さて、それじゃあ早速聞かせて貰おうか?」

 

俺は自前のナイフを取り出して、その腹で男の頬をペチペチと叩く。

「分かるか?変な気を起こすな?俺達はリランダ様を暗殺しようとした黒幕についての情報が知りたい。……数ではこっちが上。囲まれてる。自分の状況が良く分かってる事を期待するよ。ミスターテッド」

 

「んんっ!んんっ!」

テッドは涙ながらに必死に頷いた。それを確認した俺は喉から手を放す。

 

「さて、それじゃあ改めて質問させて貰おうか。お前は誰の依頼で毒物をシャーレさんに流した?」

「め、命令されたんだ。妻子の命が惜しければ、あの薬を、何としてもクイットナー伯爵に飲ませろってっ!」

「あぁ?妻子の命?どういうことだ?」

 

「お、俺は暗殺者なんかじゃないっ!ただの商人だったんだっ!でも、元いた場所じゃ商人に対する税金が重すぎてっ!そこを出て、クイットナー伯爵家に向かったんだっ!ここならやって行けるってっ!でも、伯爵領に入る前、盗賊に襲われてっ!それで妻と娘が人質にっ!」

「それで?妻子の命と引き換えに是が非でも毒をリランダ様に飲ませるように命令されたってのか?シャーレさんに接触したのは?」

「い、医師から貰った薬ならクイットナー伯爵も、信じて飲むかもって思ったんだっ!」

「……確かに、アンタの言うとおりリランダ様はシャーレさんから貰った薬を何の疑いも持たずに服用していた」

 

「た、頼むっ!見逃してくれっ!俺には妻子が居るんだっ!俺は家族を守りたいんだっ!頼むよっ!見逃してくれぇっ!」

そう言って涙を流すテッド。……しかし、俺は無表情でテッドを見下ろしていた。

 

「……その話を俺達が信じる根拠は何だ?」

「え?」

「アンタの話が、捕まった時に相手の同情を誘うための法螺話、カバーストーリーの可能性だってある。つまり、アンタが嘘を言っている可能性だってある」

「ち、違うっ!本当だっ!本当なんだっ!妻子は盗賊に捕まってるんだっ!」

「だったらっ」

 

俺は、テッドの眼前にナイフを突き付ける。

「……お前の言う真実に、お前は命を賭けられるか?」

「え?」

 

「お前が言う話にお前自身の命を賭けられるのかって話だよ。そうでもしない限り、俺が、俺達がお前を信じられる根拠は無い。だからこそ聞く。その話が嘘だったら、俺達はお前を嬲り殺す」

「うっ!?」

そう言って俺はナイフの切っ先をテッドの喉元に突き付ける。冷や汗を流すテッド。

 

「だが、逆にその話が本当ならお前も、お前の妻子も被害者って事になる」

そう言って、俺はナイフをテッドから離した。

 

「取引だ。ミスターテッド。お前の話が本当だと言う証として、お前の命を賭けろ。その代わり、俺達がお前の妻子を救出してやろう。無論、対価としてお前の知っている情報を全て提供して貰うがな?どうだ?」

「ほ、本当に、妻と娘を助けてくれるのか?」

 

「アンタの話が本当だったらな。なに、俺達だって鬼や悪魔じゃない。アンタ達が黒幕に無理強いをさせられてたって言うのなら同情の余地はある。それに加えて、俺達は他人を悪だと決めつけて私刑をするような、偽善者じゃない。アンタを捕まえようとしたのだって、リランダ様暗殺の主犯にたどり着く為だ。……で?どうする?取引に応じて命を賭けるか。断って、表通りを堂々と通りながらリランダ様暗殺の犯人として連行されるか。どっちが良い?」

 

これは賭けだ。もし監視者がいた場合、俺が堂々とこいつを伯爵家まで連行すれば、暗殺が失敗したことが黒幕にまで伝わる。そうなれば、黒幕は証拠の消滅を図るだろう。だから後者は選びたくない。本音を言えば、前者を取って欲しいが。……どうでる?ミスターテッド。

 

 

やがて……。

 

「わ、分かった」

彼は震える声で頷いた。

 

「私が知ってる事は全て話す。君たちにも協力するっ!命だって賭けるっ!その代わり、必ず私の妻と娘を助け出してくれっ!お願いだっ!」

 

そう言ってテッドは頭を下げた。それに対して俺は……。

 

「OK、ミスターテッド。契約成立だ」

そう言って彼の前で笑みを浮かべた。

 

 

その後、テッドから色々事情を聞いた後、テッドの事をテレパスでジブラルタル達にも伝えた。

『了解したぜレイ。しっかし、酷ぇ話だなぁ。家族を人質にとって暗殺者に仕立て上げたって訳か?』

『そうみたい。毒もテッド自身が用意した物じゃなく、渡されたものらしい。妻子を助けたければ、何としてもこれをリランダ様に飲ませろ、ってね』

『って言うか、それじゃあ何か?そのテッドって奴も、もしかしたら切り捨てられてたんじゃねぇか?』

と、聞こえるランパートの疑問符。

 

彼女の言うとおり、いざとなればテッドを殺して遺書を残せば良い。個人的な恨みからリランダ様を殺そうとしたが、捕まりそうになったので自殺します、的なドラマでよくあるパターンだ。

 

『完全にいたちごっこね?そのテッドって男、何か情報はもってたの?』

『めぼしい物は特には』

そうローバに答える。でも……。

 

『ただ一つ、気になる事があってね』

『気になる事って?』

疑問符を浮かべるワットソン。

『彼に毒を渡した人物が、盗賊には似つかわしくない格好をしてたから良く覚えてたそうだよ。その人物の服装ってのが、黒いスーツ姿なんだけど……』

 

『ちょい待ちっ!黒いスーツって、つまりは執事って事かいっ!?じゃあもしかしてっ!』

『うん。ホライゾンの推理通りだと思う。恐らくその黒いスーツの男は、黒幕の部下。更にテッドの話だと、彼の妻子を捕えている盗賊はそのスーツの男から金を貰ってたみたいだ。つまり、黒幕は執事を雇い、盗賊まで雇って、特殊な毒を作らせる事が出来る程の資金源のある人間って事になる。予想通りと言えばその通りだけど、黒幕は恐らく、貴族だ』

 

『どうやら、レイの予想が当ったみたいだな。あれだろ?領民奪われたり恥を掻かされた貴族は多いって、あのばあさん領主が言ってたよな?』

『うん。多分ヒューズの言うとおり、犯人はリランダ様に逆恨みをしてる貴族だろうね』

 

予想は当った。それに黒幕に直接繋がりそうな存在も見えてきた。

 

『とにかく、新しく分かった事はそれだけ。それと、とりあえずテッドはリランダ様の家に行かせる事にした。薬の補充とか、適当な理由を付けさせてね。その事をロバートさん達に伝えておいて』

『それは構わないけど、どうして?』

『口封じで殺されないためにだよ。数時間でも時間を稼げれば、その間に俺達が妻子を見つけ出して救助出来るかもしれない。でも妻子救出が監視者とかにバレて、助け出したは良いけど代わりにテッドが殺されました、じゃあね。それに、彼も重要な証人だからね』

と、俺はバンガロールに答える。

 

『分かったわ。とりあえず彼等には私達から伝えておく』

『うん。ありがとうライフライン。そっちは引き続き屋敷の護衛を頼むよ。テッドはレイスに監視させながら屋敷に向かわせるから』

 

こうして俺は段取りを決めた。テッドには安全を考えて屋敷に向かって貰う。そして上手く屋敷に引き留めるフリをロバートさんやリランダ様にして貰う。その数時間の間に、俺達でテッドの妻子を見つけて救出する。

 

やれやれ、今日は長い1日になりそうだ。

 

なんて事を考えながら、俺はテッドの家を出て行くのだった。

 

     第4話 END

 




感想や評価、お待ちしてます。あと、エーペックスのゲーム関係の感想も良ければどうぞ。俺もエーペックス好きな人と話とかしたいので。
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