異世界に『APEX Legends』のレジェンドたちと共に転生してしまった   作:ユウキ003

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楽しんでいただければ幸いです。


第6話

色々あって、捕えられていたテッドの妻子を助け出すことに成功した俺とレジェンド達。しかし黒幕に繋がるであろう男には自殺されてしまい、結局黒幕がどこの誰か、までは分からずじまいのまま、若干後味の悪い形で事件は終幕した。

その後俺は、護衛やら暗殺阻止やらの報酬をリランダ様達から貰い、村を出た当初の目的である冒険者登録をする為、町にある冒険者ギルドへと向かった。

 

 

冒険者ギルドへと向かうその道中。

『さてと、これからどうするレイ?』

聞こえてくるジブラルタルの声。

『さっきリランダ様達と話してた通りだよ。とりあえずまずはギルドで冒険者登録をするよ。その後はどこか安い宿でも探して泊るって感じ。依頼を受けて仕事をするのは明日からかな。……幸い、大金を貰っちゃったし』

 

リランダ様から貰った大金は、俺の金バックの中にしまった。こっちのバッグの中なら誰彼からスリで奪われる心配も無いし。

 

『けどどうすんだよレイ。もし街の安いホテルがいっぱいだったらよぉ』

『うっ』

オクタンの言葉に俺は言葉を詰まらせた。……その可能性も、なきにしもあらず、なんだよなぁ。まぁその場合は……。

 

『は、恥を忍んでリランダ様達の屋敷に行ってみる、とか?』

『おいおい、何を恥ずかしがってるんだよ兄弟。お前は彼奴らの恩人だろ?行くにしても、堂々としてりゃ良いのさ』

『いや泊めて貰うの一度は断ったのに戻ったら流石に恥ずかしいってっ!』

 

俺はヒューズの言葉にそう返す。……実際、一度は断ってるからなぁ。下手に戻ったら恥ずかしさで俺が悶え死ぬかもしれん。

 

「……とりあえず、ギルドで冒険者登録してからだな」

(現実逃避的な意味でも)俺はそう呟き、とにかく教えて貰ったギルドを目指して町中を歩いていた。

 

そんな時だった。

 

「ねぇ、ちょっとっ」

「えっ?」

 

不意に、声を掛けられた気がした。声がした方に振り返る。そこにいたのは、女の子だった。数は2人。

 

1人は黒髪に眼鏡。黒に近い紺色のローブを纏っており、手には錫杖のような物を持っていた。……モロ見た目がゲームの僧侶とか何だよなぁ。

 

もう1人はワインレッドのロングヘアをポニーテールでまとめ、ラフな服装の上に肩に掛けるクロークを纏い、背中に弓と矢筒を。腰に短剣を装備した、如何にも狩人という感じの女の子だった。

 

そして少し緊張気味の僧侶らしき子と、鋭い目線で俺を見つめている狩人らしき子。

 

「え、えっと、俺?」

「そうよっ。他に誰がいるっての?」

狩人らしき子は、何というかイメージ相応な少し高圧的な態度で返事を返してきた。う~ん、何というか見た目通りなんだけど、こう言う高圧的な人間を俺は好きでは無いし、本音を言うと嫌いだし苦手だ。……とりあえず、当たり障りの無いようにしておこう。

 

「で、ですよね~。……で、俺に何か用ですか?」

「アンタ、この辺にある冒険者ギルドの場所知らない?」

「ギルド?なら知ってる、と言うかこれから向かうところですけど」

「ッ。……もしかしてアンタ、冒険者なの?」

彼女はどこか興味ありげ、と言うか品定めするように俺の事を見つめている。

 

「あ、えっと。違うよ。これから冒険者としてギルドに登録に行くんです。良ければ案内しましょう、か?」

「……そうね。なら案内して貰おうかしら。ほら、行くわよティア」

「う、うん」

赤い髪の女の子の言葉に僧侶らしき彼女が頷く。

 

「あ、え、えっと案内するのは良いんだけど、先に名前だけ聞いておいても良い、かな?」

「名前?アタシは『メリサ』。こっちは幼馴染みの『ミーティア』よ。これで良い?」

「は、はじめまして」

 

面倒くさい、と言わんばかりの狩人少女改めメリサと、僧侶っぽう見た目のミーティア。

「え、えと、俺はレイ、です。よろしく」

「よろしく。……んじゃ、案内よろしく」

「あ、は、はいっ」

 

俺は戸惑いながらも、2人を連れてギルドへと向かった。

「え~っと、教えてもらった場所は、ここか?」

 

やがてたどり着いたのはそこそこ大きな建物だ。木造で、入り口の上には冒険者ギルド、と書かれた看板と共に、剣と盾のマークの看板らしきものが吊り下げられていた。

 

「どうやらここみたいだね」

「そうね。んじゃ、ありがと。行くわよティア」

「う、うん」

 

そう言うと、メリサはスタスタと歩き出し、それに遅れて付いて行くミーティア。な、何か、ドライ過ぎじゃねっ!?いやありがと、って言われたけどさっ!……ハァ、まぁ良いか。

 

俺は2人の後を追うように、開かれていたギルドの扉をくぐり、中へと足を踏み入れた。

 

中にいたのは、何と言うか想像通りの者たちだった。武器と防具を装備した男連中が、依頼でも張り出してあるのだろう大きなボードの前にたむろしている。更に奥には食堂らしき物があるんだろう。そこで勝利の祝杯を挙げてるような連中もいる。

 

うん、何と言うかまぁ、ゲームとかラノベでありがちな感じだな。……まぁ、変なシステムが無い分、驚いたりしないけど。

 

『ほ~~。ここが冒険者ギルドって奴か?』

『何か男ばっかりだなぁ』

その時聞こえて来たジブとオクタンの声。

 

『しょうがないよオクタン。冒険者なんて、命がけの仕事だからね。性別で力の優劣を付ける訳じゃないけど、こういうのは荒っぽい男向けの仕事だよ。高ランクの討伐依頼とか護衛任務とか、もうやってることが傭兵と大差ないからね』

 

俺はオクタンの言葉に答えつつ、総合受付らしき窓口へ続く列に並ぶ。どうやらその窓口は複数あるらしく、別の列にさっきのメリサとミーティアの2人が並んでいるのが見える。

 

『力に頼る連中の仕事場、というのは分かるけど、じゃああの2人はどうなのかしら?』

『確かに。どう見てもレイと歳はそう変わらないように見えるけどね』

ローバとライフラインが言っているのはあの2人の事なんだろう。

 

『冒険者にそれほど憧れてるのかしら?』

『……或いは、そうせざるを得ない理由があるか、だな』

そこに続くワットソンの疑問とクリプトの言葉。……まぁ、どっちかだろうなぁ。

 

『普通に考えれば、あんな歳の子が二人だけで冒険者やるなんて考えられないでしょ?俺には心強いみんなが居るから良いけど、じゃないと周囲が止めるよ。親とか、兄弟とか』

『……何か理由がありそうね』

そこに響くバンガロールの声。

 

『けどよ、今後あいつ等に俺たちが関わる事、あんのか?案内してはいさよなら、って感じだったぜ?』

『えぇ。残念ですが、彼女たちはマスターに大して興味が無いように思えました』

と、今度はミラージュとシアの言葉。しかし2人の言う事も最もだ。

 

『まぁちょっと心配になっただけだよ。けど、確かに2人の言う通り、今後俺たちがあの2人と関わる可能性なんて、限りなく低いだろうけどね』

 

と、思っていると……。

 

「は~い、次の人~」

「っとっ!は~~い!」

 

いつの間にか俺の番になっていた。待っていると声がかかったので、咄嗟に返事をしながら受付の所まで行く。

 

「いらっしゃい。冒険者ギルドへようこそ。今日はどういったご用件で?」

「えと、実は俺、冒険者として登録をしたいんですけど……」

「あぁ。冒険者希望の子だったのね」

 

受付のお姉さんは頷くと、どこからか書類とペンを取り出した。

「それじゃあまず、この用紙に名前と年齢を記入して。あと、実戦経験の有無とか、色々質問の欄が下にあるから、それに答えて。あっ、読み書きが出来ないなら代筆もやってるけど?」

 

「あっ、大丈夫です。それくらいは出来ますから」

俺はお姉さんにそう答え、早速色々な事を書いていった。

 

名前はレイ。こっちの世界じゃ苗字があるのは貴族くらいだ。だから俺はただのレイだ。

 

次は年齢。ここは正直に16歳、と。

 

で~、次から続いているのはいろんな質問だった。例えば『既に魔物や悪人などを相手に実戦経験があるか?』とか。ちなみに注意事項として、『こちらは可能な限り書いてください』とある。つまり書かなくても良いようだが、まぁどうせだから書こう。どこで冒険者になれるかの成否が決まるか分からないし。

 

とりあえず、『少しはあり』と、実戦経験の有無の質問には答えておく。

『おいおい、お前さんの実戦経験は少し程度じゃねぇだろ?もっとでっかく、盗賊団数百人を壊滅させたとか書けば良いだろ?』

『いやいやヒューズ。流石にそれは信じてもらえないって。だからこの程度で良いの』

 

と、彼の言葉に答えつつ書ける所だけを書いていく。

 

え~っと?『血や内臓を見るのは大丈夫ですか?』。狩りとかで見慣れてるし、はい。

『協調性はある方ですか?』。まぁみんなと上手くやれてるし、ある方か?はい。

『パーティーで依頼を受けた場合、報酬は原則として山分けとなります。こちらに納得できますか?』。まぁそりゃ納得するしかないだろ。皆で戦ったんだし。はい。

 

と、色々な質問に答えていく。そして書き終わったので、それをお姉さんに渡す。

「はい、ありがとうございます。ではこちらを」

そう言ってお姉さんが渡したのは、数字が掛かれた木札だった。

 

「これは?」

「あなたの順番となる木札です。これからあなたが冒険者として相応しいかどうか、こちらで判断させていただきますので」

「え?冒険者って、誰でもなれる訳じゃないんですか?」

 

「はい。こちらとしても、犯罪歴のある方やトラブルを起こすような方、受けた依頼を頻繁に投げ出して逃げる方などを冒険者として登録したのでは、信用にかかわりますので」

「な、成程」

 

ここに来ての思わぬ発言。確かに、ギルドに依頼するのはギルドを信用しての事。その信用が無くなればギルドの存在だって危ぶまれる。……危ない奴や力のない奴は冒険者にしないって事か。

 

「では、その木札をお持ちのままお待ちください。あちらの登録窓口の者がその数字で呼びますので、それまでお待ちください」

「分かりました」

 

俺は木札を手に列を離れる。さて、どうしたもんか、と考えていると……。

「あら??」

「あ。さっきの」

偶然近くにやって来たのはさっきの2人、メリサとミーティアだった。2人とも俺に気づいた様子。

 

「あ、ど、どうも」

俺も二人に気づいて小さく頭を下げる。

「へ~。アンタも木札、貰ったのね」

メリサ、さん?は俺の手にある木札に目を向けるとそう呟く。

 

「うんまぁ、そのために来たので」

「あっそ。……けど、アンタ冒険者として採用されるのかしらね?」

「え?」

「何か、見たところ武器らしい武器も持ってないし。筋肉だってついてる感じしないし。……はっきり言って、弱そうよね、アンタ」

「ちょっ!メリサちゃんっ!流石にそれは、し、失礼だよ……っ!」

 

彼女の言葉に、ミーティアさんは冷や汗を浮かべながら止めに入る。

 

「まぁ良いよ別に。気にしないから」

俺はそう言って自分の木札に視線を落とす。これでもホルスターを装備して、ウィングマンをぶら下げてるんだが、やっぱり銃を知らない人が基本、か。まぁファンタジー世界にマシンガンとかあったらどうするんだよって話だけど。

 

「ほ、ほらメリサちゃん、行こっ?」

「はいはい」

 

結局2人はそのまま離れていった。

『はっ、見る目の無い嬢ちゃん達だなぁ』

そこに聞こえるオクタンの声。

『こほっ、無理もない。この世界にはおそらく、銃器は、存在しない。例え、それを見えるように携帯していた所で、こほっ。連中にその有用性や威力など分かるはずもない』

『しかし良いのかよぉレイ。舐められてるみたいだったが?』

コースティックの言葉に続くヴァルキリーの言葉。

 

『別に気にしてないよ。どうせ、今後会うかどうかも分からないし』

『そうね。それに、それくらいでいちいち目くじらを立てる必要は無いわ。仮に、今後一緒になる事があるのなら、むしろその時にあなたの力を見せつけなさい、レイ』

『うん、わかったよレイス』

 

彼女からのアドバイスに、俺は内心笑みを浮かべながら頷く。その後も心の中でレジェンド達と雑談をしていると……。

 

「冒険者登録の方~~!番号72番の方~!いますか~!」

『おっと、レイの番号だねっ』

「あっ!はーいっ!」

ホライゾンが真っ先に気づき、俺は座っていた椅子から立ち上がって、職員さんのいる窓口へと向かった。

 

で、そこで色々話す事になったんだけど……。

 

「単刀直入に伺いますが、この書類に記入していただいた事に、嘘偽りはありませんか?」

「はい」

「……実戦経験は、少ないがありとの事でしたが、具体的には?」

「俺の育った村が盗賊の襲撃を受けた事があるんです。そこで少し」

「そうですか。……これは罪に問われる者ではありませんので、正直に答えてください。悪人とは言え、人を殺した事は、ありますか?」

「……はい」

 

デリケートな質問なので、俺は静かに答える。が、しかし担当の職員さんの表情は硬く、俺を疑っているようだった。まぁ無理もない。こんな俺みたいなガキが悪人と戦った経験があるなんて、信じられないだろう。十中八九、虚偽の申請と思われてるかもしれない。

 

「そうですか。しかし、正直に申し上げるとこの書類に掛かれた事は、あくまでもあなた個人の言葉です。嘘が無いと、我々が判断するのは難しいのです」

おっと、雲行きが怪しくなってきたぞ。

 

「それって、冒険者になれない、って事ですか?」

「……『このままでは』、そうなります」

「ん?このままでは、ってどういう意味ですか?」

 

「何か、貴方の強さを証明できる物はありませんか?或いは我々ギルド職員の前で実力を披露すると言った事や、他には、我々ギルドが貴方を信頼に足る人物だと判断する、何かしらのアイテムや実績などがあると良いのですが」

「はぁ」

 

つまり、力を示すなりして、ギルドからの信頼を勝ち取れと。さて、どうしたもんか?

 

と、俺が内心悩んでいると……。

『ブラザー、ここはあの伯爵夫人から貰った指輪の出番じゃないのかい?』

『あっ、そっかっ!ありがとうジブッ!』

「え~っと、信頼の証、になるかは分かりませんが……」

 

そう前置きしながら、俺は腰のポーチに手を入れるフリをして、金バックの中から『あれ』を取り出す。そう、リランダ様からいただいた指輪、オーダーリングだ。

 

俺はオーダーリングの箱を取り出し、開いて職員さんの前に置いた。

「これは、指輪?」

 

なぜこんな物を?と言わんばかりだった職員さん。しかし、メダルに描かれた家紋を見て驚いた様子だった。

 

「ッ!?こ、これはクイットナー伯爵家のオーダーリングッ!?」

すると、驚きのあまり声を上げてしまった。だがそれが悪かった。

 

「おい、なんだ?オーダーリングとか、今伯爵家の名前が聞こえたが?」

「クイットナー伯爵家って、確かこの辺りを収めてる有名貴族だろ?」

「おい、オーダーリングってなんだ?」

「確か、貴族が数少ない、友人として認めた相手に贈る友好の指輪とか何とか」

「それをあのガキが持ってるってのか?」

 

周囲から微かに聞こえるヒソヒソとした話し声。う~ん、ヤバイなぁこれ。俺が注目されてしまう。

 

「あの~」

「は、はいっ」

さっきとは違い、俺を貴族の関係者、しかもこの土地を収める貴族の関係者だと思ったのか、職員さんも妙に力んでいる。

 

「それ、ギルドが俺を信頼する証に、なりますかね?」

「そ、それはもうっ。クイットナー伯爵家の関係者となれば、十分にっ!」

 

って事で、どうやら俺は冒険者として無事、登録できるようだ。『専用のプレートをお持ちマスので、お待ちをっ!』なんて言って離れる職員さん。プレート、ってのはまぁ、恐らくゲームで言うステータスプレートって所だろうなぁ。

 

と思いながら待っていると……。

 

「どういう事っ!?アタシたちが冒険者登録できないってっ!」

うぉっ!?なんだっ!?急に怒鳴り声が聞こえて来たので視線を移すと、視界に入ったのは怒り心頭と言った様子のメリサと、その隣でオロオロしているミーティアだった。

 

「残念ながら、お二人の実力はともかくとしても、冒険者として問題ありとさせていただきました」

「問題っ!?アタシたちのどこに問題があるって言うのよっ!」

「まず、メリサさんは協調性に難ありとさせていただきます。報酬の山分けに対する答えも、『一番活躍した奴がそれだけ多く貰う』と記入していますね?」

「それのどこが悪いって言うのよっ!当たり前の事でしょうがっ!」

「それが悪いのです。……残念ながら、冒険者界隈はソロで活動できるほど、甘くはありません」

「じ、じゃあそのためのミーティアよっ!アタシ達が一緒に活動すれば、ソロじゃ無くなるわよっ!」

「残念ながら、そのミーティアさんも、こちらの判断では戦闘に向かないと判断しました。加えて、お二人の関係としては、メリサさんがミーティアさんを引っ張っていく、と言う形ではありませんか?」

「そうよっ!ティアは臆病だから、私が前に立って色々してやってるのよっ!」

 

「ならば、それはつまりお二人の行動の決定権はメリサさん1人にあると言っても過言ではありませんね?となると、あなた1人の一存で、あなただけではなくミーティアさんまで危険に晒しかねないと言う事になります。……よって、残念ながら冒険者登録は出来ません」

 

どこまでも怒るメリサに対し、職員さんは淡々と告げている。……あの慣れ具合から察するに、恐らくこれまでも、あんな風に窓口で冒険者になれない事をごねた連中がたくさん居たんだろうなぁ。

 

と、その時。

 

「冗談じゃ、無いわよ……っ!ここもダメなら、今の私達に居場所なんて……っ!」

 

本当に悔しそうに、唇をかみ切らんばかりに歯を食いしばっているメリサ。その傍で、ミーティアは今もオロオロとしてばかりだ。

 

俺がその姿を見ていると……。

 

『どうするのだ、レイ?』

『……あの子たちを助けたい、って言ったら偽善になるかな?』

俺はブラッドハウンドの言葉に問いかける。

 

『あの様子からして、恐らく彼女は助けられる事に屈辱を感じるかもしれません。善意を善意のまま受け取るとは限りませんマスター。それは時に、最も相手を怒らせる事になるのですから』

シアの言葉も最もだ。優しさが、時に誰かを怒らせる事だってあるかもしれない。特に、彼女みたいな手合いはそう言うのを嫌いそうだ。何て言うか、自分の力を信じていると言うか、自分の力で道を切り開きたいタイプなんだろうなぁ。

 

まぁでも。

『でもこのままじゃ、彼女たちは冒険者にはなれないわね』

『なら助けてあげた方が良いんじゃない?それに、『恩を売る』って言葉もあるしっ!恩は売っておいても損にはならないんじゃない?』

ワットソンの言葉に続く、若干違うと言うか、それでいいのか?みたいなパスファインダーの言葉に俺は内心苦笑するが。まぁパスの言葉にも一理ある、か。

 

「さて、職員さんも戻ってこないし。……お節介でも焼きますかぁ」

 

そう言うと、俺はメリサ達の方へと歩み寄る。

 

「あの~。ちょっと良いですか?」

「ッ!?アンタッ、何よ横からっ!邪魔しないでっ!」

 

「あなたは、オーダーリングの」

「えぇ。レイって言いますけど、まぁそれは今どうでも良くて。俺から一つ、この2人とギルドに提案があるんですけど」

「ッ」

「提案?」

息をのむメリサと首をかしげる職員さん。

 

「はい。彼女たちはこのままじゃ冒険者になれないみたいですけど、そんな彼女たちと、俺が臨時でパーティーを組むのはどうです?俺はこの土地を収めるリランダ伯爵夫人からオーダーリングを貰えるくらいには信頼されていますし、そんな俺が彼女たちと一緒に居るのならって事で。……どうですかね?」

 

「……確かに、あのクイットナー伯爵家から信頼されているほどの子なら、申し分は無いけど……」

 

「ちょっとっ!何勝手に話を進めてるのよっ!アタシ達はアンタの手助けなんか要らないっ!自力で冒険者にっ!」

「あぁ、一つ行っておく。これは手助けじゃない。未来への投資だ」

「……何ですって?」

メリサは鋭い視線で俺を睨みつける。

 

「生憎俺には、今現在冒険者の知り合いがいない。人脈が無い。だから今の内に冒険者の知り合いを作っておきたい、そう言う事だ」

「……それが、アタシ達を手助けする理由?」

 

「いや。それだけじゃない。さっき、そこの職員さんが行ってただろ?冒険者はソロでやれるほど、甘くはないって。しかも俺は新人だ。だからこそ、最初から1人は怖い。そこでパーティー仲間が欲しい。……だからそう、これは対等な取引だ」

「取引?」

 

「あぁ。俺の信用を使って、2人を冒険者にする。だから代わりに、俺に協力する、或いは一緒にパーティーを組んで欲しい。それが取引だ。……どうだ?受けるか?」

 

「………」

俺の問いかけに彼女はしばし沈黙したが……。

 

「良いわよ。その取引、乗ってやるわ」

 

彼女はどこか、悔しそうにそう言った。

 

「結構だ。これで、取引は成立だ」

 

 

こうして、俺はオーダーリングの力もあって、彼女たちと共に冒険者になる事が出来た。もちろん、メリサ・ミーティアの両名はギルドが許可をするまで、原則として俺を含めた3人で依頼を受けるようにと言われてしまった。

 

そしてその後、窓口で受け取ったのは、冒険者の証である『ステータスプレート』と呼ばれる物だ。

 

その見た目は軍隊で言うドッグタグにそっくりで、表面には名前と年齢、性別。そして冒険者のランクが表記されていた。

 

冒険者には、全部でSSS、S、A、B、C、D、E、Fの、合計で8段階のランク分けがされている。SSSやS、Aで一流冒険者。BからCで中堅。Dで一人前、Eで半人前、Fで新人、と言った感じだそうだ。

 

そして、俺もメリサもミーティアも、全員がFランクからのスタートだ。付け加えるのなら、ギルドにある依頼も同じSSSからFまでランクで難易度分けがされている。そして冒険者は、原則として自分のランクよりも上のランクの依頼は受けられない、だそうだ。

 

そうして、ステータスプレートの配布と共に冒険者登録を完了した俺は、メリサ・ミーティアと共に冒険者ギルドを出た。

 

そしてその前で。

 

「……一応、感謝はしておくわ。ありがと」

「は、はい。ありがとうございました」

ぶっきらぼうに答えるメリサと、まだ少し俺に対して緊張した様子で頭を下げるミーティア。

 

「まっ、気にしなくていいよ。こいつは、さっきも言った通り取引だ。とりあえず、明日から一緒に冒険者として活動する、って事でOK?」

「……非常に不本意だけど、アンタとの取引だからね。やるわよ」

「は、はいっ」

 

「OK。なら、改めて名乗っておこうかな。新人冒険者のレイだ。これからよろしく」

そう言って俺は右手を差し出すが……。

 

「勘違いしないで。私達はあくまでも取引をしたビジネスパートナー。感謝はしてるけど、そこまで馴れ合う気はないから」

 

っと、メリサから辛辣なコメントが返される。まっ、それでも良いさ。

 

「了解した。とにかく、明日から頼むよ」

 

こうして俺は、何の因果か冒険者の少女2人、メリサ、ミーティアの2人と行動を共にする事になったのだった。

 

     第6話 END

 




感想や評価など貰えるとやる気につながるので、良ければお願いします。

あと、メリサとミーティアは、一応ヒロインの予定、です。
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