異世界に『APEX Legends』のレジェンドたちと共に転生してしまった   作:ユウキ003

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遅くなりましたが最新話です。


第7話 

いろいろな紆余曲折がありながらも、俺は冒険者になるために冒険者ギルドへと向かった。道中、俺と同じく冒険者になろうとする二人の少女、メリサとミーティアと遭遇した。そして、たまたまではあるが冒険者への登録が出来ずにいた彼女たちを、いつものお節介で助けるのだった。

 

 

ギルドの前で二人と別れた俺は、宿を探して街中を歩いていた。宿については事前にリランダ様達からアドバイスと言うか、お勧めの宿とかを教わっている。最初に向かったのは、そこそこいいお値段の宿だ。まぁリランダ様から貰ったお金もあるから大丈夫だろう、とは思ってたんだけど、どうやらすでに部屋がいっぱいだった。

 

なんでも、最近この近くで魔物が無数に確認されているらしい。

 

ちなみに魔物ってのは、王道ファンタジーゲームの魔物と相違ない。ゴブリンとかドラゴン、リザードマンにグリフォンとかコカトリスとか。時に人を襲い、時に人から恐れられる存在だ。

 

で、宿の人に話を聞くと、何でも魔物の素材は、部位や魔物の種類によっては高値で取引されるらしく、当然魔物が増えれば街道の安全確保のためギルドに討伐依頼が出される。そして、依頼をこなした冒険者たちは、依頼を達成して金を稼げるほかにも、自分たちが倒した魔物の素材を売って金に換える事が出来る。

 

早い話、一石二鳥ってわけだ。なので今、この辺りにはかなりの数の冒険者が集まってるらしい。なのでこの宿もいっぱいなんだとか。

 

仕方なく、俺は別の教えられていた宿に向かった。しかし良い所はほとんど押さえられてしまっていた。そして8軒目になって、ようやく安宿に部屋を一つ取れた。よく言えば老舗。悪く言えば少しボロい、古びた宿だった。しかしそれでも宿が取れたのはありがたい。

 

朝食は簡単なものが付く事や、体をふいたり洗濯のための水や桶、タオルくらいは貸し出す事などの説明を受けた俺は、とりあえず一か月分の金を払い、鍵を受け取ると部屋に向かった。

 

部屋の中にあったのは一般的なベッドと机に椅子とテーブル、窓もあって外の様子も分かる。明かりになりそうなのは、持ち手のある燭台と、テーブルの上に置かれた蝋燭数本くらいか。……うん、まぁこんなものか。

 

などと考えながら俺はベッドに腰かける。すると……。

『な~んか古い宿だな~』

『そうね~。この宿、セキュリティとか大丈夫なのかしら?』

 

俺の周囲に、霊体化した状態のミラージュやワットソンなどが現れる。みんな、宿にいろいろ不満があるようだ。

『まぁ、仕方ないよ。他の宿はどこもいっぱいだったんだし。部屋を取れただけでも良い方だよ』

『けどよぉ、こんなボロッちい宿に泊まるくらいなら、あの貴族のばあさんの所に泊めてもらった方が良かったんじゃねぇのか?』

『ははっ、まぁこれも冒険者の醍醐味って奴だよ。いろんなところを旅して、色んな宿に泊まったりしてさ』

不満そうなランパートの言葉に答える。すると……。

 

『それはそうだけど、本音は?』

『あんな豪勢な屋敷じゃ休みたくても休めそうになくて』

どうやらローバにはお見通しのようだ。俺は仕方なく本音を漏らした。

 

『ははっ、まぁレイの好きなようにすりゃいいさ。それよか、明日は早速ギルドで仕事受けるんだろ?昨日今日といろいろあったんだ。早く休んだ方が良いぜブラザー』

『うん。じゃあそうさせてもらうよ』

 ジブラルタルのもっともな意見に頷き、ベッドに近づいたんだけど。

 

『あっ。そうだランパート、一つ聞いて良いかな?』

『ん?どした?』

『実は武器の事でちょっと相談があってさ。ピースキーパーをもっとショートバレルに出来ないかな?』

『はぁ?ピーキーをショートバレルって、何だってまた?』

『いやね、明日から俺も冒険者として仕事をする訳だけど、そうなると戦う事になるかもしれないし、あの二人、あんまり一番前で戦うって感じじゃなかったからさ。となると、俺が一番前で戦うしかないじゃん?そうなると近距離で破壊力があって。でもある程度二人を中距離からカバーできる武器が欲しくてさ』

 

『なるほどね。んで、取り回しをよくするためにショートバレルのピーキー、って所か?』

『うん。その通りなんだけど、どう?』

 

『う~~ん』

俺の言葉に、ランパートは少し悩むようにうなり声を漏らした。

 

『まぁ、不可能じゃねぇけど、おすすめは出来ねぇなぁ』

『どうして?』

『ピーキーの持ち味はその破壊力、全弾当たった時の一発の威力のデカさだろ?下手にバレルを弄ると威力が下がるかもしれねぇし、弾の拡散率も上がる。それにストックを短くしたらバランスが悪くなっちまうからなぁ。正直、あんまりお勧めは出来ないぜ?まぁ、やってくれってんなら出来るけどよ』

『そっか。分かったよランパート、ありがとう』

 

ランパートは、エーペックスレジェンズの作中内で銃の改造などをしていた事もあり、銃火器に精通している。となれば、そのアドバイスは適格だ。ならば彼女のアドバイスを素直に聞いた方が絶対良い。

 

『レイ、それならオルタネーターはどうかしら?』

すると、俺とランパートの話を聞いていたのかバンガロールが会話に交じってきた。

 

『SMGのオルタネーターを?なんで?』

『オルタネーターは扱いやすい武器よ。例えば洞窟や市街地、屋内などの接近戦でも十分取り回しが出来る程に小型で、それでいて一発の威力も決して低くはない。射撃時の反動も少ないからリコイル制御がしやすいし、そのおかげか中距離でもそこそこ戦える。確かに私たちが持っている他の武器と比べると、連射力は劣るわ。でもそれは、比較対象が私たちの持つ武器の中で限定されているからよ。まともに銃火器があるかどうかも分からないこの世界においては、オルタネーターは強い武器になれるわ』

 

『なるほど。オルタネーターか』

 確かに前世の、ゲームの中のエーペックスでは割と序盤から持ってるし、何なら終盤、接近戦用のサイドアームとして結構使ってた。こっちの世界に転生して、いろいろ武器を扱ったこともあるけど、俺たちが使う武器は基本的にゲームのエーペックスの性能や反動の強さ、特性をそのまま反映している。

 

R301ならその高い万能性。スピットファイアなら高い火力。クレーバーならそのワンパン火力。マスティフやピーキーなら一撃の重さ。って具合にね。

 

『近距離で弾をばら撒くだけならRE45なんかもいいけど、仲間を中距離からカバーするとなると、反動も低くて精度も高いオルタネーターの方が良いんじゃないかしら?』

『なるほど。ありがとうバンガロール、すごく参考になったよ』

 バンガロールは元軍人。だから彼女も銃火器への造詣が深い。となれば、彼女のアドバイスに間違いはないだろう。

 

『気にしないで。あぁそれと、もしオルタをメインにするのなら、サブはRE45かモザンビークをお勧めするわ』

『REはさっき言ってた弾をばら撒くってやつだけど、モザンビークはどうして?』

『あれは大型の弾を一回で3発同時に発射するからよ。おかげで、多少エイムがズレても当たるし、一発の威力もそこそこ。更に相手の図体が大きければ大きいほど、3発同時ヒットを狙いやすい。更に弾の大きさもあるから、狭い通路なんかだと、連射しての面制圧も出来るからね』

『ふむふむ』

『それから、可能ならオルタのレーザーサイトをフラッシュライトにしておいたほうが良いかもしれないわね。オルタはそれ自体が対して反動も大きくないし、いざという時相手の目くらましに使えるかもしれないわ。それから……』

 

 ってな感じで、俺はいろいろバンガロール。更に話を聞いていたブラッドハウンドやライフライン、ジブラルタルなんかまで交じって、戦闘中何に気をつけろ、とか、負傷した時の応急手当の方法の再確認とか、いろいろ話を聞いてたら寝るのが遅くなってしまった。

 

 結果。

「ふぁ~~~~。眠っ」

 みんなにいろいろアドバイスをもらっていてすっかり寝不足になってしまった。今も大きな欠伸を一つしながらギルドへと向かっていた。 ギルドにたどり着き、早速中に入る。さぁて、二人は来てるかな~っと。……おっ、居た居た。

 

 二人を壁際に見つけた俺は、足早に近づく。

「おはようっ」

「あっ!お、おはよう、ございますっ」

「……おはよ」

 

 声をかけると、ミーティアはまだ緊張した様子で、メリサはそっけない態度で挨拶を返した。まぁ、出会って二日だ。仕方ない。

 

「さて、じゃあさっそく依頼を受けたいんだけど、どうする?」

「それについては大丈夫よ。もう目ぼしい依頼書、回収してあるから」

 そう言ってメリサが懐から取り出したのは、Fランク用の依頼書だった。

 

「早いなぁおい。で、内容は?」

「依頼内容はゴブリンの討伐。依頼主は町の郊外で大きな農場を経営しているそこの経営者よ。依頼書によると、以前から夜中に作物が荒らされる事が頻発。住み込みで雇っていた農夫たちに夜中の警備をさせていた所、先日農夫数人が畑を荒らすゴブリン数匹を発見。ゴブリンは農夫たちに発見されると、いくつかの農作物を持って農場近くの森に逃げ込んだそうよ。また同じような被害を出さないために、ゴブリンを討伐してほしいらしいわ。目標となる数は特になし。討伐した証として耳を持ち帰り、数に応じて報酬を払うってさ」

「成程ねぇ」

 

 ゴブリンってのは俺の前世でも、こっちでも有名な魔物だ。姿かたちも、何度か戦った事があるから知ってる。 緑色の体に、人間の子供程度のサイズ。醜い顔。こん棒や剣、弓を使えるくらいには知性がある事。そして、一番の問題は数が多い事だ。おかげで1体ごとの戦闘力は弱いが、群れると厄介だ。理想としてはゴブリンが群れになる前に、少数の時に叩くのがベストだ。 しかし……。

 

「しかし初依頼が討伐系って、大丈夫なのか?二人ともゴブリンと戦った事は?」

「無いわよ。無いけど、所詮ゴブリンでしょ?楽勝よ楽勝。それティアは初級だけど魔法が使えるんだからね」

 そう言って自慢げに笑みを浮かべるメリサ。

 

「へ~。ミーティアって魔法が使えるのか?」

「え、えぇはいっ。簡単な風と火、あとは初級の治癒魔法程度、ですけど」

「成程」

 魔法を使える、か。それは戦略の幅が広がるから良いな。俺はもちろんレジェンドたちも魔法は使えないし。

 

「逆にアンタはどうなの?」

「え?俺?そりゃぁ、育ったのが農村だったから、いざとなれば自衛するしかないから何度かゴブリン相手に戦った事はあるけどさ」

 とメリサの質問に答えると、二人とも驚いた様子だった。

 

「ふ、ふ~ん。ならちょうどいいじゃない」

「は、はいっ、心強いです……っ!」

 どこか上から目線ながらも緊張した様子のメリサ。対して安堵するような表情を浮かべるミーティア。 うぅん。まぁ本人たちがやる気のようだし。ゴブリン相手なら何とかなるだろう。いざとなればレジェンドたちに救援を頼むとして。とりあえず色々調査してから考えないとな。

 

「それじゃあ二人とも、この依頼を受けるって事で良いんだな?」

「えぇ」

「は、はいっ」

「よし。じゃあ早速受付で申請したら、依頼主の所へ行くぞ」

「はっ?なんでよっ、すぐに森に向かってゴブリンを討伐すれば良いじゃないっ!」

 

「いいやダメだ」

「ッ!」

 疑問をぶつけてくるメリサに、俺は真剣な表情で答えると彼女は息を飲んだ。

 

「俺には狩りを教えてくれた師匠がいるが、その人が言っていた。油断こそが戦場や狩りの場における最大の敵だ、とな。だからこそ、『たかがゴブリン』なんて侮ってると足元を掬われかねない。そうならないように、まずは情報収集だ。良いな?」

「……わ、分かったわよ」

 

 俺の言葉に、少し不満こそある様子だったが彼女は頷くだけで文句は言ってこなかった。

 

 俺はブラッドハウンド、ブロスフゥンダル師匠から色々教わっている。その内容は軍隊で言う斥候兵と何ら変わらないレベルだった。 もし襲撃された農場近くにゴブリンの痕跡などがあれば、そこから何か情報を得られるかもしれないからな。

 

 というわけで、早速受付で依頼を受理してもらった俺たちは俺を先頭に依頼主の農場へと向かった。  農場は町から歩いて30分程度の所にあった。 たまたま畑で働いていた人が居たので、声をかけて依頼を受けた冒険者である事を伝えると、経営者らしい初老の男性がやってきた。

 

「君たちが依頼を受けてきてくれた冒険者だね。私はこの農場を経営している依頼主だよ」

「はじめまして。レイと申します。こちらは仲間のメリサとミーティアです」

 俺がそう言うと、二人とも小さく頭を下げた。

 

「はじめまして。しかし、なぜこちらに?」

「えぇ、実はゴブリンに襲撃された時の状況を詳しく知りたいと思いまして。相手の数や行動から何か分かるのではと思い情報収集のためにこちらへ」

「そうでしたか。分かりました。ではこちらへ」

 

 そう言って案内されたのは、ゴブリンの足跡が残る場所だった。俺は足跡がある場所にかがみこむ。ふぅむ、この足跡の数だと……。

 

「目撃されたゴブリンについて、数は分かりますか?」

「えぇと、確か農夫たちの話では、7匹程度だったと」

 7匹、か。確かにそれくらいの足跡はあるな。やがて視線を上げると、前方に森が見える。足跡もそちらに向かっているな。

 

「ゴブリンが逃げ込んだ森というのはあそこですか?」

「えぇ。そうです」

「やっぱり、か。わざわざお時間を頂いてありがとうございました。それでは、我々はゴブリンの討伐に向かいます」

「はい。どうか、よろしくお願いします」

 

 依頼人は深く俺に頭を下げると、家の方へと戻って行った。 さて……。

 

「行くか」

 俺は右足のホルスターに入れていたオルタネーターを取り出す。ハンドルを引いて初弾を薬室に装填すると一度それを戻し、今度は左足ホルスターからサイドアームのRE45を取り出し、こちらもスライドを少し引いて薬室に初弾がある事を確認するとそれを元に戻す。

 

 再びオルタネーターを取り出すと、俺はメリサとミーティアの方へと振り返った。

 

「前衛は俺が。二人は後ろの警戒と援護をお願い」

「えぇ」

「わ、分かりましたっ!」

 メリサは普通を装っているが、表情が僅かに硬い。ミーティアの方は、あからさまに緊張している。……こりゃ、言っちゃなんだけどあんまり当てになりそうにないな。

 

「っしっ、行こう」

 俺は二人を連れて歩き出した。 農場から始まる痕跡を追いつつ、オルタネーターを構え周囲を警戒しながら進んでいく。

 

 幸いな事に、依頼が出されてから雨などが降っていなかったため、痕跡はかろうじて残っていた。周囲を警戒しつつ、俺を先頭に痕跡をたどって行く。

 

「……アンタ、まるで狩人ね。どこでそんな技術を身に着けたのよ?」

「師匠に実戦も交えて散々教えられたんだよ。そういうメリサこそ、武器や弓に短剣、見た目まるで狩人じゃないか。もしよければ、俺の師匠を紹介するぞ?」

「結構よ。アタシは自分の力でのし上がるんだから」

「そうか。まぁ、頑張るんだな」

 

 そんな会話を交えつつ、歩みを進めていると少し開けた場所に出た。が……。

 

「ッ!こいつは……っ!」

 

 そこにあったのは惨状、などでは無かった。痕跡だった。だが、問題はその痕跡から得られた『情報』だ。

「何よ。どうしたの?」

「な、何かありましたか?」

「……あぁ、あるにはあった。だが、あまりよくない知らせ。いや、この際、悪い知らせというべきかな」

 

「悪い知らせ?あんまり聞きたくないけど、何なの?」

「こいつを見てくれ」

 メリサに答えるように俺は周囲を警戒しながら地面を指さす。

「こいつは今まさに俺たちが追ってきた痕跡だ。跡が消えかかっているが、足跡の数と目撃情報から数えて、約7匹分の足跡がある。そして、次はこっちだ」

 

 俺はこの開けた場所で見つけた、『新しい痕跡』へと近づき、その前で屈みこむ。

 

「見ろ。この痕跡は、今まさに俺たちが辿って来た道とは別方向からやってきて、ここで俺たちが追ってきた足跡と合流している」

 俺は痕跡を遡るように、森の奥を指さす。

 

「こちらの足跡もゴブリンの物が8つ程確認できる。つまり最低でもゴブリンは15匹いると考えていいだろう」

「じゅ、15匹も、ですかっ!?」

 思わぬ数字だったのだろう。ミーティアが驚愕の色を浮かべている。

 

「それが何か問題あるの?要は15匹くらいゴブリンがいるって分かったんでしょ?それっていい事じゃないの?」

「それ自体はな。だが、問題はこっちだ。こいつを見てみろ」

 そう言って俺は足跡の一つを指さす。二人は、こちらに近づいてきて足跡に目を向ける。

 

「ん?何、これ?ゴブリンの足跡、じゃないわよね?」

「う、うんっ。他のよりもずっと大きい、よね」

「あぁ。ゴブリンの足跡に交じって、その倍はある大きさの足跡が付いている。こいつはおそらく、『ホブゴブリン』の足跡だ」

 

「えっ!?ほ、ホブゴブリンって、確かゴブリンの上位種、ですよね!?」

「あぁ」

 驚き、青ざめた表情を浮かべるミーティアに俺は頷いた。

 

「ゴブリンそのものは人間の子供と同程度の大きさしかないが、稀にその中から、今度は成人男性よりも大きな個体、ホブゴブリンに進化する奴がいる。小さなゴブリンと違って、体重やパワーが桁違いに跳ね上がる。更に、足跡を見てみると、右足と思われる痕跡がいくつかある。このことからおそらく、ホブは最低でも2匹いるだろう」

「えっ!?ほ、ホブが2匹にゴブリンが15匹なんて、そ、そんなの私たちみたいな初心者が倒せる相手じゃないですよっ!?」

「……残念ながら、こいつは、ゴブリンどもの戦力を小さく見積もって、『最低限それくらい居るだろう』という憶測だ。実際にはもっといる可能性もある」

「そ、そんなっ!?」

 

「おそらく、こいつらは食料を調達していたんだろう。ホブのいた痕跡の方は、何か大型の獣を引きずっている跡と僅かな血痕が周囲に残っている。この跡の大きさから考えて、若い熊か、イノシシだろう。ここで農場を襲ったグループと合流し、向かった先はおそらく、奴らの根城になっている洞窟か何かだろうな。下手をすると、その根城にもっとゴブリンやホブがいるかもしれない」

「う、嘘ッ」

 次々と並べられる言葉にミーティアの顔は真っ青になっていた。

 

「だから何だっての?アタシ達は依頼でここに来たのよっ!?それを、高々ホブ程度に恐れをなして逃げるなんて言わないでしょうねっ!?」

「……逃げる、とは言わないが。念のためギルドに報告して判断を仰ぐべきだろう」

「ッ!?本気っ!?そうなったらただでさえ悪いアタシ達の評価に響くかもしれないのよっ!?」

 

「だとしてもだ。相手はホブ2匹にゴブリンが15匹以上。とても新人3人でどうにかなる相手じゃない。いや、今の数だって敵戦力の最低限度を割り出したに過ぎない。下手をすれば、何十というゴブリンとホブ数匹を相手にする事になるぞっ」

「だから退くっていうのっ!?情けないっ!それでも男っ!?どうせならもっと勇ましい事言ってほしいわねっ!」

 

「……そう言われても仕方ないかもしれない。だが、蛮勇で突撃して、後悔しながら死んでいくのはもっとごめんだ。お前だって、始まりの今日そんな死に方はしたくないだろっ!勇敢さと蛮勇さをはき違えるなっ!ここは戦場だっ!ちょっとしたミスで命だって落としかねないんだぞっ!」

「ッ!!」

 

 俺が声を張り上げると、メリサは息を飲みバツの悪そうな表情でそっぽを向いてしまう。

「メリサちゃん。ここは、レイさんに従おう?ね?こ、こんなところで死ぬのは私も、嫌、だよ」

「……分かったわよ」

 

 ミーティアの説得に、しぶしぶと言った様子で同意するメリサ。

 

「安心しろ。どう転がろうと報酬0なんかにはさせないさ。どうあろうと俺たちが受けた仕事だ。だがまずはギルドに戻るぞ」

 

 結局、俺たちは相手の戦力が予想以上に強大かもしれない、という事で一度ギルドに戻る事にした。 俺はゴブリンどもの合流地点から離れる時、最後に合流した足跡が向かう先、森のより深いところへと目を向け見つめた後、踵を返して歩き出したのだった。

 

 絶対、戻ってくるさ。こいつは戦いだ。今は退くが、まだ終わっちゃいない。エーペックスもそうだ。 どんなムーブをしようが。どれだけダメージやキル数が少なかろうが、最後に立っていた奴がチャンピオンだ。 そして、俺たちは生きている。生きているのならチャンスはある。……まだ、諦めたりするような状況じゃないって事だ。

 

     第7話 END




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