異世界に『APEX Legends』のレジェンドたちと共に転生してしまった   作:ユウキ003

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遅くなりましたが最新話です。皆さん、新シーズンのエーペックスはいかがでしょうか?私はランクでダイヤやらマスターにぼこぼこにされ、ルーキーランクまで落とされた挙句、そこでまたダイヤ帯の人らにボコられました。……なんであの人たちルーキーランクに居んのかなぁ?


第8話 

 冒険者となった俺は、ミーティア、メリサと言う二人の新人冒険者の女の子二人と依頼を受ける事に。記念すべき最初の依頼は農場を襲ったゴブリンの討伐だった。当初こそ数匹程度と思っていたゴブリンだったが、痕跡を追う事で、予想外の数とホブゴブリンが居る可能性もあって、俺たちは一度撤退する事にした。

 

 森から農場へと戻った俺たちは、念のため農場の責任者らに、森でホブゴブリンらしき大型の足跡を発見した事。不用意に森に近づかない事を伝えた後、町のギルドへと戻り、受付嬢にこのことを報告した。

 

「ほ、ホブゴブリンですかっ!?」

「えぇ。そのホブの物と思われる足跡を発見しました。しかも足跡の数から最低2匹に加えて、10匹以上のゴブリンの足跡も確認済みです。流石にホブ2匹もいるとなると、明らかに新人冒険者が戦う相手じゃないと思ったので。念のため報告と、判断を仰ぐために戻って来たんですよ」

「そ、そうですね。確かのホブゴブリンは初陣の冒険者が戦うような相手ではありません。ホブが2匹にゴブリンが10匹以上となると……。最低でもEランク冒険者パーティーか、Dランク冒険者クラスでないと……」

 

 どうやら受付嬢のお姉さんの反応から察するに、ホブは俺らみたいな初心者が相手をするような敵じゃないらしい。

 

『なぁレイ。今更だがいいのかよ?』

『何?オクタン』

『今の銃があるお前ならホブだってイチコロだろぉ?わざわざ報告なんてめんどくさい事しなくてもよくないか?』

『……まぁ、確かにね。でも、こういうのは先に断っておかないとね。後で『何を勝手な事をっ!』って文句言われても困るし。元社会人としては『報連相』はしっかりしておかないとね』

『そういうもんかぁ?』

 

 どこか気だるげなオクタンだが。

『ほら。良いからシルバ。ここはレイに任せましょ』

『う~ん。分かったぜ姉貴』

 ライフラインに声を掛けられ、渋々と言った様子で引っ込むオクタン。

 

 と、レジェンドたちとの話をしていると……。

「分かりました。ホブが確認できた以上、これはあなた達Fランク冒険者の手に余る依頼と判断し、ランクを引き上げ、あなた達の依頼を一旦白紙に戻します。その上で別の冒険者パーティーに依頼を引き継いでもらいます」

「ッ!ちょっ!」

 

「すみませんがそれは待ってもらえませんかね?」

「えっ?」

 お姉さんの言葉にメリサが声を荒らげるよりも早く、その対応を予想出来ていた俺が声を上げた。

 

「仮にも俺たちが受けた依頼です。想定外の事態になってしまったのは仕方ないとしても、俺たちも伊達や酔狂で冒険者やってるんじゃないんです。生きるために冒険者として仕事をしているんです。報酬が発生しませんじゃシャレにならないんですよ」

「し、しかしこれは、どう考えてもあなた方の手に負える依頼では……」

「なら、この際報酬は少なかろうが貰えれば構いません。その代わり、俺たちも引き続き討伐に参加させてください」

「えぇっ!?そ、それってまさか、別の冒険者パーティーに同行するとか、そういう事ですかっ!?」

「まぁそうですね。理由はどうあれ、俺たちが引き受けた仕事ですし金だってかかってる。早々引き下がるわけにはいきませんよ」

「う、うぅ」

 

 俺の言葉に受付嬢のお姉さんはしばし渋い顔をしていたが、やがて。

「では、明日の朝、こちらにいらして下さい。それまでに別の冒険者パーティーのメンバーをこちらで揃えておきます。明日の朝、こちらにいらして、その冒険者パーティーと話し合って決めてください。ただ、この場合ですと仮にあなた方3人が戦闘で死亡したとしても、ギルドは責任を負いかねますが?それでもよろしいですか?」

「俺は構いませんよ。二人は?」

「えぇ、問題無いわ」

「わ、わたっ、私も、ですっ」

 

 メリサは静かに。ミーティアは少し怯えた様子で頷いた。

 

 こうして俺たちの依頼は1日延期となった。やむを得ないので、昼過ぎだが俺たちは分かれ、明日に備える事に。

 

 宿の自室に戻った俺は、ローバにブラックマーケットを開いてもらい、LMGである『Lスター』を取り出した。取り出したLスターをテーブルの上に置き、各部のメンテナンスとクリーニング、射撃以外の動作確認をしていく。

 

 カスタマイズを行うランパートや軍人のバンガロールから技術を教えられたおかげで、今では銃の簡単な整備くらいは出来るようになっていた。とその時。

 

「なぁレイ。なんでLスターなんか整備してるんだ?」

 そこに現れたのはミラージュ。退屈そうに俺の手元を俺の後ろから覗き込んでいる。

 

「あぁこれ?明日の戦いに向けての準備だよ」

「そうなのか?でもお前、この前そのことでバンガロール達に色々相談して、オルタネーターを使うとか言ってなかったか?」

「まぁそうなんだけどね。今回はちょっと敵の数が想定出来ないからさ。Lスターならオーバーヒートしないようにバースト射撃を織り交ぜれば、弾ある限り撃ち続けられるからね」

「おいおい?それじゃあ何か?まさかゴブリンどもを数百匹相手にするかもしれないって考えてるのか?」

 

「まぁ、最悪の状況としてそうなった時のための用意だよ。まぁ、最も」

 俺はLスターを整備していた手を止め、ミラージュの方に肩越しに振り返る。

 

「いざとなったらミラージュたちの力も借りるだろうから、その時はよろしくね?」

「あぁ、任せな」

 ミラージュは頼もしそうに笑みを浮かべると俺の中へと戻って行った。

 

 そして翌日。朝。 俺はメイン武装をLスター。サイドアームを連射力に優れたRE45を装備して宿を出た。

 

 ギルドの前に到着するが、入り口で合流の約束をしていたメリサ達はまだ来ない。仕方ない、しばらく待つか。と思っていたが。

 

「あ、あのっ!」

「ん?あぁ二人か。おはよ」

 声が掛けられ、そちらを向くとミーティアとメリサが立っていた。

「それじゃあ行くか?」

「えぇ」

 メリサが頷き、俺たちはギルドの中へと足を踏み入れた。

 

 その後、受付にいた人に昨日の事情を話すと、『こちらでお待ちください』と言われて応接間のような部屋に通された。しばらく待っていると扉が開いて、ギルド職員に案内された4人の男女が部屋に入って来た。

 

「やぁ。君たちが話にあったホブの痕跡を見つけた新人、で良いのかな?」

「えぇ。そうです」

 おそらく相手は年上。しかも冒険者としても先輩だ。椅子に座っていた俺は立ち上がり向き合う。するとそれを見たミーティアが俺に倣い、渋々と言った様子でメリサも続く。

 

「話はギルドの職員から聞いてるよ。ま、座って?」

「失礼します」

 4人組は、俺たちとテーブルを挟んだ向かい側に座り、俺たちも再び腰を下ろした。

 

「さて。まずは簡潔に自己紹介からさせてもらおうか。俺はこのパーティーのリーダー、『マッド』だ。こっちは仲間の『ジャック』、『マリー』、『ネイト』だ」

「よろしくな、坊主ども」

「はじめまして」

「……」

 

 好青年、と言う風体のリーダー、マッドに。がたいがよく、背中に大盾を背負ったスキンヘッドの男性ジャック。僧侶か魔法使いなのか?錫杖らしき物を手にしている落ち着いた様子の女性マリー。そして、ブスッとした表情を浮かべている狩人らしい恰好の女性ネイト。

「俺は新人のレイです。こっちは仲間のミーティアと、メリサです」

「は、はじめましてっ!」

「……どうも」

 緊張した様子のミーティアと、相変わらずぶっきらぼうなメリサ。

 

「よろしく3人とも。では早速だけど、本題に入らせてもらうよ。君たちは昨日、依頼を受ける中でホブゴブリンの足跡を発見したって事だけど、ホントに?」

「はい」

「レイ君。君はこれまでホブの足跡を見た事があるのかい?」

「俺自身はありませんが、俺に狩りを教えてくれた師匠が遭遇し、倒した事があるんです。その時に師匠が紙にスケッチした足跡を見せてもらった事がありましたので」

「そうか」

「はっ。じゃあ何?ホブの足跡をじかに見た事もないのにホブだって断言したわけ?」

 マッドは頷くが、隣にいたネイトはどこか馬鹿にするような目で俺たちを見つめてくる。

 

「それでよく、ホブの足跡だって言い出せた物ね。間違いだとは思わなかったわけ?」

「やめろネイト」

 嘲笑を浮かべる彼女をマッドが宥めている。

 

「しかし、ネイトの言葉にも一理ある。レイ、君が見たホブの足跡。あれを今すぐスケッチ出来るかい?君が見たのが本当にホブの足跡であると少しでも確証が欲しい」

「分かりました」

 

 その後、俺はギルド職員に用意してもらった紙にホブの足跡。それと参考に、と言う事でゴブリンの足跡も書いてマッドらに見せた。

 

「どうだ、ジャック」

「あぁ。こりゃ確かにホブの足跡だな。特徴的な4本指に、ゴブリンとのサイズの違いも確かこれくらいだったはず」

「そうか。となるとやはり、彼らが見たのは、本物のホブの足跡と言う事だな」

 

 会話は俺たちにも聞こえていたが、どうやらホブの存在は信じてもらえそうだ。

「レイ。俺たちは君たちが見たというホブの話を信じるよ。けれど、君たちは俺たちに同行してホブやゴブリンと戦うつもりだけど、良いのかい?死ぬ危険だってあるよ?」

「ッ!」

 

 テッドの鋭い視線に、隣にいたミーティアが息を飲む音が聞こえる。が、俺にはどうって事は無い。

 

「承知の上です。それに、ホブが居ようがいまいが、これは俺たちが受注した依頼です。だったら最後までやり遂げるまでです」

「……分かった」

 俺も真剣な表情でテッドとしばし睨みあうように視線を交差させる。が、最終的にはテッドの方が折れる形で頷いた。

 

「それじゃあ君たちも討伐に同行して構わない。それとレイ。君には痕跡のあった場所までの道案内をお願いしたい。構わないか?」

「大丈夫ですよ。それくらいお安い御用です」

 

 その後、俺たちはギルドを出て依頼主の農場へ。昨日と同じく、ここから痕跡を追跡していく事になる。幸い、痕跡は昨日と殆ど変わらず崩れている様子は無い。これなら追跡は出来るが……。念のためだ。

 

 出会いがしらの戦闘を想定し、Lスターは背中へ。俺は足のホルスターからRE45を取り出す。

 

 一度マガジンを抜いてチャンバーをチェック。弾が無い事を確認し、ホールドオープンにしたままマガジンを戻し、スライドも戻して初弾装填完了。

「っしっ。準備完了です」

「あ、あぁそうか。……あ~、森に入る前に一つ聞いて良いか?」

「なんです?」

「それが君の武器、なのか?」

 

 テッドはそれ、つまりRE45を指さす。見ると彼以外の3人も、どこか懐疑的な目を俺に向けている。

 

「えぇ。ちゃんと武器ですよ。まぁ、戦闘になったら効果をお見せ出来ますよ」

 そう言って俺はニヤリと笑みを浮かべる。彼らの銃に驚く顔が脳裏に浮かぶが、今は仕事でここに来てるんだ。そっちを優先しないとな。

 

「それじゃあ俺が先導するんで付いて来てください」

「分かった」

 

 こうして、俺を先頭に総勢7人の冒険者たちはゴブリン及びホブの討伐に動き出した。

 

 昨日と同じように、痕跡を確認しつつ周囲を警戒しながら進んでいく。俺は痕跡を追いながらも、周囲への警戒は怠らない。 周囲に広がる森。特に茂みは身長の低いゴブリンにとって絶好の待ち伏せポイントだ。だからこそ警戒心を緩めるわけにはいかなかった。

 

 そして順調に痕跡を追っていた時だった。

「ッ!」

 

 不意に、鼻孔をくすぐる微かな臭い。更に、鳥のさえずりに交じって聞こえる俺たちとは別の足音。更に視界の端で何かが動いた。

「くっ!」

 

 俺はすぐさま近くの木陰で屈みこんだ。皆がそれを訝しむが、迷わず手招きをするっ。すると俺の態度で危険を予知したのか、テッドもすぐさま他の3人に目くばせをする。テッドら4人も俺の傍に屈みこみ、1拍遅れてミーティアとメリサも傍で屈む。

 

「ど、どうしたのよ?」

「しっ」

 小声で問いかけてくるネイトに対して自分の口元に指を当て、静かにするようにサインを出し、左手で前方2時の方角を指し示した。皆が木の影からそちらの様子を伺う。

 

 俺もREを構えながらゆっくりと狙いを定める。見ると2時の方角、前方100メートルほど離れた所を、数匹のゴブリンが歩いていた。

「ッ、ゴブリン……ッ!」

「どうするの、テッド?」

 マリーが戸惑い、ネイトがリーダーである彼に小声で問いかけている。

 

「……どうするか」

 テッドはどうやら迷っているようだった。ここで戦うか、否か。念のため提案しておくか。

「俺から一つ提案が。ここは手を出さず、静かに見送るべきかと」

「ん?なぜだ?」

「俺たちの目的はゴブリン及びホブの殲滅ですよね?となると、今優先するべきは巣の発見のはずです。それに、巣の正確な位置が分かっていない状況で戦闘を開始すると、音などを聞きつけてどこから増援のゴブリンが現れるかも分かりませんからね」

「……そうだな。君の言う通りだ。ここは手を出さず、見送る。3人も良いな?」

「おうっ」

「はいっ」

「……しょうがないわね」

 

 テッドの言葉に他の3人が頷く。ネイトは若干不服そうだが、今はそれを指摘しても始まらない。それから数分ほど俺たちはその場に待機し、ゴブリンどもが去るのを待った。

 

 連中が完全に森の奥に行ったのを確認すると、俺を先頭に動き出した。とはいえ、周囲に他のゴブリンが居るか分からないので、RE45を手に周囲を警戒しながら、さっきのゴブリンどもが通った所まで進む。

 

「あった」

 そこにはゴブリンどもの残した痕跡が残っていた。それを素早く分析する。

 

「どうだ?何か分かったか?」

 問いかけてくるジャック。

「……おそらく狩りの戻りですね。足跡は5匹ほど。大きさから全て通常のゴブリンですね。足跡に沿う形で僅かに血痕が続いています。おそらく狩った獲物を引きずっていますね。……痕跡の大きさと若干の獣臭さからして、鹿かイノシシ、でしょうか。少なくとも人間ではないかと」

「すげぇなお前。そんな事まで分かるのか?」

 

 テッドの言葉に答えていると、ジャックが俺に関心したような笑みを向けている。

 

「長年、師匠に鍛えてもらいながら狩りをしてきましたからね。これくらいは」

「なんというか、もはや立派なスカウトですね」

 苦笑交じりに漏らしているのはマリーだ。そして、彼女の言うスカウトとは斥候兵とかの事だろう。

 

「と言うか、さっきレイさんがゴブリンに気づいたのも、経験ですか?」

「あぁ。そんなところだ。風に乗って僅かに漂ってきた血の臭いと獣臭さ。後は僅かに響いた小枝を踏む音とかな」

「す、すごいですね」

 ミーティアの言葉に答えていると、彼女は驚いた様子で俺を見つめている。

 

「ちょっと。私たちの目的はゴブリンの討伐でしょ?追うんじゃないの?」

「っと、そうだったな」

 メリサに急かされ、俺たちは痕跡を追って移動を再開した。

 

 さっきのゴブリンに追い付かないよう、周囲を警戒しつつ進む事、15分ほど。

「ッ」

 不意に、前方に見えた物に俺は思わず息を飲んだ。

「前方、約100メートル先、洞窟らしき物発見」

 即座に振り返り、テッドらに、簡潔に報告する。すると彼ら警戒心を強めた。各々が武器に手を添え、いつでも戦闘出来るような態勢だ。

 

「ネイト、ここから洞窟の様子は探れるか?」

「えぇ。見えるわ」

「様子は?」

「これと言って動く物体は無し。その周囲にもゴブリンらしいのは見当たらないわね」

「……やむを得ない。様子を探るために接近する。レイ、君は……」

「大丈夫です。このまま先頭を歩きます。そうすれば万が一罠があっても気づけますから」

「危険だぞ?」

「覚悟の上です」

 

 俺とテッドの短いやり取り。しばし互いに視線を交差させる。

「分かった。だが油断はするなよ?」

「えぇ」

 テッドからOKを貰い、俺が先頭になって静かに歩き出した。前方を警戒する俺。周囲を警戒するテッド達。メリサとミーティアには後方の警戒をお願いしてある。そしてそのまま慎重に進んでいき、洞窟のすぐそばまでやってきた。

 

「痕跡は、やはり洞窟の中まで続いていますね。足跡も、ごく最近の物です。あそこがゴブリンとホブの巣穴、とみて間違いないでしょう」

「そうか。とはいえ、ホブが居るのなら狭い洞窟内部での戦闘は避けたいな」

「どうするテッド?俺とかが突っ込んでおびき出すか?」

「……それも一つの手だが、相手の数が分からないのでは危険だ。どうするか?」

 

 テッドとジャックは作戦を考えているようだ。しかし、洞窟か。……あ、そうだ。

「あの、一つ思いついた事があるんですけど、試してみませんか?」

「何?聞かせてくれ」

「えっとですね」

 

 

 俺が一通り作戦を説明すると、テッドとジャックはそれに賛成した。そして2人の後押しもあり、俺の作戦が採用された。俺たちはその作戦をするため、即座に動き出した。

 

 

~~~~

 その時、洞窟の中ではゴブリンどもが思い思いの時間を過ごしていた。狩ってきた得物を貪る者。いびきをかいて昼寝する者。獲物の骨と砕いた石で武器の石器を作る者など。だが、その時。

 

『ギッ!?』

 ゴブリンの一匹が異変に気付いた。

『ギッ!ギギィッ!』

『ギィィッ!?』

 異変に気付いた1匹の叫びに呼応して、次々と他のゴブリンたちも騒ぎ始める。異変、それは洞窟内部に煙が充満し始めた事だ。ただでさえ薄暗い洞窟内部に煙が充満してしまえば、あっという間に前後不覚に陥ってしまう。

 

 そしてその煙の原因は、外にあった。

 

 

~~~~~

 俺が考え付いた作戦。それはゴブリンどもの巣穴に煙を流し込んで連中をあぶり出す、と言う方法だった。

 

 周囲から枯れ枝や枯れ葉などを集めてきて、ミーティアの火属性魔法で簡単に着火。更に彼女の風魔法と、うちわ替わりの木の枝で仰いでやれば、煙が中へと流れ込んでいく。

「まさか、ゴブリンどもを燻すとはなぁっ!考えたなレイッ!」

「けどまだまだですよっ!連中が煙に巻かれて、死んでくれればまだ楽なんですけどねっ!」

 

 これで死んでくれれば、戦う必要も弾の消費もいらない。だが、現実はそう簡単には行かない。

「ッ!奥から無数の足音が聞こえてくるぞっ!こっちに向かってきてるっ!」

 入り口から中の様子を探っていたテッドが叫ぶ。ちっ、やっぱりかっ!

 

「ジャック、レイは仰ぐのを止めて下がれっ!マリー、ネイトは俺とジャック、レイの援護用意っ!メリサとミーティアもだっ!」

 テッドが指示を出し、俺たちを動かす。

 

 洞窟の傍にいた俺とジャック、テッドが下がり、その少し後ろにメリサ、ミーティア、ネイト、マリーが控える。ネイトとメリサは弓に矢をつがえて構え、ミーティアとマリーも杖を構え緊張した面持ちだ。

 

 テッドは腰に備えた剣を抜く。ジャックは大きな斧を手に取り不敵な笑みを浮かべている。

 

 そしてかく言う俺も、Lスターを構え、狙いを洞窟の入り口に定めている。やがて、洞窟の中から響いてくる足音とゴブリンの怒号。その音が近づいてくる。

 

『『『『ギギャァァァァァッ!!!』』』』

「来たぞっ!!!」

 ついに飛び出してきたゴブリンの群れ。ゴブリンどもは怒り狂ってこん棒を振り上げている。その怒号に負けじと声を張り上げるテッド。そして、ネイトやメリサが弓を放つよりも早く。

 

「ッ!」

『ズドドドドドドドドッ!!!』

 俺のLスターから無数の光弾が放たれた。赤く光を放ちながら突き進む光弾が、ゴブリンどもの体に命中した瞬間。

 

 音を立ててゴブリンどもの体が爆発四散。赤く沸騰した血の蒸気が周囲に広がっては消えていく。

「なっ!?」

 そばに居たテッドの息を飲む声が聞こえるが、それを無視して俺は指切り射撃を繰り返す。

 

『ドドドッ!ドドドッ!!』

 数発撃って、数秒のクールタイムを挟んで再び射撃。光弾が命中する度にゴブリンどもは次々と、風船が破裂するように爆発四散していく。

 

「うぅっ」

 その光景があまりにもショッキングだからか、後ろから呻き声が聞こえる。マリーのか?まぁ良い。今は気にしてる場合じゃない。

 

 俺はただ機械的に、迫りくるゴブリンに向かって引き金を引き続けた。無数の光弾がゴブリンどもを薙ぎ払う。が……。

 

「いや多くねえかっ!?」

 既に俺が撃ち殺したゴブリンの数は20を優に超えている。なのに未だにゴブリンどもが洞窟からワラワラと出てくる。それを次々と撃ち殺していたが、射撃を続けていたせいかLスターがオーバーヒート1歩手前になってしまった。

 

「クソっ!」

 俺は悪態をつきながらもLスターとRE45を持ち帰る。

 

 相変わらずゴブリンどもが突っ込んでくるが……。

『ダダダダダダダッ!!!』

 横なぎに、薙ぎ払うように放たれたREの弾がゴブリンどもを撃ちぬいていく。とはいえ、RE自体のマガジンサイズは決して大きくは無い。すぐに弾切れを起こした。足止めをするしかないなっ!

 

 俺はすぐさまREをホルスターに戻すとバックパックからアークスターを取り出し、それを洞窟の入り口へと投げ込んだ。

「アークスター、行くぞっ!」

 

 入り口の地面に突き刺さるアークスター。ゴブリンどもはそれを無視して向かってくる。

「ちょっとっ!?当たってないじゃないっ!」

 おそらく投擲が失敗したと判断したのだろう。後ろからメリサの声が聞こえるが、違うんだなぁこれが。

 

『ドォォォォォンッ!!』

『『『『ギギャァァァァッ!?!?』』』』

 次の瞬間、アークスターがさく裂し衝撃波と電流が周囲に迸る。感電し、次々と倒れていくゴブリンども。俺はその間にRE45を取り出しリロード。更にLスターも放熱を終えていたので、構える。 

 

「な、何なのよ、あれ」

「あれがレイの武器、なの?」

 

 後ろから聞こえる、ネイトとメリサの驚き戸惑っているような声。しかしそれに答える余裕はない。俺は洞窟の入り口を見据えている。と、その時。

 

 洞窟の奥からゴブリンとは違う、重い足音が聞こえてきた。

「来るぞっ!おそらく、ホブだっ!」

 その足音に気づいたテッドが叫び、皆武器を構える。

 

 そして洞窟から大きな影が姿を現した。それは間違いなく、ホブゴブリンだった。力士を思わせるどっしりとした、成人男性を超える巨躯の化け物。その数、『5匹』。

 

「なっ!?5匹も居やがるのかっ!?」

 予想を超えたホブの数に、ジャックが叫ぶが……。

 

「それが、どうしたっ!!」

 構わず俺はLスターの引き金を引いた。放たれた光弾が真っすぐホブ共の胴体や足、腕に命中。すると、当たった部位が、弾けた。

 

 腕に当たれば、肘から先が破裂し吹き飛ぶ。膝の辺りに当たれば、その辺りから破裂しその巨体が倒れこむ。腹に当たれば、そのでっぷりとした腹が破裂し臓物をまき散らす。

 

「うぇっ!」

 後ろでミーティアらしい声がえずいているのが聞こえたが、無視して射撃を続ける。ホブ共の体を光弾が吹き飛ばしていくが、連射し過ぎたせいか、Lスターがオーバーヒートを起こしてしまった。こうなると銃身のパーツを交換しないと射撃は出来ない。

 

 最も……。

『グゥゥッ!!』

 既に動けるホブゴブリンの姿は無く、最後の1匹は両足と右腕を吹っ飛ばされ、今は呻きながら左腕だけで上体を起こしているだけだ。

 

 一度洞窟の奥を確認し、増援が無い事を確認すると、俺はLスターをしまい、RE45を取り出した。ゆっくりとホブに歩み寄りながら、REのチャンバーをチェック。弾が入っている事を確認すると、片手でホブの頭に銃口を突きつけ……。

 

「終わりだ」

『ダダダダダダッ!!!』

 その一言と共にホブの顔に全弾ぶち込んだ。REの銃弾に引き裂かれ、頭のなくなったホブの体が、力なく倒れ伏す。そして俺は、頬に飛び散った血を左手親指で拭った。

 

「す、すげぇ……!」

「なんて破壊力のある武器なんだ」

「あ、あれは魔法、なのでしょうか?」

 後ろから聞こえるジャック、テッド、マリーの声。

 

「と言うか、全部あいつ一人で片付けちゃったじゃない。これ、私たち必要だったの?」

「要らなかったかもしれねぇなぁ」

 さらに続く、ネイトとジャックの声。

 

 一応俺は洞窟からの更なる増援を考えてREをリロードする。

「ふぅ」

 しかし出てくる敵が居ないと分かって、俺は一つ息を突いた。

 

『なんだ?もう終わりか?呆気ねぇなぁ』

『よくやったレイ。味方の被害は無し。上々だ』

 脳裏に聞こえてくるヒューズとブラッドハウンドの声。

 

『とはいえ、油断するなよレイ。洞窟の中にまだ敵が残っている可能性もある』

『うん。分かってるよブラッドハウンド』。

 師匠であるブラッドハウンドの指摘はもっともだ。俺はテッドらの方に振り返る。

 

「あの。俺はこれから中に入って生き残りが居ないかどうか確認しますが、皆さんはどうしますか?」

「あ、あぁそうだな。俺たちも行こう」

 

 銃の衝撃から彼らは抜け切れていなかったが、これも仕事中、と言うだけあって気持ちを切り替えたようだ。

 

 その後、REの銃身下部にフラッシュライトを装備した俺を先頭に、全員で洞窟内部を探索。横穴などから外に逃げられた可能性もあるため、慎重に探索を行ったが、洞窟内部にゴブリンとホブの姿は無かった。 つまり、俺たちの依頼は終わったって事だ。

 

 

「ん、ん~~~。終わった~~」

 洞窟から出ると、俺は背伸びをしてパキパキと首の骨を鳴らす。その時。

 

「レイ」

「ん?はい」

 テッドに声を掛けられ振り返った。見ると、彼らとメリサ、ミーティアは俺を少し恐れるような、俺を畏怖しているような、そんな表情を浮かべていた。

「君はいったい、何者なんだ?」

 

 まぁそうなるか、と俺は内心思った。普通にこんな、この世界じゃありえない連発可能な高威力の銃を使えばな。だがまぁ、答えは決まっている。

 

「あなた達と同じですよ。少なくとも俺は今、一人の冒険者です」

 俺はただ、笑みを浮かべながら彼らにそう答える事しか出来ないのだった。

 

 

     第8話 END

 




楽しんでいただければ幸いです。

ちなみに終盤の、敵に歩み寄りながらチャンバーチェック、頭に全弾ぶち込む、飛び散った血を親指で払う、と言う一連の流れは私なりに考えてみた主人公のフィニッシャー、のつもりです。
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