昭和の伝説、トレーナーになる   作:静かなるモアイ

2 / 4
史実超え展開が有ります。タキオン現役続行、オグリのクラシック参戦等々…


チームオリオン

オリオン。それは星座に成ったギリシャ神話の大英雄である。どうして星座の話をしたのかと言うと、トレセン学園のチームは星座や星に関する名前と成っている。

チームスピカは乙女座、チームリギルは射手座、チームオリオンはオリオン座だ。他にはチームアルタイル、チームベガ、チームベテルギウス等々が存在している。トレセン学園のチームは原則的にトレーナー1人以上と競技者のウマ娘1人以上で構成されている。勿論、1人以上なのでトレーナーが複数人居るチームも中には有るが、そのチームでは代表であるチーフトレーナーとサブトレーナーと役割が分けられている。まあ、トレーナーが1人だけなチームオリオンには関係の無い話である。

 

競技者であるウマ娘だが、実は学年でも分けられている。ホモサピエンス(普通の人間)で言えば中学生に当たるのがジュニアクラス、高等部から大学部に当たるのがシニアクラスだ。ジュニアクラスでは出れる大会に制限があり、ジュニアC(中学3年生)からでないと重賞レース(G1、G2、G3)に出ることが出来ないのだ。

当然、トレセン学園を卒業しても競技者として活躍する選手は多い。かつて三冠馬と成ったシンザン、たづな(トキノミノル)の先輩であるトーショーボーイ等の有力選手達だろう。彼等もレースに出るが、流石にOG&OBが出るレースは学生が出るレースとは一部が分けられている…有馬記念とか。

 

「さてと…あの子達を何時デビューさせましょうかね?

既にデビューしてるバクシンオーさん、タキオンさん、そして今年はクラシックが控えてるオグリさんのメニューはどうしましょう」

 

トキノミノルと言う正体を明かしてからは帽子を取り、理事長秘書からトレーナー兼競技者であるプレイングマネージャーに転職したたづなは資料を見て考える。

たづなはプレイングマネージャーに転向して今年で3年目。プレイングマネージャーに成って、わざわざ地方に行ってスカウトしたオグリキャップは兎も角、プレイングマネージャーデビューした時からジュニアB(中学二年)以上だったサクラバクシンオーとアグネスタキオンは結果を残している。

ポニーテールでスタイル抜群な少女…サクラバクシンオーの資料、目に輝きがなく怪しげな笑みを浮かべる茶髪の少女…アグネスタキオンの資料を見るたづな。

 

サクラバクシンオーは短距離メイン、たまにマイルにも出場する選手だが短距離のG1では優勝してるし今年は二連覇がかかっている。アグネスタキオンは昨年度、無敗でクラシックの第一関門 皐月賞を圧勝で勝利し、三冠馬間違いなしと言われたのだが…その直後に怪我をしてしまい…ダービーに出れなかったが怪我を治してからは菊花賞を圧勝、正に超光速粒子に相応しい活躍を見せてくれた。

(ウマ娘は競走馬と異なり、骨や内臓の構造はホモサピエンスと同じなので…競走馬なら選手生命終了な病気や怪我も余程の事が無い限り治ります)

 

「この2人は大丈夫でしょう。タキオンさんがたまにふざけて変な薬作るときが有りますが」

 

タキオンはドーピングには引っ掛からない天然素材100%の栄養ドリンク 通称タキオン汁を作っては飲ませる事が多々ある。このタキオン汁、オリオンのメンバー全員が既に味わっており栄養価はかなり高いが味は物凄く不味いのだ。中でもタキオン汁EXという冬虫夏草が生えたセミの成虫を使ったドリンクを「バクシン!!」と一気飲みしたサクラバクシンオーは失神した事がある。

 

「今年はオグリさんのクラシック、キングさんのデビューが控えてますからね。ディープ君は未だジュニアA(中学1年生)ですし、未だデビューは先にしても良いですね…身体が未だ出来てませんし」

 

三大クラシック。全てのウマ娘が生涯1度、ジュニアCクラスの時だけ挑戦できるG1レース。三大クラシックは4月に皐月賞、5月に東京優駿…又の名を日本ダービー、10月に菊花賞。この3つからなる。その全てを制したウマ娘は三冠馬と呼ばれ、三冠馬は今まで5人しか居ないのだ。

初代三冠馬セントライト、神馬シンザン、三代目三冠馬ミスターシービー、無敗の三冠馬 皇帝シンボリルドルフ、怪物ナリタブライアンの5人だけである。競馬の歴史は長くても、クラシックを全て制する三冠馬はこんだけしか居ないのだ。有る者はアグネスタキオンのように怪我で断念し、有る者はライバルに負けてしまい、有る者は抗えない病の手で三冠馬の夢を絶たれた。

 

灰色の髪をポニーテールにした少女…オグリキャップ、何処か高貴な雰囲気を醸し出すお嬢様のような少女…キングヘイロー、濃い茶髪の男の娘…ディープインパクト。3人の資料を眺めてたづなは思う。きっと、この中から三冠馬が出てくれる事を。

 

オグリキャップ、彼女は今年にクラシックに挑戦する。彼女との出会いはたづながプレイングマネージャーに成って直ぐの事だった。

地方にもトレセン学園は存在しており、其方は地方トレセンと呼ばれている。地方トレセンの1つ、笠松トレセンにたづなが訪れた際にそのウマ娘と出会ったのだ。そのウマ娘がオグリキャップである。オグリキャップの素質を確信したたづなは、オグリキャップを地方からトレセン学園にヘッドハンティング……スカウトして引き抜いた。その後、今ではチームオリオンのマネージャーと成ったトレーナー志望コースでトレセン学園に転入したオグリキャップの友人であるベルノライトが着いてきたが、たづなは彼女も喜んでチームに迎えた。

 

「今年はオグリさんが挑戦、その次はキングさん、そしてディープ君ですね」

 

キングヘイロー。今はジュニアBであり彼女は未だデビューしていないが、たづなは近い内に彼女をデビューさせようと考えている。彼女はアメリカ競馬でのG1を勝った女傑グッバイヘイローを母親に持ち、日本で産まれ育った。言わばアメリカと日本のハーフである。彼女の素質は高いが、たづなは思う……残念だがキングヘイローには長距離の素質はかなり低い。1番は短距離…後はマイルから中距離に適性が有ると考え、今後の方針も考えねばならない。だが、三大クラシックは生涯1度しか挑めない。そこは本人の気持ちを尊重する予定だ。

 

「沖野、貴方は今年入学した男子の事はどう思う?私としては…ちょっと彼に魅力を感じれないわ」

「お花さんもか?確かにただ1人の男子って事で気になるが…」

 

ふと、そんなヒソヒソ話が聞こえてきた。たづなはぶっちゃけ耳が良い。音の方を見ると、そこではトレセン学園最強チームであるチームリギルのトレーナーである女性 東城花とトレセン学園の麒麟児ゴールドシップのトレーナーである沖野がヒソヒソ話をしていた。因みに沖野はチームスピカのトレーナーだが、スピカは所属選手がゴールドシップ以外抜けてしまい今ではゴールドシップ専属トレーナーである。

 

「たづなちゃんには悪いが…あの子は男子にしては身体が小さすぎる。女の子と本気で間違えてしまう位にな。過度な期待はあの男子に悪いと思うんだ」

「そうよね」

 

東城と沖野の言葉は正しい。事実、ディープインパクトは小柄で男子にしては成長期を迎えたばかりとは言え小柄だ。顔立ちの為か多くの人が女性と何度も間違えた(史実通り)。体格のアドバンテージは様々なスポーツに共通する、特にウマ娘のレースやホモサピエンスの陸上という走る競技なら尚更だ。小柄なディープインパクトは大柄のウマ娘と違って1歩のストライドに限界があり、その分…ピッチを上げるしかない…それか地面を蹴った反発で翔ぶかだ。

 

「びっくりしないで下さいね?沖野さん、花さん」

 

だが、ニヤリとたづなは笑みを浮かべた。そう、たづなはディープインパクトの素質を見抜いているのだ。体格以上のアドバンテージを産み出し、体格差を捩じ伏せるその潜在能力を。

 

(ディープ君は()()()()が遺した最高傑作なんですよ?小柄ながら()()()()()殿()()()()()()()()()の息子ですよ)

 

と心の中で言うたづな。実はディープインパクトの父親も男性ウマ娘なのだ。

ディープインパクトは普通のウマ娘と違う。男女…という訳ではなく身体のバネと柔軟性が産まれた時から限界を超えており、酸素を取り込みエネルギーを産み出す為の肺活量は他のウマ娘と違ってエンジンが異なると言える程の規格外。そのバネと柔軟性を用いたオンリーワンな翔ぶ走りは体格差以上の強さをディープインパクトに与えたのだ。

 

「あっ!危ない危ない、大事な仲間を忘れては行けませんね」

 

次にたづなは新たな資料を取り出した。その資料には小柄なウマ娘が写り、名前の欄にはベルノライトと書かれている。彼女はオグリキャップと同じくジュニアCクラスだが彼女は競技者ではない。彼女はトレーナー志望の学生であり、チームオリオンのマネージャーなのだ。

ベルノライトはオグリキャップと同じく笠松トレセンの生徒だったが、オグリキャップがトレセン学園に移籍する際に学力編入テストを受けて、共にやって来た少女だ。因みに競技者としての才能はぶっちゃけ皆無。しかし、彼女は豊かな知識と実家(大手スポーツ店)譲りの技術力でチームオリオンを支える無くてはならない仲間なのだ。

 

資料をファイルに仕舞い、たづなは席を発つ。

 

「あっ!沖野さん、花さん。お先に行きますよ」

「たづなちゃん、もう行くのか?」

「行ってらっしゃい」

 

社会人として挨拶は大事。沖野と東城に挨拶をして、たづなはチームオリオンの部室に向かっていった。

 

 

 

 

「さあ!!皆さん、今日も驀進して行きますよ!!レッツバクシン!!」

「ふふふ…さてと今日はどんな実験を始めようかな?」

 

チームオリオンの部室はプレハブ小屋のような所だ。チームリギル等の古参で、強いチームならば校舎の中に部室が有るのだが生憎とオリオンは出来て3年目の新参チーム。なので他の有力チームと異なり、部室がプレハブ小屋なのだ。因みに沖野とゴールドシップの二人三脚であるスピカもプレハブ小屋が部室である。

オリオンの部室ではたづな以外のメンバーが集まっており、準備をしていた。

 

「タキオン先輩!?なんなんですの!?その薬品は!?」

「安心したまえキング。これはドーピング薬ではないよ、ちょっと高麗人参と冬虫夏草…その他諸々をMIXさせたものさ」

 

なお、部室でしょっちゅうアグネスタキオンが変な薬品を作るためか、少し部室から病院の匂いがするのはご愛敬である。

 

「お腹…空いたな」

「オグリ先輩!?さっき食べたばっかりですよね!?」

「ディープ、お腹が減るのは仕方ないんだ」

 

ポニーテールの少女、オグリキャップは冷蔵庫を開ける。しかし、冷蔵庫の中には非常食はなく。有ったのはタキオン印の怪しげな物、スポーツドリンク、たづなの先輩であるテンポイントが送ってくる牛乳だけであった。

 

「バクシンオー先輩、オグリちゃん。蹄鉄シューズ(ホモサピエンスで言えば陸上スパイク)の蹄鉄、変えときましたよ」

「ありがとうベル!!貴方は本当に優秀なマネージャーですね!!」

「ありがとうベルノ」

 

オリオンにはマネージャーが居る。オグリキャップと共に上京してきたベルノライトだ。ベルノライトはスポーツ店の娘という事もあり、蹄鉄の変え方もお手の物。勿論、オグリキャップを含めた選手は自分で蹄鉄を変えることやメンテナンスする事があるが、オリオンではベルノライトが率先してやってくれるのだ。

 

ベルノライトの側には穴が空いた蹄鉄が転がっている。これはオグリキャップとサクラバクシンオーが先日まで使っていた蹄鉄であり、2人のキック力に耐えれなかったのか穴が空いている。蹄鉄シューズの蹄鉄は3ヶ月ほどで交代するのが常だ。

 

「それにしても…オグリちゃんとバクシンオー先輩は直ぐ蹄鉄がボロボロに成るけど、ディープ君は全く磨り減らないね」

「たづなさんのアドバイスを受けて、反発で翔んでるからですかね?」

 

しかし、ディープインパクトの蹄鉄は全く磨り減っていなかった。幼少期から両親の手伝いをしてきたベルノライトだったがこんな磨り減りの少なさは見たことがない。

 

「皆さん今日わ。お待たせしました」

 

そしてそこに、プレイングマネージャー トキノミノルことたづながやって来る。

 

「さてと春のG1が迫ってきましたね。バクシンオーさんは6月頭の安田記念を目標、タキオンさんは天皇賞(春)と宝塚記念、キングさんはデビューに備えて、ディープ君は来年度のデビューに備えての身体作りと皆やることは有ります。

そして何より、今年は……オグリさん。貴方のクラシックが迫ってます。先ずはクラシック前哨戦として3月の弥生賞に出てみましょう」

「「「はい!!」」」

 

史実でオグリキャップは制度のお陰か、クラシックに出ることが叶わなかった。だが、此処では違う。此処ではたづなは兎に角走り回り、オグリキャップが人生1度のクラシックに出れるようにしたのだ。

 

史実では叶わなかったオグリキャップのクラシック戦線が始まる。

 

 




オグリキャップ…弥生賞疾走!?因みに、未だ髪飾りは着けてません。G1デビューで装着します。

果たして…キングちゃんは!?たづなさんの指導で何処まで強くなる!?

そしてゴルシの出番は何時なのか!?

ディープインパクトの姉…どうする?

  • フジキセキ
  • サイレンススズカ
  • ブラックタイド(キタちゃんが妹ポジ)
  • スペちゃん
  • 一人っ子
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。