昭和の伝説、トレーナーになる   作:静かなるモアイ

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オグリキャップのクラシックが始まる!!


芦毛のシンデレラ…始動

弥生賞。又の名前を皐月賞のリハーサル。なぜ、皐月賞のリハーサルとも呼ばれているのか?それは皐月賞の丁度1週間前に行われる重賞G2のレースであり、クラシック第1選である皐月賞と全くの条件が同じためだ。同じ距離、同じ競馬場、違うのはその時の天候だけ。天候や天候に左右される馬場の状態以外は全く同じ状態で行われるためか、弥生賞の結界が皐月賞の結果にそのまま繋がる事に成るのだ。

 

「それに皐月賞に優先的に出るためには、弥生賞で結果を残すのが良いでしょう。なにせ、1年に産まれるウマ娘は約7000人。その7000人の中から選ばれた18人しか三大クラシックは走れません。弥生賞に勝てば、その18人に選ばれる可能性は非常に高くなります」

 

チームオリオンの部室。そこではたづなこと生ける伝説トキノミノルの手で、今年クラシックに挑戦するオグリキャップと来年度と再来年にクラシックに挑戦するキングヘイローとディープインパクトが弥生賞等に対する講義を受けていた。当然、将来は優秀なトレーナーを目指すベルノライトも居る。

因みにサクラバクシンオーとアグネスタキオンは今日はトレーニングが休みである。いくら人間より頑丈で身体能力に優れるウマ娘と言えど、たまには休みを入れないと疲労が蓄積して怪我をしてしまう時があるのだ。唯でさえ、1週間に1度は必ず休みを入れるたづなの元で練習していたアグネスタキオンが昨年、怪我をしてしまったのだ。強くなるためには休みも当然ながら必要である。

 

「ウマ娘って…年間、そんなに産まれてたんだ」

「そうですよ。因みにディープ君のように男性のウマ娘として産まれる確率は3万分の1、ざっくり計算すると7000人中0.23人に男性ウマ娘が出てきますね。そこから競技者を目指す事を考えたら、もっと確率は低いですね。私だってディープ君以外で男性ウマ娘は3人しか知りませんし」

「「それでも3人居るの!?」」

 

年間、ウマ娘は平均的に7000人産まれてくる。男性ウマ娘は更に少なく、3万分の1の確率であり三毛猫の雄が誕生する確率と同じである。年間7000人産まれてくるウマ娘の中でもトレセン学園に入学し、クラシックに出れるのは僅か18人の精鋭だけ。三大クラシックと対を成す、トリプルティアラの方のクラシック(牝馬クラシック)を含めても僅か36人。本当に選ばれた精鋭しか走ることは赦されない。

と言うのもトレセン学園に入るだけでも大変なのだ。トレセン学園は言わばエリート中のエリートと呼ばれる人達の集まりであり、その中でも限られた天才だけがG1レースに出ることが出来る。オグリキャップとベルノライトが数日だけ在籍していた地方トレセンは比較的自由に入学できるが、中央ことトレセン学園はそうではない。トレセン学園に入学するためには優秀な成績を納めて転入或いは入学するか(転入の筆記テストで合格したのはベルノライト位)、貴族とも言える家柄出身の子供(キングヘイローやメジロ家)、優秀な素質を持っててスカウトされた生徒等だ(オグリキャップ、ディープインパクト等)。

最近ではAO入試も認められ、比較的入学はしやすくなり、一部の高等部(トレーナーを目指すスタッフ研修生部門)と大学部はホモサピエンスの男性も通えるが…それでも門は狭く優秀な人しか入れない。

 

「私は家柄の都合上そうでは有りませんでしたが、トレセン学園に入るだけでも大変ですもんね。私のルームメイトであるウララさんも実技と筆記試験に落ちて、AO入試で何とか入学できたと言ってましたし」

 

当然、キングヘイローの周りでも入学に苦労した生徒が居たのだ。クラスメートは勿論、ディープインパクトと同じ学年である高知県出身のハルウララは実技も筆記もダメダメであり、試験に落ちてしまったがAO入試のお陰で何とか入学を認められたのである。

 

「私は笠松トレセンには数日しか居なかったしな。入学数日でたづなさんに引き抜かれたし」

「私はダメ元で転入試験を受けたら受かっちゃったし」

 

オグリキャップの例は比較的珍しい。まあ、これはオリオンを立ち上げたばかりのたづなが笠松に偶然にも訪れて、オグリキャップの素質を確信した事も大きい。勿論、地方トレセンからトレセン学園に転入は有るのだが、それはほぼ無いことだ。多くの地方トレーナーや地方ウマ娘は中央を目標にしてスター選手を目指すが、それは叶わぬ夢と言えるだろう。オグリキャップが本当に珍しいのだ。

ベルノライトだってそうだ。実技が要らないスタッフ研修生としての転入だが、筆記試験はかなり難しい。普通に最初から入学するための筆記試験よりも難しい為に、それに合格したベルノライトは本当に凄いだろう。

 

「そう言えばディープ君は?ディープ君もオグリちゃんと一緒でスカウトなんだよね?」

 

ベルノライトがディープインパクトに問う。そう、ディープインパクトもオグリキャップと同じく、たづなのスカウトである。違う点が有るとすればオグリキャップは転入、ディープインパクトは入学前のスカウトである。

 

「地元の中学に進学しようとしていた矢先に、家にたづなさんがやって来たんですけど」

 

ディープインパクトは語る。ディープインパクトはトレセン学園に憧れは有ったが、地元の男友達のように地元の中学に通っては高校に進学して普通に過ごすと思っていた。実家にたづなさんがやってくる前は。

 

『初めまして、私はトキノミノル。又の名前を駿川たづなと申します。いきなりですがディープインパクト君、貴方は貴方のお父様であり私の恩師 サンデーサイレンスの遺言により、私の推薦でトレセン学園に入学して貰います。

学費は要りません。これは先代理事長でありURA(この世界で言うJRA)代表の秋川ノーザンテーストと現理事長秋川やよいも承諾してます』

『えっ?サンデーサイレンスって誰ですか!?』

『貴方の亡きお父様です。貴方の入学は貴方が産まれる前から決まってました』

 

そして…たづなに真実を告げられ、ディープインパクトはたづなに連れられて家族に送り出されるようにトレセン学園に入学したのだった。そしてディープインパクトは序に自分が物心着く前に亡くなった父親の名前を知るのだった(ディープインパクトは生後間も無く偉大なる父親サンデーサイレンスを亡くしてます)。

 

「なんか、僕の入学は産まれる前から決まってたみたいです」

「「「産まれる前から!?」」」

「あっ、ディープ君。この事は余り広めないように。知ってるのは私、先代理事長と理事長等の限られた人しか知らないので」

 

世の中には秘密が沢山である。

 

 

 

 

 

そして時は流れて弥生賞本番。

 

「そろそろ出番だな」

 

8番のゼッケンを着けたオグリキャップ。彼女はもうじきやって来る自分の出番を待ちながら、ターフの端っこで身体を動かしていた。ふと、観客席を見れば自分のチームメイト達が此方を見ている。中央に来てから初めて出来た仲間達が見守ってるのだ。クラシックへの出場を確実にする為にも、けして負けられない戦いだろう。

 

 

 

「オグリ先輩大丈夫でしょうか?」

「もし、負けたら此処での反省点を生かして皐月賞に備えるだけですね。今のオグリさんなら大丈夫だと思いますが…」

 

一方の観客席。そこではたづな率いるチームオリオンのメンバーがオグリキャップを見守っていた。

 

「たづな君。要注意するべき相手は?」

 

アグネスタキオンがたづなに話しかける。するとたづなは鞄から最近発売されたばかりのタブレットを取り出した。

 

「花さんの真似事に成りますが、私なりに要注意な選手を纏めて見ました」

 

タブレットを操作し、タブレットの画面に数名の選手の情報が出てきた。

 

名門貴族メジロ家の令嬢 水色の髪をした美少女メジロアルダン。所属チームはチームジェミニ。

 

武術の流派を次ぐ家柄出身の武道家娘ヤエノムテキ。所属チームはチームアルタイル。

 

実家は託児所でスタイル抜群であり多くの男性の視線を集める美女スーパークリーク。所属チームはチームベガ。

 

憧れの選手はトレセン学園大学部のマルゼンスキー、花弁の髪飾りを着けた少女サクラチヨノオー。所属チームはチームアンドロメダ。

 

「特にこの4人が要注意ですね」

「おっと!!トレーナ!!なんとか間に合ったな!!」

 

ふと、聞き覚えのない声が聞こえる。何事かと思ってたづな達は後ろを振り向くと、そこにはたづなの先輩である沖野トレーナが白髪の美女ウマ娘を連れてやって来たのだ。この美女ウマ娘は身長が高く、サクラバクシンオーよりも大きい。

 

「あら、ゴールドシップさんに沖野さん」

「よっ、たづなちゃん。噂のオグリキャップの走り、見に来たぞ。ゴルシのライバルに成るかも知れないしな」

 

その美女ウマ娘はゴールドシップ。通称、ゴルシである。彼女はトレセン学園の生徒でありシニアクラスなのは間違いないのだが学年不詳、たづながオリオンを立ち上げたばかりの頃はトレセン学園に在籍していなかった筈だが、ふらりと現れてはスピカに入った人物である。

だが、その実力は本物。昨年度の宝塚記念では皇帝シンボリルドルフを破り優勝してしまった程だ。底知れぬスタミナ、気分屋だが爆発力に優れており、学生時代のたづなに匹敵するパワーを持っている。

因みにトキノミノルは右前足で踏ん張れなかったが、スピードパワースタミナ全部がぶっ壊れと言える強さをしていたとか。強すぎて必然的に逃げ馬に成る程次元が違う強さだったらしい。

 

「ふふふ、今年の宝塚もアタシが貰ったぜ!!2連覇が掛かってるんだ」

「あら、それじゃあゴールドシップさんが大学部に進学したら、私と勝負ですね。本当の速さを教えてあげますよ」

「マジですいませんでした!!」

 

因みにたづなさんことトキノミノル。現役復帰してるが、今でも日本記録を度々更新している。トキノミノルが学生だった頃、彼女は右膝が悪く…その右膝を庇って左足が破傷風を発症、マトモに走れない状態に関わらずダービーを圧勝し日本記録を更新。

今では悪かった右膝は手術で完治し、左足の病気も治ってる状態だ。社会人の部(一部のレースに関してはトレセン学園生徒は大学部から出れる)においてトキノミノルは現在も無敗記録を更新中。どれぐらい強いのかと言うと、スピード等の基礎ステータスが他のウマ娘と違いすぎてトキノミノルは必然的に逃げ馬となり、そのまま衰えることなく逃げ切ってしまう程に次元が違うのだ(史実通り。因みに当時の関係者曰く、史実のトキノミノルはスタートはそこまで得意ではなく、次元が違うスタミナとスピードを持ってた故に逃げ馬に成ったとか)。

 

「まあ、たづなちゃん…トキノミノルは本当に次元が違うからな。そして、この脚が日本が誇る伝説の走りを体現してるわけだな」

 

沖野の言うことは最もだ。そして沖野は何を思ったのか、痴漢同然にたづなの足首からふくらはぎを触ってナデナデしてきたのだ。

そう、沖野トレーナはセクハラトレーナである!!過去に入部してたウマ娘のふくらはぎをナデナデしたり、色々とふくらはぎをナデナデしてきた。しかも、目の前には日本最強ウマ娘(社会人の部)のふくらはぎがある。ナデナデするしかない!!

 

「沖野さん?日本記録を量産する脚で蹴られたいんですね?私、中3の頃より強いですよ?」

「すいませんでした!!」

 

沖野トレーナ。相手が悪すぎた、速攻で土下座を行う。

 

 

 

 

そして…数分後…弥生賞のレースが始まった。

 

『さあ、今スタートしました!!』

 

一斉にスターティングゲートを飛び出し、オグリキャップを含めたウマ娘は走り出す。オグリキャップの脚質は先行・差しの2つだ。今回、オグリキャップは先行で走ってるために比較的前の方に着いている。

 

『一番人気オグリキャップ、果たしてどんなレースを見せるのか!?』

『日本最強トキノミノルの教え子、是非とも期待ですね。私としてはベテラントレーナが育ててるヤエノムテキ、メジロアルダンがどう出るか?』

 

レースはサクラチヨノオーを先頭に進んでいき、オグリキャップはチヨノオーから少し遅れた所で未だ様子を見ている。更に後方にアルダン、クリーク、ヤエノムテキと続いている。

 

レースはそのまま続いていき、残り400メートル。オグリキャップが仕掛ける。

 

『オグリキャップが仕掛けた!!』

 

実況が叫ぶ。だが、加速と共にオグリキャップは呼吸が荒くなる。そう、弥生賞と皐月賞のラストには心臓破りの坂が待ち受けており、この坂で失速する危険があるのだ。だが、オグリキャップは失速しない。

 

(これが心臓破りの坂か…だが行ける!!)

 

ラスト200メートル。オグリキャップが更に加速する。そしてサクラチヨノオーを抜いてトップに躍り出た。

 

「よし!!」

 

これにはたづなも思わずガッツポーズ。

 

「さあ!!このままレッツバクシン!!」

「さあ、勝利の方程式は決まったも同然だ!!」

「オグリ先輩!!」

「オグリちゃん!!」

「オグリ先輩!!」

 

チームオリオンの声援が響き、オグリキャップは脚色が衰えないまま加速する。

 

『オグリキャップ先頭!!オグリキャップ先頭!!今、ゴールイン!!

地方から出てきた少女の重賞デビューは見事な白星で決まった!!クラシックへの優先権をゲットしました!!』

 

オグリキャップ。弥生賞を勝利する。

 

「未々ですね。未だ皐月賞への課題は多々あります。取りあえず、その前に今日は食べ放題の店で打ち上げですね」

 

しかし、たづなは未だオグリキャップの課題を発見する。オグリキャップが確実に三冠馬になり、クラシックを制覇するためにも彼女は更なる指導を決意するのだった。

 

そして都内のとある焼き肉食べ放題のお店が赤字に成ったとか。

 

「うう…バクシンし過ぎました」

「なに…我々は未だマシだ…」

「オグリちゃん…」

 

「うん!!未だ食べれるな」

 

食べ放題のお店は食べたら食べるほどお得になる。つまり食べまくれば食べる程にお店が赤字になる。そう言う事だ。

 

「すいません…もうカルビは売り切れです!!」

「じゃあロース×20」

「ロースも御座いません!!」

「じゃあ豚トロ」

 

芦毛のシンデレラ。レースは勿論、食でも有名になる。




次回は4月…オグリキャップ、クラシック制覇の為の修行開始!?

そして沖野T……ディープインパクトの素質に気付いてしまう!?

「たづなちゃん…彼は一体なんなんだ!?」
「あっ、漸く気付きました?」

因みに史実でもディープインパクトは幼少期の頃は素質無しと言われていたとか。

タキオン「タイムが一番縮まってなかった人にはこれを飲んで貰うよ」→タキオン汁

そして彼女と彼がタキオン汁の餌食になる!?

因みにディープの姉アンケートは夏休み編突入までです。アンケート結果によっては、夏休みの展開が一部変わるかも?

ディープインパクトの姉…どうする?

  • フジキセキ
  • サイレンススズカ
  • ブラックタイド(キタちゃんが妹ポジ)
  • スペちゃん
  • 一人っ子
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