ソードアート・オンライン ボンド・アンド・ディスペア   作:Maeto/マイナス人間

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長い上にちょっと分かりづらいかもですが、頑張ったので大目に見てほしいです。
大目に見てもらえない方々には先に謝っておきます、すいません。


第3話 守る決意

§新生アインクラッド第22層 森の家

 

 

 前田(まえだ)智也(ともや)の家の事情が明らかになったその日の夜、アスナやマエトを始めとするユウキの知人たちは、家族との話し合いの結果を報告するべく集まった。

 まず最初に、リーファが金髪のポニーテールを揺らして言った。

「お母さんに相談してみたけど、うちは特に問題ないって!」

 妹の言葉を、キリトが補足する。

「オヤジにはまだ相談できてないけど、母さんはオヤジも了承すると思うって言ってた。ただ、まだ確定したわけではないから、もしかしたらダメってことも有り得るのは覚えておいてくれ」

 続いて、エギルが残念そうに報告した。

「オレもトリッシュ......(よめ)と相談してみたが、うちじゃ難しいってことになった。家計とかは問題ないが、昼はカフェ、夜はバーで交代で働いてるからな......ちゃんと面倒見てやれない可能性が高いんだ。すまねェな」

 その後もリズベット、シリカが報告するが、やはり急な話すぎたか、状況は(かんば)しくないようだ。

 報告を終えた後、それぞれが用事のために離席すると、ユウキはアスナに訊ねた。

「アスナ、とー君の家に行ったんだよね? その......どうだった?」

 ユウキの質問に、アスナは包み隠さず答えた。マエトからは「言っちゃっていーよ」と言われている。

 アスナが数時間前に見聞きしたもの全ての説明を聞き終えると、ユウキはポツリと呟いた。

「とー君、そんな大変なことになってたんだ......」

 SAOの中でマエトは1年間、何人いるとも知れない殺人(レッド)プレイヤーと戦い続けた。いつどこで、何人にどのように襲われるかも解らない。そんな状況を、マエトは生き抜いた。

 そして、現実世界に生還してなお、同じような危険を(はら)んだ日々を過ごしている。

 マエトにとってユウキは何よりも大切な存在だ。だからこそ、そんな危険に巻き込みたくない。

「......とー君は、いつだってボクのことを考えてくれてるから......ボクがそれを(ないがし)ろにしちゃ、ダメだよね......」

 ユウキのその言葉に、アスナは違和感を覚えた。

「ねぇ、ユウキ。その言い方......もしかして、マエトくんの家のこと知った上で、やっぱりマエトくんと一緒がいいって思ってる?」

 ユウキの体がピクリと揺れた。しばらくの沈黙の後、ユウキは静かに口を開いた。

「とー君は今までずっと、ボクのことを考えてくれて......きっとこれからもそうなんだと思う。でも、ボクはとー君に何もできてない。そんなのやだ」

 そう言うユウキの瞳に強い意思が宿っているのを、アスナははっきりと見た。

「これからはボクも、とー君を助けたい。大変な生活をしてるなら、ボクが隣で支えたい」

 大切な誰かを支えたい、助けたい。その想いの強さは、アスナ自身もよく知っている。

 ただ、それだけではなかったらしく、ユウキは(ほほ)紅潮(こうちょう)させてこう言った。

「っていうのもあるけど、一番の理由はやっぱり......大好きだから一緒にいたいって、それだけだよ」

 そう言うユウキの頭を、アスナは優しく()でた。

 それ以外に理由など、必要ないと思った。

 

 

 キリトやリーファ達の報告が終わった後、マエトは22層の湖畔(こはん)にいた。

 足元を洗う水面をぼんやり眺めながら、今後の木綿季(ゆうき)の動向を考える。

 ふと、人が近付いてくる気配を感じて振り向くと、サムライ姿のサラマンダーがいた。

「クラインさん、どーしたの?」

 そう訊ねたマエトの隣にドカッと腰を降ろすと、クラインは言った。

「いや、そう言やオメェとサシでゆっくり話したことなかったなって何となく思ってよ。そしたらオメェがここにいるのが見えてな」

 確かにマエトは、クラインとあまりゆっくり話したことはなかった。と言うより、クラインの近くにいることがあまりなかった。この男のそばにいると、わずかなりとも劣等感を覚えてしまうからだ。その理由は、マエト自身も何となく解っているが。

「すまんね、ユウちゃんの移住先候補(こうほ)から外しちゃって」

 ストレージから木製ジョッキ2杯を取り出し、片方をクラインに渡しながら謝ると、クラインは笑いながら言った。

「気にすんな。男手1つで(やしな)ってく自信なんざねぇからな、仮に頼まれたってこっちから辞退してた」

 そう言って、マエトが渡した黒エールを一気に(あお)るクライン。その言葉に「そっか」と返すと、マエトもお気に入りの林檎(りんご)風味エールを飲んだ。

 そこそこのサイズのジョッキをあっという間に空にしたクラインは、勢いよくプッハーとやってから、思い出したように言った。

「そう言やよォ、オメェん家はダメなのかよ? 昨日話した時とか候補にも挙がってねぇし、さっきも報告とかなかったしよ」

 ガサツそうに見えてよく気が付くものだ。内心で素直にそう感嘆(かんたん)しつつ、マエトは自分の家のことを話した。クラインは黙って聞いてたが、勘当(かんどう)され独り暮らしをしているという言葉で、顔をしかめた。

「すまねェ、嫌なこと思い出させちまって......」

「別にいーよ、気にしてないし」

 そう言ってジョッキを(かたむ)けるマエトに、クラインは言った。

「オメェはすげぇな。オレも独り暮らししちゃあいるが、そんな歳からやってたらそりゃあ......(さび)しいって思ったりしたろうぜ」

 そう言うクラインに、マエトは苦笑しつつ返した。

「おれもたまーにだけど、ちょっと寂しいかなって思うときはあるよ。まぁALO行って即解決するけど」

 そんなマエトに、クラインはこう言った。

「ならよ、もう寂しくならねェいい方法があるぜェ」

「ふむ、どんな?」

 興味本位で先を(うなが)すマエト。

 しかし、クラインが続けて言った言葉は、思いもよらないものだった。

「ユウキがオメェん家に行けばいいんだよ」

 思わず2秒ほど沈黙してから、マエトは手を横に振った。

「いやいや、それは......」

 そのあとに続いたであろう言葉を(さえぎ)って、サムライが言った。

「オメェとリアルで一緒にいるのが危ねぇってんなら、オメェがユウキを守ってやりゃいいんじゃねェか」

 口を(つぐ)むマエトに、クラインはこう続けた。

「オメェはSAOん中で、何人ってプレイヤーの命を守ったり助けたりしたんだ。こっちでユウキを守るのだって、本質的にはそれと変わんねぇよ」

 その男らしく大雑把(おおざっぱ)な言葉に、マエトは言葉を詰まらせた。

 その案を考えたことがないわけではない。ただ、実現させる自信がなかった。

「まぁ、一番守りたかったやつは死んじまったがね」

 (つと)めていつも通りの口調で言ったが、マエトは口の中が苦くなるような感覚を覚えた。

 確かにマエトは旧SAO時代、犯罪者(オレンジ)カーソルのプレイヤーに襲われているプレイヤーを助けたり、守ったりしたことがある。と言うよりマエトの殺人は、「誰かが襲われている現場に出くわしたから」というものが半分近かった。

 だがマエトは、一番守りたかった存在──ベルフェゴールを守れなかった。死なせてしまった。

 マエトがクラインに対して劣等感を覚えるのは、仲間(ギルドメンバー)を誰1人として欠かなかったクラインと、たった1人の相棒すら守れなかった自分を無意識に比べてしまうからだ。

 赤の他人は守れたが、守りたかった人を守れなかった。その過去が、「自分が守りたい者(ユウキ)を守る」という決意をさせないのだ。

 わずかに顔を()せるマエト。その頭を、クラインはバシンと(はた)いた。

「バカ野郎、命の重みなんざみんな同じだ。赤の他人だろうが相棒だろうが、オメェが人を守ったのは変わんねェんだよ」

 目を丸くするマエトにニヤッと笑うと、

「んじゃ、またな」

 そう言って、クラインは去って行った。

 その背中から視線を切ると、マエトはジョッキのエールを一気に飲み干した。

 甘酸っぱい林檎(りんご)風味が、なぜかいつもより酸っぱく感じた。

 

 

 菊岡(きくおか)誠二郎(せいじろう)との約束の日、智也は西部(せいぶ)新宿線(しんじゅくせん)の快速列車を降りた後、人通りの多い道をしばらく歩いていた。

 菊岡との待ち合わせで銀座に行くのは初めてではない。初めの頃はスマホのナビを頼りにキョロキョロしながら歩いた道だが、今はもう迷わず行ける。

 目的の店の前まで来ると、智也は建物を見上げた。とある窓の向こうで、眼鏡をかけたスーツ姿の男がプリンを食べているのが見えた。

 和人(かずと)曰く「総務省のエリート官僚(かんりょう)様」らしいが、成長期の少年1人の生活費や水道光熱費、さらに学費まで負担した上で、銀座の店で高額スイーツを食べられるのが、智也には不思議だった。

(公務員ってそんな(もう)かるのか......?)

 そんなことを考えながら、特に緊張することもなく、智也は建物に入っていった。

 エレベーターで2階へと移動。ドアが開くと、スーツをビシッと着こなした男性店員が智也に挨拶(あいさつ)した。

 ペコリと頭を下げて窓際の客席の方を見ると、

「おーい、マエト君! こっちこっち!」

 そんな大きな声が、店内に流れる優雅なクラシックを台無しにした。

「どーもどーも」

 片手を持ち上げてざっくり挨拶し返してから、智也は声の主である菊岡の座る席へと向かった。上品にティータイムを満喫(まんきつ)していたらしいマダムたちがじっとりと視線を向けてきたが、いつ襲われるとも知れない生活を続けている智也にとっては、そのくらい解りやすく感情を向けられた方が気楽だった。

 椅子(いす)に座り、目の前の男に簡潔に訊ねる。

「で、話って?」

 しかし菊岡は、にこにこ笑いながらメニューを差し出した。

「先に注文してからにしよう。僕がもつから、遠慮(えんりょ)せず頼んでいいよ」

 そう言う菊岡だが、既に生活費やら学費やらを出してもらってる身としては、シュークリーム1つが1200円な店で注文などできるはずもない。

 だがその(くだり)は1~2回目の会談で既にやっており、結局毎回押し切られる形で何かしら注文しているのだ。今さら遠慮しても時間の無駄だということは解っている。

 バレないように小さくため息を吐くと、智也はメニューを受け取り、パラリと開いた。

(前にキリトさんが、これ美味(うま)かったって言ってたっけな)

 そんなことを思いながら、ヘーゼルナッツ・カフェだけを注文。ウェイターが下がると、菊岡が少しだけ苦笑混じりに言った。

「なるほど。メニューを受け取った後なら、僕にごねられることなく遠慮ができる。考えたね」

 正直に言うと、今日の昼もエナジーバーで済ませようと思っていたところを明日奈にメールで呼び出され、和人と一緒にサンドイッチをたらふく食べたからまだ空腹を感じていないだけなのだが、智也はドヤ顔で言った。

「おれも学習するのです。......ていうか、やっぱ生活費やら負担してもらってる側からしたら、どーしたって遠慮するんだけど」

 智也が後半は少しだけ真剣な顔で言うと、菊岡も少し真面目な顔と言葉で答えた。

「いやいや。今の君の生活は、本来であればしなくて良かったはずのものだ。それをさせてしまっているのは、こっちの責任だからね」

「社会人ってのはシビアな世界だなー」

「1年間も単独で戦場を生き延びた君に、そう評してもらえるとはね」

 突然のバイオレンスな単語に、近くにいたマダムがギョッとしたような顔で振り向いてきたが、智也も菊岡もスルーする。

 ウェイターが運んできたナッツの香り(ただよ)うコーヒーを一口飲んでから、智也はもう一度切り出した。

「で、話って?」

「実は、君と会って話がしたいと言って僕にコンタクトをとってきたSAO生還者(サバイバー)が2人いてね」

 今度こそ本題に入った菊岡の言葉に、智也は首を傾げた。

「おれに? 誰と誰?」

 当然の質問に、菊岡は隣の椅子に置いた(かばん)に腕を突っ込みながらこう返した。

「2人共直接会って話したいと言っていたけど、予定がなかなか合わなくてね。仕方なく手紙を僕が渡すって形になったんだ。一応プライバシー保護のため、リアルネームではなくSAO内部での名前で書いてもらったけど、君も知ってる人だと思うよ」

 そう言って菊岡は、封筒(ふうとう)を2つ差し出した。

 受け取って差出人の名前を見た智也は、少しだけ驚きで目を丸くした。

 差出人の名前はそれぞれ、コノハとルカになっている。

 ルカの方は聞いたことはないが、コノハの方は覚えている。旧アインクラッドの森の中で、殺人ギルド《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》の幹部3人に襲われていたところを、マエトが助けたのだ。

 取り出した便箋(びんせん)にざっくりと視線を走らせると、智也はもう1つの封筒にも手を伸ばした。

 便箋に書かれた文を読んで、智也はルカなるプレイヤーの顔を即座に思い出した。

 ルカもまたコノハ同様、マエトが助けた女性プレイヤーだった。ただし彼女は、襲われたショックと殺人を目の当たりにした恐怖から気が動転し、マエトを人殺しと言って恐れ、逃げ出した。

 コノハからの手紙には助けたことへの感謝が、ルカからの手紙にはそれプラス人殺し呼ばわりと逃走に対する謝罪が、それぞれ(つづ)られていた。

「あのお姉さんら、どっちも元気そーで良かった」

 そう言いながら、改めて手紙を読む智也。その視線がピタリと止まった。

 両方の手紙の末尾には、多少の差異はあれど、ほぼ同じ文章が書かれていた。

【改めて、私の命を守り助けてくださり、本当にありがとうございました】

 手紙をじっと見つめ、智也は改めて自分が守った命の存在を実感した。

「守った命、ねー......」

 何となくそう呟くと、昨晩クラインに言われた言葉が脳裏をよぎった。

 目を閉じると、(まぶた)の裏に木綿季(ゆうき)の笑顔が浮かんでくる。

(おれは、この笑顔をずっと見ていたい。この笑顔のそばにずっといたい。おれは、この笑顔を......)

 目を開けると、菊岡の怪訝(けげん)そうな顔が見えた。

 短く息を吐くと、智也は意を決して口を開いた。

「菊岡さん、ちょっと相談がある」

 

 

 智也と菊岡の銀座での会談の2日後、木綿季(ゆうき)は病院内を散歩していた。体はもう元気なため、動いていないと落ち着かないのだ。

 ぼんやりと歩いていると、いつの間にかエントランスに来ていた。

 人の行き来を何となく眺めていると、スーツ姿の倉橋医師が見えた。どうやら出かけるようだ。

(外でのお仕事とかあるのかな......?)

 そう思ったが、医師の病院外での仕事が想像できず、木綿季は思考を諦めて散歩を再開した。

 その日の夜、ユウキがALOにログインすると、マエトからのメッセージを着信していた。メッセージを開くと、至ってシンプルかつどこかデジャブな文章が表示された。

【ちょっと会いたいから、気が向いたら返事ちょーだい】

 メッセージを見たユウキは、ノータイムで返信を入力した。

【今行くよ! ちょっと待ってて!】

 これまたデジャブな文章を送信すると、ユウキはマエトをフレンド追跡した。

 マエトは、新生アインクラッド第10層の桜の木のところにいた。ユウキが着いたときには、桜の枝に座ってウインドウを操作していた。

「とー君!!」

 ユウキが大きな声で名前を呼ぶと、顔を上げた少年が手を振って枝から飛び降りた。

 駆け寄ってきたユウキにマエトが、

「来てくれてありがとねー」

 と言う。かぶりを振ると、ユウキは少し照れたように言った。

「ん-ん。ボクも、その......会いたかったから」

 桜の木の下に並んで座ると、ユウキはマエトに訊ねた。

「ねぇねぇ、今日は何して遊ぶ?」

 いつもの質問に、しかしマエトはいつもと違う答えを口にした。

「遊ぶ前に、ちょっと言っとかないといかんことがあってさ。聞いてくれる?」

 目をパチパチさせつつも、ユウキは(うなず)いた。

 じっと話を待つユウキに、マエトはこう切り出した。

「ユウちゃんはさー、おれん家に来たい?」

 予想外の質問に驚きつつも、ユウキは答え、そして訊いた。

「う、うん。とー君と一緒(いっしょ)がいい......でも、その......とー君はいいの?」

「ダメ、絶対ダメ」

 即答だった。

「......へっ!?」

 わけが解らず裏返った声を出すユウキに、マエトはしれっと言った。

「ユウちゃんが危ない目に合うのなんか、いいって言えるわけないじゃん」

 まぁマエトならそう言うだろうし、実際そうなるとユウキも解っていた。

「そうだよね......とー君、いつもボクのこと大事に思ってくれてるもんね」

「うん。おれはユウちゃんに危ない目になんかあってほしくない。だから────」

 解っていたからこそ、続くマエトの言葉に彼女は驚いた。

「だから、おれがユウちゃんを守るよ」

 ハッとして顔を上げたユウキの目を見て、マエトは続けた。

一昨日(おととい)、ログハウスでアスナさんに言ってたこと聞いちゃってさ、すごく(うれ)しかった」

 左手を振ってウインドウを呼び出すと、マエトは外部ネットワークに接続し、とあるメールを表示した。

 可視モードにしてユウキに見せたそれは、菊岡誠二郎からのメール。着信はほんの数分前だ。

【倉橋医師や、紺野家の親戚筋(しんせきすじ)とも、話はついたよ。ユウキ君との顔合わせはまた後日させてもらうとして、これで君の家にユウキ君が移住する準備は、ほぼ全て完了したよ】

 息を呑むユウキの耳に、静かな声が聞こえてきた。

「おれのこと、大好きって言ってくれて、一緒にいたいって言ってくれてありがとう」

 ユウキの大きな(ひとみ)をまっすぐに見て、マエトは想いを口にした。

「大好きだよ、ユウ(・・)。ずっと一緒にいて」

 もう我慢(がまん)できなかった。マエトに飛び付くと、ユウキはその体を思い切り抱きしめた。

「うん......うん......!」

 目尻に涙を浮かべるユウキに、マエトは苦笑した。

「ユウ、泣いてるの?」

 その言葉が姉のものとそっくりで、ユウキは思わずフフッと笑ってしまった。

「嬉しいの。とー君と、ずっと一緒にいられるって思うと、すっごく嬉しい......!」

「そっか、良かった」

 そう短く答えると、マエトもユウキを抱きしめた。小さな背中を優しく()でる。

 温かな風が吹き、桜の枝と2人の髪を揺らす。

 舞い散る桜の花びらの中、ユウキは満面の笑顔を咲かせ、言った。

「好き......大好き!!」




次回 帰宅

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