ソードアート・オンライン ボンド・アンド・ディスペア   作:Maeto/マイナス人間

58 / 71
勝敗を決めるのは、必ずしも剣の腕前だけではないのです......


第22話 夜空

「絶対に、許さない!!」

 そう叫び、怒りを(あら)わにするユウキを見て、アスナは思わず息を呑んだ。

 親友として彼女とは短くない時間を共にしてきたが、怒っているところは一度として見たことはなかった。

 初めて見るそれは、(すさ)まじいまでのプレッシャーと迫力があった。

 だが、考えてみれば当然だ。マエトを──大切な人を侮辱(ぶじょく)されたのだ。

 普段怒らない明るく優しいユウキだが、だからこそ彼女は、大切な人のためならば本気で怒れる。

「行くよ、ユウキ!!」

(おう)!!」

 打てば響くような気勢に一瞬だけ口許(くちもと)にフッと笑みを浮かべると、アスナは思い切り地面を蹴った。遅れることなく、ユウキも駆け出す。

 アスナの放った突きを回避し、カウンターを入れようとするPoHだが、そこに高速でマクアフィテルが振るわれる。

 舌打ちしながらステップで回避するPoHを、その先で真珠色の細剣が襲う。即座にガードするも、今度は黒曜石の長剣が牙を()く。

(ちぃっ.....! なんなんだよ、このガキは......!)

 内心で毒づくや、PoHは友切包丁(メイト・チョッパー)を振るった。仮想の空気を切り裂いて、肉厚の刃がユウキに迫る。

 直後、澄み切った金属音が響き、同時にPoHの体勢が崩れた。ユウキが全速力でパリィしたのだ。

 PoHの今の攻撃は、相当なスピードだった。空間リソース──死を吸って巨大化したことで、ダガーそれ自体も巨大化して重くなっている。にも関わらず、その一撃を細い長剣で弾く恐るべき剣速と、それを生み出す圧倒的反応速度。

 ユウキが最速最強の剣士たる由縁(ゆえん)だ。

「やああっ!」

 気合いを発したユウキの右手が閃き、水色の光の尾を引いて剣が振るわれた。面打ち、上下のコンビネーションを一息で叩き込んだユウキが、長剣を大きく振り上げた。垂直4連撃《バーチカル・スクエア》。

 だが、最終4撃目の全力上段斬りの直前、最初の3撃によって姿勢を崩したPoHは、わざとそのまま転倒した。同時に足許の砂を蹴り上げ、ユウキの視界を潰す。

 歯がみしつつも、やむなく上段斬りを放ったユウキ。その右腕に、(すさ)まじい衝撃が走った。同時に、手からマクアフィテルが離れる。

 砂煙が晴れると、PoHが握る魔剣から赤い光が消えるところだった。暗黒界特有の赤っぽい砂を巻き上げることで同系色のライトエフェクトを隠し、ソードスキルをぶつけて剣を吹き飛ばしたのだ。

「くっ......!」

 即座に2人の間に割り込むと、アスナはPoHに攻撃を仕掛けた。急いで剣を拾いに行こうと、ユウキは振り返り──何かを踏んだ。地面とは明らかに違う、硬い感触。

 視線を落として踏んだ物の正体を確認し、ユウキはそれを拾った。黒い(つか)を握る手に力を込めた途端(とたん)、炎のような熱さが全身を駆け巡った。

 その熱に突き動かされるように(きびす)を返し、ユウキは飛び出した。鍔迫(つばぜ)()いでアスナを押し潰そうとする友切包丁の刀身に、全力で赤黒銀の刃を叩き付ける。

 押し返されてたたらを踏むPoHの目の前で、ユウキは黒鞘(くろさや)裂鬼(れっき)を左手に持ち替えた。

 アスナとユウキが、一瞬のアイコンタクトを()わす。

 直後、2人の背中に純白の翼が広がった。同時に引き絞られた黒銀の片刃剣と真珠色の細剣が、タイムの花を思わせる鮮やかな紫の光を刀身に宿す。

 双翼を羽撃(はばた)かせ、アスナとユウキが超高速で飛び出した。細剣ラディアント・ライトが5回閃き、右上から左下へと突き技が走る。一拍遅れてPoHの(ふところ)に飛び込んだユウキが、アスナの突きの軌道と交差するように左上から5連突き。

 タイミングをわずかに、絶妙にズラすことで、2人でPoHの体に連撃を撃ち込む。互いの突きの軌跡を(えぐ)るようにさらに5回、死神の体に剣尖(けんせん)を叩き込んでいく。

 ひときわ激しく細剣が震え、しかしそのサウンドを裂帛(れっぱく)の気勢がかき消した。

「うおあああああああ──────ッ!!」

 クロスした軌跡の中心にアスナが叩き込んだ膨大(ぼうだい)なエネルギーが、PoHの体を吹き飛ばす。

 その直前、衝撃よりも一瞬速くユウキが飛び込んだ。紫の閃光がより激しさを増し、血の色の世界を染め上げる。

 そのとき、ユウキの左手の中で、剣がその形を変えた。

 黒い(つか)は、藍染めの革が巻かれた白銀に。赤黒銀の刀身は、透き通るようなアイスブルーに。

 ここまでのダメージでPoHの心意が一瞬弱まったことで、裂鬼が元の姿に戻ったのだ。

 《シャドウリッパー》──影を裂く者。

「──ァァァアアアアアアアアアアアッ!!」

 およそ彼女のものとは思えないほどに猛々(たけだけ)しい咆哮(ほうこう)(ほとばし)らせ、ユウキは2つ重なった十字架の中心を、あらん限りの力で貫いた。

 11連撃OSS、《マザース・ロザリオ》の2連発。合計22連撃。

 空恐ろしいまでの衝撃波が吹き荒れ、PoHの体は高く宙を舞った。凄まじい勢いで衝突した神像を粉々に(くだ)き、いくつもの瓦礫(がれき)と共に地面に落下する。

 白翼をはためかせて着地すると、ユウキはアスナのいる方を振り向いた。

 力を使い果たしたように荒く息をする親友に駆け寄る。そのとき、衛士長であるソルティリーナの叫び声が聞こえた。

「いけない! あの男の剣が、神聖力を吸収しています!」

 PoHが倒れていると(おぼ)しき場所。その瓦礫と砂煙の中から、赤黒い不気味なオーラが()れ出ている。

 弾かれたように振り向くと、アスナとユウキは再び駆けだした。今すぐに友切包丁を破壊しなければ。

 だが、間に合わなかった。魔剣に引っ張り上げられるような奇妙な動きで、PoHが起き上がった。

 マザーズ・ロザリオのラスト1撃を受けて、胸板には大きな穴が空いている。黒い革スーツの傷口周辺は血で赤に染まり、心臓も丸ごと消し飛んでいる。

 にも関わらず、PoHはHP全損でログアウトしていない。

 恐らく、あの魔剣が吸収した空間リソースが、そのままPoHのアバターにも流れ込んでいるのだろう。それによって、本来ならとっくにゼロになっているはずのHPが回復しているのだ。

(まさか、とー君の自爆でも倒せなかったのって、そのせいじゃ......!)

 あまりの理不尽と恐怖に震えるユウキの前で、PoHが魔剣を高々と(かか)げて叫んだ。

「同志たちよ、これが日本人の本性だ!! 軟弱(なんじゃく)な裏切り者を、そして汚い日本人共を、1人残らず殺せ!!」

 仮装の空気を震わせるほどの叫びと共に、ドス黒いオーラが爆発した。瞬く間に広がったそれは、既にPoHの心意に呑まれていた中韓プレイヤーたちの心を更に高ぶらせた。

 いよいよ、マエトが恐れた最悪の展開になってしまった。

 ドス黒いオーラに包まれた赤騎士たちが、日本人プレイヤーのみならず、仲間であるはずの赤騎士たちをも蹂躙(じゅうりん)する。それによって生み出された死が、PoHの持つ魔剣に(うず)となって吸い込まれていく。地獄のような光景が吐き出す絶望が、再びユウキの心に入ってくる。

(ど......どうしよう、とー君......!)

 そんなことを思い、マエトの方を振り向いたユウキは、驚きに目を見開いた。

 いつの間にか剣同様にALOの姿に戻っていた少年の口許に、薄い笑みが浮かんでいたのだ。この絶望的な状況にも関わらずだ。

 少年の口が動き、「(おせ)ーよ」という声が聞こえる。

 そこでユウキは、遅まきながらあることに気付いた。

 地表付近に、白い霧が薄く立ち込めている。同時に感じる、甘い薔薇(ばら)の香り。

 高らかに哄笑(こうしょう)していたPoHも、異常に気付いて視線を走らせた。その視線が一点で止まり、顔が邪悪に(ゆが)められた。

 PoHの視線の先で、キリトが逆手に握った白銀の長剣を地面に突き立て──

 

『「エンハンス・アーマメント」』

 

 キリトの口がそう動き、だがキリトの声だけでなくもう1人──聞いたことのない別の誰かの声も聞こえた。

 2重の声が戦場に静かに響いた直後、白銀の剣を中心に、青白いオーラが広がった。一瞬で拡散した霧が、PoHや中韓プレイヤーたちを1人残らず呑み込む。

 気が付けば、戦場は波を打ったように静まり返った。煽動者(せんどうしゃ)であるPoHと、その心意に呑まれて暴れていた全ての赤騎士が、氷で包まれていたのだ。

「これは......」

 小さく声を漏らしたロニエに、ソルティリーナが続く。

「武装完全支配術......!」

 顔を上げたアスナが、傷の痛みに耐えながら、ゆっくりとキリトの元へと歩み寄る。

 突如(とつじょ)静寂(せいじゃく)耳障(みみざわ)りな音が破った。

 音のした方を見ると、氷の破片を振りまきながらPoHが笑っていた。拘束(こうそく)を内側から破ったのか。

「待ちくたびれたぜ......。さぁ、踊ろうじゃねぇか、キリト!!」

 歓喜の声を上げて駆け出すと、PoHは迎撃で飛び出してきたソルティリーナを、魔剣の一振りであっさりと吹き飛ばした。

 ここまでのリソース吸収で、友切包丁(メイト・チョッパー)は既に大鉈(おおなた)のように巨大化してしまっている。

 ただ振るうだけで死を()()らす巨大な凶刃が、ソルティリーナを受け止めたアスナとロニエに振り下ろされ──

 衝撃音を響かせ、黄金の光の障壁にぶつかった。

 驚くPoHやアスナらの前で、右手の形をした光が友切包丁を受け止めていた。

 ふと、衣擦(きぬず)れの音が聞こえて、アスナは振り向いた。

 離れた場所で、折れた白銀の剣──《青薔薇(あおばら)の剣》を支えにして、キリトが起き上がっていた。

 ゆっくりと、1歩ずつ踏みしめるように歩いたキリト。その失われた右腕が、不意に光となって出現した。どこか(おぼろ)な光の右手が持ち上げられ、友切包丁を受け止める光の右手と近付き、触れ合う。

 瞬間、実体を取り戻した右手の先で、黄金の光が弾けた。光壁は凶刃を受け止めるどころか、持ち主ごと後方に大きく弾き飛ばした。

 衝撃波と光が止み、顔を上げたALOプレイヤーたちの顔に歓喜と希望が宿る。

 ゆっくりと歩み寄り、

「おかえり、キリトくん......」

 そう言ったアスナを振り向くと、キリトは静かに応えた。

「ただいま、アスナ」

 すぐに顔を引き締めてPoHに向き直り、キリトが歩き出した。それを待っていたかのように、PoHがニヤリと笑う。

「ようやくお目覚めだなァ......。まったく、オマエは最高だよ、キリト」

 そう言って魔剣を掲げるPoHの前で、キリトは右手を横に突き出した。それに呼応するように、離れた場所に落ちていた黒い長剣──《夜空の剣》が独りでに(さや)から抜け、キリトの手元まで飛んだ。

 飛来した剣をしっかり受け止め軽く斬り払ったキリトに、PoHは悪意に満ちた声で言った。

「さぁ、続きをやろうじゃないか。アインクラッドで中断されちまった、ショウタイムの続きを!!」

 言うや否や、PoHが飛び出した。元の3倍近くまで巨大化した友切包丁(メイト・チョッパー)を、これまで以上の速度で振るう。

 斬撃のあまりの重さとスピードに、キリトが圧倒される。いや、それだけが原因ではないことに、マエトは気付いた。

「おいおい、がっかりさせないでくれよな! オレはこの日を、2年近く待ち続けたんだぜ!」

 そう言って、体勢の崩れたキリトの胸倉を掴んで投げ飛ばすと、PoHはそこに魔剣を振り下ろした。

 ギリギリで夜空の剣を(すべ)り込ませてブロックするキリトだが、()(ほそ)った体が(きし)んでいるのが遠目からでも解る。

「いい加減そのクズ剣を捨てて左手を使えよ」

 そんなPoHの言葉に、マエトは舌打ちした。できるはずがないからだ。

(中韓プレイヤーを凍らせてるのは、多分あの折れた剣由来のスキルだ。こんだけ大規模な技を持続させるには、それなりの集中力がいるはずだ)

 だからキリトは左手を使えない。もしそれをすれば、中韓プレイヤーたちの拘束が解けて状況は逆戻り、下手をすれば悪化することも考えられる。

 どうすれば──。

 そのとき、不意に友切包丁が少しずつ押し戻された。キリトの隣で、透き通るような体の青年が、一緒に夜空の剣を支えている。

『行くよ、キリト!!』

 そう叫んだ亜麻色(あまいろ)の髪の青年が、ロニエとティーゼが言っていたキリトの相棒ユージオであると、マエトは直感した。

 2人の剣士が、少しずつ、確実に死神の凶刃を押し返していく。体の、そして心の底から(ほとばし)らせた雄叫びを乗せ、キリトが剣を振り払う。

 すっくと立ちあがると、キリトは折れた青薔薇の剣を高く掲げた。再び聞こえた、重なる声。

『「リリース・リコレクション!!」』

 青薔薇の剣から、白銀の光が弾けた。光の中で、折れた長剣が元の姿を取り戻す。

 同時に、中韓プレイヤーを閉じ込めた氷の表面に、透明な(イバラ)が伸び──そこに、青く透き通った氷の薔薇が咲き誇った。

 直後、氷と共に中韓プレイヤーたちが膨大(ぼうだい)な光の粒となって消滅した。

「これは......プレイヤーたちの生命リソース......? キリトくん、彼らを苦しませないようにログアウトさせているのね」

 アスナの声に、PoHが苛立ったように叫ぶ。

「てめえ、フザけた真似を......!」

 顔をしかめ、友切包丁を持ち上げる。キリトがログアウトさせた中韓プレイヤーたちの命も吸収しようとしているのか。

 だが光の粒は、1つたりともPoHの元へは行かなかった。

 ふと、キリトの元に黄金の光が舞い降りた。青薔薇の剣に添えて夜空の剣を持ち上げたキリトが、先ほどと同じコマンドを、今度は静かに口にする。

「リリース・リコレクション」

 それに応じるように、光の粒は集まって光のリボンになると、ゆっくりとキリトの元に流れていった。キリトの掲げる夜空の剣に吸い込まれ、漆黒(しっこく)の刀身の黄金に染める。

「クッソがぁっ......!」

 毒づきながら魔剣を振り回すPoHだが、光のリボン──命にはかすりもしない。

「ユージオ先輩が言ってました。キリト先輩の黒い剣は、元々は人界の北の果てに生えてた、大きな黒い杉の木だったんだって......」

 ティーゼの呟きに、ソルティリーナが声を上げる。

「そうか......! だからあの剣は、神聖力を吸い込む力を......!」

 そう。同じ神聖力でも、殺されて──死んだことで吐き出された命のリソースと、薔薇(ばら)が吸い取り花を咲かせて放出した命のリソースとでは、本質がまるで違う。

 PoHの友切包丁は《人を殺すことで強くなる》という仕様をもつ。それは言い換えれば、《死》を吸う力ということだ。

 対してキリトの剣のそれは、陽の光や大地の恵みを吸って育つ杉の木と同じ、言わば《命》を吸う力。

 青薔薇の剣によって凍らされ、薔薇の花を介して死なずに(・・・・)放出されたエネルギーは、夜空の剣には吸えても友切包丁には吸えない。

 夜空の剣を通じて、集まったエネルギーがキリトの体に流れ込む。同時に、キリトの体に変化が生じた。

 簡素な黒い服は、SAO時代のトレードマークだったロングコート《ブラックウィルム・コート》に変わった。手には指抜きのグローブが、足許には金属リベット付きのショートブーツが出現する。

 最後に、ロニエとティーゼが持っていた黒と白の鞘が独りでに飛び出し、背中に交差して吊られた。

 コートの(すそ)をバサリとはためかせて二刀を下げる《黒の剣士》の姿を見て、アスナは目尻に涙を浮かべた。

「キリト......くん......!」

 リソースの吸収を諦めて魔剣を下ろすと、PoHは体から黒いオーラを立ち昇らせて言った。

「やっぱりオマエは最高だよ、キリト。自分の意思でこんなにも殺したいと思えるやつは、後にも先にもオマエだけだ。終わりにしちまうのは惜しいが、これ以上の舞台は二度とないだろうからなァ......」

 死神の顔に、手の甲に刻まれた棺桶(かんおけ)紋章(エンブレム)同様の、引き裂かれたような笑みが浮かんだ。

「さぁ、楽しもうぜぇ《黒の剣士》!!」

「あぁ、終わりにしよう」

 そんな短いやりとりの直後、剣を構えた2人の周囲で、黄金と闇色のオーラが(ふく)れ上がった。

 2人が握る得物(えもの)以上に鋭く()()まされた剣気が爆発し──衝突した。

「アアアアアアッ!!」

「オオオオオオッ!!」

 雄叫びを上げて飛び出した黒衣の剣士と黒衣の死神が、刃をぶつけ合う。

 PoHの素早く重い連撃を双剣で防ぐと、キリトは背を向けて駆け出した。地面を走るキリトと並ぶように岩壁の上を走ると、PoHは大きくジャンプ。落下の勢いを乗せて斬りかかる。

 PoHの攻撃をブロックし、同時にその反動を利用してバックジャンプしたキリトが、岩壁を蹴って突進。高速で振り下ろされた夜空の剣が、友切包丁(メイト・チョッパー)を激しく叩く。

 パワーで強引に魔剣を振り払いキリトを上空に押し飛ばすや、PoHは即座に追撃すべく走った。

「バースト・エレメント!!」

 叫んだキリトの周囲で8つの熱素(ねっそ)が生成、直後に解放され、PoHに襲いかかった。ダッシュを止め、友切包丁で1発1発を正確に叩き落すPoHだが、それによって砂煙が巻き上げられ、視界が潰れた。

「ちぃっ......!」

 舌打ちしたPoHの背後から、煙幕(えんまく)を突き破ってキリトが飛び出した。

「アアアッ!!」

 雄叫びと共に、高速の二刀回転斬りが叩き込まれる。

 神聖術による牽制(けんせい)で反応が遅れた。ガードも回避も間に合わない。

 そう判断し、PoHはあえて攻撃を選んだ。キリトの脇腹に回し蹴りを叩き込み、回転斬りが届く前に吹き飛ばす。

 PoHの瞬時の判断が(こう)(そう)し、キリトはバウンドしながら地面を転がった。魔剣を斬り払って砂煙を晴らすと、PoHはキリトの体勢が整う前に駆け出した。

 大鉈(おおなた)が血の色に輝き、同時にPoHの体が3つに分裂した。アスナやマエトすらも知らない、未知のソードスキル。

 歯を()(しば)ってブレーキをかけつつ、キリトは青薔薇の剣にクリムゾンレッドのライトエフェクトを宿した。7連撃ソードスキル《デッドリー・シンズ》。

 高速で斬り降ろされた凶刃を防ぎ、2撃目で死神を斬り伏せる。分身が霧散し黒煙が舞う中、煙幕を切り裂いて次撃が飛んできた。振り抜かれた左手を狙って背後から振り下ろされた包丁をギリギリで(かわ)して弾き、返す刀で体を切り裂くキリト。

 その前で、再び虚像が爆散した。広がった黒い煙の向こうから、本物の死神が飛び込んでくる。

 高速で襲い来る致死の連撃を、続く6撃目と7撃目で防ぐ。

 ここで青薔薇の剣から光が消えた。7連撃技が終わり、技後硬直(スキルディレイ)が課されるキリトの目に、なおも赤々と輝く魔剣が映った。

 勝利を確信したような邪悪な笑みを浮かべ、PoHが8撃目を放った。死──

 そのとき、一瞬キリトの口許に笑みが浮かんだ。小さく口が「ありがとな」と動く。

「ッ、──アアアアアアアッ!!」

 獰猛(どうもう)極まりない咆哮(ほうこう)を響かせ、キリトが夜空の剣を突き出した。漆黒(しっこく)の刀身が激しく震え、ジェットエンジンじみた金属質の轟音を振りまく。

 左右の剣で交互にソードスキルを発動させることでディレイを打ち消して攻撃を続けるシステム外スキル《スキルコネクト》。(つな)がれたスキルは、単発重攻撃技《ヴォーパル・ストライク》。

 先ほどよりも深いクリムゾンレッドの光が、友切包丁とぶつかった。

 刃の接触点。その極小の一点から恐ろしいまでの衝撃波が広がり、地面を()(くだ)く。

 凶刃と光槍がせめぎ合い、しかし膠着(こうちゃく)はすぐに破られた。わずかに、少しずつキリトが押され始めたのだ。

 凄絶(せいぜつ)な笑みを浮かべ、PoHはさらに力を込めた。圧し潰される──。

 そのとき、鋭く嫌な金属音が響いた。

 音源は、巨大化した友切包丁の刀身。そこに付けられた小さな傷が、見る見るうちに広がっていく。

「なっ......!?」

 確かにマエトによって、友切包丁の刀身には傷が付けられていた。だが、それにしても傷の広がり方が激しすぎる。友切包丁は膨大(ぼうだい)な死を喰らい、圧倒的に強くなったはずなのにだ。

 驚くPoHの耳に、ソードスキルのサウンドの混ざって小さな声が聞こえた。

「かかったな......」

 声の主は、両腕を失った紫色の服の少年──マエトだった。ユウキに支えられながら、少年がニヤリと笑う。

「テメェらと斬り合って......そのあと、おれが何もしてないと思ったか......?」

 旧アインクラッドで《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》の幹部3人と戦ったあと、マエトは彼らの情報を片端(かたはし)から集めた。

 彼らとの戦いで、マエトは手数、武器のスペック、情報量で上を行かれた。だが手数はどうしようもないし、切鬼(せっき)裂鬼(れっき)は攻略組主力メンバーの武装にも引けを取らない名剣だ。それ以上は望むべくもない。

 だからマエトは情報を集めたのだ。次こそは確実に仕留められるように。

 そして調査の結果、マエトは友切包丁の仕様を知った。

 プレイヤーを殺してスペックアップするという仕様は、まさにPoHにおあつらえ向きと言えるが、ここでマエトはあることが気になった。

 武器そのものの数値的パラメータ──攻撃力や耐久値には、絶対的な上限が存在するということだ。

「絶対に(くだ)けない......触れたもの全てを、無限に斬れるブレード......。そんなもの、公正さ(フェアネス)(つらぬ)いてるSAOのルールに、合わないだろ......」

 ならば、切れ味と耐久値が上限に達した武器が、さらにアップできるスペックと言ったら何か?

 数値的パラメータとは異なる、物理的なスペック──大きさ、すなわちリーチと重さだ。

 武器が大きくなれば、より遠くの相手にもより重い攻撃をすることができる。

 攻撃力と耐久値が限界まで上がった場合、友切包丁はその後サイズアップするとマエトは予想し、そしてそれは正解だった。

 だが、ここで1つの穴が生じる。

 大きく重いということは、言い換えればバランスが悪いということだ。

 ほんの1ヶ所にでも、そしてわずかにでも(ほころ)びがあれば、バランスを崩した大きく重い物体は、外からの負荷のみならず自重によってそこから崩壊を引き起こす。

 友切包丁の仕様がアンダーワールドでも機能するならば、外からの負荷と自重によってダガーは壊れる、ないしは壊れやすくなる。

 機能しなかったとしても、修理する(すべ)のない戦場で、傷の入った武器を激しく使えばすぐに壊れる。

 アンダーワールドは仮想世界でありながら、同時にこの上なくリアルだ。

 ゆえに痛みがあり倫理コードがなく、PoHはそれを利用して憎悪と死を()()らした。

 そして、限りなくリアルであるがゆえに、緻密(ちみつ)な計算と戦略がより一層の現実味(リアリティ)を帯びる。

「布石ってのは......1つ打って終わりじゃ、意味ないんだよ......」

 相手に悟らせず、いくつもの未来を思い描き、幾重(いくえ)にも罠を張る。

 刀身の一点のみを叩いたのは、友切包丁を破壊するため。

 それを途中でPoHに気付かせた(・・・・・)のは、武器破壊が失敗に終わったと思わせるため。

 自爆でPoHを戦闘不能に追いやり、同時に中韓プレイヤーを沈静化できればそれで良し。

 倒せなかったとしても、友切包丁の刀身に傷さえつければ、その後の戦闘でダガーが壊れるからそれでも良し。

 何より、自爆してでも倒せなかったとなれば、その事実はPoHに圧倒的な優越感と勝利の実感を与える。

 勝ち筋は与える。希望も見させる。

 ただし、その先の敗北だけは見させない。

(ちょっと待て、あの野郎どこまで掌握(しょうあく)して......!?)

 悪寒にも似た戦慄(せんりつ)に襲われるPoHに、マエトは2年前の記憶を(よみがえ)らせて言った。

「言ったはずだぜ......? 『次は()千切(ちぎ)る』ってな......!」

 そんなマエトの声に、キリトの雄叫びが重なった。

 黒い瞳を黄金に輝かせ、《黒の剣士》が全ての力を解き放つ。

 深紅の光槍が闇色の刀身を突き破り、PoHの右腕をも斬り飛ばした。吹き荒れる爆風が音さえもかき消し、血の色の砂を巻き上げる。

 視界が晴れて静まり返った戦場。その中心で、キリトはソードスキルを放った姿勢のまま止まっていた。

 光が消えた夜空の剣は、マザーズ・ロザリオの直撃によって空いたPoHの胸の穴を貫いていた。その穴の中を素通りしたのか、ソードスキルによるダメージはないだろう。

 だが、友切包丁が破壊されてリソースの供給が止まったことで、心臓が丸ごと消し飛んでいるPoHのHPは急減少しているだろう。もうじき強制ログアウトするはずだ。

 しかし、PoHはアンダーワールドで死んでも、現実世界で起き上がるだけだ。アカウントさえあればまたこの世界にやって来れる。もしかしたら、現実世界で何かをしでかすかもしれない。

 そして、PoH自身もそのつもりのようだ。

「......さすが、そうでなくっちゃな。でも、これで終わりじゃないぜ......。この世界からログアウトしても、オレは何度だってオマエの前に現れる。オマエと《閃光》の(のど)()き切り、心臓を(えぐ)り出すまで、何度でもなぁ......!」

 口の端から鮮血を垂らしながら、ぐしゃりと笑うPoH。だが、

「いや、これで終わりだ」

 キリトがそう言った直後、夜空の剣が黄金の輝きを放った。光はPoHの体に広がると消え、元の黒色に戻った剣を引き戻し、キリトは静かに言った。

「お前はこのアンダーワールドからログアウトすることはない」

 そう言って、キリトはPoHに背を向けて歩き出した。

 一瞬だけ浮かべた驚いたような表情を笑みの形に(ゆが)め、PoHは口を開いた。

 しかし、その口から新たに呪詛(じゅそ)が放たれることはなかった。

 いきなり体が動かなくなったのだ。

 突如(とつじょ)、PoHの体のあちこちが膨れ上がり、そして弾けた。飛び出したのは血ではなく、微細な木の根だ。

 どんどん巨大化し、異形の姿に変わっていくPoHを振り返ることなく、キリトが続けた。

「この剣は元々、ルーリッドの村で《悪魔の樹》と呼ばれ、村人が200年斧を振っても切り倒せなかった大きな樹だった。その剣の記憶を、お前の体に流し込んだんだ」

 キリトの静かな声の裏で、PoHが苦しそうに、助けを求めるような(うめ)(こえ)を上げ続けた。

 だが当然、助けの手はない。

「STLから出してもらえるまで何年、何十年経つのかは解らないが、なるべく短くなるよう祈るんだな。いつかこの辺の開拓者の村が出来たら、斧を持った子供たちがお前を切り倒してくれるかも知れないぜ」

 いつの間にか、呻き声は聞こえなくなっていた。

 振り返ったキリトを、かつてPoHだった杉の樹の(みき)に空いた、人の顔にも見える不気味なうろ(・・)が見つめていた。

 無言で視線を切ると、キリトはアスナたち日本人プレイヤーや人界人に向き直った。

 夜空の剣を掲げ、コマンドを発声する。

「システム・コール。トランスファー・デュラビリティー、ライト・トゥ・エリア」

 再び黄金の輝きを(まと)った黒剣から、光の粒子が()き出した。雨のように優しく降り注いだ光が、傷付いた剣士や騎士たちを(いや)していく。

 そっと双剣を鞘に落とし込み、(おだ)やかに微笑みながら歩み寄るキリトに、アスナは何かを言おうと口を開いた。

 だが、次々と湧き上がる感情を言葉にする前に、バンダナを揺らしながらクラインが進み出た。

「キリトぉ......キリトよう......」

 キリトと一番付き合いの古いカタナ使いは、親友の肩を軽く叩くと、涙を流しながら言った。

「いっつもいっつも......オイシイとこ持っていきすぎなんだよ、おめえはよう......!」

 そこで我慢が限界を迎えたのか、クラインはキリトの胸でむせび泣いた。野太い嗚咽(おえつ)()らすクラインに続き、ロニエとソルティリーナも駆け出す。

「まったく、大したやつだ」

 そう呟くエギルの後ろでは、リズベットとシリカが互いに抱き合いながら歓喜の涙を流していた。

 他のALOプレイヤーたちも、思い思いに歓声を上げている。

 静かに涙をこぼすアスナの背中をそっと撫で、ユウキが笑った。彼女の(ほほ)にも、光るものが伝った。

「良かったね、アスナ」

「うん......うん......!」

 友人や知人たちに囲まれるキリト。そこに、のんびりした声が投げかけられた。

「やるじゃん。さすが《ブラッキーの剣士先生》」

 そう言ってにゅっと手を挙げるマエトに、キリトは苦笑混じりで答えた。

「なんか色々混ざってるぞ、それ......」

 久々のキリトのツッコミに「にしし」と笑って返すと、マエトは今度はちゃんと賞賛(しょうさん)した。

「最後、よくあのちっちゃい傷狙えたね。さすが」

「お前が頑張ってくれたお陰だよ。ありがとな」

 そう言って、キリトはマエトの頭を軽く撫でた。シリカやロニエが羨ましそうに見つめる中、満足げに笑うと、マエトはバターンと倒れた。

「あー......ちかれたー......」

 力尽きたような弱々しい声を出すマエトだが、無理もないとキリトは思った。

 神聖術でも、これまでの自分そのものでも、そして友切包丁の仕様でも......使えるもの全てを使って、マエトはPoHを最善の形で倒せるように事を運んだ。

 友切包丁(メイト・チョッパー)の刀身に傷を入れた時点で、マエトはPoHに王手(チェック)をかけていた。

 そして自爆の後、傷付いたままの剣でアスナやユウキと戦闘を継続(けいぞく)したときには、マエトの中でPoHはほぼ詰んでいた。

 最後は、友切包丁が壊れればチェックメイト。

 アインクラッドで、そしてアンダーワールドで人を、キリトたちを虐殺(ぎゃくさつ)惨殺(ざんさつ)しようとした死神を、マエトは精密な読みと綿密(めんみつ)な戦略で殺した。

謀殺(ぼうさつ)......ある意味じゃPoHより恐ろしいよ、まったく......)

 内心でそんなことを言ったキリトに、マエトは力なく笑った。

 

 

「......行っちゃったね、キリトとアスナ」

 敵にさらわれたアリスを助けるために飛んで行った2人を見送り、ユウキはそう呟いた。地面に正座し、自分の膝枕に頭を乗せて仰向(あおむ)けになるマエトを見下ろす。

「うん......(はね)も使わんと飛んでたねー。しかもすげー速いし」

 疲労からか、いつもよりも間延びした声で話すマエト。その髪を優しく撫でて、ユウキは笑って同意した。

「ほんとだねー。ALOならともかく、この世界じゃキリトには敵わないかも」

 冗談めかして言って、しかしユウキはそこで口を閉じた。

 そのまましばらく、沈黙(ちんもく)が流れる。

 そうしてどれくらい経っただろうか。不意にマエトが口を開いた。

「......ねぇ、ユウ」

 名前を呼ばれ、ユウキは視線を落とした。寝転がるマエトの目を見て「なぁに?」と返事をする。

「あれがおれの......本当の全部だよ」

「......うん、ちゃんと見たよ」

 負の感情で満たされた、途方もない暗闇。目の前に広げられたそれから、ユウキは目を()らさなかった。

 逸らさなかったからこそ、怖く、苦しかった。

 真っ暗な闇を肌で、心で感じ、そして──

「とー君。やっぱりボクは、キミの全部が好きだよ」

 その想いは、わずかにも変わらなかった。

「え......」

 小さく驚きの声を上げるマエトの目を、ユウキはまっすぐに見つめた。

「30層のときも、さっきも......そしてきっとSAOでも、キミが本気で怒るのは、いつだって友達のため。キミの怒りの根っこにあるのは、(あった)かい優しさなんだよ」

 少年の(ほほ)に手を添え、ユウキは優しく微笑んだ。

「だからボクは、どんなに真っ黒でもキミの全部が好き。優しいキミの全部が大好き」

 そう言って、ユウキはマエトの小さな口に、そっと(くちびる)を落とし込んだ。

 ゆっくりと顔を離すと、マエトの瞳が揺れていた。頬を伝って、涙が落ちる。

 そのとき突然、空の色が変わった。

 血のように冷たく不気味な赤から、温かく優しい夜空の黒へ。

 その夜空の中に、2人はキリトの気配を感じ取った。

 キリトが、あの強く優しい剣士が、その心で世界を包んでいるのだ。

 何の根拠もないが、その場にいた全員がそう直感した。

「......キリトさん、すっごいなー」

 あははと笑うマエトに、ユウキも笑いながら同意する。

 周りの大勢の人たちが、夜空に向かって祈っている。その祈りが光り輝き、いくつもの流れ星となって、夜空を(いろど)っている。

 その光景を見つめ、マエトは遠い記憶を掘り起こした。

 SAOという電子の牢獄(ろうごく)(とら)われたあの日、マエトは《キリト》と呼ばれたプレイヤーを追って《はじまりの街》を飛び出した。

 最前線で戦い続ける《黒の剣士》の(うわさ)を聞く度に、もっと強くなりたいと思った。

 GGOで出会い、そしてALOで再会してからも、その力をそばで見たいと思い、戦ってきた。

 思えば、初めて見かけた時からずっと、マエトはキリトの背中を追いかけていたのだ。

 いつからか、自分とは違う力をもつ剣士に、心のどこかで(あこが)れていたのだ。

(......また見せてよ。殺す力とは違う、守る力を。おれが憧れた、剣士の力を)

 心の中でマエトがそう言うのと同時に、ユウキもまた、内心でキリトに向けて思いを飛ばしていた。

 病気で苦しかったとき。家族がみんな旅立ってしまったとき。そんなとき、この夜の温かさが傷を包んでくれた。涙を乾かしてくれた。

 これからは、自分がそうなる番だ。

 マエトを──人生で初めて愛したこの少年を、優しく包んで(いや)していこう。この夜空のように。

(ボク、キリトみたいになれるように頑張るよ。だからキミも頑張って)

 夜空に輝く幾多(いくた)の流星に混じって、紺色と紫色の流星がちかっと(またた)いた。

 

 ───

 

 ──────

 

 ─────────

 

 気が付くと、そこは自分の部屋だった。

 アンダーワールドとの接続が切れ、自動的に意識が現実の体に戻ったのだろう。

 無言のまま体を起こすと、木綿季(ゆうき)は胸に左手を当てた。様々な思いが入り混じっている。とても言葉では表せない感慨(かんがい)が、胸の奥にあった。

 目尻に浮かんだ涙を指で弾くと、木綿季はベッドから降りた。一緒にダイブした智也(ともや)も、もう目覚めているはずだ。

 自室を飛び出し、目と鼻の先にある彼の部屋に向かう。

「とー君!」

 ドアを開け、木綿季は恋人の名前を呼んだ。

 だが、布団の上に座り込む少年は、何も答えなかった。それどころか、木綿季の方を見向きもしなかった。

 智也の視線は、(ゆる)く広げられた自分の左手に注がれていた──。




次回 明るい未来へ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。