ソードアート・オンライン ボンド・アンド・ディスペア   作:Maeto/マイナス人間

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作者です。色々考えてみたんですが、キリトに負けて成長したエイジ(ALOアバター)と戦うのトッテモメンドクサイんで、キリトと戦う前の余裕ぶっこきマンなエイジ(OSアバター)と戦うことにします。
ストーリーの前後関係とかそーゆーのガン無視で行かせてもらうんで、そのつもりでお願いします。
あと元々バトルシーンしか書かない上に、相手によっては瞬殺になってめちゃくちゃ短く終わることも有り得ますので、ご了承ください。
......第2部23話書いて燃え尽きた感あるけど、まだ書きたいことと書くべきことが残ってる......しんどボソッ


Ex.1 読み合い

マエト vs エイジ

制限時間:∞

ステージ:新国立劇場・地下駐車場

主武装:

・マエト:Dウェポン タイプS《クリーヴァー》

・エイジ:Dウェポン タイプS《ディセクレイター》

 

 

 自分の前に立つ少年を見て、エイジはフンと笑った。

 小柄な上に、線もやや細めだ。肌はあまり日焼けしておらず、いかにもインドア派といった風貌(ふうぼう)だ。おまけに、彼の頭上に表示されているランキングナンバーは、

「22位か。話にならないな」

 オーディナル・スケールにおいて、ランクングナンバーの差はそのまま戦力差を表す。20位くらいならそこまで大きな差にはならないが、ランク2位であるエイジの戦闘力は圧倒的だ。

 マエト自身、エイジの戦闘を見たことはないが、斬りかかったキリトを軽く投げ飛ばしている様子は目撃した。

 相手の動きを予測し、それに(もと)づいて素早く動き出すことで、相対的に速さをブーストする。仮想世界においてマエトが得意とするそれを現実世界で可能にするだけの、圧倒的な予測能力がエイジにはあるということか。

(見た感じだと、読みの早さはおれと同じくらいだけど......精度ではあっちのが上かな。キリトさんの腕を(つか)んだとき、一直線で最適な場所に手を伸ばしてた)

 動き出しの早さで、先読みのタイミングの早さは何となく(わか)る。そして同様に、その後の動きの速さと正確さは、そのまま先読みの正確さを表している。

 キリトをカウンターで投げ飛ばしたあの動きからして、エイジの先読みはマエト並に早く、マエト以上に正確だ。

(てなると、防御と回避優先の立ち回りのが良さそうだな......まぁどっちみち、リアルじゃそんな動けんけど)

 マエトの戦闘スタイルは、本来ならば非常にアグレッシブなものだ。だが、それには高い機動力が必要になる。VRでのマエトとARでのマエトとでは身体能力に差がありすぎるため、結局は防御と回避を優先したカウンター主体の立ち回りになる。

 自分より速く、読みも鋭い相手にどこまでやれるか──。

 ふぅーと長く息を吐くと、マエトは口を開いた。同時に、エイジの口も動く。

 異口同音に発生されたコマンドが、地下駐車場に響いた。

「「オーディナル・スケール起動!!」」

 服装が戦闘服(ファティーグ)に変わるや飛び出す2人。左腰の(さや)から抜き放った黒い長剣《ディセクレイター》を振り上げると、エイジは一気に斬り降ろした。

 あまり力が強いわけでもない自分がただガードしても、簡単に押し切られる。そう判断したマエトは、手許(てもと)にジェネレートされた白い長剣《クリーヴァー》を横に振るってぶつけた。

 縦斬りと横斬りとが衝突し、オレンジ色の火花を散らす。

 ARの火花を吹き散らすようにして、エイジが高速で攻め立てる。その太刀筋に、マエトは意識を集中させた。

 そして戦闘開始から2分が経過したところで、マエトは違和感を覚えていた。

 AR戦闘での物理攻撃は、VR戦闘でのそれよりも物理法則の影響がシビアだ。ブレードはあくまでAR表示なので重さはないが、腕の振りにはしっかりと重力や慣性が(から)んでくる。

 それを利用して、マエトはエイジの攻撃をギリギリのタイミングで回避して、追撃の振り始めを遅らせようとしていた。

 だがエイジは、マエトが回避したときはその先を正確に狙い撃ちしてくる。

 回避先を予測しているのかと思ったが、マエトはVR戦闘のとき以上にギリギリまで動いていないのだ。回避先を予測する材料はほとんどない。どちらかと言えば予測というより反射の方が近い。だが、

(回避に反応して、反射で追ってるのか......? いや、だとしたらコイツの反応速度はキリトさんどころかユウよりも上ってことに......ん?)

 そこでマエトは、今まで感じていたのとはまた別の違和感を覚えた。

 違和感の発生源は、エイジの目だ。

(おれを見てない? いや、見てはいるんだけど、見てるポイントが微妙に違うよーな......)

 違和感の正体を探るべく、マエトはエイジの目を見ながら動くことにした。予測は基本的に相手のカラダ全体を見てやっているが、視線での見切りでも同じことはできる。

 エイジの目をじっと見ながら、ひたすらに攻撃を避け、(さば)く。いくらか慣れてきたため、たまにカウンターの(すき)も狙う。

 そして、マエトはあることに気付いた。

 エイジの瞳孔(どうこう)が不自然に収縮しているのだ。だがエイジの視線の先、つまりマエトの後ろに(まぶ)しい発光体の(たぐい)は特にない。

 となると、答えは1つ。エイジの視界に何かが追加でAR表示されているのだろう。

 気になるのは、瞳孔の収縮のタイミングがマエトの動き出しの一瞬先だという点だ。たまたまかとも思ったが、毎回そうとなると何かしらの関係性があると見ていい。

(......まさか、行動予測系のチートツールか......?)

 確証などないし、至近距離から目を注視し続けて辿(たど)り着いた、ただの予想だ。

 だがそう考えれば、一応これまでに見たカウンターや超反応の辻褄(つじつま)は合う。

 そしてカラクリが解れば、やりようはいくらでもある。

 激しく動いて乱れた呼吸を少しだけ整えると、マエトは一気に飛び出した。エイジの(ふところ)に飛び込み、両手持ちした長剣を振りかぶる。

 右から左へと、()(はら)うような水平斬り。

 予測機能を使うまでもない見え見えの攻撃を、エイジは鼻で笑って回避した。

 小さく後ろに下がったエイジの目の前を、マエトの手が通過した。

 ──何も持っていない、左手だけが。

(左手を振っただけ......!?)

 (あわ)てて視線を戻すエイジ。そのときにはもう、エイジの左腕に白銀の刃が叩き付けられた。

 ザシュウッ! という音と共に、エイジのHPが一気に削れる。クリティカルだ。

 舌打ちするエイジの前で、マエトは剣を振り抜くがままに反時計回りに回転した。

(追撃の回転斬り......!)

 視界に表示される紫色の行動予測線も、マエトの狙いが回転斬りだと教えてくる。

 今度こそ回避しようとする......だが。

 つい先ほど受けたばかりのダメージが、回避に迷いを生じさせる。

 刹那(せつな)逡巡(しゅんじゅん)の末、エイジはマエトがこのまま回転して、自分に背中を向けた瞬間に攻撃しようと決め、1歩前に踏み込んだ。

 直後、エイジの視界に紫色のラインが追加表示された。

 突然のことに驚くエイジの腹に、片刃の長剣が深々と突き刺さっていた。

 マエトは回転してエイジに背を向けた瞬間──エイジから見て自分の体で右手が隠れた瞬間に、剣を逆手に握り替えていたのだ。

 エイジがチートツールで相手の動きを予測している場合、つまり自力で予測しているのではない場合、そこには1つの穴が生まれる。

 チートツールによる相手の動きに対する認識(・・)と、それに対するエイジ本人の回避意識(・・)との間には、大小は別として必ずラグがあるということだ。

 今までのエイジには、自分が圧倒的優位に立っているという事実が生み出す余裕があった。その余裕こそが、エイジが予測線を落ち着いて把握できていた要因だ。

 だが、チートツールに頼るまでもない見え見えの攻撃の裏をかかれたことで、余裕の中に焦りと不安が混ざった。

 そして余裕がなくなれば、オーグマーの認識とエイジの意識との間のラグは大きくなる。

 回転斬りと見せかけ、ロール途中に後ろ向きのまま刺突という攻撃は、言うまでもなく奇襲だ。振り向きというワンステップがない分、普通に刺すよりも速度は格段に上がる。

 せめてエイジが自力で予測し、それに反応できるようになっていれば、マエトの刺突にもギリギリ反応できたかも知れない。

 読みを全て機械に任せて考えることをしなかったことで、エイジは自分の反応を(にぶ)らせた。

「自分がどう読まれてるか(・・・・・・)計算できないよーなやつが、読みに頼って勝てるわけないだろ。調子乗りすぎ」

 マエトがいつになく辛辣(しんらつ)な言葉を浴びせると同時に、エイジの戦闘服(ファティーグ)が音もなく崩れ去った。




次回 vs人殺しの刃
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