ソードアート・オンライン ボンド・アンド・ディスペア 作:Maeto/マイナス人間
制限時間:∞
ステージ:セントラル・カセドラル 3階武具庫前
主武装:
・マエト:《ストラグラ》《シャドウリッパー》
・デュソルバート:《
真っ白な大理石の内装を
自分が立っている場所は
(弓使い相手に上取られてるのは、けっこー厄介だな......)
上からなら的が良く見える。もっと言えば、相手の動きの全体を見ることができる。あの弓使い──古参の
そもそも相手は階段の上にいるのだ。接近するには階段、もしくはその上か横の空間を通るしかなく、そしてその全てが相手の射程圏内だ。
素早く階段の段数を数えつつ、考えを
(26段......。風で加速して一気に跳ぶとして、そこまでとそのあとの攻撃をどう
そんなマエトに、赤髪の騎士の太い声が降りかかった。
「整合騎士、デュソルバート・シンセシス・セブンである! 騎士サーティワン、及び騎士トゥエニセブンを撃ち破ったその力、実に見事であった。そなたに敬意を表し、我が全力をもってお相手しよう!!」
そう宣言し、騎士は腰の矢筒から鋼鉄の矢を4本引き抜いた。そして、高らかなコマンド発生。
「システム・コール! ──エンハンス・アーマメント!!」
瞬間、巨大な紅弓から
押し寄せてきた
ALOで
「我が
そう言い終えるや、デュソルバートは4本の矢を同時に放った。
「システム・コール。ジェネレート・クライオゼニック・エレメント。フォーム・エレメント、バード・シェイプ。カウンター・サーマル・オブジェクト。ディスチャージ」
だが、燃え盛る火炎に触れた瞬間、氷鳥はシュンッと短く音を立てて消滅した。
その様子を観察しているマエトの耳に、新たな音が入ってきた。矢筒から矢を引き抜く音。第2撃が来る。
階段の上に目線を向けると、マエトは再度の高速詠唱。
「システム・コール。ジェネレート・アクウィアス・エレメント。フォーム・エレメント、バード・シェイプ。カウンター・サーマル・オブジェクト。ディスチャージ」
騎士の第2射も回避しながら、今度は
「へぇ......」
小さくそう
両手を後ろに伸ばし、小さく口を動かした。
「システム・コール。ジェネレート・エアリアル・エレメント」
少年の左右の指先に3つずつの
「逃さん!!」
宣告が廊下に響き、直後、大量の火矢が上向きに斉射された。炎の雨となって広範囲に渡って襲い掛かるそれに、マエトは──
「バースト・エレメント」
両手を上に向け、指先から飛ばした6つの風素を解放した。火矢が触れると同時に一気に拡散した風は、次の瞬間、大爆発を起こした。
風と共に広がった爆炎が、降り注いでいた高優先度の矢を残らず焼き消す。何せ熾焔弓の炎は全てを焼き尽くすのだから。
その隙に弾丸のように飛び出すマエトを見て、デュソルバートは感嘆した。
(風素での高速移動と見せかけて我の攻撃を誘い、それを燃やして炎の防壁を作るとは......なんという柔軟な発想だ)
だが、感嘆はしつつも攻める手は止めない。新たに矢を引き絞り、放つ。
それを
「システム・コール。ジェネレート・アクウィアス・エレメント。フォーム・エレメント、リキッド・シェイプ。ディスチャージ」
そう唱えるや、マエトの指先から水が流れた。それを愛剣にかけると、マエトはすかさず凍素を生成。
氷を
「むっ......」
そんな声を
マエトは元々小柄な体を低くして走っている。そのため、的が小さく狙いづらいのだ。その上で剣を盾のように構えて、首と心臓といった急所を守っている。撃っても躱され、急所に向かって飛んだ矢は防がれる。
しかも剣を凍らせているため、
開けた空間ゆえに、デュソルバートの射撃を
そしてそれは同時に、デュソルバートの位置が常に把握されていることも意味している。
攻撃の出どころさえ分かっていれば、反応速度次第で防御も回避もできる。
(判断が早く、動きにもまったく
弓使いだからと言って、剣の間合いに入れば勝てると思ったら大間違いだ。整合騎士は
矢筒に入った鋼矢全てを
一直線に飛んだ巨大な炎弾を、マエトは大きく跳んで回避した。
その隙に、デュソルバートは左腰に手を伸ばし、素早く剣を引き抜いた。回避直後の瞬間を狙い、剣を振り上げる。
100年以上の時を生き、
その唯一の誤算は、マエトもまた、デュソルバートが剣を抜く隙を狙っていたことだった。
回避する少し前、デュソルバートの狙いを見抜いた瞬間に、マエトは口を限界ギリギリの速さで動かした。
「システム・コール。ジェネレート・アクウィアス・エレメント。フォーム・エレメント、アロー・シェイプ。フライ・ストレート。ディスチャージ」
直後、マエトの両手の先から、6本の水矢が射出された。薄青い光の緒を引いて飛んだ矢は、熾焔弓の炎で熱されたデュソルバートの全身鎧に当たり──
直後、じゅっという音と共に、真っ白な湯気を大量に生み出した。あっという間に広がった蒸気が、デュソルバートの視界を奪う。
剣は抜いたものの相手を
自分の居場所を明かさないよう動かず、どこから攻められても即応できるよう剣を柔らかく構える。
じっと待ち続けていると、わずかずつ湯気が散り始め、視界が戻り始めた。
そのとき、
「はぁっ!!」
即座に反応し、素早く振るわれた騎士の長剣。その白銀の刀身に、ハーフコートがふわりとひっかかった。
(上着だけ......!?)
思わず動きが固まったデュソルバート。その視界が、一瞬で反転した。
ぐらりと動いた視界の中で、小柄な少年が剣を振り抜いた体勢で着地していた。その右手の先で、アイスブルーの刃が鮮やかに光る。
(蒸気が消え始めたばかりの、まだ視界が
「速く精密な剣......ふふ、私の剣とどちらが上か、興味深いわね」
次回 vs