異世界ストリップ~俺はレアアイテムをコンプリートして世界を手にする!~ 作:夏目八尋
投稿している日々の中で色々あり、あんまり書き溜めのストックは出来ていませんが。
それでも、投稿できるところではしっかり投稿していきます!
ということで。
新章、開幕です!
第018話 こんにちは、死ね!
青い空、白い雲。
俺ことセンチョウが何かを始めるときは、大体がこんな空模様の時だ。
今日の俺はとある目的のために町を離れて街道を行き、さらにそこから外れて森へと向かっている。
徒歩での移動のために時間がかかるその道中。まさに今、何とはなしに自分のことを思い返して、俺は旅の暇を潰していた。
動画配信者だった九頭龍千兆は超長時間ゲーム生配信の果てに死に、別世界でセンチョウ・クズリュウとして第二の生を始めた。
別世界、モノワルドは装備適性とアイテムのレアリティが大きく人々に影響を与える世界。
強い適性を持つ者が強いアイテムを
俺は神様であるゴルドバ爺に、今世の目標であるレアアイテムコンプリートを目指せるよう『財宝図鑑』というアイテムと、他者の装備を強制的に解除して奪うことができるチート魔法《ストリップ》をもらった。
神様の粋な計らいで、俺の装備適性はすべての物に対してC……上から4番目、《イクイップ》したものは何でも上手に扱える程度の能力がある。
さらにはゴルドバ爺からパク……チュートリアルでプレゼントしてもらったGR(ゴッドレア)装備『ゴルドバの神帯』の力で、装備適性をすべて2段階上げたAにすることだってできる。
装備適性Aともなれば、熟練の技を超えた天才の領域までアイテムを扱えるようになり、そこらのフォーク1本手にするだけで、剛腕の大剣使いの一撃を受け流したりもできちまう。
あらゆるアイテムでそんな変態アクションできる俺は、つまりこの世界における強キャラであることに何の疑いもないだろう。
レアアイテムが揃えば揃うほどに強くなる。それがこの俺、センチョウなのだ。
そんな俺も前世の記憶を5才で取り戻してから10年が経ち、今は成人である15歳。
幼少期を過ごした孤児院から出発し、ついにここから本格的なアイテムコンプの道を歩き出す時期となった。
予定では一人、旅の仲間がいたはずだったが、彼女とは都合があって道を違えてしまった。
別れの前の情熱的な時間は、今も俺の心に深く刻み込まれている。
具体的には独り立ちして1か月、ちょっといい雰囲気になった女の子からのお誘いを回避してしまう程度に。
お、お、お。ちょっと待ってくれ。ステイ、ステイ。帰らないでください!
これには事情があるんだ。
冷静に考えてみてくれ。
超絶可愛い上にめちゃくちゃその手の技術に長けたハーフサキュバスの女の子と、甘く濃密な時間を丸々一週間体験したんだぜ?
しかも10年ひとつ屋根の下にいてずぅーっと愛情深く接してきた子と、だ。
触れれば柔らかに俺の手を受け止めてくれるどれだけ触っても飽きが来ない肌。
つつけば愛らしい反応が返ってくる頭翼や腰翼。
甘ったるい香水と、彼女本人が放つ色香の混ざった脳を蕩かす匂い。
俺が求めれば求めるだけ応えてくれる、呼吸ぴったりの口づけ。
そのうえ口からはひっきりなしに俺を求める声が紡がれるときたもんだ。
あの時はさらに薬を盛られてたのもあって思考能力なんてものはなく。
何ひとつとしてブレーキが利かない状態で求め合った――。
……
無理じゃん!
普通に考えて無理じゃん! その子と比べちゃうじゃん!!
俺は最高の女の子とマジで最高の経験をしてしまったんだよ!
だからこう、するならするでもう何かすっごく尖った何かがないと、手が伸びないんだよ!
多分ここまで踏まえて彼女の、ミリエラの策だったんだろうってのは分かる。
それくらい、彼女の本気を叩きつけられた経験が、俺の初体験が強烈だったんだ。
とまぁ、そんなわけで。
俺の雄としての心向きは、すっかりとミリエラ級を求めるグルメ嗜好になってしまったのである。
ちなみになんでそんな素敵な彼女と道を違えたかって?
俺が聞きたいよ!! なんか修行の旅に出ちゃったんだよ!!
ミリエラー! カムバァーーーーーーック!!!
っと、いかんいかん。
もう森に入ったんだから、変に大声出したら気取られちまうな。
最低でも1チームくらいは狩りたいところだから、ここらで気合を入れないとだ。
「神帯巻き巻きの『財宝図鑑』ヨシ! 森歩き用のブーツを《イクイップ》、暗殺と相性がいい短剣を《イクイップ》、隠密適性の高い
そろそろこれから始めることについて説明しよう。
成人して旅に出た俺が最初に求めたのは、ずばり金である。
金があれば
なるべく早く資金力が欲しいから、決まった場所でチマチマ働くよりは、どこかで一攫千金を狙おうと決めた。
そんな俺が目を付けたのが、そう――。
「おう、さっき襲った馬車の荷はちゃんと運び終わったか?」
「へい親分。しめて3万
「へへっ、大当たりだったなぁ。お前ら! さっそく勝利の宴だぁ!」
「「ヒャッハー!!」」
盗賊狩りである。
※ ※ ※
(動きを見るに特別レアな装備をしてる奴はいない、な。残念)
目標は盗賊たちの全滅。
ボスを最初に
「うっ、しょんべん」
「近くの木ですんなよ? くっせぇのが臭っちまう!」
「うるせぇ!」
「「ハハハハハ!」」
都合よくグループを離れて一人になった盗賊のそばに、俺は忍び寄る。
森歩きに適した靴の消音効果と隠密補正を得られる緑色のクロークで、すっかり俺は森の中に溶け込み、あっさりとそいつの背後を取る。
そして静かに短剣を構え。次の瞬間。
「うぃ~……あー、出る出る。めっちゃ出る」
「…………ハァイ、ジョージィ?」
「あ? ヲ゛ッ!?」
ステルス・キル。
短剣で喉を切り裂き、ジョージ(仮)の命を奪う。
崩れ落ちるジョージ(仮)だったものから手を放し、俺は再び森と同化した。
(……さすがに、もう慣れたな)
すでに人の命を奪った数は、2桁を越えて久しい。
盗賊たちをターゲットにすると決めてから、まずはパーティーを組んで仲間たちと共に盗賊を討伐し、そこでこいつらの所業とその末路をしっかりと観察し、俺自身の手を汚した。
ゲームじゃフィールドを歩けばわんさか無限に出てくる雑魚だが、実際に生きる世界で見るそれは、予想していたよりもはるかに悪辣で、残酷で、しぶとくて、救われない奴らだった。
社会からはぐれ、他者から奪うことでしか命を繋げなくなった存在。
モノワルドなら技術を得やすく貧困にあえいだり食いっぱぐれる連中はいないもんだと思ったが、実態はむしろ逆だった。
激しい競争社会のふるいに掛けられはじかれる奴はそりゃもういっぱいいて、一発逆転のアイデアでもなければ、手にした武器で略奪者になるって考えに走る者が多かったのである。
(なまじっか殺す技、奪う技が使えるってのが、拍車をかけてんだろうなぁ)
そうして奪うことの楽さを覚えてしまえば、盗賊の出来上がりである。
そいつらが世間に何をもたらすかなんて、あとは推して知るべし。
俺が最初に見た村は、俺から盗賊殺しすることへの罪悪感をほぼ消し飛ばしてくれた。
世の中を世知辛いとは思うが、同情するものじゃないと俺は学んだ。
(やるなら勇者行為までに留めておく。肝に銘じておかないとな)
人を殺してでも奪い取る。は最終手段にしたいもんだ。
うんうん。
さぁ、こいつらぶっ殺して彼らの財宝を奪い取るぞー! うおー!
「やぁご同輩。こんにちは、死ね!」
「な!? ヴッ!!」
三人目をステルスキルをしたところで、そろそろ本丸に挑む頃合いだ。
見ればいい加減異常を察知し始めて、ボスが周囲を警戒するよう指示出ししている。
「……《イクイップ》」
俺は矢をたんまり入れた矢筒と弓を装備し、観察の結果、賢く立ち回っている連中に狙いを定める。
つがえた矢の数、合わせて3本!
「ひっ!?」
「でっ!?」
「ぶっ!?」
それらは俺の手から離れてすぐに、3人の盗賊のヘッドにヒットした。
「な、なんだぁ!? 誰だぁ!!」
ボスがなんか言ってるあいだに再び矢をつがえて、シュート!
「あっ!?」
「べっ!?」
「しっ!?」
「ひ、ひぃっ!?」
ふぅー、ワンターンスリーキルゥ。
盗賊の数も半数を切った、そろそろ近接戦闘を開始しよう。
「《イクイップ》」
「そ、そこか!?」
「遅い!」
木々の合間から飛び出して、盗賊たちの前へと踊り出る。
俺の手に握られているのは、割とどこにでも売っている鉄の剣だ。
「馬鹿が! 飛び出してきやがって!! やれ!!」
「「おう!」」
盗賊たちが、手に持った槍を構えて俺へと向ける。
この世界、盗賊だからってみんな斧持ってるとかそういうのはない。
意外と軍隊っぽく適性に合わせた部隊編成もどきをしていたりする。
だが。
「どぅりゃああああ!!」
「ハッ! 当たるかっての!」
それでも適性はいいとこCかD。
そんな力で突き出された槍なんて、装備適性Aの俺の前じゃ、止まってるのと同じだ!
「なっ、槍先を空中でそらして、柄に体をこすりつけただと!?」
「これじゃ狙いがつけられ……ぎゃああ!!」
くるんくるんと柄に沿って体を寄せて急接近。
あとは回転の勢いと一緒に刃を振るい、盗賊たちを蹴散らしてやる。
「ひ、ひぃ! バケモンだ!!」
「こいつの仲間はどこにいやがる!? 弓使いを探せ!」
残念だったな、それも俺だ。
「目をそらしたのが敗因だ」
「ひ、ぎゃああ!!」
その言葉を最後に、ボスの首は胴体とおさらばした。
彼の悪党に堕ちた人生に幕は下り、盗賊団は一人を残して壊滅した。
「《イクイップ》」
パルパラ都市長の交渉道具一式をキッチリ装備して。
「……さぁて、お兄さん。俺と楽しく話をしようぜ?」
「ひぇ、ひ、ひぇ……!!」
最後に残した腰を抜かしてる盗賊と、大事な大事な交渉タイムを始める。
「お宝、いっぱい貯めこんでるよなぁ? それがどこにあるか、教えてくれるよ、ね?」
「は、ひぇ、ひやぁ~~~~……!!」
こうして俺は盗賊団をひとつ壊滅させ、そいつらがたんまり溜め込んだお宝をゲットする。
奪われた人たちには申し訳ないが、手に入れたお宝は全部俺の総取りだ。
盗賊の討伐依頼を受けるより、こうして自力で探して宝を奪った方が効率がいい。
だから俺は基本ソロで、依頼を受けずに盗賊狩りを敢行している。
おかげで財宝図鑑の宝物庫には、結構な金額が貯蓄できた。
だが、それでも。
「まだまだ、足りないよなぁ?」
「ひ、ひぃ! これ以上、何を持っていくってんだ!?」
「それはもちろん、身ぐるみだ」
「え?」
「《ストリィィィップ》!!」
「あ゛あ゛~~~~~~~~~~~!?」
世界を買うほどの金には程遠い。
いずれは規模を拡大し、どんどんお宝を集めて資金力も高めていかないといけない。
「さーて、回収回収」
だが千里の道も一歩から。
旅を始めたばかりの俺は、ファンタジーの先駆者様を見習って、盗賊いぢめに精を出す。
俺は決して善人じゃない。
だが、好んで悪を標榜する気もない。
あくまでこの世界で生きる常識の範囲の中、上手に立ち回って生きていく。
そうでなければ、いつか善のアイテムと悪のアイテムなんてものと出会ったとき、両方を手に入れることはできないのだから。
「よっし、この調子でいくぞ!」
それから俺はこの森を縄張りにしている盗賊団をあとふたつだけぶっ潰し、町へと戻る。
連環都市同盟パルパラから東へ向かった場所にある、同じく連環都市同盟に属する町。
都市同盟の中でも最も東に存在する、治安悪々のその町の名は――。
「連環都市同盟第13の町……ガイザン」
俺が最初の拠点と決めた、なかなか刺激的な場所である。
輝くお宝あれば、無理矢理独り占め!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
古の伝統芸能回でした。
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新章開幕ということで、勢いが生まれたらいいなと思っています。
あと、この手のお話が好きな人のところに届くように拡散とか紹介とかしてもらえるとさらにめちゃくちゃ嬉しいです。
新しい物語が始まるまさに今! 今がチャンス!
日をあけながらになりますが、しっかり投稿していきます。
よろしくお願いします!