異世界ストリップ~俺はレアアイテムをコンプリートして世界を手にする!~ 作:夏目八尋
そして祝! UA1500突破!
見てもらえる人がじわじわ増え続けているの、とっても嬉しいです。
モノワルドという世界には色々な人や色々な場所があります。
そういうのも楽しんでもらえたら何よりです。
それでは、今回もよろしくお願いします!
連環都市同盟第13の町、ガイザン。
別名、娯楽と破滅の町。
「てめぇ、サマしやがって!」
「ははは、負けたのはお客様ですよ。おかわいそうに」
「やったー! 億万長者だーー!!」
「あんまり声上げると目立ちますよ、旦那様~」
「うぃ~、もう一軒回るぞー」
「先輩、飲みすぎっす」
「また来てくださいね。お嬢様」
「はぁぁぁん! お金貯めたらまた来まぁぁす!! やっぱストレス発散はホストよ!」
町の至る所にカジノや風俗、楽しげな雰囲気から薄暗い雰囲気まで混沌と存在する町。
ガラの悪い奴らが闊歩して、脛に傷のありそうな奴らがコソコソしている町。
夕暮れから夜がよく似合う町。
そんな町に居ついてから、かれこれ10日ほどになる。
(今日も賑やかだなぁ)
ここ、町の中で殺人とか日常茶飯事なくらいやべぇところなんだが、俺を惹きつけて止まないものが3つほど存在する。
ひとつは、お金を換金して手に入れるメダルを貯めて、レアアイテムと交換できるカジノ。
ひとつは、闇市を流れる掘り出し物が出てくる可能性を秘めたオークション。
そしてもうひとつが、目下のところお世話になっている……盗品屋だ。
※ ※ ※
「おーい、ドバンのじっちゃ~ん」
「おほう。また来たか、白布(しろぬの)」
行きつけの盗品屋に入って、暗い店内を進み顔見知りになったヒューマの老店主の元へと歩み寄る。
白布というのは彼に付けてもらったあだ名だ。ここで本名を名乗るわけにもいかないと、最初に来店したときに決めてもらった。
その由来は言わずもがな、俺が装備している『ゴルドバの神帯』である。
一目見たときにこれがすごいアイテムだと見抜いたその慧眼に、俺はめちゃくちゃ感動した。
だってこれ『財宝図鑑』の宝番のアデっさん曰く、普通に鑑定してもRくらいの布だって認識されるようになってるんだぜ?
世の中にはやべぇ奴が割とどこにでもいるもんだなって思った。
おかげで気に入ってもらえたから、結果オーライ。
こうして通い詰めるようになって、仲良くなることができたというわけ。
「レアアイテムの実物か情報はないか?」
「またそれか。もうないぞ。毎日毎日聞きに来られて、ネタはなくなったわい」
「あ、そうか。今までありがとう。俺、他の店に行くよ!」
儚い友情だった。
「ちょちょちょ、待てぃ!」
「レアアイテム情報も実物もない盗品屋なんて、ただの買い取り業者だぜ……はいこれ」
いつものように壊滅させた盗賊団から奪った装備品や小物などを提出する。
「ぶおっ、まーたこんなに沢山。おかげで大儲けじゃ! って、そうではなく!」
とっとと買取査定終えて帰りたい空気を出し始めた俺に、ドバンが大慌てで『鑑定眼鏡』を装備してから査定を開始する。
正直俺が一番欲しいその眼鏡を売って欲しいんだが、生憎替えがないらしくて売ってもらえなかった。
もっとも、他の店じゃ吹っ掛けられたりあげく偽物掴まそうとして来たりで、別の意味で手に入れられなかったんだが。
「白布、知っておるか? 最近この辺りから盗賊が消えて、繋がりを持ってる商人たちが悲鳴を上げておるそうじゃって」
「そりゃ災難だな」
「噂じゃ勇者様の仕業じゃないかってことらしいが……お前さんなんか知らないか?」
「いやぁー、俺は見てないな。勇者様」
勇者。
モノワルドにおいては、魔王と呼ばれるレアモンスターを退治して素材を集めてきたり、悪い奴をやっつける特別な装備適性を持つ人物のこと。らしい。
風の噂じゃ最近、巨大なゴーレムみたいなモンスターを退治したと聞く。
(近くにいるって言うのなら、ぜひ会ってみたいもんだな)
モノワルドだし、絶対勇者専用装備とかあるに違いない。
ロ〇の剣とか〇空の剣とか! ちなみに俺は天〇の剣派です。
え、そもそもモンスターとかこの世界にいたのかって?
いるよモンスター! なんなら孤児院の裏で飼ってたコッコもそうだぜ!
「……あんまり無茶しちゃダメじゃぞ?」
「無茶はしてないさ。マジでな」
「お前はワシが最近出会った中で最上級の上客なんじゃからな。儲けさせとくれよ?」
「だったらレアアイテムの情報と実物をだな……」
「ないものはない」
……こういうところが、ドバンのじっちゃんを見限れないんだよなぁ。
何件かある盗品屋の中から俺が彼を選んだ理由が、この隠しきれない仕事関係の誠実さだった。
「レアアイテムの切れ目が縁の切れ目……」
まぁそれも今日までだが。
「待ぁて! 待て待て待て!! 待つんじゃ金づる!」
「いや正直すぎだろ!?」
「レアアイテム、と言えなくもないものを、今日はお前にやる! やるから!」
「話を聞こう」
俺はカウンター席に腰掛ける。
どうやらまだまだ友好関係を続けられそうだ。
俺、ドバンのじっちゃん大好き!
「まったく、現金な奴め……」
「で、レアアイテムと言えなくもないものとは?」
「これじゃよ」
そう言ってドバンがテーブルに放り投げたのは、何の変哲もない一枚のカードだった。
強いて特徴をあげるとするなら、真っ黒な表面に目の形をしたモチーフが描かれている。
「これは?」
「お前が欲しいと思うものじゃ」
「もったいつけなくていいだろ、別に」
「ふっふっふ。そうじゃな」
手に取ってシュババッとアデっさんところで鑑定してもらおうかと思ったが、手を伸ばしたところで妨害された。
爺さんの悪戯心に付き合って目を細めていれば、ようやくそのアイテムの名を教えてもらえた。
「これはの、ワシが懇意にしておる闇オークションへの紹介カードじゃ」
「お爺様大好き!」
「純粋にキモい!」
闇オークション!
行きたいけど全部会員制で行けなかった闇オークション! 来たーーー!!
噂じゃSR以上の
「本当はもっともったいつけてから出してやるつもりだったんじゃがのう。こんなに早くネタ切れさせられてしまっては、もう出すしかなかったんじゃ。とほほ……」
「なんでもいいさ! おかげで俺はレアアイテムを手に入れられる!」
もういいぞとOKサインをもらって、俺はカードを手に取った。
早速《イクイップ》して落とさないようにしておく。
「次の開催は明後日じゃ。掘り出し物が見つかるとよいの」
「ああ! 本当にありがとう、ドバンのじっちゃん!」
ぶっちぎりにやばい場所と噂の闇オークションだが、俺にとっては夢の国。
そこへの入場切符をもらった俺は、最高にハイって奴だった。
※ ※ ※
「ほれ、査定終わったぞい」
「さんきゅう! それじゃ次はオークションの後に顔出すぜ。またな!」
金袋を受け取り、俺は絶好調で店を出る。
査定金額ちょろまかされてそうだが、そのくらいはカード代にしといてやる。
(あー、なんかこういうヤバいところに潜入しますっての、別の配信者がやってたよなぁ)
さすがに『記録水晶』とかの持ち込みは禁止されてるだろうしやらないが。
いざ自分が突撃する役になると思えば、テンションはさらに高まってくる。
「おおーー、今日はなんか美味い物食ってから宿に戻るぞー!」
一人気合を入れ直し、夜のガイザンへと繰り出していく。
ガイザンは治安こそ悪いが、料理はめちゃくちゃに美味しい。
その一番の理由は、町の東にある広大な森林地帯にある。
今日出かけた森のさらに東の先にあるその森の名は、ヒュロイ大森林。
かつてそこにあった獣人種(ライカン)たちが治めていた国の、国営地だった場所である。
今は亡きその王国の名は、獣人国ファート。
(ライカン……獣人、モフモフ、獣耳っ娘とかのヒト種。そういやまだ一度も見たことないな)
装備適性が低い代わりに、何も装備せずとも高い身体能力を発揮できる種族である獣人種。
かつて獣人国ファートの建国王は、その種族特性から《イクイップ》することを惰弱と断じる思想を掲げ、装備によって発展する他国と真っ向から対立した。
始めはその能力の高さから武威を示していられたが、技術の発達と共に力関係は次第に逆転し、そして――。
(80年前、大陸北の大国アリアンド王国と連環都市同盟による連合軍によって、ついに滅ぼされた)
獣人国が滅んだのち、なんやかんやあってヒュロイ大森林は連環都市同盟が管理することとなり、現在の実質的な管理と流通はガイザンを拠点とする大商人たちが行なっている。
おかげでここには美味しい森の幸が溢れていて、最高に料理が美味いというわけなのだ。
「モノワルドにも歴史あり、って感じだよな……栄枯盛衰、諸行無常」
獣人国が健在だったときは森の食材もあまり出回ってなかったらしいし、モフモフ王国が滅んでしまったのは残念だが、今日この時、美味しいご飯にありつけることは喜ばしい。
「うおー、ガイザン最高!」
飯が美味いところはどこだって天国だ。
俺は手頃な高そうなレストランに突撃し、一人向けのコース料理を堪能する。
肉! 肉! 野菜! 肉! 魚! トカゲ! 野菜! 豚! キノコ! 肉!
スープやステーキ、サラダに丼。腹いっぱいになるまで俺は料理を平らげる。
「ごちそうさま。お勘定!」
「520gでございます」
「はい」
520gは日本円にして5万2千円くらい。
ちょっとボッタくりではと思わなくもないが、最高に美味しかったから気にしない。
それに何より、今の俺にとっては余裕で払える金額だ。
「っかぁー! 食った食った! 食い倒れ世界旅行も人生の目標に加えていいかもなぁ」
夜が深まったガイザンは、しかしそこら中に明かりが灯って闇が遠い。
今からでも豪遊しようとすれば、いくらでもある娯楽の数々が、俺を迎えてくれる。
だが、忘れてはいけない。
「おら、こっち来い!」
「ひぃっ! すいません! すいません! あ、助け……!!」
「あへぁ、あへぇ……」
「ち、ぶっ壊れやがった。こいつ捨てとけ」
「………」
この町は娯楽と破滅の町。
気を抜きすぎれば、次に身を滅ぼすのは自分の番になる町。
「おかえりなさいませ」
「どうも」
宿に泊まるなら、しっかり高い金を払って防犯の魔法とアイテムが充実した場所へ。
旅先でお金をケチるとろくな事にならない。
「はふぅー」
俺は自室の柔らかなベッドに身を放り、大の字になる。
「明後日か、楽しみだ」
眠らない危ない町の、比較的安全な場所で、俺は眠りにつく。
いつかした失敗から学んで、俺と財宝図鑑を繋ぐ神帯は、寝る間もほどかないままでいた。
メインディッシュはトカゲ肉。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
悪いことを許容できると、悪い町に住めるようになる。そんなお話。
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次は闇オークション!
伝統芸能は続きます!