異世界ストリップ~俺はレアアイテムをコンプリートして世界を手にする!~   作:夏目八尋

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毎度の調子で26話をお届けします。

じわりじわりと進めて、今回でついに10万文字を突破しました!
これからもじわりじわりと進み続けてもっとたくさんの話を紡ぎたいと思います。

そんなわけで、今回もよろしくお願いします。


第026話 ライカンの少女ナナ!

 

 新しい朝が来た。

 具体的に言うと、闇オークションの日から3日後の朝が来た。

 

 今日も俺はガイザンの高級宿のふかふかのベッドの上で目を覚まし。

 

 

「おはようございます、主様」

 

 

 隣で添い寝している可愛い垂れ犬耳ロリ美少女に、朝の挨拶をされる。

 

 

「おはよう、ナナ」

 

 

 垂れ犬耳っ娘ことナナは寝間着を肌蹴させ、お腹はもちろんその上の柔らかなふたつのお山も半分くらい見せている。

 彼女の装備適性的に《イクイップ》してればこんな風にはならないんだが、不思議だね。

 

 

「昨晩もとてもよくお眠りでしたね」

 

「ああ、なにしろ寝間着適性Aだからな」

 

「さすがは主様でございます」

 

 

 さっきから主様主様と俺を呼び慕うこの子。

 添い寝はするはセクシー衣装は披露するわめちゃくちゃヨイショしてくれるわでなんなんだって思うだろうが、実はその正体については俺にもまだよくわかっていない。可愛くてもふもふでぷにぷにで最高であること以外はよくわかっていない。

 

 彼女は闇オークションで奴隷として購入し、その日のうちに開放して寝たら、翌朝には俺のことを救世の使徒だなんだとか言い出して、いきなり生涯の忠誠を誓ってきたなかなかドリーミングでアグレッシブな少女だ。

 

 その時に全裸土下座からのワンワンの服従ポーズのコンボを決めてくるような子だから、もしかすると朝セクシーな格好でベッドに潜り込んでくるくらいは普通のことなのかもしれない。

 

 

「こちらも、朝からとてもご立派でございます」

 

「ドント・タッチ・ミー」

 

 

 ちょっと押しが強いところとか、誰かさんによく似ているぜ!

 

 

「そうでございますか……主様がお望みとあれば、わたくしはいつでもお応えしますので」

 

 

 どことなく余裕ある立ち回り。

 挑発的ともとれるこの態度は、彼女の天然の策略だということを俺は知っている。

 

 ナナは結構な誘い受けなのだ。

 そして俺に対して全部受け止めたい系のM。

 

 

「本当に、はぁ、はぁ、いつでもお応えしますので、はぁはぁ、ぜひに!」

 

 

 ほらご覧。あれがこの子の本性だよ。

 大した雌犬っぷりだね!

 

 

「よしよし、いい子いい子」

 

「あわわわ、主様。そんななでなでされたらわたくし、幸せに……」

 

「よーしよしよし」

 

「わぁぅんっ」

 

 

 とりあえずなでなでしてごまかしながら、俺は改めてナナについてわからないなりに考えを巡らせる。

 

 伝説に憧れるあまり俺を救世の使徒だと勘違いし、その支えとなる巫女になると頑張る少女ナナ。

 昨日一昨日と彼女の様子を確かめてみたが、彼女自身にガチの巫女らしい要素はなかった。

 

 

(言葉遣いとか立ち振る舞いとか、そういう常識的な範囲じゃ相当それっぽいけどな)

 

 

 だからナナのやろうとしていることはきっと、巫女という役割を演じたいってことだと俺は解釈している。

 ならばそんな彼女に見初められ、関係を持ってしまった俺は、彼女にとっての救世の使徒を演じなければならない。

 

 

(何をもって見初められたのか、そこだけがさっっぱりわっかんねぇから不安はあるが、でも)

 

 

 ありがたいことに実際の救世の使徒ってのは、神に遣わされた何某かであるらしい。

 この世界の神様であるゴルドバ爺に異世界から転生させてもらった俺も、似たようなものだと思えなくもないくもない程度には思えなくもない。

 

 

(だから俺は、俺なりの考えで、救世の使徒ってのを演じればいい)

 

 

 土台はある。そこから役を作ってロールプレイ。

 なんてことはない。他の配信者と一緒に遊びまくったTRPGのそれと要領は同じだ。

 

 それをさっそく、披露してみせよう。

 

 

「……ところで、ナナ」

 

「はい。なんでございましょう、主様」

 

 

 俺は俺なりに想像する救世の使徒らしく、威厳たっぷりに問いかける。

 そんな俺に嬉々として尻尾を振り、愛らしい笑顔で言葉を待つ態勢をとるナナ。

 

 そう、彼女の救世の使徒様であるところの俺には、問わねばならないことがあった。

 

 

「ナナ。昨晩俺は宿の部屋を変えたんだが、どんな部屋を選んだっけ?」

 

「わたくしと主様でそれぞれ眠れるよう、ベッドがふたつある部屋にございます」

 

「俺がナナを寝かせたのは?」

 

「……主様の隣のベッドにございます」

 

「もうひとつ質問、いいか?」

 

「なんなりと」

 

「……お前用のベッド、どこに行った?」

 

「……あなた様のように勘の鋭い主様をいただけて、ナナは幸福にございます」

 

 

 俺はゆっくりと部屋の隅を見た。

 

 そこには昨夜までベッドだったものが辺り一面に散らばっていた。

 

 

「ナーナー……!!」

 

「あああああお許しください! お許しください主様ぁぁぁぁ!!」

 

 

 俺は全力でナナの垂れ犬耳をモフモフする。

 どうやらここが弱いらしく、お仕置きするときはここを責めればいいと昨日ナナが自己申告してくれた。

 

 

「誰があのベッド弁償すると思ってるんじゃあーー!!」

 

「ひぃぃぃ、お許しください! お許しください主様ぁぁぁぁーー!!」

 

 

 お望みどおりに耳裏ホジホジしたりくすぐったりしてやれば、ナナは途端にビクンビクンとし始める。

 激しく身悶えしている姿は、くすぐったそうにしている以上になんか、こう、エッチ。

 

 

「あんなもの! あんな物があるからわたくしは主様に添い寝ご奉仕ができなくなるのです!!」

 

 

 そうだね。ヤンデレな従者に死ぬほど愛されて眠れなかったからね!

 

 

「だからってぶっ壊す必要はないだろうが!!」

 

「ああー主様! そんな乱暴な耳モフモフはご勘弁を、耳モフモフはあああああああひぃーーーー!!」

 

 

 ナナがお仕置きなのに悦んでる気がしなくもないが、お仕置きである。 

 っていうかベッドすら敵対視するとか、どんだけ俺のそばにいたがるんだこの子は。

 

 

「……狂信者、か」

 

 

 彼女のことを、俺に縁のある天使(アデライード)はそう評した。

 事実、彼女の信心はさっそく暴走しまくり、ご覧の有り様である。

 

 

(今更この子を放流しても、ぜってぇ俺の得にならないよなぁ……)

 

 

 なんか放流した先で新興宗教とか立ち上げそう。

 

 

「あ、あああ、主様、あ、あひ、あ、ひぇ……」

 

「あ」

 

 

 やっべ、やり過ぎた。

 

 

「はぁー、はぁー、はぁー。こ、こんなに可愛がられてしまっては、ナナは、ナナは、もう!」

 

「ステイ! ステイ! ナナ!」

 

 

 目をハートにして今にも飛び掛かろうとしているナナを何とかなだめすかす。

 

 

「わぅぅぅん……主様ぁ」

 

「ダメダメ、今日は出かけるって言っただろ。お預け」

 

「………」

 

「無言で鼻先近づけてくんくんすりすりするんじゃない。ステイ」

 

「………」

 

「ジッと見ても効果はないぞ?」

 

 

 何しろ俺の指にはすでに、『魅了耐性向上の指輪』が装備されているのだから。 

 先日とった不覚など、あれは例外中の例外のようなもの。

 

 

「うー……」

 

「残念だったな? さぁ、お出かけの用意をしよう」

 

 

 そんなホイホイ防御貫通なんてされようものなら、ミリエラと再会した日にゃどうなるか――。

 

 

「…………くぅん」

 

 

 肌蹴寝間着服従のポーズ、M字開脚バージョン。

 

 ちゃんと《イクイップ》しないからこそ、生まれる色気も、ある。

 

 

「……だからそのポーズは卑怯だってくぁwせdrftgyふじこlp!!」

 

「わぅーん! あるじさまぁ~~!!」

 

 

 俺とナナが宿を出発したのは、日もすっかり昇りきった頃だった。

 

 

(もはやHR(ハイレア)装備程度では、もたん時が来てしまったというのか……)

 

 

 俺はミリエラと再会するその時までに、より強力な魅了対策装備を探すことを決意するのだった。

 

 

 

 ちなみに。

 ナナが壊したベッドの弁償代は1500(ゴル)20(シール)

 

 1s≒1円。1g≒100円。

 

 俺は泣いた。

 

 




高品質なブランドベッド(HR)
快眠アイテム製作ブランド「スウィート・ソアー」製のベッド。
ウェスタン大陸では広い知名度を誇るブランド品で、性能も安定している。
数も出回っており、各高級宿屋で人気の一品。


ここまで読んでくださりありがとうございます!
楽しく読んでもらえたら最高です。

お気に入り、感想、高評価、レビュー等、応援してもらえるととっても嬉しいです。
あと、この手のお話が好きな人のところに届くように拡散とかしてもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです。
あなたの応援がこの作品を育ててくれます。


次回、お出かけする先は……?
ご期待ください。
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