異世界ストリップ~俺はレアアイテムをコンプリートして世界を手にする!~ 作:夏目八尋
実は入ってた2章の終盤。
センチョウ立志編(あるいはナナちゃんの章)をどうぞ見届けてやってください。
ということで、今回もよろしくお願いします。
前回までの! センチョウ様は!!
自らを救世の使徒様と呼び慕うライカンの少女、ナナちゃんをまんまと頂いたセンチョウ様!
彼女を自分の従者というポジションに収めては好きに連れ歩き、服従させる!
けれど内心では、彼女にいつ自分の嘘がバレてしまうかドッキドキ!
嘘に嘘を重ねた結果、自分の人生の目標と現状の乖離に立ち往生!
この難局、どうやって乗り切ろうというのか!!
センチョウ・クズリュウ様も年貢の納め時なのか!!
「……って、聞いてございます? 千兆様?」
「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい……!!」
「これは、聞いていらっしゃらないでございますね。アーハァン」
「ヤババババババ、ヤバヤバい……」
気がつけば俺は、『財宝図鑑』の中へと逃げ込んでいた。
(ここでの返答を間違うと、ナナが大変なことになって俺もバッドエンドだ!)
考えなければいけない難問。
世の中の安定を目指す救世の使徒が、世の中を混乱させるレアアイテム集めする理由。
(正直に、レアアイテムコンプしてその力で世界を遊び尽くすためですなんて言った日にゃ、即ジ・エンド!)
敬虔な狂信者であらせられるナナちゃんにおきましては正義執行or自害!
彼女の人生を預かってる俺としては、絶対回避したい気持ちSo many!
(考えろ! 考えろ、俺!! この状況を打開する、最高の
救世の使徒らしい威厳を保ちつつ、世界を敵に回すほどの意義があり、かつ俺自身の行動を邪魔しないようなグレートな回答を!
「…………無理じゃん! そんなの!!」
何をどうすればそんな都合よく便利な回答が生まれるってんだ!
おう、神様仏様ゴルドバ様! 俺に都合よく状況を打破するアイテムをください!
「あのー、千兆様?」
「うひょっへーーーい!! うおっち!」
「ほほー。驚きと共にバク転からの後方伸身宙返りとは、8点でございます」
「アデっさん!」
俺の呼び声にアデっさんは「はい、アデっさんでございます」と返してから、謎にカッコいい立ち姿を披露しつつ言葉を紡ぐ。
「千兆様は、こうだと思われるとそれはそれはもう真っ直ぐに突っ走られるお方でございますね。そこが個人的にはとても面白……こほん、好感が持てるところでございます」
「へい、アデっさん。こほんの前をもう一度頼む」
「ですがそれゆえに、見落としてしまったり勘違いしてしまわれたりすることがままございますのが玉に瑕なところでございます」
「へい、アデっさん。へいっ」
どうやらアデっさんはセリフの途中で突っ込んでも聞こえないタイプのようですね。
いやこっち見て笑ってるわ完全にわかってて無視してるわこの人。
チックショー顔がいいなこの天使。
「それで、千兆様。この困難を乗り越えるために必要なのは、そこなのですよ」
「ようやく俺にパスが来た。そこってどこだよ」
「真っ直ぐに突っ走る。それが千兆様の良さなのですから、もうそこを突き詰めるしかないのでございます」
「……つまり」
「正直になればよいかと」
「正直に……」
真っ直ぐに突っ走る。正直に。
(つまり、自分の意志に従って、真っ直ぐ、やれるところまで突き詰めろってことか)
アデっさんのアドバイスを元に、心を落ち着かせながら考える。
(俺がやりたいこと。今求めている結末。ここから先へ繋がる選択肢……)
俺は、アイテムコンプリートして世界を自由に楽しみまくりたい。
ナナに俺が救世の使徒であることをアピールしつつ、それがその場しのぎじゃなく長期的に信じてもらえる状態まで持っていきたい。
そのために必要なのは、どこまでも突き抜けた“大胆な”ハッタリこそが……正解!
「……そうか」
「あの子がいったい何を狂おしいほどに信じているのかを考えれば、おのずと答えは――」
「わかった! わかったぞ!! アデっさん!!」
「おお、わかられたのでございますね」
「ああ! もう完全無欠に大丈夫だ!」
着想さえあれば、でっち上げるのは俺の
「……そのお顔からはわかってらっしゃらない気がヒシヒシといたしますが、面白そうなので放置しますでございます」
「ふっ、そう言ってられるのも今の内だぜ! 見てろよ、俺の一世一代の大見得だ!」
俺は魂を『財宝図鑑』からモノワルドへと帰還させる。
あの世界の時間にしてそれは、一瞬にも満たないほんのわずかな経過。
そんなチート思考タイムを使い、俺は最上の答えをもって、ナナへと挑む!!
「……ふふっ、これは。ダメみたいでございますね」
って楽しげな声が聞こえた気がしたが、今の俺には些末なことだった!
「待ってろナナ! 俺が、救世の使徒様だ!!」
※ ※ ※
目の前に、めちゃくちゃかわいい垂れ犬耳美少女の顔がある。
「ナナ!」
「はひゃい! あるじさま!」
俺は視線をそらさぬままナナの両肩を掴み、むしろこっちこそ穴が開くほどに見つめ返す。
「ひえっ、あ、あるじさまの視線がナナを射抜き……これは、ご褒美にございますか?」
「聞いてくれ、ナナ。俺がどうしてレアアイテムを集めなければならないのかを」
「あっ、そうでございました。ですが肩を抱くのはそのままでお願いします、主様」
「わかった!」
俺はご希望通りにナナの両肩を抱いたまま、話を続ける。
狭いキャンプテントの中、強く見つめ合うなんてロケーション。さっきまでの俺には楽しむ余裕なんてなかったが、今は違う。
(今の俺はもう、ナナの問いにバッチリ答えることができる!)
必要なのはチマチマした嘘の積み重ねではなく、大胆で派手な……ハッタリ!
「ナナ、俺が世界に混沌をもたらしかねないにもかかわらず、レアアイテムを集めるその理由は、だな……」
「その、理由は……?」
「この世界……モノワルドの、危機だからだ!!」
「!?」
俺は大きく深呼吸して、真剣な目をしてもう一度、口を開く。
「世界は、狙われている!!」
「な、なんとーー!!!」
俺の言葉に、ナナは垂れ耳がボフンッと跳ねるほどに驚きを露わにした。
「この世界が、モノワルドが、狙われているのでございますか!?」
「ああ、そうだ。近い将来……いや、遠い未来……いや、世界は狙われている!」
「なんと!」
「ナナ、これは緊急事態なんだ。いつか来るかもしれないその時のため、俺は準備をしなければならない」
「主様、それで……敵はいったい」
「そう! 敵だ! 敵がいつかやって来る! そのためには力が必要! そのための『財宝図鑑』!!」
「!?」
ずっと俺のターン!
アデっさん、技を借りたぜ!
「『財宝図鑑』を完成させ、大いなる力を練り上げなければ勝てない敵が来る。だから俺は、レアアイテムたちを、どんな手段をもってしてでもコンプリートするのだ!!」
そう、これこそが俺の考えた策!
いつか来る……かもしれないやべぇ奴がいるってことにする大作戦!
(強大な力を一点に集めるなんてのに正当性を持たせるには、そうしないと勝てない敵を作るのが一番だ。幸い俺が演じている役割は、ヒト種なんてでかい物をまとめてプラスに導く救世の使徒。だったらこのくらい派手な敵がいるってことを口にしても、許される!)
もっとも、その敵が来るのは一年後か十年後、はたまた百年後、千年後かはわからないがな!
そう、俺が明言さえしなければ、それがいつのことかなどいくらでも変えられるのだ!
確かめようがない真実の前に、暴かれる嘘なし!!
「世界の危機……確かにその前には、対抗するべき力が必要……で、ございますね」
「だろう? 俺にこのアイテムが託されたのは、間違いなくそのためだ」
いや、アイテムコンプを視覚的にわかりやすくするためだと思うけどね!
「世界の危機を前にしては、ライカンを含むすべての種族が力を合わせねばなりませんね」
「そうだ。だからナナが望む救世だって、俺の道の先にある!」
アイテムコンプさえしてしまえば、その辺だって好きにできるだろう、多分。
「本当に、本当に主様は、そんな大業をなさろうとしていらっしゃるのですか?」
「ああ。そのためならば、俺は善行も悪行も、等しく目的のために果たしてみせよう!」
そう、すべては俺のアイテムコンプリートという偉業の前の、コラテラルダメージ!
力強く拳を握り、俺は最後の一言を告げる!
「俺の救世は乱世の果てに現れる、巨悪と戦うことこそが真の本番であると!」
「……!!」
――どうだ! 決まったか!?
まるででっかい演説でもやり終えたかのような達成感を得ながら、俺はナナを見る。
「………」
ナナは、俺の後ろに後光でも見えているのかってくらい、眩しそうに見つめていた。
そんな彼女の視線に負けないよう、俺も真っ直ぐ彼女を見つめ返して、頷いてみせる。
「……主様」
ゆっくりと、俺の手を離れ首を垂れて、膝をついた姿勢を取るナナ。
「改めて、ここに誓いたく存じます。このナナ、これより主様の使命を手伝いし従者として、この身果てるまでお仕えし、主様の望むがままの存在となることを!」
「ナナ……!」
「ですのでどうぞ、わたくしにお命じください。我が手足となって、その力を搾り尽くせと!」
「ああ、頼りにしている!」
「24時間おはようからおやすみまで、食事やお風呂、褥や厠のお世話まで、すべてわたくしに任せると!」
「ああ、それは要相談でな!」
「わぅぅ」
カッコいい誓いから始まって、最後にしょんぼりしてしまったナナを見ながら、俺は。
「よしよし」
「はぁぁ、あるじさまぁ……」
万感の思いで、心に描く。
(…………計画通り!!!)
俺は難局を乗り切ったことを確信し、歓喜に打ち震える!
(これでナナは、俺のあらゆる行動の先にこの使命があると信じてくれる。そしてこの使命の真偽がわかるのは、ずーっとずーっとあとの話だ)
俺はこのハッタリを嘘とは思わない。
なぜならば、確かめようがないから!!
未来のことなんて、それこそGRクラスのアイテムでもなきゃわからないだろうさ!
「俺が行く道は茨の道だ。それでも、ナナは付いてきてくれるんだな?」
「もちろんにございます。主様。この身はあなた様の望むがまま、不要と断じられるその時までは、命枯れ果てようともお傍に侍らせてくださいませ」
「ああ。その命、俺が預かる」
うん。いつか
とはいえここまで来たらもう、ずっと俺の傍に居てもらいたいものだけどな。
「はぁぁ。これ以上の幸せは、わたくしにはございません……」
気づけばしなだれかかってきたナナが、めっちゃこっちを見てた。
お目々ぐるぐる、お口はぁはぁで、瞳の中にはハートマークすら浮かぶ勢いだ。
「主様、わたくしの主様ぁ……」
「……あれ?」
前より彼女の狂信度が上がってる気がしなくもないが、一時的なものだろう。
ほら、さっきまでの俺、マジで救世の使徒様っぽかったしな!
「ナナ。使命を果たすためにもまずは、いい装備を揃えてもっとでかい仕事をこなしてさらに金を稼ぐ。そして購入できそうなお役立ちSR、URアイテムを集めながらLRに手を伸ばしていく。道は長いぞ?」
「はい、はい……あ」
不意に、ナナの顔面が蒼白になった。
さっきまでふわふわ桃色だった顔が、そりゃもう見事に真っ青だった。
……いや、一時的なものとは言ったけど、そこまで露骨に変わったら心配するよ、俺!
ブランド物のシルクパンツ(HR)
ふわふわさらさらの絹生地に可愛いリボンのワンポイントが施されたパンツ。
下着という装備ジャンルは、特にサキュバスによって道具開発競争が激しく、高レアリティの物でも比較的安価に手に入れることができる。
サキュバスは女性のみの種族であるが、男性向け下着にも抜かりなく情熱を注いでいるため、当然のように男性用サイズもご用意されています。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
お気に入り、感想、高評価、レビュー等、応援してもらえるととっても嬉しいです。
次回、2章クライマックス!