異世界ストリップ~俺はレアアイテムをコンプリートして世界を手にする!~   作:夏目八尋

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39話をお届けです!

今回は前後編の前編ですが、のんびり投稿なのをご容赦ください。
ホップステップジャンプのステップ回です。

それでは今回も、どうぞよろしくお願いします。


第039話 スーパースロットを攻略せよ!前編!!

 

 

 

「さて、それじゃそろそろどこかの席に着こうか」

 

「色々な遊戯がございますし、目移りしてしまいますね」

 

「だな」

 

 

 そろそろ何かやってみようということで、俺とナナはカジノの中をウロウロする。

 

 

 

「ツモ、でございます。点数は2000オール」

 

「おお」

 

 

 麻雀。

 

 

「……とぅ! ど真ん中にございます」

 

「ナイスブル!」

 

 

 ダーツ。

 

 

「わぅ。5、J、10でバーストにございますね……」

 

「親の18に対して俺は19、仇は取ったぞナナ!」

 

「あるじさまぁ!」

 

 

 ブラックジャック。

 

 物見遊山に色々なゲームを楽しみ、他の殺伐とした雰囲気の中でほのぼのとした時間を過ごす。

 初心者丸出しだったおかげか、俺たち……特にナナは、お店側にずいぶんと優しくしてもらえた。

 

 特に。

 

 

「か、勝ちました! 主様! 弱いツーペアでございましたが、運が良かったです」

 

「おー、やったな」

 

「流石でございますな、お嬢様」

 

 

 賭けたメダルが少数だったのもあっただろうが、ポーカー卓のマスターだった老年のディーラーさんには、ほぼほぼ孫っ可愛がりされる感じでナナが勝たせてもらった。

 

 

「カジノ、楽しゅうございますね。主様!」

 

「そうだな」

 

 

 これが初心者をカジノ中毒にさせる準備だって口にするのは、野暮なのでしない。

 この笑顔をわざわざ曇らせる必要はないのだ。

 

 純粋に楽しんでるナナに対し、勝ちを狙った俺の勝率は五分五分といったところだった。

 実を言えばもっと勝とうと思えば勝てたんだが、後々の本番のためにも悪目立ちを避けるため、抑え気味に立ち回っていた。

 その辺りの勝たないための立ち回りなんてのが出来るのも、装備適性Aのすごさである。

 

 

 

 そして。

 

 

「……ふむふむ、なるほど」

 

「ああ、惜しかったですね。主様」

 

 

 やいのやいのと遊びまわってる俺たちが今プレイしているのは、1レーンスロット。

 簡単に言えば、回転する絵柄をボタンを押して止め、3つの絵柄が揃えばメダルが増えるというゲームだ。

 

 座った席の筐体を《イクイップ》して、俺はとりあえず数回プレイする。

 

 

「よし、次」

 

「わぅ?」

 

 

 隣の席に移動し《イクイップ》してまた数回、移動し《イクイップ》してまた数回、と同じ作業を繰り返し、当てたり当てなかったりを重ねていく。

 

 

「……おや、主様。さっきよりも当たりの数が増えてまいりましたか?」

 

「ん? ああ、そうだな」

 

 

 ナナが気づいたところで、俺も確認完了。

 

 最後にSの文字を3つ並べて大当たりの音を響かせ、『カジノカード』のメダルの数が増えるのを見届けてから、俺は席を立ち、目的の場所へと向かう。

 

 

(すでに注目、されてたみたいだな)

 

 

 店員の中の何人か、そして常連らしき客のいくらかの、鋭い視線を感じる。

 可愛いナナではなく俺を見つめる、警戒と、期待の視線。

 

 

「さぁ、本番だ」

 

 

 向かったのは店の中央に設置された特別ステージ。

 遊んでいるあいだに何度も何度もアナウンスされた、この店の目玉ゲーム。

 

 

「ぐあぁぁぁぁ!! ボクのメダルぅぁぁぁあ!」

 

 

 叫びを上げて膝をついた青年が、ステージから降ろされて。

 

 

「さぁさぁ! 次なる挑戦者はいないかぁ? ここ“底なし沼”最大レートの1プレイ1万メダルの『スーパースロット』!! オールSを出せばジャックポット! 今なら514万メダルがアナタの手にーー!!」

 

 

 図ったかのように再びアナウンスされたそれに。

 

 

「はいはいはーい、挑戦しまーす!」

 

 

 堂々と、名乗りを上げる。

 

 

「来たか!」

 

「出たぞ挑戦者!」

 

「さぁ新たな犠牲者だ!」

 

 

 周りのどよめく声と注目に、俺はゾクゾクとした心地よさを感じながら。

 

 

「はーい、ようこそ挑戦者! ステージの上へ!!」

 

 

 このゲーム専属らしき実況者に導かれ、ナナを連れて壇上へと登る。

 

 

「新たな挑戦者に拍手を!」

 

 

 歓声とともに響き渡る怒涛のような拍手が俺に、ここが勝負所であることを自覚させた。

 

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 

「さぁ、簡単に『スーパースロット』についてご説明しましょう! これはハイリスクハイリターンの発展型1レーンスロット! 通常の物と違い5つの絵柄を揃える必要がございます!」

 

 

 実況者の説明を聞きながら、俺はこれから挑む敵を見上げる。

 そう、見上げるほどの大きさの1レーンスロットがそこにはある。

 

 デカデカと5つの絵柄を表示するスロット台と、それらに対応する5つのボタンが置かれた台座。

 台座の横には大きなレバーがついており、それを引くことで新たなゲームの始まりを告げる仕組みだ。

 

 

「1万メダルをカードから読み取りベッドすることで、レバーは回せるようになります! あとはタイミングよくボタンを押して、5つの絵柄を揃えるだけ! 単純にして明快なゲームです!」

 

 

 シンプルイズベスト。

 わかりやすいことこの上ないルール説明に、ギャラリーが盛り上がる。

 

 レバーを引いてボタンを押す。たったそれだけで1万メダル……1万gが消し飛ぶのだ。

 さっきまで遊びまわっていたゲームたちとは文字通り桁違いの掛け金に、俺は息を呑む。

 

 

「このゲームは特別に《イクイップ》以外に自己強化系の魔法の使用もありとなっております! 己の動体視力、素早さ、精神力、なんだろうが上げて挑まれて結構です!」

 

 

 実況者の言葉からは、絶対の自信が感じられる。

 その自信の理由は客席からの声で理解できた。

 

 

「このゲーム、前に魔杖適性A、学帽適性Bの“予測の魔女”でもダメだったんだろ?」

 

「ええ。先読みしてもちゃんと押せなきゃダメ。かといって身体能力特化でもダメよ」

 

「ゴーグル適性Aの“鷹の目”が支援魔法もらってもダメだったらしいからな」

 

 

 ギャラリーから次々と語られる、敗北者たちの話。

 それらはまるで、俺に対して「お前もダメだ」とでも言うような口ぶりだった。

 

 

「さぁチャレンジャー! 挑戦回数は?」

 

「5回だ」

 

 

 再びのどよめき。

 もうすっかり、何を言っても勝手に回りが盛り上がる状態みたいだな。

 

 

「カジノカードを確認します……OK、しっかり入っております! 台座の前へ! あ、お連れの方はそこで待機をお願いしますね!」

 

「了解。ナナ、見ててくれ」

 

「……はい。ご武運を、主様」

 

 

 ナナに見守られながら、俺はスロットを動かす台座の前に立つ。

 カードの読み取りセンサーに『カジノカード』を触れさせれば、ガチャリとレバーのロックが外れる音がした。

 

 

「……《イクイップ》」

 

 

 呪文を唱える。

 瞬間、最も適切な装備適性が適応され、俺は『スーパースロット』を装備した。

 

 

「さぁ! 準備万端! ゲームスタートだぁ!!」

 

 

 実況が張り上げた大声に、この場の誰もが声を上げる。

 新たな挑戦者が勝者となるのか敗者となるのか。

 

 その瞬間を今か今かと待ちわびていた。

 

 




“底なし沼”のスロットマシーン(HR)
メダルを投入、レバーを回してスロット回転、ボタンを押して絵柄を揃えるシンプルなデザインのスロットマシーン。
ひとつひとつが遊戯具職人入魂の一品で、お客様のイライラパンチにも負けない頑丈性を持っている。
ちなみに、設置系アイテムへの《イクイップ》は、装備者がアイテムから一定距離を取ると自動で装備が解除される仕様である。


ここまで読んでくださりありがとうございます!
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次回、出るか?! ジャックポット!!
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