異世界ストリップ~俺はレアアイテムをコンプリートして世界を手にする!~   作:夏目八尋

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58話をお届けです。
今年も3日おき程度を基準に更新していきたいと思います。
よろしくお願いします。


第058話 情報収集!

 

 

 情報収集するべく入った店のカウンター席で、たまたま隣の席になった、フードを被った女の子。

 パッと見ただけでも旅慣れている雰囲気で、その座り姿には隙がなく。

 

 

(ふむ……)

 

 

 わずかに見える褐色の素肌は実に健康的。

 テーブルに置いた手の指先は、武器を振るう人でありつつもケアを怠っておらず、勤勉な雰囲気を醸し出していて。

 

 

(俺にはわかる。この子、間違いなく真面目可愛いタイプの子だ)

 

「?」

 

 

 そんな第一印象に、俺は一人、静かに深く頷くのだった。

 

 

「……わぅぅ」

 

 

 背後からずもももももって闇の気配を感じるが、それはそれ、これはこれである。

 

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 

「ほい、水」

 

「お、ありがとう」

 

「ありがとうございます」

 

「どういたしまして。メニューはそこだ。通ぶって裏メニューないかとか聞くなよ? 火炎草食わせてやっからな」

 

「じゃあ裏メニューで」

 

「がっはっは! ねぇよんなもん!」

 

 

 適当なやり取りをして店長と戯れながら、メニューはナナに託し、俺は隣席の客にまた声をかける。

 

 目的は当然、情報収集だ。

 ナンパではない。

 

 ナンパではないからどうか俺じゃなくメニューを見てくださいナナさま。

 

 

「なぁ、俺たちはこの村に来てすぐなんだが、何か面白い話とか知らないか?」

 

「え? うーん、そうだなぁ……」

 

 

 唐突な質問にもその子は素直に受け止めてくれて、考える仕草をし始める。

 身のこなしの割に警戒心が薄いというか、不思議な雰囲気の少女だった。

 

 

「やっぱりここだと、開かずの扉かなぁ。あの扉はもう100年も開いてないらしいよ」

 

「へぇ。じゃあもしも開いたりなんかしたら、大騒ぎになるな」

 

「え、何か起こるの?」

 

「さぁてな。それよりも、ドラゴンの財宝について何か知らないか?」

 

「噂や伝承程度なら、金銀財宝はもちろん、精霊銀に飛鉱石、至竜の巣だから『ドラゴンオーブ』だってあるかもしれないってくらいかな」

 

「おおー! LRアイテム! それを聞くだけでも心が躍るぜ!」

 

「キミは、レアアイテムに興味があるの?」

 

「まぁな。これでもレアアイテムハンターって名乗るくらいには、色々してるぜ」

 

 

 ほらほら、見てくれこの小手。『ぎんの手』っていうURアイテムですヨ?

 そして見栄えのために腰に引っ提げてるのが『増魔の剣』、こちらSRになっております。

 

 

 

「うおっ、レアアイテム複数持ちかよ。すげぇな……」

 

「しかもUR? 使いこなしてるってんならあいつ、相当の実力者だぞ」

 

 

 お、おおお! これこれ!

 店内がざわついて、視線が集まっている!

 

 この優越感! レアアイテムを頑張って集めた甲斐がある!

 

 

「なぁなぁ、ちょっとお話、聞かせておくれよ」

 

「あ、ずりぃぞ! 俺にも聞かせてくれ!」

 

「ウチもー」

 

「ちょ、お姉ちゃん近づきすぎ!」

 

 

 おおおっ!

 一気に人だかりができた。ちょっと人気すぎやしないか?

 

 

(って、そうか。この村に来る物好きなんてロマン好きばっかりだから当然か)

 

 

 話術士スイッチ、オン!

 俺は群がってきた観光客や冒険者たちに、話せる範囲で武勇伝を聞かせ始める。

 

 

(この人気を使って、情報収集を捗らせてもらうぜ!)

 

 

 こうして俺は、ナナが頼んでくれたおつまみを嗜みつつ、情報収集に精を出す。

 

 

 

「……ねぇ、ラウナベル。どう思う?」

 

「そうねぇ、テトラ。とりあえず要注意ってところじゃないかしら?」

 

「ボクも同じ。一応、気をつけとこう……おじさん。お会計ここに置いとくね!」

 

 

 

 さすがはロマン大好きな奴ら、色々と話を聞くことができた。

 

 

「っと、いきなりうるさくしてごめんな……ありゃ」

 

 

 気がつくと、最初に声をかけた隣の席の女の子は、もういなくなっていた。

 ちょっと、騒がしくしすぎたかもしれない。

 

 反省。

 また会った時にでも、謝ろう。

 

 

「おい兄ちゃん! もっと話を聞かせてくれ!」

 

「はいはーい」

 

 

 不義理を働いてしまった女の子のことはとりあえず置いといて、俺はもうしばらく、店内で情報を集める。

 2時間ほど話を聞いたところで、俺たちは店を後にした。

 

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 

「なるほど。開かずの扉は村で管理されていて、今は観光資源として入場料が取られてるのね」

 

「そうらしい」

 

 

 店を出たあと、村のランドマークだという水晶柱でメリーと合流した俺たちは、今は宿屋でそれぞれに集めた情報を共有していた。

 

 

「扉開放チャレンジでも別途料金が掛かるってのが、なんともアコギというか商魂逞しいというか、だな」

 

「ガイザンのカジノにあった、スーパースロットと似たようなものにございますね」

 

 

 どっちも、誰にもできないだろうってのを前提とした商売だ。

 そう言われると、ぜひとも村の連中の見ている前で扉を開いてやりたくなってくるな。

 

 100年以来の大サプライズだ。

 

 

「別にルールに逆らう理由はないし、準備を整えたら普通にお金払ってチャレンジしましょ」

 

「だな。扉の向こうがどうなってるかは知らないが、準備は十分にしておこう」

 

「ありがたいことに、道具の類を扱うお店は充実しておりましたので、準備をするのに不足はないと思われます」

 

 

 旅人や冒険者相手に観光業やってる村だけあって、その手の店が軒を連ねている。

 100年ものあいだにドラゴンの巣の中の情報は失伝してしまっているらしいが、ランダムダンジョン並みの準備をしておけばひとまずは大丈夫だろう。

 

 

 

「……じゃあ、これからの冒険についてはこれでいいとして」

 

 

 話が纏まったところで、メリーがそう切り出す言葉を吐いてから、指摘する。

 

 

「ナナさんはどうして、白布にそこまでべったりしてるのかしら?」

 

 

 ナナが、俺の腰に腕を巻きつけてくっついていた。

 

 

「労働に対する正当な対価にございます!」

 

 

 キリッとした顔で答えるナナに、メリーが説明を求めて俺を見る。

 

 

「えっと……酒場で情報収集したんだが、思った以上に騒ぎになって」

 

「それで?」

 

「……最後の30分くらい、店の中でナナを放置してた」

 

「ギルティ」

 

「あるじさま~~~!」

 

「ぐぇぇぇ、腹が締まる締まる締まる、ライカンの力を考えてくぐぇぇ」

 

 

 だっで、どなりにナナがいるどおもっでだんだもん!

 

 

「まさか他の客に席を奪われて引っぺがされてたなんてわからなおごごごごご」

 

「ナナさんは奥ゆかしいのよ、主が一生懸命情報収集してるとなったら一歩引くなんて当然じゃない」

 

「はい゛」

 

 

 元奴隷という、地獄のような経験をしたナナ。

 

 今の彼女はまだ、俺との繋がりが薄れるほどに不安になってしまう。

 多少は我慢できるといっても、あくまで我慢。悲しい気持ちは沸いているのだ。

 

 今回のように不意に引きはがされてしまったときなんかは、フォローが必要なのだ。

 

 

(はい! 情報収集にかこつけて、本物のレアアイテムハンターだとか言われて、めっちゃちやほやされていい気になってた俺が全面的に悪いです!!)

 

 

 痛恨の監督不行き届きである。

 

 

「自業自得ね。今夜は精々、ナナさんの相手をしてあげること」

 

「お゛っ。メリー、どごへ?」

 

「自分の部屋に決まってるじゃない。私がいても邪魔なだけだもの。ね、ナナさん?」

 

 

 立ち上がり、部屋の扉へ向かいながらメリーがナナに笑顔を向ければ。

 

 

「はい。今宵は主様に、全身全霊、ご奉仕フルセットをさせていただきたく存じます」

 

 

 抱きしめられてる俺には見えないが、間違いなくいい笑顔をしているナナが応える。

 

 っていうか、そのご奉仕フルセットって何!?

 絶対言葉と裏腹になんか色々ヤバい奴だろそれぇ!!

 

 

「……ほんと。そういう関係なのよねぇ」

 

 

 最後にちょっとだけ熱っぽい溜息と、恥ずかしそうに頬を染めた表情を浮かべて。

 

 

「じゃ、また明日」

 

 

 俺をこの状況から救い出すことができたはずの希望が、無情にもその扉を閉じた。

 

 あとに残されたのは、どうあがいても今回反省が必要な主人こと、俺と。

 

 

「ふふふ。主様……二人っきりにございますね」

 

 

 今なお俺を抱きしめて離さない、主のことが大大大大大好きな従者。

 

 

「……いやほんと。ナナ、今後こういうことがないように努める」

 

「はい」

 

「だからせめて、俺の理性が少しくらいは残る形で終わらせて欲しい」

 

「もちろんにございます」

 

 

 身の危険を感じる俺の、最後の交渉は。

 

 

「では主様。まずはこちらを装備してください」

 

 

 ゆっくりと彼女に差し出された『おしゃぶり』を見た時点で。

 

 

(終わった……)

 

 

 すべてが無駄だと理解した。

 

 

 

 ………。

 

 

 

 そして、翌朝。

 

 

「……ちょっとくらいは、同情してあげるわ」

 

 

 一晩で巻き起こった惨状を察したメリーにそう言われるくらいには。

 

 

「ちゅぱ……ちゅぱ…………」

 

「んう、ご主人様。かわいい、かわいいでございます……」

 

 

 俺は、弄ばれてしまったのだった。

 

 




増魔の剣(SR)
樋(刀身の平たい部分)に悪魔を象った美しい彫刻がされた長剣。
魔法の発動体となり、装備者の使用する魔法の効果を高める力がある。
魔法発動の成功率をあげたりするわけではないため、装備適性の低い人の魔法使用を補助する力はない。
あくまで、この装備が扱える者にさらなる恩恵を与える装備、である。
長剣の他に魔法発動体装備適性等も適用される。


ここまで読んでくださりありがとうございます!
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次回、いざ“開かずの扉”へ!
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