異世界ストリップ~俺はレアアイテムをコンプリートして世界を手にする!~   作:夏目八尋

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粘りに粘りまくって何とかしていた書きためが、潰えましたぁぁーーー!!

それでも第70話! お届けです!!
どうぞ、楽しんでってください!!


第070話 三者三心交差して!

 

 

(……これ、ワンチャンあるんじゃね?)

 

(ほう?)

 

 

 処刑を宣言した我を前にして、その只人種(ヒューマ)の男は、自らの逆転を夢想したらしかった。

 ゆえに我は、彼の者からの思考の搾取を止めることとした。

 

 

(只人種が見せる最後の悪足搔き、是非とも余すところなく堪能したい!)

 

 

 何しろ今の我は自由の身である。

 そして同時に、我はあの山のあの場所に、己が身を封じることを決めている。

 

 他の六竜に比べれば圧倒的に……出会いが少ないのだ!!

 

 

(ゆえに! 一期一会はしゃぶり尽くすまで堪能する!!)

 

 

 

 100年前に出会った只人種のエンリケと紡いだ濃密な時間。

 彼の者もまた、只人種でありながら我の攻撃を掻い潜り、どころか、牙を突き立てんと何度も我に挑みかかってきた剛の者であった。

 

 ならば、目の前にいるこの者はどうだ?

 今となっては侵入の不作法も、宝漁りの無礼も、もはや不問にしたとて構わぬのだ。

 

 

(それほどに、我に可能性を見せたキミよ……!)

 

 

 我は我ゆえにお主を殺さんとすることを()めはしない。

 

 しかるに!

 

 

(魅せてみよ! 我に手向かう、逆転生存の一手とやらを!!)

 

 

 至竜アルバーの名のもとに、その意気、平らげてくれようぞ!!

 

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 

(おそらく世界最上級のドラゴンに、処刑を宣告されるってのは、まぁ……)

 

 

 絶体絶命、と言っていい状況だとは思う。

 俺の処刑をわざわざドラゴティップの村でやるってのは、“友達を招くための扉”で栄えてる、村の連中に対する見せしめの意味もあるんだろう。

 

 

「!?」

 

「……!」

 

 

 ドラゴン状態で地に伏す俺の首元には、何をどう弄ってそうしたのか、ナナとメリーの姿がある。

 

 

「あの嬢ちゃんたちは……」

 

「扉を越えていった冒険者のパーティーメンバーだ!」

 

「じゃああいつは、白布はどこに!?」

 

 

 おかげで、いち早く気づいた村人たちから声が上がっている。

 

 

「ああ、竜の巣をつついた罰が当たっちまったのか!」

 

「あいつら処刑されるのか! 離れろ離れろ! 巻き込まれちまうぞ!!」

 

 

 察しのいい連中はもうすでに、俺たちから距離を取り、道の端へと逃れようとしている。

 

 つまり。

 

 

(俺の策を通すには、迷っている時間はないってことだな!!)

 

 

 俺はドラゴンになった体の内側にある自分の本体を意識しながら、装備を変更する。

 

 

「《イクイップ》!!」

 

 

 呪文を唱えたその直後、再び手の平に『光のドラゴンオーブ』を掴めば。

 

 

「《フラッシュライト》!!」

 

 

 即座に次の魔法を詠唱!

 辺り一面を強力な閃光で、真っ白に染め上げる!!

 

 

「うわっ」

 

「ぎゃっ!」

 

「きゃあ!!」

 

 

 逃げようとしていた村人たちが、閃光に巻き込まれ足を止める。

 アルバーには……まぁ通じてようが通じてまいがどっちでもいい。

 

 必要なのは、村人たち(ギャラリー)だ!

 

 

 

(そして俺も今の内に……とぅ!!)

 

 

 目くらましの閃光がほとばしる中、その隙を突いて俺は、ドラゴン状態を解除する。

 

 

「ナナ、メリー!」

 

「あるじさまっ?」

 

「白布?」

 

「こっちだ!」

 

 

 そして解除と共にすぐさま二人の手を取って、俺は逃げ遅れている人混みへと突っ込んでいく。

 

 

 

「……う、うう。目が」

 

「結局ど、どうなったんだ?」

 

「……あれ?」

 

 

 そうして《フラッシュライト》の閃光が収まり、人々が視力を取り戻したその時には。

 

 

「……あっ! もう一匹のドラゴンがいないぞ!」

 

「どこにいったんだ!?」

 

 

 たたずむアルバーの前にひれ伏していた、もう一匹の竜こと俺の、消失イリュージョンの完成である。

 

 

 

「ど、どうなっちまうんだ!?」

 

「これじゃ、アルバー様の怒りが鎮まらねぇんじゃねぇのか!?」

 

「そんなっ! まだ会いたいイケメンはいっぱいいるのに!!」

 

「オラ、死にたくねぇ!!」

 

 

 逃げ遅れてしまった村人や観光客たちから悲鳴が上がる。

 さらには逃げた者たちの中にも、激しい光に腰を抜かして動けなくなった者が多数いた。

 

 そんな混乱の果てに生まれた人混みの中に、俺たちも紛れているのだが……。

 

 

「………」

 

 

 わぁい、アルバーの視線が俺に熱烈集中してらぁ☆

 

 もう完全に「気づいておるよ、見ておるよ」って、ご覧あそばされておられる。

 

 

 これで終いなのか? って、問いかけられている。

 

 

(もちろん、これで終いなわけないぜ!! 至竜さんよぉ!!)

 

 

 ギリギリで、奇跡の様なタイミングで、俺が手にした切り札が、ある!

 

 それを、今、ここで使う!!

 

 

 

「すぅ……」

 

 

 息を吸って、スイッチオン。

 俺は今……“哀れな死を待つ子羊”だ!!

 

 

「……助けて!! 勇者様ーーーーーーーー!!!!」

 

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 

「んうっ……!?」

 

 

 最初にその叫びを聞いた時、ボクは“しまった”って苦虫を噛んだ。

 至竜様の転移魔法に無理矢理潜り込んだ影響で、ボクたちはまだ、動けない。

 

 

「勇者様ー! このままでは俺たち、みんな死んじまうよーー!!」

 

 

 悲痛な叫びにどうにか声の方へと目を向ける、と。

 

 

「この村が生き残る最後の希望は、勇者様だけなのだーーーー!!」

 

 

 そこではボロボロのローブを着たみすぼらしい格好の青年が、天を仰いで叫んでいた。

 

 

(間違いなく……彼だ!)

 

 

 いったいいつ装備したのか、明らかに冒険用ではない装備で騒ぐ彼の正体に、他の人々は気づいていない。

 っていうか、彼が何をしようとしているのか、彼の仲間も分かってないのかポカーンとした顔をしちゃってる。

 

 

 

 そうこうしている内に状況は動いて。

 

 

「おいあんた! 勇者がいるのか!?」

 

 

 彼の肩を、一人の男が掴んだ。

 

 ボクは、彼がニヤリと笑ったのを見逃さなかった。 

 

 

「勇者は、いる! ここに!!」

 

 

 我が意を得たり。

 続く彼の動きは唐突で、そして淀みがなかった。

 

 

「おお! 怒れる至竜を鎮められるのは! あの方を置いてほかにはいない! 勇者! 勇者! 勇者よ!!」

 

「おい! てめぇ! その勇者様はどこにいるってんだ!」

 

 

 仰々しく両手を広げて空を仰ぐ彼の肩を揺さぶり、焦れた様子で男が叫ぶ。

 逃げ遅れた人たちの視線が彼らに集まって。

 

 そして。

 

 

「……あちらに」

 

 

 空を仰いでいた手の、その指先が……。

 

 

「あちらにおわすお方こそ、恐れ多くも財宝教に認められし人々の守護者! 勇者様にございますぅーーーー!!」

 

 

 ボクたちに向けられた。

 

 

 

「「………」」

 

 

 彼と目が合う。

 

 それは、心の底からボクたちに救いを求めている面をしながら。

 その奥で、ボクたちの次の動きを確信している、とっても意地の悪い笑みを浮かべていた。

 

 これ、なんていうんだっけ。

 必要な犠牲?

 

 

「……してやられたわね、テトラ」

 

「……してやられちゃったね、ラウナベル」

 

 

 小さい声でやり取りをしたボクたちの、その声を。

 

 

「勇者様ー!」

 

「勇者!! 勇者!!」

 

「俺たちを助けてくれー!!」

 

「私たちを救って!」

 

「アルバー様の怒りを鎮めてくれーー!!」

 

 

 守るべき人々(ギャラリー)たちの願いの声が、塗り潰す。

 

 

(善哉!!)

 

 

 そして、それすらも踏み潰す至竜の思念が、村を震わせた。

 

 

(ヒトの身でありながらヒトの守護者を名乗る者よ! 汝の挑戦を受けて立とう!!)

 

「……ッ!!」

 

 

 体は、動く。

 

 否応なしに、引きずり出される。

 

 不心得者の説得か、最悪竜と接触しての調停に向かったはずが、気づけばボクが竜と相対していた。

 

 

 

「……ねぇ、ラウナベル」

 

「なぁに、テトラ」

 

「至竜って、ボクらが全力出して勝てる相手なの?」

 

「あは☆ むっりー☆」

 

「だよねぇ……」

 

 

 そう口では言いながら、それでもボクは剣を抜く。

 精霊銀と司祭様たちの祝福で鍛え上げられた、『勇者の剣』を構える。

 

 

「ボクの名前は勇者、テトラ!」

 

「その相棒兼教導役、ラウナベル!」

 

 

 目まぐるしく変わる状況の中、ありがたいことに、やるべきことはシンプルだった。

 

 

(さぁ、来るがいい! 若き勇者よ!!)

 

「……はぁぁぁぁ!!!」

 

 

 ボクは、いつも通りに、勇者の使命を全うする。

 

 




勇者の剣(SR)
勇者装備適性を持たない者には装備出来ない特別な長剣。
剣装備適性などを持っていたとしても、勇者装備適性がD以上ない者には装備出来ない。
勇者の力の覚醒を促し、装備者によっては勇者魔法の使用を可能とする。
勇者と共に成長するとも言われており、勇者アーベルが持っていたとされるLRアイテム『運命剣ディスティニーブレイド』も元はこの勇者の剣だったとか。


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次回、勇者VS至竜! 戦いの行方は……!?
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