今回は久しぶりに、バディファイトの新連載作品を書いてみました。
今までも幾つかバディファイトの小説は書きましたが、長続きすることなく放ったらかしになってます。今作もそうなりそうで内心不安ですが………(笑)
この作品は今絶賛連載中の「バディファイトLoveLive!サンシャイン」の内容や設定を幾つかオマージュした部分がありますが、カード以外は完全オリジナルで書いていきたい次第です。
因みに、作品タイトルは「神極(しんごく)」と読みます。
まだちょうど良く心地のいい風が吹く夏の始まりの月、一台の車を前に、1人の女子高生と目に涙を浮かべた2人の小学生の女の子が向かいあい、別れの時を惜しんでいた。
「お姉ちゃん、ほんとに行っちゃうの?」
「私達、寂しい………」
「私も寂しいよ、でも行かなきゃ。」
1人の女の子に「お姉ちゃん」と呼ばれた少女は2人を慰めるように、優しく声を返す。彼女はこれから自分の夢を叶える為にプロのバディファイトの遠征に行くのだ。いつ帰ってくるかは本人も分からないが、彼女は2人の女の子達に優しく笑顔を向ける。
「別に一生の別れってわけじゃないんだから。もう、2人とも泣かないの!」
「だぁってぇ〜〜……うぅ………っ」
「お別れ、したくないっ………」
女の子達の涙につられたのか、彼女も目に涙を浮かべる。それでも笑顔を崩すまいと、笑顔のままを保つ。
「しょうがないね。じゃあはい、これ!」
そう言って彼女は2人の目線に膝を落とし、女の子達に1枚ずつカードを渡す。
「ひっぐ……、この、カードは?」
「綺麗なカード………」
「それは私と2人の約束のカードだよ。」
「約束のカード………?」
「うん。大丈夫、私は絶対に自分の夢を叶えてみせる。そして絶対に2人のところに帰って来るから。その誓いの証としてこのカードをあなた達にあげるわ。 だから2人も今は泣き止んで、そのカードと一緒に私の夢を応援して。」
彼女は今一度、優しく微笑み2人をなだめる。その気持ちが伝わったのか、2人の女の子は涙を拭い、彼女にも負けない笑顔を見せた。その表情に安心したところで彼女は立ち上がり、車へと乗り込んだ。運転するのは彼女の父親で助手席には母親が乗っている。そして彼女が車に乗り込んだのを確認して、車はゆっくりと走り始める。
彼女は動き始めた車の後部座席の窓を開けて2人に手を振った。2人の女の子達も涙を我慢して必死に手を振って返した。彼女が乗った車が見えなくなるまで。
◆
それから4年後………
当時、小学5年生だった彼女達も今は中学3年生となっていた。今2人はテレビの前に釘づけになっている。
「いよいよ始まるね。紫音ちゃん!」
と、明るい紅色で長髪。両サイドの髪が顎のあたりまで垂れ下がり、小学生だった当時より顔つきも大人っぽくはなっているが、まだ少し幼さが残る少女、"
「そうね。空乃」
と、薄みがかった水色の髪で頭の高い位置からポニーテールで纏めていて、小学生だった当時よりキリッとした顔つきで、若干表情が面に現れないようなクールな少女"
空乃と紫音は産まれた時期も同じく、産まれた頃から仲のいい幼馴染みである。
今回2人がテレビに注目している理由は、4年前、彼女達に別れを告げ、自分の夢を叶えるべくプロの遠征に行った女性、「必ず夢を叶える」と彼女達に約束のカードをくれた、2人にとっての憧れの女性が、ついにチャンピオンへ挑戦する日なのである。その模様がテレビで中継されるのだ。
試合はまだ始まっていない。2人は4年前に彼女からもらったカードを入れたデッキを握りしめて、彼女の試合はまだかまだかと待っている。
紫音「なんだか緊張するわね。」
空乃「にしては、ちょっと落ち着いてない?」
紫音「あなたがソワソワしすぎなのよ。」
と、2人が会話している時にテレビからファンファーレが鳴り響く。そして、手厚い演出とともに挑戦者である彼女とチャンピオンがファイトステージに立った。テレビからは2人のファイターを称えるような歓声が聴こえ、テレビの前の2人にもいっそうの緊張が走る。
『レディース&ジェントルマーン!ついに、ついに新チャンピオン決定戦が開始されるぞぉーーーー!!』
司会者の盛大な盛り上げに歓声はさらに大きくなる。さすがにうるさく感じたのか紫音が音量を2つほど下げる。
『今回、チャンピオンに挑戦するのは、超期待の超新星!わずか19歳でこの壇場まで上り詰めた最強のファイター!"
テンションの高い司会者の挑戦者紹介に歓声は大きくなり、それに呼応してか空乃も、テレビから聴こえてきた憧れの女性の名前に思わず歓声をあげる。
空乃「お姉ちゃーーーーーーん!!頑張れーーーー!!」
紫音「空乃、うるさいから。」
と言う、紫音のツッコミなど今の空乃にはあまり聴こえていない。
"
玲奈のファイトや活躍の噂は2人の耳にも届いており、今回のチャンピオンへの挑戦も本人からの手紙から知らされた。
空乃「お姉ちゃん、凄くかっこよくなってるね。」
紫音「ええ、テレビの向こうからでもヒシヒシと伝わるわ。姉さんのプレッシャーが。」
空乃「うん!」
対して、玲奈が挑戦するチャンピオンもそれに負けない風格を放っている。チャンピオンの名は"鷹凪 ケイ"チャンピオンの座を3回防衛している実力者だ。だが2人は信じている。玲奈は必ずチャンピオンに勝ち、自信の夢を必ず叶えるだろうと。自分達との約束を必ず果たしてくれるだろうと。
テレビから聴こえる司会者の話しを聴き流し、そしてついにファイト開始が宣言された。
◆
チャンピオンとの試合が開始されて数十分が経過した。前半、中盤はチャンピオンの優勢だったが、後半にかけて徐々に玲奈の優勢に傾き、そして迎えた玲奈の最終ターン。
玲奈『行きなさい!私のバディでチャンピオンに攻撃!』
チャンピオン『ぐあぁぁぁぁぁぁああ!!』LP0
司会者『決まったぁぁーーーー!! 熾烈なる攻防を制し、新たなる日本のチャンピオンの座に座ったのはーーーーー!! 千流院 玲奈だぁぁぁぁぁあーーーーーー!!!!』
司会者の大勢な勝利宣言に会場が今まで以上に湧き上がる。その熱狂はテレビを通じて空乃と紫音の感情をも昂らせる。テレビの前で2人は抱き合い、約束どおり夢を叶えた憧れの女性の勝利に涙しながら歓喜した。
空乃「やった!やったよーーー!お姉ちゃんがチャンピオンになったーーー!!」
紫音「ええ!姉さんは本当に凄いわ!」
空乃と紫音は玲奈を姉と呼んで慕っているが、血の繋がりは無い。ただ近所で仲のいいお姉さん程度の関係だが、2人にとっては優しく、バディファイトが強い憧れの女性だ。別れてから4年経っても玲奈への憧れを絶やした事は無い。むしろ色々な噂を聞くたびに憧れは強くなり、2人はいつしか玲奈を自分達の目標と定めた。
チャンピオン決定戦が終わった後、新チャンピオン、千流院玲奈へのインタビューが始まった。2人はそのインタビューに耳をかたむける。
司会者『それでは新チャンピオン。今のこの気持ちを伝えたい方々はおりますか?』
玲奈『そうですね。家族や友人、私をサポートしてくれたファンの方々には感謝してもしきれません。ただ、私はカメラの向こうのあの子達に1番に伝えたい事があります。』
司会者『ほう。ではそれは………?』
玲奈『"私は自分の夢を叶えたわ。次はあなた達の番よ………、私の元に挑戦してくるまで、私は誰にもこのチャンピオンの座を譲る気はない。登ってきなさい、私の下まで。"』
司会者『なんと力強いメッセージせいを込めたお言葉でしょうか! これから自分に挑んで来るファイター達への活と指揮を上げる意気込みに感銘します。新チャンピオンのこれからの活躍も期待できますね!』
空乃と紫音には分かる。たしかに他のファイター達を鼓舞し、誰からの挑戦も受ける気構えも感じられるが、今、カメラを通して玲奈が語りかけている相手は自分達にだ。と、玲奈のその言葉に2人の玲奈への憧れがさらに大きくなる。
空乃「紫音ちゃん。やっぱりお姉ちゃんは凄いよ。私、バディファイトのチャンピオンになる。お姉ちゃんみたいな強くてかっこいい、バディファイトのチャンピオンになるよ!」
紫音「私もよ空乃。私もチャンピオンになるわ。姉さんのように美しく気高い、バディファイトのチャンピオンに………!」
2人は互いに顔を見合わせ自分の夢を語る。2人の目は燃えていた。
紫音「これからはライバルね。空乃」
空乃「うん!私は必ずお姉ちゃんの前に立つ。そして絶対にバディチャンピオンになる!」
紫音「それは私の台詞よ。空乃には負けない。私がチャンピオンになる」
空乃「私!」
紫音「いいえ、私よ。」
空乃と紫音はお互いのチャンピオンになる夢を言葉にして言い合う。まるでお互いを鼓舞し、必ず自分が玲奈の前に立ち、そしてバディチャンピオンになる決意を固めていくように。
◆
季節は冬。冬休みが終わり3学期が始まった頃、中学3年に生徒にとってはちょうど卒業式間近のシーズンだ。
空乃と紫音が教室に入ると、さっそく新チャンピオンになった千流院玲奈の話題で持ちきりになっていた。
空乃「みんなお姉ちゃんの話ししてるね。」
紫音「ええ。」
「空乃ちゃん、紫音さん、おはようございます。」
「おっはよーー!」
空乃「美白ちゃん、優香ちゃん、おはよーー!」
紫音「おはよう。2人とも」
空乃達に話しかけて来たのは、黒髪ロングヘアーで目つきはキリッと、パッと見、お嬢様を思わせるような美人系の少女"園町 美白"と、橙色の短髪で、両側の毛先がピョンと少し跳ねているショートボブの少女"宮沢 優香"だ。
2人とは中学に入学してからバディファイトを通しての友達だ。美白は容姿端麗で優しく静かで中学1年の時からずっと学級委員長を務めている。
優香は美白とは逆で、活発で何ごとも真っ直ぐに前向きに行動していくタイプ。性格が似てるからか空乃とはよく気が合い、楽観的コンビと呼ばれるくらいだ。
美白「学校中、千流院玲奈さんの話題で持ちきりですね。」
空乃「うん!」
優香「そういえば、2人は玲奈さんの事をお姉ちゃんとか姉さんって呼んでるよね?」
紫音「ええ。バディファイトを教えてくれたり、料理を作ってくれたり、小学生の頃はよくしてもらったわね。」
空乃「うん。私達からしたら本当のお姉ちゃんって感じで大好きだったんだ。」
紫音「けど今はバディファイトのチャンピオン、私が到達するべき目標よ。」
空乃「うん!私は絶対にプロでお姉ちゃんとファイトする。そしてバディチャンピオンになる!」
紫音「だから、チャンピオンになるのは私よ。」
空乃「私だってば!」
紫音「私よ。」
美白「まったく。2人とも同じ夢を追っていて、譲れないのは分かるけど………」
優香「あははは!2人とも仲が良いのかたまに分からないよね〜〜!」
空乃と紫音は幼馴染みで誰よりも仲のいい2人だ。昔から同じ目標を立てては競いあって来た仲でもある。そして今は同じ夢を持つライバル、だからこそ必然的に譲れない言い合いになってしまう。2人と友達の美白と優香はもう慣れたものだ。
それから、2人の言い合いは学校のチャイムによって止められ、いつも通りの学校生活を送る。午前中は授業、午後は卒業式の準備、卒業式の歌と予行練習をする。彼女達の卒業式の日はあと数日後だ。
◆
放課後………
A組担任「おーい、お前達。今から旧体育館に集合してくれー!」
B組担任「B組も、一緒に旧体育館に行くぞー!」
ふた組の担任の呼びかけによって、3年生達は旧体育館に集められた。
彼女達の通う中学高では卒業式が近づくにつれ、ある行事が行われる。それは「卒業ファイト選抜会」卒業生の生徒全員でAグループBとグループに分かれて、卒業式後の卒業ファイトで戦う2人を選抜するトーナメント戦である。この"卒業ファイト"は卒業生同士のファイトをレクリエーションとして、在校生や参列した親御さん達に楽しんでいただく恒例行事であり、校内での"卒業生祝う会"のメインイベントとなる。
因みに、卒業ファイト選抜会は在校生には内緒で、卒業する3年生内で行われる。
卒業ファイト選抜会の予選を始める。今回の卒業生は全52名おり、これから彼らは1グループ26名ずつに分けかれてグループ内でトーナメント戦をしていく。そしてAグループとBグループで勝ち残った1人ずつが、卒業生祝う会でファイトする事になるのだ。
A組担任「みんな、くじ引きを始めるぞ!長道先生。」
すると、B組の担任である長道先生がくじを入れた箱を持ってきた。
長道「じゃあ出席番号順に並んでくじを引いてください。」
生徒達は先生に言われた通り出席番号順に並び、1人ずつくじを引いていく。引いた紙にはAやBと書かれており、それに従って生徒達はAとBに分けられていった。
空乃と美白はAグループ、紫音と優香はBグループに分けられた。
担任「それじゃあ、もう1回くじを引いてくれー!」
分かれたグループごとにくじの入った箱があり、生徒達はまたくじを引く。紙には1や2などトーナメント表に書かれているのと同じ番号が書かれていた。そして紙に書かれた番号と一致する場所に自分達の名前を書いていく。
Aグループ
第1回戦
1戦目:天季 空乃 vs 宮川
2戦目:石田 vs 名倉
3戦目:石原 vs 松田
4戦目:木下 vs 猪狩矢
5戦目:詰長 vs 雪原
6戦目:意気舞 vs 田中
7戦目:木島 vs 壱葉屋
8戦目:後藤 vs 中岸
9戦目:園町 美白 vs 岡本
10戦目:笠木 vs 風間
11戦目:滝沢 vs 松尾
12戦目:佐川 vs 伊倉
13戦目:萩野 vs 内藤
Bグループ
第1回戦
1戦目:尻坂 vs 松任谷
2戦目:坂道 vs 小坂
3戦目:唐澤 vs 三藤
4戦目:松岡 vs 中川
5戦目:君原 vs 赤坂
6戦目:津摩挽 vs 香川
7戦目:咲楽 紫音 vs 高町
8戦目:東山 vs 近馬
9戦目:根岸 vs 石川
10戦目:宮沢 優香 vs 伊佐川
11戦目:地念 vs 里場
12戦目:高旗 vs 牛川
13戦目:夏目 vs 谷坂
Aグループ、第1回戦
1戦目:天季空乃 vs 宮川
空乃「最初は私からだね。」
美白「頑張って、空乃ちゃん。」
空乃「うん!」
宮川「よろしくね。天季さん」
空乃「うん。じゃあ始めよう!」
AグループとBグループのトーナメントは同時に行われる。
空乃と宮川は適当な距離をとって向き合う。そしてデッキケースを腕に当てると、デッキケースに内蔵されていたバンドが巻きついて、RBFVシステムが作動する。
「あ、あの。園町さん………」
空乃と宮川がファイトの準備を進めていると、1人のクラスメイトが美白に声をかけてきた。
美白「ん?岡本さん。」
美白に声をかけてきたのは、岡本という女子生徒。同じAグループであり、美白の対戦相手になる予定の生徒だ。
美白「どうしたんです?」
岡本「その、私………バディファイトのルールがよく分からなくて………」
美白「え?」
岡本「カードとかは持ってるんですが、あんまりファイトした事とか無くて、その、ルールとか曖昧で詳しく分からないんです。だから、その、お、教えてほしいな。って………」
岡本は美白とファイトする予定なのだが、ルールがよく分からない彼女は、学級委員長であり対戦する相手でもある美白を頼るしかなかった。
普通なら、近くファイトする予定の相手である岡本にファイトのルールを教える義理など無いのだが、美白には関係ない。むしろ、バディファイトのルールを曖昧にしか分からない相手とファイトする事こそ美白にとっては不本意な事だ。
岡本「だ、ダメですか………?」
美白「いいえ、分かりました。じゃあ空乃ちゃんと宮川さんのファイトを参考に説明いたしましょう。」
岡本「あ、ありがとう。園町さん!」
◆
ファイトが始まる前準備として、腕に装着されたデッキケースがデッキを自動でシャッフルし、原理などは分からないが、デッキトップから2枚が薄青い光りの札としてファイターの両脇に浮かんで表示され、手札のカードも薄青く発光してファイターの眼前に浮かび上がる。
空乃「眩き光り、灼度の熱光となる!ルミナイズ〈太陽の導き〉」
宮川「行くよ!ルミナイズ!」
オープンTHEフラッグ
「オープンTHEフラッグ」の掛け声と共に2人の背後の頭上に2人の使用するワールドのフラッグが表示される。そして2人は自分が使用するワールドフラッグの名を呼ぶ。
空乃「ドラゴンワールド」
◼️手札6/ゲージ2/LP10
宮川「デンジャーワールド」
◼️手札6/ゲージ2/LP10
バディファイトの勝利条件、相手のライフを0にする。またはデッキを0にする。
空乃「先行は私から。私のターン!ドロー、チャージ&ドロー!」
◼️手札6→7/ゲージ2→3
感想をぜひ!!
今回は初回という事で、約6600文字と短めです。初っ端からすみません。次回はバディファイトが分からない人のためにも多少の説明を入れながらファイトを書きたいな〜〜
前書きでも言いましたが………
この作品は今絶賛連載中の「バディファイトLoveLive!サンシャイン!!」の内容や設定を幾つかオマージュした部分があります。カード以外は完全オリジナルで書いていきたい次第です。
↑↑理解していただきたいので。
後、超超スロー投稿になります