ホグワーツの凶犬~ハリー・ポッター×男塾~   作:黒羆屋

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第9話 魔法薬学

 授業が始まった。

 いや、ほとんどの(・・・・・)授業は面白いね、やっぱり。

 さすがに教本読み続けるだけの授業とかもあったんだけど、それは…w

 妖精魔法とか変身術とかこればっかりは普通(マグル)じゃ経験できない事だから、気合が入りますよ。

 マクゴナガル先生の変身術、最初はマッチを銀色の針に変身させる奴だったんだけど私の場合前世の影響なのか、発音が上手く行ってなかったらしい。

 1回目は上手く行った人の方が珍しかった。

 まあマルフォイ君はうちでも練習させてもらえてたらしいし、マッチのお尻のとこだけ変身させられなかったくらいで、良いとこまで行ってたけどね。

 流石だよね。

 闇の魔術の防衛術の授業では、吃音の強いクィリナス・クィレル先生で、どっかくたびれたような感じの人だった。

 んだけどなあ。

 なあんか、気になる。

 歩き方なんかもふらふらしてる割に体幹はそんなにぶれないし、そう思ってみてると猫背の歩き方にもなんか隙がないような気がしないでもない。

 色々と武勇伝があるっぽいんだけど、みんなはまるで信じてない感じ。

 まあそんなもんでしょ。

 吸血鬼から狙われてるんでやったらにんにくの匂いが充満する教室で、みんなが騒いでも注意できないようだ。

 気が弱いのかな?

 まあ授業の方は無難なんだけどさ。

 むしろ気弱な方が闇の魔術の防衛術を教えるのにふさわしい経験を持ってるかも…、それはないかな?

 

 で、一週間木曜日まで授業を受け、空いた時間には遊びに来たJr.をモフッたり、マルフォイ君達とだべったりしていた。

 後は城内を闊歩する猫、ミセス・ノリスに構ったり、それを見られてアーガス・フィルチさんと話したり掃除を手伝ったり、構内にあるでっかい柳、「暴れ柳」と一緒にトレーニングをしたり。

 あ、なんかおかしいとこありましたかね。

 ホグワーツの構内には大きな柳の木が植えてある。

 で、人が近づくとその枝を振りまわして文字通り大暴れするんだ。

 これがまた良いトレーニングになるのよw

 んで、どうやら柳の方も定期的に暴れてストレス発散できるみたいで、管理をしているポモーナ・スプラウト先生にも了承を得ることが出来た。

 とまあ、スタートから結構充実した日を送ってる。

 

 金曜日になると午前中魔法薬学で、午後の授業がない。

 ここは気合を入れてかないと、と思ってたら、朝にJr.経由でハグリッドさんからお茶のお誘いが。

 ほっほう、例のぱったあ君、だかポッター君とかも来る感じか。

 うむ、どうも関わりがない所為か、名前が覚えられん。

 まあいいや、了解了解お茶会参加するよん。

 Jr.に参加の意向を書いた紙を持ってってもらったのでした。

 

 さて、気合を入れねば。

 おん出されたくはないからね。

 遅刻しないように完全装備でいざ魔法薬学教室へ。

 もちろん3人組も一緒にね。

「寮監のスネイプ先生の授業だ」

「楽だよな」

「らしいぜ」

 …はて。

「ん? どうかしたのか?」

 マルフォイ君がそう聞いてくる。

「スネイプ先生の授業って楽なん?」

 そう言うと、

「え? お前知らねえの? スネイプ先生の授業って俺ら怒られることねえから」

 と、クラッブ君が返してくれた。

 んじゃ何かな? きつく行くってのは私限定?

「なに変顔(へんがお)してんだ?」

 失敬だぞゴイル君。

 むう、なんとなく納得いかんぞ。

 

 で、授業が始まった訳だが。

 なんか眼鏡君集中攻撃。

 隣でグレンジャーちゃんが頑張って手を挙げてるのは無視ですか。

 んで、

「アスフォデルの球根の粉末とニガヨモギを適温で煎じたものを加えると、『生ける屍の水薬』と呼ばれる強力な眠り薬になります。この際通常言われているアスフォデルスを使っても意味はなく、特定環境下で育成されたもののみを使わないと効能は出ません。土壌を『聖域』まで浄化するか、聖銀を触媒として抽出したときのみ通常のアスフォデルは生ける屍の水薬の原料として使えます。これは『ケイローンの真なる医学書』に記載されていたとされていますが、原本は今だ発見されていません」

 ぜいはあ。

 ここまで言わないと合格くれませんか、スネイプ先生。

 参考資料もしっかり読み込んどかないと答えが不十分で減点食らいそう。

 そしてここまでやって1点だけである。

 予想以上に厳しいなあ、この授業、楽しくてしょうがない。

 

 と思っていたのだが。

 なんだよ、きついのは私にだけか。

 ほんとにスリザリンには甘いなあ。

 ポンポン点数が入る。

 そしてグリフィンドールのポイントがどんどん減るw

 年間で寮ごとのポイントの総計でその年の優秀寮が決まるそうで。

 …これ、寮ごとの敵対心煽ってないかね?

 まあ、他の教科だと特定の寮に甘い先生いるしな、スネイプ先生がこれ(・・)でバランス取れてんのかもしれん。

 

 しかし、実習に入って驚いた。

 マルフォイ君、完璧じゃないか。

 角ナメクジのゆで加減とか、ちょっと新入生とは思えない出来だ。

 先生も感心して、それをみんなに見るように、と言った時だ。

 

 ぼうん!

 

 そんな音がした。

 周囲に目をやると、トレバーのご主人(名前なんだっけ?)がなんかやらかしてる!

 どんどんと大鍋が縮んで、それで中の薬がはみ出しそうになってる!

 あのままだと不完全な薬が周囲にぶちまけられる!

 私は飛び上がって同級生達の頭上を飛び越え、なんとか君と彼と組んでいた眼鏡君の襟首を掴んで、

「せいっ!」

 壁際に放り投げた。

 壁に軽くぶつかったようだけど薬品直撃するよりはましだと思って欲しい所。

 近くにあった角ナメクジのゆで汁を急いで脱いだローブにぶちかけ、それで縮み続ける鍋をくるんだ。

 これで応急処置にはなるはず。

「先生、これ以上は私だと無理です!」

 そう言うと、

「よくやった」

 スネイプ先生は呪文を唱えてあっさりと鎮静化させました。

「ウェリントン、この惨事の原因を推測しろ」

 いきなりだな。

 ううんっと、鍋に火を掛けて、あの段階なら…、あ、あれかな。

「鍋を火にかけたままやまあらしの針を投入したのかと。

 やまあらしの針はそのままだと変質しませんけど、鍋を火に掛けたまま投入すると、劇的な反応を起こして金属をゆがめる場合がありますから」

「正解だ、スリザリン1点」

 やまあらしの針に関してはやっぱり別に紹介してもらった「魔法薬学の原料と触媒・初級編」って本に書いてあったから何とかなった。

 ぜいはあ。

 やっぱシビアだよなあ。

 

 結局この後はポイントもらえなんだ。

 後から考えると確かに足んないんだけどさあ。

 さっすがにしんど~ぃ。

 口から煙を出している(比喩)私を、

「おい!大丈夫か!?」

「だめだ、くたびれきってる…」

「さっきの、なに聞かれてたんだ、ぜんっぜん理解できなかったぞ」

 マルフォイ君達が心配してくれる。

 ううっ、ええ子達やねえ。

 よろよろと立ちあがり、ふへぇと息を吐きだした私。

 そこに、

「あ、あの…」

 ええっと、ね、ねぶる君? ネビル君? あ、ロングボトム君で。

 ロングボトム君が近づいてくる。

「なんだ!? グリフィンドールがなんの用だ!?」

 攻撃的なマルフォイ君。

 クラッブ君とゴイル君も戦闘態勢wを取っている。

 で、

「あの、さっきはごめんなさい…」

 ?

 ああ、さっき鍋爆発させかけたことね。

 今後気をつけりゃいいさね。

「でも、ローブ…」

 それも大丈夫。

 授業中の事故ってことで学校の方からローブの代用提供してもらえる事になったからさ。

「だけど…」

 いや良いんだよ。

 どうせ学生って間違えるもんだからして。

 間違って、間違って覚える、ってもんでしょ。

 今のうちに間違って、どうすればうまく行くかを勉強すりゃあいい。

 そもそも、教書があんなにめんどうくさい書き方してんのって(ふる)い魔導書なんかがああいう書き方してるからだし。

 意図的に読みづらく書いてある文章を解読する勉強でもあるのさ。

 ほれ、マルフォイ君も頷いてる。

「へぇ~」

「そうなんだぁ」

 …ちょっと待てクラッブ君にゴイル君、君達分かってんじゃないのかね。

 まあいいや。

 だからさ、がっつり間違って、先生方に迷惑かけて、それでしっかり勉強できればそれで良いんじゃないか、と私は思う訳だ。

 先生ほどじゃないけど、私も合同クラスの時はまあ助けられるなら助けるからさ。

 そう言って私は笑って見せた。

 こう言う所で印象を良く見せる技術はやはり藤堂兵衛が強いなあ。

 彼のやり方をまねるとまあ交渉事はかなり楽になるんだよね。

 …自分が腐っていく気もするけどそれは無視。

 で、私の言葉に、

「なるほど、俺たちはマリーにぶら下がればいいのか!」

「それ楽で良いな!」

 じゃねえよクラッブ君ゴイル君。

 二人を睨みつけている間に、ロングボトム君は頭を下げて去っていった。

 その先には眼鏡君と赤髪君。

 なんかこっち睨んでんだけど。

「ポッターとウィーズリーめ、こっちを睨みつけてるな」

「一発かましとくか?」

「うっしゃ!」

 これこれ、やめなさいって。

 しっかし、寮の間の確執ってかなり厄介なんだなあ、と私は思った。

 それを増長させているのが自分の師匠みたいな先生ってのがなんとも…。

 困ったもんです。

 

 

 

 変わった<蛇>:グリフィンドール生ネビル・ロングボトムの言

 

「ネビル、大丈夫だった?」

 ネビル・ロングボトムに眼鏡を掛けた同級生、ハリー・ポッターが心配そうに話しかけた。

「あんな<蛇野郎>に礼なんてする必要ないのに」

 同じく同級生のロン・ウィーズリーがそう文句を言う。

 そうもいかない、ネビルはそう考えた。

 彼は祖母に「ロングボトム一族の誇りたれ」と育てられた。

 正直、つらい事ではあった。

 両親が「壊され」、祖母しか頼る者がなかったため、彼としても必死に「ロングボトム」として学んだつもりだ。

 しかし、生来気の弱い彼は、気の強い祖母や大伯父の教育方針に合わなかったようだ。

 素質を開花させる事無く、自信を持てないままホグワーツ魔法魔術学校に入学した。

 その結果が魔法薬学での失態だ。

 同じように薬を作る薬学では問題なかった。

 どこが違ったかと言えば、威圧的なセブルス・スネイプ教授の存在だろう。

 彼の迫力にネビルはすっかり委縮してしまっていた。

 集中力が削がれ、手順を間違えた。

 その結果、ペアを組んでいたハリーには迷惑をかけ、スリザリン寮のマリー・ウェリントンのローブを駄目にした。

 その上グリフィンドールのポイントを実質2点下げてしまった。

 申し訳なくて仕方がなかった。

 だが、

「…失敗しても、良いって、言ってた」

 自分達は子どもであり、失敗して学ぶのが当然だ、そうマリーは言っていた。

 では、自分はここにいていいのだろうか。

 本当はスクイブ(まほうつかいじゃない)ではないかと悩むような自分が。

 ハリー達に慰められながら、ネビルはマリーの言葉を反芻していた。

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