ホグワーツの凶犬~ハリー・ポッター×男塾~   作:黒羆屋

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第10話 ハグリッドのお茶会

 魔法薬学の一件でローブを駄目にしちゃったんで、お昼御飯のあと、スネイプ先生に付いてホグワーツの事務を取り仕切る部署に行った。

 で、そこで新しいローブを受け取ることになったんだけど、こんなに早くローブ駄目にする新入生はいなかったとのことでモノが少ないらしい。

 それは困るなあ、と思ったところ、中古のもの、先輩がおいってったものなら在庫があるとのことで、それなら中古で十分だってことでそれを頂く事に。

 スネイプ先生はなんか渋い顔をしてたけど、私は気にしないからね。

 今の仕様とちょっと違う所があるようだけど、まあ問題ないんじゃないかね。

 

 スネイプ先生と別れて一旦自室に。

 ローブを駄目にしたって事が寮の中にも広まっていたようで、みんなから心配された。

 ううっ、この寮の人達、あったかい人が多いのう。

 他の寮の人たちの反応を見ると、厄介者の寮って見られてるようだけど、中にいる者としてはそんなことはほぼ(・・)ない。

 まあ一つの寮で200人以上いるんだから、いろんな意見がある人がいて当然な訳で。

 特にこの寮の場合、「純血」を標榜する家の子も沢山いるわけで、私みたいな「マグル生まれ」はそれだけで排斥の対象になりかねない。

 そうなっていないのはマルフォイ君のおかげですな、ありがたいこってす。

 さて、受け取ったローブは綺麗に洗ってあったけど、どこか埃っぽい。

 軽くはたいて埃を払い、ローブを羽織ってみよう。

 お、縁の所に綺麗に前の持ち主の名前が刺しゅうされてる。

 ええっと、TOM.M.RIDDLEさんね。

 ありがたく使わせて頂きます、先輩。

 

 羽織ってみると、ちょっと今の体格からは大きいかな。

 まあその内背も伸びるし、このまま使って良いだろう。

 とかやってるうちに結構時間が経っちゃった。

 こりゃハグリッドさんとのお茶会遅刻確定だな。

 とにかく急がないと。

 校内走るとフィルチさんがうるさいからなあ。

 ので、校外(・・)を移動しましょう。

 お城の窓開けて、そこから身を乗り出して外に出て(なんか人の声が聞こえたけど気にしないw)、屋根や飾り窓を蹴って城壁の石に指を掛けて、さらにそこから壁を蹴ってジャンプ、屋根から下がってる蔦を掴んでそこから更に、って感じでホグワーツの裏庭に着地、と。

 そこから私はハグリッドさんの住む「禁じられた森」へと走り出した。

 

 

 

 私は何も見なかった:ホグワーツ城管理人アーガス・フィルチの言

 

 アーガス・フィルチは四半世紀を超える間このホグワーツの城砦を管理維持してきた。

 そのフィルチをしてもたった今見えた「自殺現場」は経験がない。

 目の前で学生、おそらく3年生か4年生と言ったところか、が窓枠に足を掛けて、外に飛び出したのだ。

 窓の下は急な角度の付いた屋根であり、大体はそのまま下に転げ落ち、地面に叩きつけられるのがオチだ。

 フィルチはあわてて窓に駆け寄った。

 そこから下を覗く。

 その下の地面にはむごいオブジェになった学生の姿が、なかった。

 フィルチは目を丸くすると、周囲を見回した。

 …いた。

 屋根を走り、壁の蔦を掴み、ものすごいスピードで城の裏手に移動していく学生の姿。 

 あんぐりと口を開けたフィルチの視界から、学生は消えて行った。

 フィルチは目を擦ると、

「儂も年かなあ、とうとう幻覚が見えるようになったか」

 そう呟いた。

 そして全てを見なかった事にして場内の警備(という名前の学生いびり)を続けることにした。

 

 

 

 さて、禁じられた森の入り口、そこに建っているのがハグリッドさんの住む森番の小屋。

 中にはハグリッドさんの他に誰かいるようだ。

 まあ誘われたのは私も一緒なわけだし、どうせマグル生まれの子の顔合わせとかそんな感じだろうし。

 近くまで行くと、まあでっかい事でっかい事。

 ハグリッドさんに合わせて作られてるからなのは分かるけど、サイズが通常の約2倍ってとこかね。

 扉なんて私の背の倍以上高さがある。

 で、ノッカー(意外に低い位置に設置されてたり)でノックをすると、

「お~ぅ、空いてるんで入ってくれやぁぁ」

 んじゃ遠慮なく。

 ごめん下さい、っと。

 で、入ると同時に、

 ばさばさっ。

 Jr.がお出迎え。

「あ~ん、Jr.元気してたぁ」

 もうかわええかわええ。

 撫でながら中に入る。

 中にはハグリッドさん、大きなワンコ、多分この子がハグリッドさんが言ってたファングかな。

 他にはグリフィンドールの赤毛の子と眼鏡の子がいた。

 えーっと、確か眼鏡の子はなんか有名な子だったよね、大魔王倒したとかなんとか。

 とりあえず自己紹介をば。

「ども、スリザリン寮の1年、マリー・ウェリントンだよ、よろしく」

 フレンドリーにしたつもりなんだけど、反応薄いのう。

 こりゃ私が来る前に何かあったな。

 とは言え、このまんまだとらちがあかんので二人に自己紹介を促して。

「ロン・ウィーズリー」

「ハリー・ポッター」

 名前だけかよ、もうちょっとさあ…。

 どうもこっちがスリザリンってだけでなんか連れてこられた子猫みたいに警戒してんだけど。

「ま、まあ、こっち来て坐れやマリー、今日は菓子作ったでよお」

 この雰囲気を打開すべくハグリッドさんがそう言う。

 じゃあびんじょ(便乗)びんじょ(便乗)

 のうのうと二人の前に座って、ハグリッドさんの出してくれた紅茶と、…これ何?

「おお、ロックケーキじゃ、オレの手作りよぉ」

 ほっほう、見た目はただの岩石だけど、持ってみると…ただの岩だよなあ。

 一齧り、って堅った!?

 中中に歯ごたえが、ってか齧るためのとっかかりがない!?

 そうなると、

「…ふんっ!」

 ケーキ?を爪を立てて二つに、できねぇ!? なら気功を込めて!

 ばくん!

 よっし、二つに割れた。

 もう一回割って四等分くらい。

 やっとこれで、という事で口に放り込んで。

 がりごりがりごり。

 …かったいけど、なかなか美味。

 うまい! うまい! おお美味しいじゃないかこれ!!

 む! この堅さなら、ビスコッティみたいに茶とかコーヒーにつけて食べても良いかも!

 紅茶に漬けこんで、ちょっと待ってから食べてみると!

 うん! 良い感じ!

 ちょっとしんなりして、ふわふわ感が出ておいしい!

 ちょっと少年二人、あんた達も食べてみなよ。

 かなりいけるって。

 え、割れない?

 ほれ貸してみ。

 こうやって、ふんっ!

 ほれ割れた。 そうそう、茶に浸してね、ちょっと置いておくと。

 …でしょ! これは良いよ。

 

 さて、そんな感じでまったりできたんだけど、どうもポッター君は新聞に興味があるようだ。

 えっと、日刊予言者新聞の切り抜きねえ。

 それ、信用できるのかねえ。

 ハグリッドさんに聞いてみると、

「みんな読んどるし、信頼できるんじゃないか」

 とのこと。

 …魔法族の「情報のリテラシー」って信じていいんだろうか。

 なんか起きると、この新聞使って情報の隠ぺいとかかく乱とかおきそうだなあ。

「ふうん、これの記者ってそんな社会的信用ある人達ばっかなんだ」

 と、いうと、

「そんな事ないよ! リータ・スキーターとか最低の記者だってママが言ってたし!」

 そんなことをウィーズリー君が言う。

 ウィーズリー家はお父さんとお兄さんが魔法省に務めてらっしゃるそうで、いつも出まかせばかりかかれるんだとか。

 敏腕のスクープ記者なのか、いわゆるゴシップ専門のマスゴミなのか。

 どっちにしても予言者新聞は話半分で呼んでおくのがよさそうだ。

 それにしても、日々の情報がたった1社の新聞だけとは。

 情報の共有とか、そう言ったのがないといつの間にかマグルに置いていかれかねないと思うんだけど。

 まあ、そこいら辺はイギリスの魔法族を仕切る魔法省の人たちが考えてるでしょ。

 んで、ポッター君が気にしている記事は、「グリンゴッツ侵入される」ねえ。

 銀行に侵入者か。

 そりゃ信用問題になるよね。

 よっぽど腕っこきの盗人がいたのかねえ。

 それに関してはポッター君がぶつぶつ言ってる。

 僕達が行った時だ、とか、僕らが入っている間に起きたんじゃ、とか。

 ポッター君、そこまで気にすることかねえ。

 …ポッター君の呟きにハグリッドさんがびくびくしてるんだが。

 それだと「僕知ってるもん」と言っているも同然であるw

 余計ポッター君の好奇心を突っつくだけなんだよなあ。

 というかさ。

「ポッター君はそれを知ってどうすんのさ?」

 と、聞いてみる。

「え?」

 意表を突かれたポッター君。

 下手にこう言うのに首を突っ込むと命に関わる。

「猫に九生あり、しかして好奇心は猫を殺す、っていうじゃない?

 下手に手を出すと、ほんとにやばいことになるかもしんないよ?」

 そう言ってみる。

 ポッター君は、

「でも、これは僕がグリンゴッツに言っている間に起きたんだ!

 気にならないわけがないじゃないか!?」

 …本気で、好奇心は~になりそうな感じだなあ。

 彼、よっぽど好奇心を抑え込まれて生きて来たのかしら。

 普通(マグル)の世界で魔法族が生きるという事は、自分の力を抑えて生きる事。

 その為、環境によっては迫害されたり、無視されたりという事が起きるわけで。

 結果、魔法世界に「戻って来た」場合にはっちゃける事もあるのかもしれない。

 だけど、

「例えばさ、やばい魔法使いに杖を向けられたとして、ああいや、この例えだと分かりにくいか。

 例えばだ、柄の悪い連中に銃を突きつけられたとして、それを何とかできる方法が君にあるのかって事。

 ハグリッドさんならあのでっかい体があるからちょっとやそっとの攻撃じゃ死んだりしないよね。

 じゃあ、君はどうなんだい、って事なんだよ。

 厄介事に首を突っ込んで、死なないための方法はあるのかい?」

 確かに彼はスリザリン寮の子じゃない。

 だけど、ホグワーツに入学した同級なのだ。

 それに、私みたいに修羅場をくぐって来たこともなさそうだし。

 荒事の素人が死んだり怪我をしたりするのはかわいそうだ。

 

 結局ポッター君は納得できなかったようだ。

 んなら、せめて呪文学とか実践的なのを出来るだけしっかり勉強して、使える手札を増やしておいた方が良い、と助言。

 勉強している間は興味本位の冒険に出る様な事もないだろうし、年が年だ、その内に興味が別の方に向かってこの件は忘れちゃうかもしれないしね。

「あ、ハグリッドさん、荒事で特に使えそうな呪文ってどんなのあります?」

 さらに、ハグリッドさん使って戦闘時に仕える実際の呪文を教えてもらおう。

 それで意識はそっちに行くはずだ。

 こう言った意識の誘導も藤堂兵衛お得意の交渉術から。

「むう、そうだのぉ、護れ(プロテゴ)と、武器よ去れ(エクスペリアームス)辺りかのぉ。

 イッチ年だと   浮遊せよ   (ウィンガーディアム・レヴィオーサ)あたりかの」

 なるほど。

 私も個人的に修練しとこうかな。

 そんな話をしながら、お茶会は解散となったのでした。

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