スリザリン寮に暮らして暫く経った。
ルームメイト達とはうまく行っている感じです。
パンジー・パーキンソンちゃんとか、最初はちょっときつめの対応だったんだけど、暮らしていくうちにどんどん態度が柔らかくなって。
やっぱり普通の女の子たちなんだよね。
まあ、彼女らの相談を色々聞いてた結果だったりするんだけど。
ほら、私らの時期って、その、ね、お月さまがね。
年齢的にホグワーツに入学してから生理が来る子も多い。
で、そこで有効だったのが私の使ってる紙ナプキン。
お母さん達からはどうやらタンポンを勧められてるらしいのだけど、使いなれないとアレ怖いんだよね。
私は高分子タイプのナプキンを持って来たんだけど、これが大人気で。
最初のうちはルームメイトだけだったんだけど、だんだんクラスメイトに広がり、そこから上級生に広まって一気に需要が跳ね上がった。
まあ、魔法族には妖精の魔法の中に「
何度もJr.に実家と往復してもらうはめになった。
これ、その内に全校に広まると思うから、今後は購買で扱ってもらえるように頼むべきかも知んない。
まあこれのおかげで女性陣からは少なくとも嫌われなくなりましたね。
さて、こうやって暮らしていくと、スリザリン、というか純血派の家の人達も一枚岩じゃない事が分かって来る。
どうやら一番大きい派閥がマルフォイ家を中心とした一派。
うちの学年だと、クラッブ家やゴイル家がそこに所属。
セオドール・ノット君とことか後はパンジーちゃんとこのパーキンソン家とかね。
ここに明確に反抗的な派閥はない感じだけど、マルフォイ君が下級生って事で侮るか、自分とこに取り込みたいって感じは見受けられるんだよね。
で、(おそらく)純血じゃない私に対して、上級生の男性陣の中であまり良い見方をしていない所がちらほら。
女性陣は
まあしょうがない、と割り切って生活してますが。
「おい、なんか臭くねえか」
「そうだな、くっせえ狗の臭いがするなあ」
まあこんな感じです。
特に
ここが一番露骨ですなあ。
向こうからしたら「純血」でない私がスリザリン寮にいることが許せんのでしょうが。
ホグワーツ創設者の一人、サラザール・スリザリンが純血の魔法使い以外の入学を認めなかったって逸話が残ってまして、そこいらからスリザリンには純血主義の人たちが集まるようになってるらしいです。
それに、純血派最大派閥のマルフォイ家の嫡男に私がくっついてんのも気に入らない所なんでしょうなあ。
ご丁寧にマルフォイ君や彼に親しい人たちがいない所限定でちょっかい掛けて来るんですね。
この辺り、こう言った小細工にも頭が回るのがスリザリンらしいというかなんというか。
非常にシンパシーを感じますw
あまりにもひどい時は寮監のスネイプ先生が注意してくれるんですがね。
まあ、大人の言う事を子どもは聞きゃしないのはどこでも一緒でw
こう言うのを言う人はごくごく一部なんで、聞き流してればまあ問題ないですな。
それに、
「マリー、大丈夫なの、ああいうの言わないように注意したげようか?」
同級生や上級生の女の子達はこっちの味方ですし。
まあ下手をすると男子と女子の確執が出来ちゃうんで「大丈夫だよん♪」と軽く返しておりますが。
彼女達のおかげで、寮室の私物とかに手を出されることがないので本当に助かってます。
まあ、手出しされてもどうにかする方法はいろいろ講じてますが。
しかし、ここんとこ本当にJr.に負担を掛けてるなあ。
梟便で何とかなるといいんだけど、梟たちだとせいぜい3kgくらいまでしか運搬できない。
うちのJr.は環境が良いのか、ハグリッドさんの飼育法が良いのか6~7kgくらいのものなら大丈夫なんだよね。
凄いわうちの仔。
ということで、今日も今日とて実家の方にナプキンの買い付けをお願いする手紙を送ります。
「お願いね、Jr.」
中庭から手紙を持たせて飛び立たせました。
その時。
パチリという音と共にJr.に向かって火花が飛ぶ。
間一髪避けたJr.。
あの程度の攻撃なら十分に避けられるよう鍛えてはいたものの…。
火花の元を辿ると、五年生グループの1人が窓から杖をつきだしていた。
その瞬間、私は魔法の杖をゴルフクラブのように構えて、足元の石をそいつの手に向けて撃ち出していた。
男塾の武術家、三面拳の月光が使うチャク家拳法の内、棍法術の遠距離攻撃、
彼ほどの威力、精度は出せないものの、打ち出した石は見事そいつの腕に直撃、
「うあぁっ!?」
肘の辺りでぼっきり折れて、杖を取り落としていた。
まずは実行犯に一撃。
これで済ますと思うなよ。
さて、
「ねえ、あいつら最低」
「くずよくず」
「ね~」
女性陣から彼らは嫌われ始めた。
何かにつけ、ねちねちと陰口をたたかれる毎日。
五年のグループはだんだんといらいらし始めている様子。
まあ、そう言う風に追い込んだのは私ですが。
まず、いろんな(漢方)薬を使って目の周りに軽い炎症を演出します。
ちょうど泣き腫らしたように。
で、ルームメイトに、
「Jr.が死んじゃったかも…」
と泣き言をいう訳です。
心配してくれるルームメイト達に、
「誰かがJr.を落とそうと魔法の火花を放った」事を伝えます。
Jr.は女性陣に人気があります。
質の良い生理用品を持ってくるのはあの仔なんですから。
純血の家系の人達はどうしてもマグルとの関係が薄く、マグルの品を購入するルートがあまりない訳で。
Jr.が傷つくという事は現在の女性陣にとってはけっこう死活問題。
そこから犯人捜しをお願いして、ちょっとずつ情報を漏らして。
そこから、Jr.を狙った相手をみんなで追い詰めるよう演出。
その結果五年生グループが焙りだされ、そこから女子グループによる攻撃が始まった訳ですな。
もちろんJr.は傷ついてないし、戻ってきたら徹底的に甘やかすつもりですがね。
その前に、彼らとカタが付けばいいんだけどね。
そしてその時は来ました。
「おい、野良狗」
そう声を掛けて来るのは五年生グループのリーダー格、ワルター・グレイ先輩。
ちょっと調べた所、純血主主義で、その家は聖二十八家の一つ、ゴーント家の分家だそうで。
ゴーント家は数十年前に断絶してるんだけど、当時の一代前当主の兄弟が分家を創設していたらしい。
で、今の段階になってグレイ家当主が失われたゴーント家の継承を主張、周囲の反対で継げなかったらしいんだよね。
その反対の旗手だったのが先代のマルフォイ家の当主、マルフォイ君のおじいちゃんだ。
どうやらそう言った因縁があって、マルフォイ家に対する当てつけの意味もあって私に手を出してきた様子。
私が痛い目を見た所でマルフォイ家に何の痛みもないと思うんだが。
それでも嫌がらせ程度はしておきたい、って事なんだろうかね。
まあ、だからと言って許す気は爪の垢ほどもないが。
「何でしょうか、先輩」
ここは下手に出て、と。
「お前、生意気なんだよ、お前みたいなのがなんでスリザリンにいるんだよ!」
グレイ先輩がそう言うと周囲の取り巻きも同調して盛り上がってる。
周囲に誰もいない所を見計らって声を掛けて来る辺り、ある程度保身も考えられているみたいですね。
「おい! 何とか言ったらどうなんだ!?」
と、言われても、ねえ。
困惑の表情を浮かべて「何言ってるか分かんない」アピール。
当然向こうさんはさらにエスカレートする訳で。
「この狗が!」「スリザリンにふさわしくない!」「ホグワーツから出ていけ!」
と、こんな感じになるわけですね。
冷静さが良い感じで失われてるようだし、もうちょっとかな。
そして望んでいた一言。
「決闘だ!」
俯きながら私は、
「そんな…、決闘なんてできません! ろくに呪文も使えないのに…」
さて、これで向こうはどう言ってくるかね。
「はっ! これだから雑種は! 呪文が使えなければ狗らしく噛みついてくればいいだろう?」
と、高圧的に顔をゆがめながらそう言い放った。
…にやぁり。
そうかいそうかい、「噛みつけ」ばいい訳だ。
だんまりを続けている私を、彼らはどこかに連行していった。
排除しなければ!:純血主義の家系 ワルター・グレイの言
ワルター・グレイは純血主義の家系に生まれた。
彼の祖父は純血の名門、聖二十八家であるゴーント家の出身だ。
祖父がまだ若い頃、ゴーント家から分家のグレイ家に婿に入り、その血を繋いできた。
その後、ゴーント家の当主であるマールヴォロの代で没落し、マールヴォロはマグル襲撃の罪で投獄、獄中死。
その次のモーフィンは疑惑の死亡。
その後、彼の祖父はゴーント家を引き継ぐべく活動をしたものの、正統性がないと棄却された。
その為か、ワルターは「本来なら自分こそが聖二十八家を継いでいた」という歪んだ教育をされて育った。
なまじ優秀なだけにその思いは強くなっており、貴族主義的なスリザリンでその思想は醸造されることとなった。
しかし、彼に転機が訪れる。
純血主義ばかりのスリザリン寮に、「マグル生まれ」が入寮することになったのだ。
こんな前代未聞の事、許すわけにはいかなかった。
もっとも、スリザリンに純血以外の者が入寮するのは実の所そこまで珍しい事ではない。
彼らに最も身近な例として、「セブルス・スネイプ」が挙げられる。
スネイプは魔女とマグルの男性との間の子どもだ。
つまりは純血ではない事になる。
しかし、彼はスリザリン寮に入寮し、純血のルシウス・マルフォイに可愛がられ、現在はご存知のようにホグワーツの教授の一人だ。
ワルターはそれを知らない、というよりそんな事があるとも思っていない。
だからこそ、マリー・ウェリントンをホグワーツより追い出すべく、嫌味で追い詰め、ペットを殺すことで心を折ろうとした。
ところが、ペット殺害を指示した「同志」は肘を骨折。
どこからか飛んできた石が当たったのだという。
少なくともマリーの仕業ではない。
その時、同志とマリーの距離は百フィート(約三十メートル)以上は離れていたからだ。
ただ投げるだけでも女子には難しい距離で、肘を叩き折るほどの剛速球を当てるのは難しいはずだ。
どうやったのかは分からないが、女なのだ、誰かにやらせたのだろう、なんと汚い奴なのだ。
彼はマリーが物理的に石を飛ばして相手の肘をへし折った、ということに思い至らなかった。
想定できるものがどこに居るというのか。
これが魔法であれば彼らも納得し、犯人捜しをしただろう。
実際、呪文の中にはそのような現象を起こす魔法もある。
しかし、今回のこれは投石だ。
さすがに彼らの想像の
ホグワーツにおいてそのような予想が付くとしたなら、それはトンデモ拳法の存在する、「男塾」に関わる者、つまりはマリーくらいなものだろう。
そして次の手を考えているうちに、彼らの立場が悪くなっていった。
具体的に言うと、「女の子達に嫌われ始めた」のである。
その程度、と言うなかれ。
考えて欲しい、思春期の男子がねちねちと女子に陰口を叩かれる、という事。
ちょっと気になったあの子から、「君好きじゃない」とぼそっと言われる事。
無視したとしても、何かにつけちょくちょくと意地悪な事を言われる、というのは、積もり積もるとこれまたしんどいという事。
積み重なる埃のような心労は、彼らを確実に短絡的にさせて行った。
それもこれも全部マリーが悪い。
彼らはそれがマリーの作戦である事すら把握できなくなっていた。
マリーとしては、「こんなん策ですらねえわw」とか言うだろう。
彼女はもっとえげつない「悪」の策略を知っているのだから。
ワルターは実力行使に出る事にした。
とっととこの状況を打破しないと心が持たない。
だからこそ、
「決闘だ! 狗は狗らしく噛みついてくればいい!」
と言ってしまったのだ。
ワルター家及びその家系の下りに関しては筆者のオリジナルです。
魔法ワールドにはそのような設定は無いはずです。