ホグワーツの凶犬~ハリー・ポッター×男塾~   作:黒羆屋

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第16話 暫し、平穏な日々その1

 授業の合間に、あっちをふらふらこっちをふらふらとホグワーツ城砦の中を探索しています。

 いやあ、ここもんのすごく広いんですわ。

 だから、こうやってちょこちょこと探検、てほどじゃないけど散歩するのはとても楽しい。

 ちょくちょくマルフォイ君達とも歩くんだけど、その時は色々教えてくれるからなお楽しかったり。

「おべんちゃらのグレゴリー」の銅像とか、隻眼の魔女の像とか、曰くがありげでもそれがどんな逸話かってのは魔法界の事を知ってないと分かんないからね。

 正直、おべんちゃらのグレゴリーって つるつる油 (アンクトゥス・アンクション)の開発した人だとか、隻眼の魔女の本名が「グンヒルダ・ド・ゴースムーア」で、とても高名な癒し手(ヒーラー)だったって事をゴイル君から教えてもらった時は驚いた。

 失礼な言い方だけど、ゴイル君って知識とか詰め込む人じゃないから。

 と思ったら、蛙チョコレートのおまけカードになってんだと。

 それでも良く覚えてたもんだ。

 ゴイル君は興味のある事だと集中力が上がるんだろう。

 それをもうちょっと勉強に回せると馬鹿扱いも無くなるんだけどなあ。

 もちろんマルフォイ君達が知らない事も沢山あって、それは本で調べたり、人に聞いたり。

 さすがにホグワーツの管理人だけあって、フィルチさんはその辺りよく知ってたりする。

 みんなもフィルチさんに色々聞くといいと思うんだけど。

 みんなが思ってるような人でもなかったしね。

 人は自分を映す鏡。

 相手に嫌な感情をぶつけると、相手からも悪い感情が帰って来るもんだ、なんつって。

 

 ふらふらと廊下を歩いていると、おや、マルフォイ君達だ。

 なにやってんだろ。

 別に隠れるつもりもなかったんでひょいと覗くと、マルフォイ君達三人と、確かハッフルパフの子が二人だよね。

 珍しい組み合わせだこと。

「どしたん?」

 声をかけると、マルフォイ君が、

「いや、この穢れた…、マリー?」

「うん、マリー・ウェリントンだよ。

 で、穢れたって?」

 ありゃ、なんかあったかな?

 マルフォイ君いきなり視界が泳いでる。

 どしたんだろね、とクラッブ君、ゴイル君の方を見ると、ものっそい勢いで顔を横にそむけたし。

 なんだ?

 マルフォイ君はうろうろと視点をさ迷わせた後、

「もういい!

 マリー、行くぞ!」

 と私の手を取ってその場から歩き始めました。

 クラッブ君とゴイル君も一緒に。

 ふむ、これは聞かない方が良いかな?

 私はそのままマルフォイ君に引っ張られていったのでした。

 

 

 

 穢れた血:純血の血統ドラコ・マルフォイの言

 

 ドラコ・マルフォイは「聖28一族」「聖二十八家」と呼ばれる魔法世界において一目おかれる純血の家系の一つ、マルフォイ家の嫡男である。

 純血であるという事は、魔法を使う事の出来る魔法族を安定して輩出することができるという事だ。

 マグルと結婚した魔法族は、子どもが魔法の使える魔法族で生まれて来るか、魔法の使えないマグルとして生まれて来るか、はっきりしないのである。

 例に出すならば、リリー・エバンズ、ハリーポッターの母親が良いだろう。

 ハーマイオニー・グレンジャーと同じく、リリーはマグルの両親から生まれた。

 しかし、リリーの兄弟であるペチュニアは非魔法族として生まれている。

 おそらく両親のどちらかの家系に魔法族がいたのだろうと推測されるが、「血が薄い」ということは、このように兄弟でも魔法が使える、使えないという風に分かれる可能性が大きいという事。

 その点、純血であれば生まれて来るのはほぼ間違いなく魔法族である。(とされている)

 魔法族の存続のためにも、純血は守られなければならない、ドラコはそう教えられてきている。

 ドラコにとってそれは誇りでもある。

 魔法族の存続には、我ら聖二十八家が不可欠。

 故に、我らは敬われるべき存在なのだ。

 そう言う論理である。

 今のところドラコにはそれしか寄る辺がない、という事もあるだろう。

 未だ彼の持つ才能は開花しておらず、まあ十一歳にして世間に通づる才能などそうそうないが、家柄が彼の唯一、心のどこかでそう考えているのかもしれない。

 だからこそ、「赤子にして当代最強の闇の魔法使いを打ち破った」ハリー・ポッターに対して嫉妬を覚えるのかもしれない。

 

 さて、ドラコはいつもビンセント・クラッブとグレゴリー・ゴイルという二人を連れて歩いている。

 二人とも年齢にしては体が大きく、威圧的な風貌だ。

 彼らを連れて歩くことで、ドラコはより自分が偉くなったように感じている。

 ホグワーツに入学してからはときおりその三人にもう一人のっぽの女の子が加わった。

 マリー・ウェリントン。

 本来ならばマルフォイの一族が連れてあるくには不適であろう「マグル生まれ」の少女。

 マグルの親どころか、どういった血族かもわからない、孤児の少女だ。

 ホグワーツ特急に乗り込む際にたまたま知り合っただけの彼女だが、ドラコ、というよりもドラコ達三人と妙に気が合い、寮も一緒のため一緒にいる事が多くなった。 

 彼女は自分が魔法界において無知であることを自認しており、ドラコやビンセント、グレゴリーに様々な事を尋ねて来た。

 ドラコはまだ年が若い。

 教わる事はあっても教える事はなかった。

 また、彼女から聞くマグルの世界の事も中々に興味深かった。

 もっともマリーが一方的にドラコたちに「教えてあげる」のであれば、ドラコは反発しただろう。

 お互いに教え合う、それがドラコにとっては楽しかったのかもしれない。

 

 歩いていると、目につく女子がいた。

 確か、マグル生まれの子どもだったはず。

 一緒にいるのはボーンズ家の子どもなはず。

 魔法界においても名家と呼ばれるボーンズ家の者が両親ともマグルの胡散臭い「穢れた血」と一緒にいるとは、一言言ってやらねばなるまい。

 ドラコはそう義憤に駆られた。

 この際、マリーの事はすっかり頭から忘れ去られていた。

「ふん、『穢れた血』がなにしてるんだ」

 こまっしゃくれた様子でドラコがそう言う。

 年かさの存在から見たら、子犬がキャンキャン騒いでいるような、むしろ微笑ましい光景かもしれない。

 しかし、同年代の、女の子にとっては男の子三人の恫喝は、それは恐ろしいものだろう。

 それに対し、一緒にいたスーザン・ボーンズが前に出た。

 優しさ、公平性を旨とするハッフルパフ寮の少女らしい正義感だ。

 それはドラコにとっては「間違った考え」と見えた。

 マグル生まれは排斥されるべきで、それを支持するマルフォイ家は正しいのだ。

 正しい事を成す事はハッフルパフの信条にも敵うはず。

 そのような「純血派にとっての正義」を違う意見を持つ彼女に押し付けようとしている訳だ。

 ドラコの後ろには年齢に比して大柄なビンセント、グレゴリーの二人がいる。

 どう見ても男子三人が女子二人を脅しつけている図である。

 子どもの好きな物語にはこういうときハクバのおうぢ様がさっそうと救いに来るのだろう。

 しかし、

「どしたん?」

 そう声を掛けてきたのはのっぽの女の子、マリー・ウェリントンだった。

 助けが来たかと思いきや、やって来たのはドラコの取り巻き、スーザンは友人ともに絶望した。

 が、

「いや、この穢れた…、マリー?」

 ドラコの動きが胡乱になった。

 スーザンは首を傾げ、はたと思い至った。

 そう言えば、マリー・ウェリントンはマグル生まれで、その血筋すらはっきりしない孤児だったか。

 その辺り、ドラコはすっかり忘れていたようだ。

「で、穢れたって?」

 と彼女に言われて動揺しまくっている。

 それは後ろに立っている男子二人も同じことで、ドラコよりもさらに動揺が激しい。

 あわあわとして、結局ドラコは、

「もういい! マリー、行くぞ!」

 と、彼女の手を取って歩きだしてしまった。

 スーザンは友人と顔を見合わせ、

「つまり、また今度こんなことがあったら『マリーに言いつけるぞ』って言えば良いのね」

「ねー」

 …この年頃だろうと女の子は男の子よりもしっかり(したた)かなのです。

 

 実際、「マリーに言いつける」の脅しはドラコやビンセント、グレゴリーには覿面で、ドラコ達が「穢れた血」と言い出すのはこの後激減したとか。

 

 

 

 さて別の日、私はアルバス・ダンブルドア校長先生に談判を申し込みに来ています。

 まずはスリザリンの寮監であるスネイプ先生を通して校長先生への面談をお願いします。

 可能であれば副校長のミネルバ・マクゴナガル先生にもいて頂きたい、と。

 先生は「何故に?」と聞いてきますが、申し訳ないけど先生では役に立たないのです。

 そう言うと、スネイプ先生は大きなショックを受けた顔をしますが、こればっかりは。

 傷心のスネイプ先生をお二人の説得にいかせ、私は待ちの姿勢です。

 

 暫しの後。

 スネイプ先生が校長室への入室の許可を貰って来てくれました。

 ちょうどお二人とも時間もあるとのことで好都合なことです。

 さて、校長室にお伺いしようとすると、マクゴナガル先生と入り口前でお会いできました。

(わたくし)と校長先生に話があるとか、どのような?」

 まあそれは校長先生にお会いしてから。

 まじめな話、そろそろ私だけだと処理しきれない問題なもんで。

 と言うと、マクゴナガル先生は眉をしかめています。

 まあ胡散臭いよね。

 とは言え、これは真面目に学校全体に関することなので、しっかり話し合う必要があるんだよね。

 

 さて中々すっごい仕掛けの入り口(これだけで一大アトラクションと言えるのではないだろうか!)から動く階段を通って校長室へ。

 なんとも居心地のよさそうな、暖かそうな場所だ。

 これがダンブルドア先生のプライベートスペースなのだろう。

 とっても素敵。

 私がほけーっと周囲を見回していると、

「ミネルバ、マリー、こちらに来てすわっておくれ」

 と、ダンブルドア先生が勧めてくれます。

 勧められた通りに座ると、先生が杖を一振り、淹れたての紅茶と美味しそうなスコーンがそこに現われました。

 こう言う風に何ともないようにえらい高度な魔法を披露してくれるのが我らが校長先生な訳。

 いやあ憧れます。

 で、早速頂きます。

 …ふう、紅茶の入れ具合、ベストですね。

 茶葉はそれほど詳しくないんだけど、渋みがきつくなくて子どもにも飲みやすい品種です。

 どうやらマクゴナガル先生の奴は彼女に合わせた香り高い品種になっている様子。

 こう言う所でも魔法使いとしての技量が出るんですかねえ。

 スコーンはちょっと甘めの味付け。 

 紅茶と合わせてちょうどいい感じで、気が付いたら全部平らげてました。

 と思ったら、横から追加が。

 マクゴナガル先生が自分の分を一個譲ってくれました。

 これもありがたく頂きます。

 ふう、小腹がくちくなった感じです。

 …あ、いかん、お話があったんだっけ。

 あんまりにも居心地が良かったんで忘れるところだった。

 ダンブルドア校長はともかく、マクゴナガル先生はちょっとじれている感じ。

 さっそくお話させて頂こう。

 

 さて、その話とは!

「校長先生、生理用高分子樹脂性のナプキン、購買で扱う訳にはいきませんか?」

 

 …いや、重要なのよ! 私にとっては!

 なんせ、ここしばらくで私の使ってた高分子樹脂のナプキン、やったら大人気でね。

 暫くはスリザリンの女子だけだったんだけど、気が付いたらハッフルパフの子からも頼まれて、そっからグリフィンドールとレイブンクロ―の子達に情報が流出したのはもうほんとにすぐで。

 うちのJr.だけだと運搬に支障が出そうになってたりするんだよね。

 ダンブルドア先生はよく分かっていない様子。

 まあ男の人だしね。

 マクゴナガル先生は、

「今まで各人が使っていたものでは駄目なのかしら?」

 と、当然の疑問。

 という訳で、現物を使って実演販売です(違う)。

 

「ふむ、これは…」

「確かに、『多い』子達にとっては重要な事ですね」

 目の前に、生理用ナプキンを置いて、そこに水を吸わせていきます。

 最大千倍ほどの水を吸い取るといわれる高分子樹脂を使ったナプキン。

 石油製品なので肌に合わない可能性もありますが、魔法界には今のところない素材です。

 まあ、こっちにはこっちで似たような効果のものもあるかもしれませんが、おそらく工業製品であるこれと比べると価格がおっそろしく跳ね上がるはず。

「校長、これはホグワーツにも導入すべきものかと」

 マクゴナガル先生ならそう言ってくれるんじゃないかと思った。

 大なり小なり生理って女性にとってはしんどいもんだからね。

 前世男で今世女、ありがたい事に私の生理は軽かった。

 それでもうっとうしい感じが数日続くのはきっつい。

 少しでもストレスを感じないような環境は整えておいて損はない。

 という訳で。

 先生方にもご好評だった生理用品数種類、学校の購買で置いてもらう事になりました。

 ちなみに窓口は当座の間うちの実家w

 商売が広がって末広がりですなw

 

 で、その後、マクゴナガル先生以下、女性講師の方々によって女生徒全員に「生理用ナプキンの正しい使い方」講座が開かれることとなったのでありました。




転生主人公がいることでのちょっとした影響。
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