ホグワーツの凶犬~ハリー・ポッター×男塾~   作:黒羆屋

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第19話 暫し、平穏な日々その2

「よいしょっと!」

「おおえ~えぞぉ、え~え感じに油が抜けとる、あいつらも喜んでくれるだろうて」

 今、私はハグリッドさんの家の裏庭で、鹿肉を煮込んでます。

 その他にもいろんな野菜を煮たり焼いたり、少なくても1トン分くらいはあるんじゃないでしょうか。

 で、何をやってるかってえと。

「よっし、これでしばらくファング()の飯は足りるだろぅてぇ」

 ドッグフード作りです。

 本来1年生は「禁じられた森」に入る事は出来ないんだけどね。

 ハグリッドさんとスネイプ先生から特別に許可が出まして、ハグリッドさんの鹿狩りに同行させてもらう事が出来たのです。

 森の保全を目的に、増えすぎた鹿や猪なんかを一定数仕留める必要があるんだそうで。

 まあ、とは言っても私もハグリッドさんも、狩りそのものは見てるだけ。

 巨大な馬の下半身を持つ半人半馬のケンタウロスの部族がその役割を果たしてます。

 正直、すっげえ見ごたえがある。

 彼らは本来森の奥に潜み、こんな浅い所までは出てこないのだそうです。

 ハグリッドさんとなによりダンブルドア校長の「お願い」だから、特別に動いてくれるんだそうで。

 瞬く間に鹿、猪なんかが仕留められていきます。

 そらそうですわな、鹿と同じかそれ以上の速さで走れる生き物が、弓やら槍を持って攻撃してんだから。

 重量馬レベルの下半身に、筋骨隆々とした人間の上半身、上から突き下ろされる槍の威力は、猪の頭蓋骨を一撃で貫通する威力。

 凄まじいですな。

 で、仕留めた獲物は内臓なんかを取りだして別の所に廃棄するとの事で馬鹿でっかい樽に入れて、ハグリッドさんがどっか持っていきました。

 私は鹿や猪の内臓の内、スネイプ先生に頼まれてた部位を切り取り、クーラーボックスに入れます。

 普通だと持ちあがらないような大きさの代物で、例にもれず田沢慎一郎の変態科学力でジャンクから作ったものです。

 二重になった容器の間にある水を、スネイプ先生に凍らせてもらって冷蔵する仕組みです。

 で、残りの肉とか皮はハグリッドさんとケンタウロスの方々で折半という事になるそうで。

 これまたハグリッドさんサイズのでっかいそりに得物をどんどんと積んでいきます。

 で、そりに大体積み終わったところでハグリッドさんが戻ってきます。

「おぉ! ちゃぁんと言いつけ守っとったなぁ! 感心感心ん~っ!」

 まあそりゃね、こんだけのもん見れたんだし、仕事はちゃんとするさ。

 なんて2人で話をしていると、

「…」

 なんかケンタウロスの一人がこっちをじっと見てる。

 なんぞ? と見返すと。

「サターンがマーズに介入する。気を付けよ、争乱と戦闘の時期が近付いている。

 生首の魔星と首なしの邪星の申し子よ、繰り返す、気を付けるのだ」

 そう一方的に言って去って行っちゃいました。

 今の何?

 ハグリッドさんを見返すと、

「あいつらの話は小難しくていかん。

 それさえなけりゃ良い奴らなんだが」

 だそうで。

 つまりハグリッドさんも何言ってるか分かんない、と。

 とは言え、星がどうのとか言ってたから、占星術に関わる何かかね。

 魔星と邪星とかってなんのこっちゃいな?

 まあいいや、とにかく帰りましょうか。

 

 一旦ホグワーツに戻ってスネイプ先生に薬の素材を渡して、改めてハグリッドさん家に。

 で、ここで獲物の皮を剥いで(後からなめすそうで、なめし液が用意されてました)、肉と骨を分けます。

 これも一仕事なんですけど、ハグリッドさんは手慣れたものです。

 私もがんばりますよ!

 

 疲れた…。

 なんつってもとにかく数が多かった!

 で、さらにここからお肉を加工。

 ある程度カットしたらどでかい鍋でぐつぐつ煮詰める。

 そうすることで油っ気を抜くんだそうだ。

 その方が犬には良いんだと。

 で、焼いたり煮たりして下処理をした野菜と混ぜてオーブンで焼く。

 そうするとドライタイプのドッグフードが出来あがるんだそうで。

 ただ、変なんだよね。

 指先くらいのドッグフード。

 それとは別に、鹿とかの骨を練り込んだ奴も作ってる。

 それは私のげんこつくらいの大きさで、それだとファングにやるには大きすぎるんじゃなかろうか、と思うんだけど。

 なんか「聞かないで」って感じが強いんで聞かないでおきます。

 

 

 

 手伝いがあると楽:森番ハグリッドの言

 

 マリーがいると作業がはかどる。

 ルビウス・ハグリッドはほくほく顔で完成したドッグフードを巨大な袋に詰めていた。

 一つはハグリッドが小屋で一緒に生活しているナポリタンマスティフのファングのもの。

 ちょっと臆病だが忠実な可愛い奴だ。

 残りの袋はハグリッドがダンブルドアに頼まれて飼育しているフラッフィー(ふわふわちゃん)用のやつだ。

 これは体が大きいので餌もちょっと(・・・・)大粒のやつで、骨や髄が練り込んであって歯ごたえのあるものを用意した。

 いつもハグリッドが会いに行くと鼻を鳴らしてなついてくる可愛い奴だ。

 フラッフィーに会いに行くと、その日一日はファングがよってこないのだけが悲しい所。

 まあフラッフィーにファングの分を用意するとなるとこれだけの量を用意しないといかんのだが、細かい処理やらなんやらで中々に手間がかかる。

 かと言って、普通にドッグフードを買ってるとダンブルドアの懐に大ダメージだ。

 だからこうやって定期的に食事を作っている。

 鹿の内臓なんかは森の友人である「アラゴグ」とその子どもたちにおすそわけしてきた。

 その内マリーにも彼を紹介できると良い、ハグリッドはそう思った。

 

 

 

 さて別の日。

 夜、スリザリンの談話室でみんなでまったりしている時の事。

 今日は月が良く照らしているらしく、地下にあるスリザリンの談話室、その窓の所から幻想的な光が差し込んで、何とも美しい。

 ほんとに見飽きない。

 で、ぽけらーっと窓を眺めていたんだけど。

 周囲がギョッとする。

 スリザリン憑きの幽霊、「血まみれ男爵」がそこにいました。

 まあ、結構えげつない見た目してますから、みんなが驚くのは仕方ないとして。

 どうやらご用は私にの様です。

 で、「スネイプ先生の部屋に行って、数種類の薬と資材を持って職員室に来るように」との事。

 了解です。

 

 言われた通りに薬を持っていきます。

 このラインナップだと、傷薬、化膿どめに、狂犬病薬?

 ハグリッドさんとこのファングはまあそう言う事しない子だし。

 これは狂犬病の薬じゃなくて、ウルフズベイン(とりかぶと)の効果、狼男の変化予防薬としての効果かしらん。

 てえことは、今度は狼男がホグワーツに侵入したとでも!?

 …まあまだそうときまった訳じゃない、とにかく急がないと。

 

 途中で眼鏡、じゃなくてポッター君とすれ違いました。

 こっちにも気付かず、

「スネイプ…トロール…あの犬…守る…」

 とぶつぶつ言いながら小走りに去っていきます。

 

 職員室にはスネイプ先生とホグワーツ城管理者のフィルチさんがいました。

「おい、薬は持って来たか!?」

 相変わらずフィルチさんはぶっきらぼうです。

 もちろん一通りは。

 で、フィルチさんはダメージを負ってる様子がないので、怪我をしたのはスネイプ先生か。

 手早く準備して、

「じゃあ先生、患部を出して下さい」

 そう言うと、

「学生が手を出すんじゃない、ワシがやる。

 こう言ったのは手慣れとるんでな」

 フィルチさんがそう言います。

 で、スネイプ先生を見ると、

「ウェリントン、やってみろ。

 調薬だけでなく、手当の手際も見ておきたい」

 という事で私がやる事に。

 もちろん手慣れてますよ。

 荒事の度に自分で手当てしてましたし。

 巻き込まれた裏町の兄ちゃん達も診た事あります。

 なにせ、医者にかかれないような立場の人も結構いましたし。

 ささっとキズを消毒、塗り薬を塗ってガーゼで患部を保護、絆創膏と包帯でフィニッシュ。

 その手際にフィルチさんも、「ほうっ」と感心してくれてます。

 しっかし、ちょっと変な傷だったなあ…。

 かなり大型の獣の「牙」っぽい感じ。

 ちょっと掠めただけだろうけど、下手すると足丸ごと持っていかれてもおかしくなかった感じだ。

 一体どこで受けた傷なのやら。

 まあ下手に聞くとヤバい事に首突っ込む羽目になるだろうからやらんけど。

 教えてもくれんだろうしね。

 

 

 

 手伝ってくれれば…:謎を解く少年ハリー・ポッターの言

 

 ハリーポッターはその夜、セブルス・スネイプが足に怪我をしているのを見た。

 その事をハリーはロン・ウィーズリーとハーマイオニー・グレンジャーに話し、自分の推理を話していた。

「スネイプはあの『謎の部屋』にいる三頭犬(ケルベロス)に噛まれたに違いない」と。

 トロールも皆の目をそらすためにスネイプがホグワーツに招き入れた、そう予想していた。

「でも、そうなるとまたトロールを使うんじゃないか?」

 不安そうにロンが言う。

 一度トロールを撃退することに成功はしたものの、それはロン、ハリー、そしてその場に居合わせたマリー・ウェリントンがいたからこそだ。

 特にマリーはハリー達に比べてかなり「喧嘩慣れ」しているように思えた。

 実際の所、喧嘩慣れ、というレベルではない。

 相手がチンピラとは言え、銃や刃物を持って明確にこちらを殺しに来ている、そう言う状況での「戦闘」をマリーはすでに経験していた。

「ウェリントンが手を貸してくれたらなあ…」

 ハリーはそう呟いた。

「え? あいつに? スリザリンだぞ、無理に決まってる」

 その言葉に反応したのはロンだ。

 実際、マリーはスリザリン寮の人間だし、そもそもスネイプと仲が良い、というか、あれは「弟子」だろう。

 授業中も良く分からないレベルの話をしているし。

 魔法薬学の合同授業中にかろうじて付いていけているのはしっかり予習復習、さらに参考書にまで手を出しているハーマイオニーと、意外な事にドラコ・マルフォイくらいではないだろうか。

 ドラコの場合、元から魔法薬学に対する適性が高いのと、授業の後にマリーやスネイプから詳しく説明を受けているから、というのもある。

 その為、ドラコの魔法薬学の技量はとても1年生とは思えないほどの上達を見せていた。

「…そうね、本当ならお願いしたいところだけど、彼女に頼むのなら、なにか交換条件が必要だと思うわ」

 マリーと話しこんだ経験のあるハーマイオニーは条件次第では彼女を巻きこめると思った。

 とは言えその条件が思いつかない。

 ハーマイオニーが見たところ、マリーはアウトローのような性格をしているように思った。

 社会の常識を大事にするのではなく、小集団、例えば家族のような、を重視するタイプで、いざとなったら身内を守るために社会を犠牲にするような、そう言うタイプ。

 イタリアのマフィアや日本のヤクザにつながるような感性を持っていると感じた。

 だから、一旦味方につければ裏切る事はないだろうが、失敗して敵に回るととても厄介な人。

 下手なアプローチは彼女を敵に回すだけだ、という事も予想できるので悩ましい、そうハーマイオニーは考えていた。

 

 結局その日は結論が出せず、三人はそのまま就寝することになった。

 マリーの関知しない所で、物語は進んでいるのだった。

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