冷え込んできたある日、私はクリスマスの準備をしているホグワーツの職員さんのお手伝いを始めました。
もうちょっとすると「クリスマス休暇」に入ります。
冬期休暇、という事ですな。
大体12月の20日くらいから1月の2から5日くらいまでのお休みです。
その間、家に帰る人は帰って、居残る人はクリスマスとかハッピーニューイヤーとかを学校で楽しむ訳です。
私? 帰りますがなにか。
入学時に色々言ってたやつらに「かまして」来ないといけませんしね、ウケケ。
それに、なにやらとうちゃんが大きな仕事を請け負う事になって、機材分野を拡張しないといけないんだそうで、それに着いて来いって。
いわゆる社交だね、めんどくさいんだけどしゃあない。
今やウェリントン商会は土建業だけでなく、色々と手広く商いしてるし。
ホグワーツの備品納入にも関わってるしw
まあその他リサイクル事業とか、中古車市場にもある程度食い込んでいたり。
もちろん本家の土建業も順調。
街の治安が良くなったおかげで再開発事業とかが盛況でして、その時点で街に残ってた土建屋がうちくらいだったそうで。
後は裏社会の縮小に合わせてどんどん撤退して行っちゃったみたいです。
裏社会とズブズブだと、バックが落ちぶれた時に浮き上がるのが難しいみたいで、その隙を突かれてとうちゃんに取り込まれていった様子。
いやあ、大変ですなあw
んで、事業が拡大したんで「社交」ってのも必要になって来たみたいなんだよね。
それに私を使おう、という訳。
とうちゃんとかあちゃんは子どもが出来ないのを覚悟して結婚したんだと。
だから元々養子を貰う事は決定済みだったんだけど、街の裏の顔役とかとの繋がりが出来ちゃって、養子を取るのを躊躇してたみたい。
子どもに裏社会との関わりをさせたくないって。
まあ、そのおかげで私がとうちゃんとかあちゃんの子どもになれた訳だけどさ。
まずはアーガス・フィルチさんのとこでホグワーツの掃除。
ってか、フィルチさんってこの
もちろんここには何人もの屋敷しもべ妖精が居て、それぞれが非常に強力な「妖精の魔法」を使ってホグワーツを万全の状態にしてくれている訳なんだけど、それでも日々学生が過ごすのだからどうしても汚れるし、壊れる。
特に問題児なのがウィーズリー兄弟。
私の2つ上の先輩に当たる方々だが、これが度が過ぎる悪戯好きの双子だ。
で、まあフィルチさんやらハグリッドさんやら、主に職員に迷惑を掛けまくる訳。
しかもちゃんと成績はトップクラスを維持するもんだから教員は色々言いにくい、と。
さらに、ホグワーツの入り組んだ所とか、誰にも気付かれてない秘密の通路とか色々知ってるらしく、ホグワーツ管理人のフィルチさんすら知らない所を認識してて、そのおかげでかとにかく捕まらない。
悪戯をして逃げおおせる確率はなんと9割に達するらしい。
上手く逃げ切るから彼らの悪戯の後始末はフィルチさんがやる事になるとの事。
後、地味にやらかすのは、奴らの弟のロン・ウィーズリー君。
普段おとなしいのに、いきなり癇癪を起こすことがあって、そう言う時には備品の破壊なんかが珍しくない。
ほかにはネビル・ロングボトム君かな。
彼の場合、集中力が欠けた状態でなにかやると大けが一歩手前まで行く事故を起こすことがあって、その際にいろんなものを壊す事がある。
こっちはむしろ心配するくらいだ。
という訳で、定期的に掃除とかしないと中々にひどい有り様となる。
こと、ウィーズリー兄弟が関わると、うまく逃げられる事が多いからなおさら。
あの人達片付けないで行っちゃうからね。
なので、フィルチさんを手伝って、ホグワーツの清掃をして、後はハグリッドさんに付き添って校庭や中庭、外回りなんかの整備を重点的にしつつ、屋敷しもべ妖精達に新しい料理のレシピなんかの提供をメインにやってました。
これはこれで充実した日々です。
おせっかい:ホグワーツ管理人アーガス・フィルチの言
今年のホグワーツ入学生にはかなりのおせっかい焼きがいる。
ホグワーツの全体を管理する役割を担っている管理人であるアーガス・フィルチは苦笑いをしながらそう思った。
「フィルチさーん、後はどこやる~?」
右手にモップを持った魔女の卵、マリー・ウェリントン。
彼女はモップと彼女の魔法の杖(とてもそうは見えないが)を切り替えつつ、掃除を進めている。
が、それだけだと完全に綺麗になる事はない。
その上でしっかり研磨することで建物は美しく綺麗になる。
フィルチはそう思っている。
磨きをかける、それが必要なのだ。
それを学生達は理解しない。
呪文でそれができるレベルとなると、それこそ教授達でもミネルバ・マクゴナガル副校長や「そう言う所」に頭の回るセブルス・スネイプ教授位しかいない。
後は「汚れがなければいいだろ」という程度の認識しかないのだ。
それではいけないのだ。
ホグワーツは清潔で、かつ「美しく」なければならない。
フィルチは「
本来ならばホグワーツにいる事すら問題視される、ほんの少し、それこそマグルにも稀にいる程度の魔法の力しか持たないのだ。
それがダンブルドア校長の計らいで仕事を貰えている。
ならばその恩をホグワーツをしっかり管理することで返さねばならない。
彼はかたくなにそう信じていた。
そのホグワーツを汚す学生ども。
汚すならば綺麗にするのもまた学生の務めだ。
それを、わざわざ汚したり、壊したりするのは許し難い。
だからこそ。フィルチは悪さをした学生にしっかりと罰を与えるのだ。
が、その中でマリーはちょっと変わっていた。
自分から率先して掃除を手伝いに来るのだ。
…まあ、マリーにとってはこの行動はある意味打算だ。
ホグワーツの事をよく知るフィルチを味方につけることで今後の学校生活を有利に運ぼう、と考えていた訳で。
気が付いたらフィルチを身内の認識に含めていたものだから打算が身内への情に代わってしまっているのだ。
そうなると、フィルチとしても悪い気はしない。
スクイブとして魔法界にあまり親しい相手のいないフィルチは学生としてはマリーだけに「格別の」配慮をするようになっていた。
もちろんホグワーツを汚したり傷つけたりしたらがっつり掃除をしてもらう事にかわりはないが。
まあ、ちょっとくらいは学生に優しくしても良かろ、フィルチはそう思いながら足元にいる彼の愛猫ミセス・ノリスを撫でた。
フィルチさんのお手伝いを終え、ハグリッドさんの外周りにもちょっと付き合う。
ハグリッドさんの場合、仕事の大半が「禁じられた森」の管理だからね、あんまり首を突っ込めないんよ。
せいぜい番人小屋の周辺の荷物持ちとか校庭の整備の手伝いとかそんなん。
フィルチさんのやってるのに比べるとそう大変でもない。
で、そっからは厨房にもぐりこんで屋敷しもべ妖精達とクリスマス用のレシピの開発をしてる。
今回用意したのは鉄板。
と言ってもちょっと形が違う。
コンロの上に置けるサイズで、4cmくらいの半円状のくぼみが20個くらい付いてるやつです。
で、これを火にかけ、十分に熱したら、緩めに作ったパンケーキの生地を流し込みます。
で、ここにドライフルーツなんかを入れて焼いて、火が通ってきたら
「ほほぉ!」
ここで屋敷しもべ妖精から感嘆の声が。
まあちょっと技術がいるけどね、家事が得意な屋敷しもべ妖精なら直ぐに習得できるでしょ。
で、ひっくり返して焼けたなら、取り出して化粧砂糖を振るって完成、と。
「こんな感じかな、名付けてクレープボールってとこ」
皆さん分かってらっしゃると思いますが、日本のたこ焼きをリスペクトwした代物です。
…いや、だってこっちに鰹節とかないし! あるけどやったら高いんだよ、ちょっとしたデザートとしてはまだ出しにくいよ。
…そういやカツオの代わりに鹿肉を使った「鹿節」ってのがあるってのは前世に聞いたけど、それで作ったらどうなんだろ。
その場合は鹿肉のしぐれ煮とか入れると美味そうだな。
酒のつまみとか。
それはさておき、まずは試食タイム。
結構好評。
教授陣にはもうちょっと甘みを抑えた方が良いという意見も。
なるほど、大人用にはブランデーとか加えて香りを出すのも良いかもね。
なんて意見をぶつけていると。
「お~い、なんかつまめるもん…あ?」
「おいフレッド、詰まってんじゃ…げ、スリザリン!?」
フレッド&ジョージの「悪戯大将」・ウィーズリー兄弟だった。
「いやなんでって言われても…、先輩方こそなんでここに?」
私がそう言うと、
「いや、おやつを分けてもらいに」
だそうです、どっちがフレッド先輩でどっちがジョージ先輩かは知らんのですけど。
まあいいや、ちょうどいい、彼らにも試食をしてもらいましょう。
屋敷しもべ妖精の一人にクレープボールをいくつか持ってってもらいます。
で、食え、と。
最初は私がスリザリンの寮生である事に疑いを持ってクレープボールを見てました。
全く、自分達が色々やらかしてるから親切を素直に受け取れんのですな、これだからグリフィンドールは、なんつって。
まあ、意を決して口に放り込むと、
「お、いける」
「軽いおやつだな、もうちょっと、そうだな、キュラソーとかで香り付けた方が良くないか?」
そんな意見が出てきます。
それをきっかけにして私、屋敷しもべ妖精達、ウィーズリー先輩方で様々な意見が交わされました。
最終的に、各種果実酒に漬けこんだフルーツを一度煮切って、それを加えてみるので大方の意見が一致しました。
そこでジョージ先輩から一言。
「ところでさ、この焼き板、ちょっと小さくない?」
ですよねー。
これ、鉄板にハグリッドさんに頼んでハンマーで穴をへこませてもらった奴なんですねえ。
あんまりたくさんやって貰っても失敗する可能性が高くなります。
実際、3枚ほど失敗して完全に穴空いちゃいましたし。
そんな訳で、これ以上のは難しいんですよね。
とか話したら、
「…よし、俺たちに任せろ!」
「そうそう、これより大きな奴、用意してやるよ!」
とのこと。
いや、あんまりでっかいのは困りますよ?
コンロの上に置けるレベルでないと使えませんからね。
と言ったんですけど聞いてたかな?
二人ともどこかへすっ飛んで行きました。
試食用に作ったクレープボール全部持って。
…ちゃっかりしてやがる。
その後、どこからか分かりませんが、ウィーズリー先輩方は一度に百個以上は焼けそうな大きなたこ焼きプレートを二つも持って来てくれました。
どうやら呪文での金属加工の得意な職人と交渉して作って貰ってきたとの事。
魔法界のコネクション、私も欲しいですねえ。
で、「俺たちは腹一杯食う資格があるはずだ!」とのことで、クレープボールを本当に腹一杯になるまで提供させられました。
なかなか大変でしたわ。