この年、私にとってクリスマス休暇は休暇じゃなかった。
重機メーカー、大手資材業者、ドリルとか各種工具の取扱業者さんとかと、とうちゃんかあちゃんとの顔合わせに一緒に行く事になった。
出来るだけ綺麗に着飾って。
おかげで化粧のしかたとかも勉強したさ。
マスカラの使い方一つで印象が変わるから面白言っちゃ面白いんだけど。
一応礼儀作法はとうちゃん達から教わっていたものの、どうしても付け焼刃だ。
今度マルフォイ君達から本格的に教わろうかしら。
パーティ嫌い。
めんどくせえ、というのが本音です。
いやね、藤堂兵衛の経験があるおかげでお偉いさんの「裏っかわ」の本音が結構簡単にわかっちゃうんですよ。
もちろんものすごく分かりづらい人もいますけどね。
そう言う人は貴族の称号持ってる人が多いです。
もともとイギリスは「イギリスの二枚舌、三枚舌」なんて言うほど交渉に長けてますから、その技術をずっと継承してる貴族の方々はかなりの強敵だと思います。
さすがに田舎の土建屋の親方であるとうちゃんには荷が重いかな。
とは言え、向こうもこっちに負担をかけるばっかの条件を出してる訳でもない様子。
これはほっといても大丈夫でしょう。
本当にやばいのだけ捌いていけば問題はなさそう。
あと、貴族の人って意外に魔法族の人が入り込んでる感じです。
まあ、会話が古臭いというかなんというか。
ほとんどが杖を持っている訳ではないので、おそらく
稀に懐にしまっている人がいますが、大概は従者の人が話してて、本人はどっか他人事のように見てる感じです。
おそらく魔法族の主人とスクイブの従者、と言うところでしょうか。
魔法族の中では冷遇されてる感じだけど、意外にスクイブってマグルと魔法族の窓口として重要なポジションにいるじゃないかと考えてしまいます。
…ふむ。
ここに魔法族の人がいる理由が分かりました。
私だw
私がホグワーツへの生理用ナプキンの取り扱いをうちにお願いしたからそれに興味を持ってやって来た、と。
従者かと思ったら、どうやら部下の人なようです。
お名前はアーサー・ウィーズリーさん。
…ウィーズリー?
とうちゃんとの会話に不快にならない程度にちょっとずつ割り込んでいきます。
ふむ、7人も子どもが、6男1女。
すげえなこの人。
魔法族としては模範的じゃね?
ウィーズリー家ってたしか純血の家系だし、そこの子どもが多いってそれこそ魔法族に貢献してるって言えるよなあ。
で、とうちゃんが私を紹介します。
「ああ、これがうちの娘、マリーですわい」
とうちゃん、もうちょっと言い方がさあ、まあいいか。
「マリー・ウェリントンでございます、ウィーズリー様におかれては、お初にお目にかかりますわ。
どうぞよしなに」
…ちょおっと古めかしい言い方だったかなあ。
とは言え、ウィーズリーさんは、
「こんにちは、お嬢さん。
私はアーサー・ウィーズリーと言う。
今後お父上と良好なビジネスパートナーになりたいと思っているよ」
と、中々にチャーミングな笑みを見せてくれます。
ここで爆弾投下しておこうかな。
「はい、アーサーさまの息子さん達にもお世話になってますわ」
あ、顔色変わった。
「えーっと、それはどういう…」
とうちゃんが空気を読まずに話します。
「お、そうなんか?
うちの娘、今年から全寮制の学校行ってましてなあ、そちらもそうなんですかい?」
とうちゃんもうちょっと言い方…。
「そうなんですよ、寮が違うんで、同級の息子さんとはあまり話す機会がないんですけど、2つ上の先輩とは時々お話しする機会がありますの」
さらに混乱している様子。
さて、休憩室の方で改めてお話しとかないとね。
休憩室には私、とうちゃん(かあちゃんはこっちのお話し中、他のご婦人と歓談中)、アーサーさんと奥方様(モリーさんというお名前だそう)。
部下の方はパーティーで情報収集だとの事。
で、アーサーさんは「魔法省マグル製品不正使用取締局局長」だそうだ。
魔法界に於いてマグル製品に魔法を掛けたものを下手に流通させたり、そこから魔法の事がマグルに広まらないようにする部署のボスだとの事。
で、ここしばらくでうちとホグワーツの窓口会社との商売が始まっており、そこに不正がないか調査しに来たとの事。
いや、局長が出張る仕事じゃねえだろうと思うんだけど、意外に小さい部署なのかな。
てことは、これがマグルに対する魔法族の認識ってことな訳だ。
…結構やばいんじゃね? とか思わなくもない。
さて、こちらの事情も話しておかないと。
まず、自分がスリザリン寮にいるという事。
その時点でモリーさんの顔がひきつったように見える。
分かりやすいなあ。
この人、絶対に善良だ。
元はグリフィンドールかハッフルパフだろうなあ。
で、そこで使用してた生理用品の質が良く、同級生の女の子から寮全体、でさらにホグワーツ全体での需要が急増して、個人輸入wでは足りなくなって、仕方なしにダンブルドア校長に談判、で、生理用品の取り扱い先として私が紹介できる所がうちしかなかったという訳。
その辺りまで説明した。
…やっぱりアーサーさんは?って顔。
男にゃ分からないか。
反面、モリーさんはなんか感激してる。
流石ダンブルドア校長って。
…これ、導入の決め手はマクゴナガル先生なんだけどね。
まあ事情を説明すると、アーサーさんも分かってくれた様子。
ってか、この人も、流石ダンブルドア先生!って言ってる。
まあ校長先生は魔法界の英雄だからね、分からなくもないが。
とは言え、マクゴナガル先生の功績を消されるのも面白くない。
きっちり説明し直しておきました。
やはりというかなんというか、ホグワーツと言う所は魔法界の中でも一種の聖域扱いされている所で、独自のコミュニティが出来ている場所でもあるようです。
このあたり、マグルの学校も似たような所ありますよね。
で、ホグワーツはある意味それ以上でして、魔法的な転移での侵入が不可能、直接入るためには魔法の箒などで空中から侵入するしかなく、幻覚などで見えなくしていてもそういった術はホグワーツの敷地に入る時点でかき消されるんだそうです。
実質、安全に入るにはホグワーツ急行、近隣の村であるホグズミード村まで言ってからの徒歩、馬車などでしか不可能だとか。
電話などの近代機器もホグワーツに何重にも掛けられている魔法が影響して電気が使えないらしいです。
そんな訳で、ホグワーツの中の情報って、かなり限られているんだとか。
そのためにたかが生理用ナプキンの事で魔法局の一部署が動く事にw
っつか笑えないなあ。
子どもたちの近況:7児の母モリー・ウィーズリーの言
その日、モリー・ウィーズリーは夫であるアーサー・ウィーズリーとマグルのパーティーに出かける事になった。
というのも、アーサーの職場である「マグル製品不正使用取締局」に、ある案件が持ち込まれたからだ。
ホグワーツ魔法魔術学校の窓口会社がとある企業と商売を始めた。
これが良く分からない代物。
なぜ今になってホグワーツがマグルとの交易を始めたのか疑問を呈した上層部、そこからアーサーに指示が下りて来たのだ。
その調査にモリーも駆り出された。
本来なら、全く関係のない事ではあるものの、潜入調査をするのが社交パーティー会場と言う事で、アーサーとモリー夫婦が出るべき、という事になってしまった。
この辺り、マグルの世界ではありえない事だ。
会場に置いて、モリーは主に魔法族の夫人との会話を楽しんでいた。
なんせマグルとは話がずれることがしばしばある。
そのずれがひどくなると、魔法局の職員がやって来て、忘却呪文で不都合な記憶を消すことになる。
そうなると魔法局に務めるアーサーの立場が悪くなるので、モリーは愛する夫の為、ぼろが出ないよう頑張っていた。
そうしていると、魔法省の職員、アーサーの部下の一人、がモリーの元にやって来た。
夫婦で話さなければならない事がある、と。
何の事かと思っていって見れば、夫は固太りの現場上がり、という感じの、礼服が似合わない中年男性と、すらりとした背の高い少女と一緒にいた。
年齢は、15程に見えて、ふとした仕草に幼い感じを受けるのでおそらくは下の男の子と大体同じくらいだろう。
顔立ちは、可愛いとか美しい、というよりは凛々しいと言った方が良い。
将来が楽しみな子どもだ。
などとモリーが考えていると、夫が男の方を紹介してきた。
今回の取引相手、と言う事になっているジャック・ウェリントンだとの事。
モリーはなんとな~くほんわかとした挨拶を返した。
で、次に紹介された娘、マリーは驚いた事に子どもたちと同じ学校に行っているとの事。
つまり、ホグワーツにだ。
その割には魔法族が携帯するはずの魔法の杖がない。
その事でモリーは少々警戒を始めた。
だが、その後すぐに別室での話し合いになり、驚くべきことを聞いたのだ。
そもそも、今回の件はマリーが校内で流通させた生理用ナプキンが発端となっている。
彼女が個人的に持ちこむ量ではホグワーツ全体の需要を満たす事が出来ない。
その為ホグワーツの購買で扱う事になり、その流通の流れが魔法局の案件に引っかかったという事だった。
モリーも女性であり、
友人の中には特に「重い」「多い」人もおり、そう言う女性にとって、マグルの開発した高吸収タイプの生理用品は福音ともなりえた。
それを見越して許可をするとはダンブルドア校長はやはり素晴らしい!
モリーはそう感動した。
その後、マリーから実際に許可を求めたのはマクゴナガル副校長である事を聞いて、さもあらん、と納得したのであるが。
男性にこの苦しさは分からない、それは女性全体の共通認識であるからして。
その後、話題はホグワーツの日常にシフトした。
主に語るのはマリーで、それにアーサー達が学生だった頃のホグワーツに関しての話が返るといった流れだ。
ジャックにとっても娘の学校生活は気になるのか、興味津々と言ったところ。
「ウィ…ロン君はポッター君とグレンジャーちゃんと一緒にいる事が多いですね。
授業は頑張ってるけれど、時々集中できてないのと依怙地になっちゃうところで失敗することが多いかなあ。
でも、ここ一番ってときにはものすごい金星あげてますよ」
まあ、
「トロールと戦って、あ…これ言って良いんだっけ?」
「どういう事かしら、お話しなさいな?」
調子に乗っていらん事も言う子のようだが。
「あの子ったら!? そんな危険な事を!
後で絶対『咆えメール』です!!」
そう言いながら、モリーは内心誇らしかった。
女の子を救うために今まで失敗していた魔法を成功させ、トロールをやっつけた。
確かに危険ではあった。
親としてはわざわざ危険に足を突っ込む必要がないと叱る所だ。
だが同時に女性の為に戦うのはウィーズリーの男としての誉れでもある、そう思うのだ。
モリーはウィーズリーの家を誇りに思っている。
だからこそ、ロンの活躍が嬉しいのだ。
アーサーも「まあまあ、ロンはよくやったよ、私はあの子を誇りに思うよ」と言っている。
この話だけで、モリーは今日この場にいた事ができて良かったと感じていた。