ホグワーツの凶犬~ハリー・ポッター×男塾~   作:黒羆屋

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第28話 がーんざーんけーん

 先ほどの「悪魔の罠」の所からさらに通路は先に続いてる。

 急がないと、どうなる事か。

 先を進みます。

 

 次の部屋は「天井に沢山の翼のついた鍵が飛んでいる部屋」でした。

 きらきらと輝く美しい部屋です。

 反対側の扉は、うん、鍵が掛かってるね。

 まず、

「ふんっ! 天稟掌波(てんぴんしょうは)っ!」

 ()の衝撃波をぶっ放して数体の「鍵」を叩き落とします。

 ふむ、これじゃない、と。

 鍵穴と比べてみるとどうやら鍵はかなり作りの古いものみたいだな。

 ならば。

 じっと天井を見ていると古めかしい鍵にちょっと歪んだ羽の付いてるやつがあった。

 多分前に捕まえた奴が手荒く扱ったんだろう。

 それに対し、

「ふんっ!」

 天稟掌波をぶち当てる。

 高く飛ぶ鳥を撃ち落とす天稟掌波、この程度の高さの部屋を飛ぶ程度のものなら避けられよう筈もない。

 あっさりと気絶したように私の手の中に落っこちてきた。

 それでかちゃりと鍵を開けた所で、気が付いたように暴れ出したので鍵をリリース。

 さて次に行きましょう。

 

 次の部屋はチェス盤を模したものだった、が。

「…ウィーズリー君、大丈夫かな?」

 巨大なチェス盤の脇に、ロン・ウィーズリー君が倒れていた。

 先にある扉はまだ開いており、どうやらまだここの魔法の仕掛けは復帰していないみたいだ。

 私はウィーズリー君の首に手を当て、呼吸や気の流れがおかしくなっていないことを確認し、

「これなら放っといても大丈夫だね」

 無情にも、彼を見捨てて行くのでした。

 つうか、侵入者ってウィーズリー君だったのね。

 この分だとグレンジャーちゃん、ポッター君もグルかね。

 ちょっと気を抜きつつ、私は先に進むのでした。

 彼らに人払いの結界なんて作れない、それを失念しながら。

 

 次の扉に辿りつき、それを開けると。

 中には頭を振りながら立ち上がるトロールの姿があった。

 トロールは私を見ると、足元に転がっていた棍棒をひっつかみ、吠え声を挙げた。

 頭から血を流してる所を見ると前に通ったポッター君辺りがやっつけたのかな。

 ほっほう、それでもやる気満々ですね。

 じゃあこっちも遠慮なく。

 前にトロールと戦った時は後ろにグレンジャーちゃんがいた。

 今回はそう言う枷はない。

 ということで!

 トロールが棍棒で殴りかかって来るのに合わせてカウンターで殴りかかる。

 今回は手の小指じゃなくて膝。

 ちまちまとじゃなく、一気に片を付けるつもりだ。

 十分に()の乗ったパンチ。

 ヘビー級のボクサーのストレートにも匹敵する威力だが、もちろんトロールの巨体にはそれほどのダメージにはならない。

 だから、急所を狙う。

 膝の皿、その横の部分をガツンとね。

 そうすることで腿と脛を繋ぐ腱に衝撃を与え、体勢を崩すことができる。

 案の定、

 

 ぐらあり

 

 よろめいたトロールは片膝をついた。

 丁度顔が私の手の届く高さに。

 私はトロールの頭を掴むと思いっきり体をそらし、そして。

「食らえゃっらあっ!」

 思いっきりバチキ(づつき)をトロールの頭に叩きこんだ。

 

 ぐわん!

 

 なんか硬ったい岩でもぶつけたような感触。

 もちろんトロールの体の頑丈さはお墨付きだ。

 こんな所で門番を任されるほどなのだから。

 だから一発で沈むはずもない。

 なら、

「ぅだっ! ぅらっ! だぁっ! らぁっ!!」

 

 ぐわん! ぐわん! ぐわん! ぐしゃん!!

 

 相手が伸びるまでひたすら頭突く。

 がっつんがっつんと音がして、暫くするとトロールから抵抗する力が失われた。

 トロールの頭から手を話すと、トロールは完全に目を回していた。

 …こんだけやって死なないんだ、「男塾」の面々とタフさは匹敵しそうだなあ。

 全身にトロールの血が飛び散ったもんで見た目がかなりひどい事になってます。

 という訳で、

清めよ(スコージファイ)

 ごしごし呪文でぱぱっときれい。

 便利ですなあ。

 さて、次行きましょう。

 

 …次の扉、て言ううか、なんでしょね、紫色の炎?

 そんな感じなのが目の前に立ちふさがってます。

 これはどうしたもんだか。

 と思っていたら。

 ふらふらとその炎の奥からグレンジャーちゃんが。

 なんか疲れきってるように見えます。

「ちょ、グレンジャーちゃん大丈夫かい?」

 ふらあっと倒れこみそうになる彼女を受け止めて、そう尋ねると、彼女はぽろぽろと涙を流しつつ、

「私じゃ力になれない…、ハリーを、ハリーを助けて…」

 …ええっと、流石にあの炎を突っ切るのは。

 でもなあ、泣いている女の子のお願いを無視するのは、なあ。

 自身の無力を嘆き、誰かにその願いを委ねなければならない苦悩。

 それは、

「…何とかしないと、ねえ」

 私の中の「(おとこ)」共が「行け!」と喚く。

 私はグレンジャーちゃんを支えつつ、

「ちょっとごめんね」

 そう言った彼女から離れ、

「うっし、やってみようか…」

 そう呟いた。

 

 大きく息を吸う。

 それと共に腹の下、丹田と呼ばれる所に気力を蓄える。

 そこから頭上に向けて力を回し、そこから全身へと回す。

 普段なら絶対に出来ないほどの力、それを誰か(・・)が支えてくれる。

「かはぁぁぁっ…」

 魔法の杖を上段に構える。

 覇極流槍術、これは元が覇極流という総合戦闘術の一部なんだけど、それだけに剣術にも応用できる所がある。

 だからだろうか。

 上段に構え、そこから振り下ろす一閃。

「…この世に斬れぬものはなし」

 

 斬っ!

 

 

 

 幻影:友を想う少女ハーマイオニー・グレンジャーの言

 

 彼女は無力だった。

 確かに彼女は勉強ができた。

 理論的な問題は特に得意だ。

 実際、先ほどの「スネイプのパズル」はその論理(ロジック)を完全に理解して出題者の意図を見事に解いて見せた。

 しかしそれがなんだ。

 最後の舞台(ステージ)に進めるのはハリーだけ。

 彼だけを敵のいる部屋へと送りださなければならない。

 その彼の為にも一刻もホグワーツの教員に会って助けを求めなければならない。

 くやしい。

 彼の隣で戦う事が出来ない。

 それを悔やみつつ、「紫の炎」を無効化する薬を飲み、来た道を戻ろうとする彼女。

 途中で気力が萎えそうになり、倒れかかる。

 それを誰かが受け止めてくれた。

「ちょ、大丈夫かい?」

 そう声を掛けてくれたのはのっぽのスリザリン寮生、マリー・ウェリントンだった。

 涙がこぼれた。

 これならハリーを助けてあげられる。

 少しでも早く、マクゴナガル先生やハグリッドに今の事を伝えないと。

 しかし、彼女から漏れた言葉は、

「私じゃ力になれない…、ハリーを、ハリーを助けて…」

 だった。

 無理もない、12歳そこそこの、愛情深い両親のいる普通の家庭に育った女の子にとってこの状況は過酷に過ぎた。

 混乱して、論理的な考えなどできようはずもない。

 その中で、彼女は必死に「なにかに」縋った。

 それは、目の前の少女、マリー・ウェリントンの心の奥を揺さぶった。

「…何とか、しないとね」

 目の前ののっぽの女の子が「別の者」になったようにハーマイオニーには感じられた。

 マリーはハーマイオニーから離れ、日本の「ケンドー」のような構えをした。

 確か「ジョーダン」というのだったか。

 その彼女に重なって、青白く、奇妙なビジョンが見える。

 マリーよりもよっぽど大きな男の人の背中だ。

 袖のないローブを羽織り、むき出しの腕には荒縄をより合わせたような筋肉が浮き出している。

 髪の毛は白い蓬髪。

 とてつもない長い剣を持ち、それにふさわしい鞘を背負っている。

 そんなとてつもない存在感を持つビジョン。

 そして、

「…この世に斬れぬものはなし」

 その言葉と共に、

 マリーの魔法の杖が振り下ろされ、

 

 今しがたハーマイオニーが通って来た紫の炎、それが「モーゼの海割」のごとく左右に斬り分かれた。

 

「じゃ、行って来るよん♪」

 いつものマリーの軽口と共に、彼女は脱兎のごとくその分かたれた炎の先へと飛び込んでいった。

 

 それを見送って、ハーマイオニーは自身の頬をパンパンと張った。

「腑抜けてる場合じゃないわ。

 急がないと」

 彼女は自身のすべきことをするべく、走りだした。

 

 

 

 なんかすげえ。

 目の前にあった魔法の炎が私の剣閃で真っ二つに分かれてる。

 ちょっと信じがたい。

 とか言ってる場合じゃない!

 一気にその炎の間と走りぬけ、部屋の中に転がり込んだ。

 部屋の中には薬棚と説明文、と言うかクイズだな、これ。

 どうやらチェスの所と同じく、まだ原状復帰がなされてない様子。

 つまり、

 今しがた閉じちゃった紫の炎、そしてその反対側にある出口を覆ってる「黒い炎」を突っ切るにはまた一工夫必要な訳ですな。

 …さっきの方法は、多分無理。

 よっぽどの事がない限り、あの力は引き出せないだろうなあ。

 なら、今できることをやらないと。

 さて、並んでいる薬を拝見、と。

 毒薬が三本と、イラクサ酒が二本、と。

 これでどうしろ、と…、ん?

 イラクサの酒?

 …なるほどね、これスネイプ先生だな。

 ずいぶんとロマンチックやな。

 後からおちょくってやろう♪ なんてね。

 確かにこのクイズを解ければあの炎を無効化する薬が手に入る。

 だけど。

 ちょっとした伝承を知ってると、また別の解が待ってる、ってことだ。

 私は一本の薬を手に取ってみる。

 開けてみると間違いなくアルコールと独特の匂い。

 イラクサ酒だね。

 正確に言うとセイヨウイラクサから作った酒。

 十一人の王子とその妹姫の話。

 呪いを受けた王子たちを救うために妹姫はイラクサの帷子を編む。

 それを掛けると王子たちの呪いが解ける、そう言うおとぎ話。

 実際、セイヨウイラクサには呪いを無効化する成分もあり、それを精製することで特定の呪術解除の薬にもなる。

 ならば、だ。

 私は上着を脱ぐとイラクサ酒をだばだばと掛けて酒浸しにして、と。

 さて、成功するかな?

 南無三!!

 

 

 

 運命と戦う少年:ハリーポッターの言

 

 ハリー・ポッターは魔法の縄で縛られた状態で、最後の部屋で予想外の人物と対面していた。

 クィナリス・クィレル。

「闇の魔法に対する防衛術」の教授であり、ハリーが主犯と目していたスネイプに脅迫されていた人物。

 何かにつけておどおどし、トロールが出たと言っては気絶していた、気弱な教授。

 ハリーにとってはそう言うイメージの人物だったのだが、今のクィレルは異様な雰囲気を発し、とてもいつものクィレルとは思えなかった。

 彼は、スネイプがハリーを救おうとしていた事、今までクィレルの邪魔をしていた事を語った。

 トロールをホグワーツに招き入れたのも彼。

 彼はトロールを扱う特別なものがあるという。

 おそらくクィレルはトロールを使役出来る魔法か魔法の品を持っているのだろう。

 魔法使いは、自分だけの特別な魔法や品を持っている事がままあるらしい。

 そして、「この鏡が『石』を見つける鍵」なのだと言う。

 その鏡は「みぞの鏡」。

 かつてハリーに「両親、親族と一緒にいる自分」を見せてくれた、麻薬のような鏡だった。

 これ以上鏡に集中させるのは不味い、ハリーはとにかく彼に話しかける事にした。

 少しでも時間を稼がないと。

 ハリーは一角獣の話をした。

 あれを襲ったのはあなたなのかと。

 かつてハリーはクィレルがスネイプと一緒にいるのを見た。

 その時はクィレルが脅迫されており、スネイプあたりが一角獣を襲ってヴォルデモートにその血を渡していたのかと思ったが。

 あの時、ローブを羽織っていたのはクィレルだったのだろう。

「そうだ私だ。

 力が必要だったからね、ご主人様の為に」

 ハリーは総毛だった。

 あの場所に、「あの人」がいたと言うのか!?

 ぐるぐると回る思考、十一歳の少年には重すぎる選択、しかし、彼は間違いなく英雄だった。

 この危機に敢然と立ち向かっていた。

 

 クィレルはかなり焦っているようだった。

「御主人さまは、過ちを簡単には許しては下さらない」

 グリンゴッツから賢者の石を盗み出すのに失敗し、彼は後がない、と考えているらしい。

 しかし、「賢者の石」がどこにあるか、それは彼には分らなかった。

 そして、

「ご、御主人様、お助け下さい」

 そう言った。

 まるでここに御主人(ヴォルデモート)が居るかのように。

 その時だ。

『その子を使え…、その子を使え…』

 不気味な声が周囲に響いた。

 

 ハリーは縄を解かれ、鏡の前まで連れてこられた。

 そこに映っていた自分から、彼は「賢者の石」を渡された。

 ポケットの中には賢者の石らしい重みが伝わって来る。

 これを気付かれてはいけない。

 ハリーは必死にクィレルに嘘を付き続けた。

 が。

『俺様が、じかに話す』

 気味の悪い声がまた響いた。

 驚き止まるクィレル。

 しかし、「声」はハリーと話すと言って聞かない。

 そして、クィレルはトレードマークであるターバンを解き始めた。

 ハリーはその行為に首を傾げた、が。

「!」

 恐ろしい光景だった。

 髪の毛のないクィレルの頭、その頭部に不気味な人面が張り付いていたのだ。

 ヴォルデモートの残骸だった。

 ヴォルデモートはハリーに己の支配下に付けと言ってきた。

 父も、母も、ヴォルデモートに屈してきたのだ、お前も屈するのだと。

 その言葉が、ハリーの怒りに火を付けた。

「お前などに何もやるもんか!」

 彼はその瞬間、恐怖から解放された。

 あの黒い炎の向こうに逃げさえすればまだチャンスはあるかもしれない。

 彼は一目散に部屋の出口へと走り。

「無駄です」

 一瞬でクィレルに回り込まれた。

 あまりにも速い動きに、ハリーは何が起こったか理解できなかった。

「おとなしくしなさい…」

 ハリーにクィレルの手が伸び…。

『クィレル!』

 

 ごっ!!

 

 クィレルが吹き飛ばされた。

 ハリーには見えていた。

 黒い炎から何かが部屋に飛び込み、そのままの勢いでクィレルの後頭部、ちょうどヴォルデモートの顔が付いている辺りに飛び蹴りを喰らわせたのだ。




十一人の王子とその妹姫の話:童話「野の白鳥(白鳥の王子)」

ヴォルデモートの一人称は、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」でのものを採用しています。

袖なしローブ=長ランw
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