ホグワーツの凶犬~ハリー・ポッター×男塾~   作:黒羆屋

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第2話 人生順調?

 とりあえず「お掃除」が終わって、そっからは会社の立て直し。

 ヤバい仕事とかしなくても良いような経営をしてもらいましょう。

 で、その辺りの知識、経験も。チートの中にあったりする。

 先に出した松尾、極小路はそれぞれホテル王、コンピュータ会社の社長になってる。

 また、主要登場人物の1人である虎丸龍次なんてファンド会社を立ち上げて億万長者になってたり。

 そう言った会社経営のノウハウとこれまた使える藤堂兵衛の悪知恵を組み合わせてちょちょいっとね。

 で、会社どころかそれに繋がってた裏の方々んとこまで健全化出来ちゃったりした訳です。

 この辺り、「それなりの才能」ってやつでもデータが多ければいけるってことなんでしょうなあ。

 おかげで会社の経営の健全化に伴って町の治安も上昇。

 まあ犯罪って儲かるようで儲かんないしね。

 入って来る時にはがっぽりだけど、自分を守るためのいろんな経費を換算したり、リスク計算をしていくと全然もうけが出ない。

 結局堅実にやってくのが一番だったりするんだよね。

 それこそ藤堂兵衛みたいな「悪の才能」でもない限り無理だねえ。

 まあだからこそ犯罪って一攫千金で手を出して、いっぺん成功すると抜けらんないだろうけど。

 今の私は町の名士w である養父(とうちゃん)の子ども、令嬢マリー・ウェリントンとなっている。

 ところどころお作法はおかしい所があるが、まあとうちゃんも成り上がりだし、様にはなってるだろう。

 このままこの町で生活してくのも悪くないなあ、そう感じていた時だった。

 

 

 

 幸運:地方にある中堅企業の社長の言

 

 彼はロンドンから北にかなり移動した所にある地方都市に居を構える「土建屋の親方」だった。

 若干柄は悪いものの、善良に田舎の建築会社を経営して()()

 何時の頃からか、彼は胡乱な連中との付き合いが出来ていた。

 最初の頃はスラム街の若い連中にまっとうな職を与えたい、その思いで雇用を増やした。

 それが「裏社会」とのつながりになっていった。

 そう言った連中は善良な人たちを「身内」として「食い物」にする。

 親方も例にもれず、やばい仕事を引き受けざるを得なくなり、いつしかそれが当たり前になっていった。

 

 そして、それは彼、ジャック・ウェリントンにとって運命だったのかもしれない。

「ジャンクから金を生み出す錬金術師」の噂が耳に入って来たのだ。

 それは都市にある児童養護施設、いわゆる孤児院に保護されている子どもの1人だという。

 そいつが金属の買い入れをやっている故買屋に「ゴミから取り出した希少金属」を売りに来るという。

 交渉も上手く、いつも適正価格で売買されるのだとか。

 それで、「取引先」の一つから彼女を養子に取るよう指示があった。

 指示、というが実質は命令だ。

 彼の土建屋とは違い、後ろ暗い、というよりは完全に裏社会、闇社会の一員である。

 元が民族主義の政治結社だったのが、いつしかノンポリのテロ屋へと変質、さらにそこから田舎に巣食う暴力団、という流れで出来上がった代物だ。

 ずいぶんと落ちぶれた組織ではあるものの、田舎の利権を喰い漁る程度の力は持ち合わせている。

 ジャックの知り合いも何人も「いなくなって」いる。

 さて、ジャックが夫婦で正装し、正式な書類を作成して件の少女を養子に取るため顔合わせを行った時。

 ジャックは思った。

 こいつ、カタギぢゃねえ、と。

 子どもとしてはちょっとやせぎすかとも思った。

 しかし、それは間違いだと気付いた。

 これは痩せているのではない、しまっているのだと。

 一桁の年齢の人間の体躯ではない。

 まるで昔出会ったことのある少年兵のようだ。

 さらにその顔。

 目つきは柔らかく「演じて」いるが、顔の肉も削がれているためにシャープな印象を受ける。

 さらにさらに、その「眉」。

 恐ろしくしっかりと太く、若干上に跳ね上がるような奔放な眉。

 ジャックをして「(おとこ)」を感じさせるような迫力があった。

 …とても少女に持つような感想ではなかった。

 

 罪悪感からか、どうしても直接顔を合わせるのが苦痛だったため、世話役を付けて放っておいた、それがいけなかったらしい。

 組織から回された男は、いつの間にか娘の「犬」になっていた。

 事情を一言で言うと「ボコられた」という事だ。

 なにか彼女の逆鱗に触れることを行ったのだろう。

 大体「仲間想いの女の子」を恫喝するのにつかわれるのは予想が付く。

 ジャックは元々娘に同情的であったので本職(どけんや)社員(こぶん)達にそれとなく彼女を保護するよう指示は出していた。

 その結果なのかどうか、社員達は順調に彼女と仲良くなっていたようだ。

 

 そして。

「で、儂に何をして欲しいと?」

 彼、ジャックは彼女、マリーと差し向かいで話をすることになっていた。

 自身もかなり厳ついとは辞任している顔、それを真っ向から見据える年齢一桁。

 恐ろしく肝が据わっている。

 彼女はジャックをしっかりと見ながら、

「職場が欲しい」

 そう言った。

 よく分からん、そう考えた彼は詳細を求めた。

 結果、

「呆れたもんだ」

 彼はそう言うしかなかった。

 

 マリーは自身の「ジャンクからのレアメタル回収方法」を一事業として独立させることを求めてきたのだ。

 そこで事務、作業員などを雇う。

 その雇用する相手を、

「裏の連中にする、と」

 裏社会のヤクザものの中には惰性で犯罪者を続けている者も相当数存在する。

 そういう連中を雇って更生させれば裏の連中の力が減少する。

 そして奴らの力が削げた分、ジャックの側の力が増す、と。

 確かに悪くはない。

 だが、そう言う事は精密かつ余裕のある計画、細かい調整のできる人材、いざという時の「暴力装置」が必要となるだろう。

 彼の手駒にはそこまでの人材はない。

 計画を作ることが出来るほどの者はそもそもこんな田舎にいないだろうし、調整の出来る人材というのも同じ。

 暴力、に関してもあくまで「堅気の」連中としては腕っ節が強いのが揃っている、という程度。

 実際に相手を「壊す」ようなことのできる人達ではない。

 結果、彼には彼女の策が成功するとは思えなかったのだ。

 だが、

「大丈夫、とうちゃんには迷惑かけないよ。

 実際に金は手に入るし、人員が引っこ抜ければそれだけあいつらの力は削がれる。

 そうすりゃ警察も介入できる余地が出来るでしょ」

 そうつらっとマリーは言ってのけた。

 まるで「悪党の使い方は心得てる」というように。

 

 結局ジャックはマリーの言うとおりに会社を1つ立ち上げた。

 そこにはジャックは手を付けなかった。

 マリーの会社は奇妙な機械を使ってレアメタルを回収し、それをジャックの会社に売却する。

 それをジャックは様々な伝手(つて)を使って売りさばいた。

 結果としてその金はマリーの会社、ジャックの会社に入っていき、これらを隠れ蓑に裏社会へも流出していった。

 そしてその金は裏社会のチンピラの離脱を招いていった。

 実際、マリーは信じられないほど上手くやっていった。

 最初に味方につけた男を足掛かりに、「危険のない安全な仕事」へとチンピラ達を誘導していった。

 なんとも「不思議」な事に、その頃裏社会で利益の不均等が原因の組織間抗争が激化していた。

 血の気の多い奴らはともかく、惰性で残っている、居場所がない、などの理由で裏社会に居い付いていた連中にとっては迷惑なことこの上ない。

 そこに「表」に戻るための「蜘蛛の糸」がぶら下がって来たのだ、都合が良い事に。

 人間は結局安定を求めるもの。

 そうしてイギリスの地方都市ごときにたむろっていたゴロツキ達はどんどん減少していくことになった。

 それに伴い、マリーの会社は子会社、孫会社と分割しては発展していく。

 そんなことがたった1年かそこいらで起きたのだ。

 総体が減少したため、裏社会に落ちる金は減っている、が、残っているゴロツキ達におちる金の「一人あたりの金額」は「なぜか」増えていたため彼らは気にも留めなかったようだ。

 そして気が付けば裏社会の組織は大きく力を削がれていた。

 焦ったのはそう言った組織を束ねる顔役達だ。

 誰が仕掛けたかを理解した後、彼らは「マリーの後ろにいるジャック」をつぶそうと目論んだ。

 

 が、

 

 その矢先、彼らの手駒が「壊滅」した。

 表向きはテロリズムを企んだ2つの暴力集団が主張の相違から暴力沙汰となり、大けがを負った上で壊滅し、警察に検挙される羽目になったというもの。

 話が出来る者の中には、「(オグレス)が出た」と怯える者がいたとか。

 そこから間髪いれず、顔役達の居宅に警察が踏み込んだ。

 強制売春、違法薬物取引などで彼らは軒並み捕えられた。

 とてもとても不思議な事に、彼らの手元からはこれでもかというほど物的証拠が現れ、確実に罪に問われることになった。

 彼らをいつも弁護するはずの「そういった」弁護士達も彼らに手を貸すこともなく、いつの間にか姿を消していた。

 気が付くと、腐敗にまみれていた田舎の小都市はずいぶんと風通しが良くなっていた。

 

 ジャックは多少気になってはいたのでマリーに何をしたのかと尋ねた。

 彼女曰く、

「所詮は田舎ヤクザ、ちょっと後押しすればおのずと自滅する」

 だそうだ。

 小悪党ほど分かりやすく、少々の資金を流入させただけで自身が強くなり、他の顔役のシマが奪えると錯覚し、欲をかいた。

 その結果、お互いに潰し合って証拠をそろえあって、それを人に頼んでそれぞれの金庫の中に放り込んで終わり、だそうだ。

 恐ろしいガキだ、ジャックはそう言いながら、マリーの頭をぐりぐりと撫でた。

 マリーは髪が乱れるとジャックに文句を言った。




今後、完結するまで一日08:00、12:00、20:00と3回投稿いたします。
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